東映特撮に踊らされる駄目人間の日々のよしなし。 はてなダイアリーのサービス終了にともない、引っ越してきました。
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読書

ざっくり読書メモ

途切れ途切れの読書スイッチ ●『マローン殺し』(クレイグ・ライス) いつものように二日酔いが残っていようと、ブロンド美人が待っているというのにズボンのポケットに五ドルしか入ってなかろうと、マローンにとって人生はすばらしいものなのだ。 酒と博打…

久方ぶりの読書メモ

ようやく読書スイッチが入った ●『メインテーマは殺人』(アンソニー・ホロヴィッツ) 児童文学のベストセラー作家でありTVドラマの脚本も手がけるわたし――アンソニー・ホロヴィッツ――は、かつてTVドラマの制作に関係して知り合った元刑事のホーソーンか…

2023年を振り返る:読書編

超動くしあわせの書 年末恒例振り返り企画。 どんな具合に書いていたのか参考にしようと思って去年の振り返り記事を確認したら、 初・連城三紀彦! 初・泡坂妻夫! 初・山田正紀! 初・辻真先! 初・都筑道夫! 初・鮎川哲也! 初・山田風太郎! ……なんだか…

久々にとりとめのないものを

呼称にまつわる雑談 そういえば私の文章でキャラクターの呼称がコロコロ変わりがちなのは、間違いなく、海外小説の影響です。 最近はどうかわかりませんが、一昔前の海外小説といえば(勿論、作家/翻訳家によるでしょうが……)「前のページでロバートだった…

久方ぶりの読書メモ

ようやく読書スイッチが入った ●『君が護りたい人は』(石持浅海) ある人物を殺す事を決めた男・三原と、その決意を事前に知らされた男・芳野。殺そうとする男と、殺されようとしている男、双方をよく知る芳野は、ある事情から三原に賛同すると、その殺人を…

読書スイッチが切れた

間違いなく『ゼルダ』が原因。 5月のざっくり読書メモ ●『盤上の夜』(宮内悠介) 四肢を失い囲碁盤を感覚器とするに至った棋士、完全解が発見された遊戯の王者、霊能力者が奇妙な手を打ち続ける麻雀、未来へ繋がる遊戯を夢見る小国の王子、ゲームを殺すゲ…

春の読書スイッチ3

家に海外SFが積まれている ●『玩具修理者』(小林泰三) 第2回日本ホラー小説大賞短編集を受賞した表題作と、小長編「酔歩する男」を併せて収録した、著者の第一作品集。 「玩具修理者」の方は、〔ホラー大賞受賞作品・タイトル・「玩具修理者は何でも直…

春の読書スイッチ2

幻想・落語・審問 ●『蘆屋家の崩壊』(津原泰水) 30を過ぎて定職に就かないでいる“おれ”は、ふとした縁で知り合い、互いに無類の豆腐好きな事がきっかけで意気投合した、その道では有名な怪奇小説作家、通称“伯爵”と共に、美味な豆腐があると聞けば日本各…

春の読書スイッチ

超動く黒龍荘の事件簿 ●『超動く家にて』(宮内悠介) 「俺か。俺はZ80だ」 どうだとばかりに、男は自分の胸を指さすのだった。 「こう見えて、宇宙にだって行ったことがあるんだぜ」 先日読んだ『彼女がエスパーだったころ』が面白かった著者の、201…

傑作だったので叫びたい

突発的読書メモ いっこうに帰る様子のない男の髭面に目を向け、曖昧に頷く。 「Z80がなんであるかはわかったのですが……」 「なに。妖精のようなものと思ってくれていい。かつて活躍し、いまなお世界に遍在するZ80のすべてが俺だ。こう見えて、けっこう…

初春のざっくり読書メモ2

エスパーとアンソロジー ●『彼女がエスパーだったころ』(宮内悠介) 「自分で自分の舵を取れない人は、いつだって、何度だって舵から手を離すよ。そして、どんなことにも手を染めようとする」 火の起こし方を覚えた猿、スプーンを曲げ続ける女、脳への施術…

初春のざっくり読書メモ

キラッと参上、カラッと解決 ●『天の川の船乗り』(北山猛邦) 引きこもり気味の気弱な名探偵・音野順の事件簿シリーズ第3作。 雑誌掲載の3編に約10年ぶりとなる書き下ろしの1編が加わった計4編、そのため初出と刊行に10年ほどの開きが生じている事…

そろそろ春の読書メモ

久々に西澤保彦とか ●『記憶の中の誘拐-赤い博物館-』(大山誠一郎) 時効を迎えた未解決事件などの資料を保管する、警視庁付属犯罪資料館――通称“赤い博物館”の館長・緋色冴子が、遺留品や資料を基に迷宮入りした事件の謎を解き明かす短編集。 基本、過去…

真冬の読書メモ2

猫の国の迷探偵 ●『悪霊論』(小松和彦) 「異人殺し」伝承における「託宣」、御霊信仰のメカニズム、悪霊祓いにおいて発生する「物語」、などへの論考を集めた論文集。 村落共同体において疫病などの変事が起こった際、その原因を探る為に呼ばれたシャーマ…

真冬の読書メモ

アリバイとワトソンと象 ◆『アリバイ崩し承ります』(大山誠一郎) 「アリバイ崩し承ります」 勤め先の人事異動により新しい職場に配属された語り手の“僕”は、休日にふと訪れた時計店で奇妙な貼り紙を発見する。 故人である祖父から、時計の修理とアリバイ崩…

年始の読書メモ

昭和から令和 ◆『沈黙の狂詩曲 精華編Vol.1』 2016~2018年の間に発表されたミステリ短篇を集めた書籍を、更に分冊で文庫化したアンソロジー。日本最旬ミステリー「ザ・ベスト」、と銘打った割には収録6本中2本は割と広義の「ミステリ」で首をひね…

2022年を振り返る:読書編

2022年を振り返る:読書編 去年ぐらいから、これまでなんとなく読んでいなかった著名作家を読んでみようの流れが来ておりまして(ジャンルは偏向していますが)、今年は…… 初・連城三紀彦! 初・泡坂妻夫! 初・山田正紀! 初・辻真先! 初・都筑道夫! …

炬燵を出した読書メモ

館と昭和 ◆『黒猫館の殺人』(綾辻行人) ホテル火災に巻き込まれて記憶を失い、身元不明となった老人が所持していた一冊の手記。そこには、ある屋敷で起きた、奇怪な事件の顛末が詳細に綴られていた。懇意の編集者・河南を介して老人の頼みを聞いた推理作家…

秋の読書メモ3

古典の罠 名前は伏せますが、最近読んだとある文章で絶賛されていた、海外の超有名作家の中編のタイトルに聞き覚えが無かったので、そんなに出来が良いのか……と読んでみたところ、確かにタイトルは知らず、中身も間違いなく読んだ事は無い筈なのに、古典とし…

秋の読書メモ2

遅れてきた山田風太郎祭とか2 ◆『魔界転生』(山田風太郎) 寛永十五年三月一日――後にいう島原の乱が幕府軍によって鎮圧されて間もなくの事、落城した原城から脱出する一つの筏があった。 その筏の上に乗るのは、反乱軍の軍師と見られた森宗教軒、森に師事…

秋の読書メモ

遅れてきた山田風太郎祭とか ◆『妖説太閤記』(山田風太郎) “猿”といわれる容姿から来る女性コンプレックスを抱え、それが遠因となってどこへ奉公しても長続きしない漂泊の旅の途上、たまさか織田家中の一団が野盗に襲われるのを未然に防いだ男は、まだ年若…

ようやく秋の読書メモ

山田風太郎入門編 ◆『虚像淫楽』(山田風太郎) 2010年に山田風太郎賞が創設されたのを機に、新しい読者を意識して編まれた「山田風太郎ベストコレクション」と銘打ったシリーズのミステリ編で、「眼中の悪魔」「虚像淫楽」「厨子家の悪霊」「蝋人」「黒…

久方ぶりの読書メモ

ここしばらく切れていた読書スイッチがようやく少し入ってまりましたが、前回に引き続き、『本格ミステリ・フラッシュバック 1957-1987』を参考に。今回も全て初読の作家で、遂に、初・鮎川哲也&初・山田風太郎。 髭と密室と断頭台 ◆『ひげのある…

夏の読書メモ1

さっそく1957-1987 そんなわけで先日触れた『本格ミステリ・フラッシュバック 1957-1987』を参考に、名前は知っていたけどこれまで読んでいなかった有名作家を中心に、初読祭。◆『仮題・中学殺人事件』(辻真先) “この推理小説中に伏在す…

湿度湿度の読書メモ

湿気ダメージで色々滞っておりまする……。 良いブックガイドでありました ◆『本格ミステリ・フラッシュバック 1957-1987』(千街晶之 他) 松本清張が『点と線』『目の壁』の雑誌連載を始め、“社会派”の大きな波が発生した1957年から、綾辻行人…

もはや夏の読書メモ

刺さったり刺さらなかったり ◆『何の印象もない女』(原田宗典) 若い頃に読んだ『こんなものを買った』というエッセイが物凄く好きで、それ一作で私の中で不動の地位を得ている作家なのですが……最近ちょっとTwitterで話題に触れて、ふと小説作品を手に取っ…

梅雨寒の読書メモ

週末海賊 ●『週末探偵』(沢村浩輔) 入社4年目にして就職先が突然倒産する憂き目に遭った瀧川一紀は、どうにか再就職に成功。職場近くの駅に引っ越して三ヶ月ほど経ったある休日――閑静な住宅街を散策中、外塀に囲まれ芝生の生えた敷地の中に、家屋の代わり…

まるで夏の読書メモ

夜のオペラの転倒 ●『夜の床屋』(沢村浩輔) 大学生の佐倉と高瀬は旅先の山中で道に迷ってしまい、なんとか山道を下って線路に出るも、辿り着いたのは人気の全く無い無人駅。駅前の商店も全て閉店しており自動販売機すら見当たらず、やむなく駅舎で一晩を過…

梅雨入り前の読書メモ

最近はどちらかというとゲームスイッチ ●『辛い飴』(田中啓文) ジャズミュージシャン・永見緋太郎の事件簿シリーズ2冊目。 謎解き小説というよりは、ジャズ小説ちょっとミステリ付き、の傾向が強いですが、今巻も佳作が並び、「酸っぱい酒」「辛い飴」「…

だいたい回復

無事にブーストされた気がしますが、まだちょっと本調子ではないので、最近読んで面白かった本を簡単にご紹介。 『日本のレトリック』(尼ヶ崎彬) 現代のキャッチコピーなども実例に引きつつ、主に和歌を題材に、日本の言語表現における様々なレトリック、…