東映特撮に踊らされる駄目人間の日々のよしなし。 はてなダイアリーのサービス終了にともない、引っ越してきました。
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ウルトラマンがほしい!

ウルトラマンガイア』簡易構成分析<前半戦>

 ちょうど第26話で一つの区切りとなったので、『ガイア』前半戦の構造と内容を、簡単に振り返りたいと思います。表記は、左から、〔サブタイトル/監督/脚本/特技監督/短評/備考〕

  1. 「光をつかめ!」/村石宏實/小中千昭/佐川和夫/-/我夢、ウルトラマンになる
  2. 「勇者立つ」/村石宏實/小中千昭/佐川和夫/-
  3. 「その名はガイア」/高野敏幸/小中千昭/神澤信一/-/ガイア命名・藤宮&アグル初登場
  4. 「天空の我夢」/高野敏幸/長谷川圭一/神澤信一/○
  5. 「もう一人の巨人」/原田昌樹/小中千昭/北浦嗣巳/○/藤宮、環境テロリスト宣言
  6. 「あざ笑う眼」/原田昌樹/川上英幸/北浦嗣巳/△
  7. 「地球の選択」/児玉高志/吉田伸/佐川和夫/◎
  8. 「46億年の亡霊」/児玉高志/武上純希/佐川和夫/◎
  9. 「シーガル飛びたつ」/村石宏實/太田愛/村石宏實/○/シーガル初登場
  10. 「ロック・ファイト」/村石宏實/小中千昭/村石宏實/×/クロウ初登場
  11. 「龍の都」/原田昌樹/古怒田健志/満留浩昌/○/ハーキュリーズ本格登場・公式から盛られていく筋肉
  12. 「野獣包囲網」/原田昌樹/川上英幸/満留浩昌/-/リザード初登場・藤宮再登場
  13. 「マリオネットの夜」/根本実樹/長谷川圭一/佐川和夫/◎/藤宮と玲子が本格的な接触
  14. 「反宇宙からの挑戦」/根本実樹/武上純希/佐川和夫/×
  15. 「雨がやんだら」/北浦嗣巳/右田昌万/北浦嗣巳/-/筋トレハッキング
  16. 「アグル誕生」/北浦嗣巳/吉田伸/北浦嗣巳/△/アグル誕生編
  17. 「天の影、地の光」/村石宏實/古怒田健志/村石宏實/○
  18. 「アグル対ガイア」/村石宏實/小中千昭/村石宏實/◎
  19. 「迷宮のリリア」/原田昌樹/長谷川圭一/原田昌樹/◎
  20. 「滅亡の化石」原田昌樹/川上英幸/原田昌樹/◎
  21. 「妖光の海」/根本実樹/大西信介/佐川和夫/-/マーリン初登場
  22. 「石の翼」/根本実樹/太田愛/佐川和夫/○
  23. 「我夢追放!」/北浦嗣巳/吉田伸/北浦嗣巳/-/vsアグル決着編1
  24. 「アグルの決意」/北浦嗣巳/長谷川圭一/北浦嗣巳/-/vsアグル決着編2
  25. 「明日なき対決」/村石宏實/右田昌万/村石宏實/○/vsアグル決着編3
  26. 「決着の日」/村石宏實/小中千昭/村石宏實/○/vsアグル決着編4

 前半戦の各担当回数は、
 演出〔村石宏實:8本 原田昌樹:6本 北浦嗣巳:4本 根本実樹:4本 高野敏幸:2本 児玉高志:2本〕
 脚本〔小中千昭:7本 長谷川圭一:4本 川上英幸:3本 吉田伸:3本 武上純希太田愛古怒田健志右田昌万:2本 大西信介:1本〕
 特技〔佐川和夫:8本 村石宏實:6本 北浦嗣巳:6本 神澤信一・満留浩昌・原田昌樹:2本〕
 円谷スタイルというか、監督はある程度ローテを組みつつ、脚本は前半戦だけで9人が参加。シリーズ構成の小中千昭は、立ち上がりに3話連続で書いた後は、(恐らく大きな筋に関わるオーダーをある程度出しつつ)ピンポイントで山場に入る、という形に。……それだけに第10話の出来の悪さが目立つのですが、第10話は本当に何だったのか。
 我夢v藤宮、という2人のウルトラマンの思想的対立を一つの軸に置いて「ウルトラマンとは何か?」を問いながら、一話完結色の強いスタイルでバリエーション豊富な破滅招来体(内部に複数のカテゴリが存在)が登場する、という基本構造と、多数の脚本家の参加はシステム的に巧く噛み合っているのですが、一つ短所を挙げると、参加が散発的になる分、担当回に“語り”を詰め込もうとする傾向がやや見受けられる事。
 ただ一方で、その“語り”の重さに簡単にひっくり返る事がない、物語のベースとなる世界の積み重ね・映像的なスペクタクル・力の入ったアクション、という足腰の強さが、今作の大きな武器といえます。
 短評を参考にしながら本編の構造と印象を振り返ってみますと、当初はとにかく「お金かかっているなぁ……」というのが一番だったのですが、大学の友人達との関係を拾い、我夢の抱える独善性の危うさを描きつつ、我夢と梶尾さんの間に空で戦う者の絆が生まれる第4話で、作品そのものの印象がかなりプラスに。


 「素人がいったい何考えてる! すぐ引き返せ! 実戦は遊びじゃない!」
 「僕はこの翼を、平和を壊す奴らと戦う為に作ったんです」
 「そんな事はわかってる!」
 というのは、我夢と梶尾さんの関係をびしっと決める、よいやり取りでした。
 そして、天界が好き。続く化石怪獣回と、一桁話数の内に、物語的にもアクション的にもツボに入るエピソードが来てくれたのは、個人的に大変モチベーションが上がりました。
 今作1クール目における〔情報を非常に小出しにする立ち上がり → その中でとにかくアグル/藤宮という“第二のウルトラマンを出す” → しばらくアグルが登場しない〕という構成はかなり大胆だと思うのですが、藤宮が再登場する第12話までの間の、世界観を固め、広げ、提示していくエピソード群のアベレージが高かったのは、大きかったポイント。
 改めて構造を振り返ると藤宮-玲子編ともいえる2クール目は、藤宮に対応する(引きずられる)形になった玲子さんの語りがやや、キャラクター性の積み重ねというよりも話の都合優先になってしまうという不満点はありましたが、第25話における、玲子にかつての夢を語る藤宮と、アグルの手に乗って空を飛ぶ事で視点を共有する玲子、のシーンは大変好き。
 合間にきちっとXIG側の人間関係も掘り下げていき(その部分が色濃く出たという点で、第19話や第22話は高評価)、ウルトラマン以外の要素も置き去りにしない構成の目配りというのも、今作の大きな長所といえます。
 エピソードとして今のところワーストは、クロウの扱いが意味不明になり、XIG男性陣の株が連鎖的に大暴落するチーフ・ショックを引き起こした第10話。
 こうして前半戦を振り返ると、長谷川さんはやはり書ける人だな……と。もともと好きな古怒田さんを別にすると、シーガルと参謀、XIGメンバーにいつもの防衛活動と違う角度からスポットを当てて描いた太田脚本回がエッセンスとして面白く、出来も秀逸でした。吉田さんには、天界回の出来を再び期待したいのですが、次回は吉田さんなのかどうなのか。あと武上さんの第14話は、なんだか全体構成の都合に翻弄された感が強いので、後半戦での再登板に期待しております。
 演出陣では、5-6話時点では、やや変化をつけた見せ方が作品の現在地とズレているように感じていた原田監督が、11-12話、19-20話と、物語の醸成とも噛み合って良いアクセントとして機能をし始め、評価が逆転。フィーリング的にもかなり合うので、次の登場が楽しみです。メイン監督といえる村石監督は、私の中でプラスとマイナスの振り幅が大変広いので、終わった頃にはプラス評価が上回っているといいなぁ……(笑)
 後半戦スタートの第27話が、第26話までの諸要素を改めてまとめ、更に一歩前に進めた上でアグトルニックに象徴させてみせる、という大変見事な出来だったので、後半戦も非常に楽しみです。

午前レス

 昨日は、『ウルトラマンガイア』感想を書きました。感想の妖精が絶好調で降りてくる、大変良い回でありました。

2年前なら酉年だった

◆chi-chanさん
 >戦隊だと偶然にも元防衛チーム仲間でサン・ドルバの西田健氏が司令ポジのハリケンジャーでゴウライジャーの亡父役
おお団さん、そんな形で戦隊にも出ておられたのですか。70年代の芝居のテイストがあるので、大変、危険な香りのする長老役でしたね……(笑)
 >マスター3人はレッド(ミュージカル版)・ブルー(ドラマ版)のダブルタキシード仮面がドラマ版セーラームーンのピンクといるという東映繋がりネタがり(笑
3人並びを妙に強調しているなと思ったら、そんな背景があったのですかー。
 >Youtuber父は東映だと『シュシュトリアン』のフライドチキン男(いい加減なナビゲーター)
ああ! そんな繋がりでしたか。メタ視点の信頼度が一気に……(笑)
 >「超古代の支配種族が、封印した同時代種族の悪人が未来復活する可能性を危惧して、一族の戦士をも封印して未来に備えた」
この上なくわかりやすいけど少し考えると凄く酷い系の設定ですよね(笑) それにまつわる悲哀を描くか描かないかで、作風がだいぶ変わってくるポイントにもなりますが。
 >「敵対者のいた歴史が伝説になるくらい(≒先祖に非があったとしても再検証出来なさそう)の時間が流れた先の継承者」と微妙に鬼畜度を調整しているのが時代の流れかなと感じました。
過去作品だとあまり掘り下げない印象のある部分なので、「過去の歴史」にポイントを置く展開になっても面白いかなと思っています。

◆藤村さん
 >巨大怪獣の驚異を十全に描き、キシリュウオーにピークを持っていくのは、戦隊というよりはロボットもののような流れでしたね。
言われてみると、秘密基地が大ピンチ! その時、封印されていたスーパーロボットに主人公が! というプロットでもありますね。ロボ推し路線は好きなので、ぐいぐい行ってくれるなら楽しみです。
 >騎士竜の設定を掘り下げつつ今回の調子のロボ戦を続けられれば、王道ながら新しい作風が生まれる気がします
ロボ要素を強化していくには戦隊メンバーと各自の騎士竜の関係をどう描けるかが一つ鍵になりそうですが、パワーの背景、という明確な繋がりがあるので、巧く転がって欲しいですね。

◆タイキさん
 >「今を生きてる先代から直々に受け取る」という描写はなかった気がする
確かにそうかもですね。そういう点で、初回からWレッドが並ぶというのは映像的に若干わかりにくいかな……とは思ったのですが、物語とも絡めた、かなり意識的な挑戦の部分であったのかもですね。
 >ここに来るまで意図的に長老たちがその歴史を秘匿していたと見ると納得です。
長老、ほぼ確実に、他にも何か隠してますよね……(笑)
 >見た目は好青年系(リョウマや竜也、大和先生など)なのにこうやってうっかりやらかしちゃう天然ぶりにやや「アホの子」な部分があるというか
好奇心旺盛で親近感を持たせる要素が意識されているようで、それと皆を引っ張っていく力強さとかが、巧く噛み合っていって欲しいですね。
 >記憶を消すくらいならどうしてギンガの森みたいに外部から侵入出来ないように結界を厳重に張っておかないのでしょうか?
 >その後ドルイドンに神殿を易々と侵入されてましたし、割とこの村ザル警備ですよね。
Youtuberが隠れ里に入り込めた理由は謎ですが、OPの思わせぶりなカットの事も考えると、先を見越した伏線の可能性もあるかもですね。
 >戦隊の第一話で主人公にとって身近な人が喪失となると実は少ないですよね。
その上で、「復讐」という動機付けは現時点では感じられなかったり、この辺り、第2話以降でどういう意味を持たせてくるのか、というのも気になります。
 >同時に「後半で復活しないよね?」なんて邪推もしてしまうので、その辺も含めてここはどうなるか楽しみです。
山場でピンチになった時に、ソウルの中からイメージが語りかけてくるとかありそうですね……完全に取り憑いている感じになりそうでちょっとドキドキしますが。
 >こういう風に伝説を継承するタイプの戦隊って明確な描写がないだけで実は変身するに当たって先代の戦士の魂と同化してるんじゃないかと思いましたね。
過去作だと『シンケン』もかなり踏み込んでいましたが、変身可能だった筈の先代の扱い、というのはちょっと怖いところありますよね。それこそ一子相伝の暗殺流派みたいなルールだったら嫌ですが、まあ、直接殺さずとも、歴代の霊魂が蓄積されて見守っている、というのはありそうですよね。

◆くれなゐさん
 >ここの世界観の説明と謂うか戦隊メンバーの流れるようなキャラ描写は見事ですよね。皆、キャラ立っているな~って、すとんと落ちてきましたもの。
世界観とキャラが一体になって説明されて、描写が冴えてますよねー。あと改めて見ると、流ノ介と茉子のみならず、千明も結構、重いものを捨ててきたのだな、としんみり。
 >オープニングテーマをバックにシンケンレッドがナナシ連中をばっさばっさ斬っていく殺陣がカッコ良くて引き込まれ、
 >初っ端から〈レッド、カッケー…〉と心をがっちり掴まれた思い出。
異色のキャラ立てから異色のデザイン(顔面に火)、そして「今作の殺陣はこの路線で行きます!」という剣劇を掴みで見せる、というのもインパクトあって良かったですね。もともと私は時代劇が好きなので、大変グッと来ました。
 >『10 YEARS AFTER』が出るのであれば観たいですが、殿と茉子の中の人が売れっ子になられたので厳しいでしょうか…。
なかなか、今この2人を早朝から山奥に連れて行って、火薬の近くに立たせるのがハードル高そうですね……。

アグトルニックで君もマッスル

ウルトラマンガイア』感想・第27話

◆第27話「新たなる戦い ~ヴァージョンアップ・ファイト!~」◆ (監督:児玉高志 脚本:古怒田健志 特技監督:佐川和夫)
 今日も筋トレ 明日も筋トレ 筋トレすれば~ 一生しあわせ~
 (「今日もファミスタ」のメロディで)
 前回からの大幅な映像チェンジに続き、OPからアグルが消滅。そして、バック転。よく見ると背景でワームホールが開いており、つまり筋肉があればワームホールだって開けるじゃないか!
 そして今回から、配信のOP~本編の間のカットがマッスルマッスルに変更。サブタイトル背景も、走る筋肉に変更。とアグルの穴を埋めるかのように筋肉が盛られていきますが、我夢と背中合わせの藤宮の姿は残されており、再登場に期待を持たせます。
 冒頭、その藤宮が姿を消した前回のエピソードが振り返られ……実は前回も気になっていたのですが、破滅ヘッダーを頭上に我夢と藤宮が対峙した工事現場のような所で、背景に「絶滅」と書かれた横断幕が見えるのは、一体何を絶滅させるのか。美術スタッフのネタなのか。それともここは、例の宗教団体の施設だったりしたのでしょうか。
 世相に若干の不安を覚えつつも、藤宮からアグルの力を受け取った我夢はガイアの新たな姿で破滅ヘッダーを退け、ひとまずの平穏が訪れた地球で、参謀とコマンダーは根源的破滅招来体に汚染されていたグリシス封印の報告を受けていた。
 「しょせんコンピューターに、人類の運命を委ねる事など出来なかったんだよ」
 どこかの佐原博士に聞かせてほしい……。
 「人間の運命はね、人間が、自分で切り拓くんだ」
 参謀とコマンダーが落ち込むダニエルくんを励ましていた頃、我夢は……筋トレしていた(笑)
 「友達に言われたんです。戦うなら、体を鍛えなきゃ駄目だって」
 「友達って……チーム・ハーキュリーズの?」
 やはり、そういう認識なのか(笑)
 女子の前で筋肉をアピールするには、まだまだちょっと照れくさいお年頃の我夢は、チーム・クロウの面々がやってくると、そそくさとトレーニングを終え、なんだかもう、公式からの止まない筋肉供給に、OP込みの開始3分ぐらいでお腹いっぱいになってきました。
 自室に戻った我夢は、赤と青、二つの光の宿ったエスプレンダーを見つめながら、消えた“友達”に思いを馳せる。
 (本当にピンチの時は、いつも助けてくれた……)
 といいながら回想最初のシーンが、必殺攻撃の余韻に浸っていたら「ふぉ?!」したアグルが、ガイアごとまとめて怪獣を爆殺しようとした戦いなのですが、美しい誤解が生じているのではないかと不安になります(笑) その後の、反重力ウルトラマンの回は確かに助けてくれましたが。
 「藤宮……これからは、ずっと一人なのか?」
 改めてアグルの不在を感じる我夢は母からのEメールを受け取り、里心を覚えたのか休暇を取ると大学に顔を出すが……春休みだった(笑) 他に友達の居ない我夢は休暇を切り上げてエリアルベースに戻り、街を歩く私服の我夢、という珍しいシーン、速攻で終了。
 パソコンを始めた両親側から、関係が悪いわけでもないが息子との距離感をもう少し縮めたいというアプローチが描かれたり(母親がワンカット登場するも、休暇で実家に戻るわけでもない我夢の姿に、「理解しあえる関係」は成立していない事が仄めかされています)、一人では街に出て遊んでいく事も無かったり、天才に生まれたがゆえの孤独を抱える我夢にとっては、「共通のベースで会話できる相手」は貴重な存在であり、我夢にとっての藤宮は「ウルトラマンとしてのライバル」であったと同時に「真の友人になれたかもしれない男」であった事が、藤宮の喪失後に重みを増すという描き方が、初期のキャラクター性の抑え直しも含めて渋い。
 エリアルベースではライトニングの面々と気さくに挨拶をかわせるようになっている一幕が挟まれる我夢だが、ブリッジで待ち受けていたのは、完全に機能を凍結された筈のグリシスが、シャットアウトの前にガード・ヨーロッパ支部にその分身といえるデータを残していた、という緊急連絡だった。
 ネットワークに残っていたグリシスの亡霊――グリシスゴーストの汚染によりガード・ヨーロッパ支部は機能を停止。その魔手はエリアルベースにも伸び、再び墜落の危機に陥る天空要塞。
 各自の専門性の強い職能集団のXIGですが、ゴーストのハッキングに対処すべく猛然と動き回る敦子・ジョジー・我夢の3人に対して、え? どうしよう? 俺達ネットワークの事とかわからない……という顔で佇む中年3人が何ともいえない面白さ。
 「このままでは……」
 最悪の場合は自爆もやむなし、と乗員の退避と合わせて決断する参謀だが、そこにジョジーが変なジョイスティックを持ち込み、それを手にした敦子は、圧倒的劣勢をひっくり返す名古屋撃ちでゴーストのウィルス駆除に成功。
 「さすが元ゲーセン荒らし」
 「え?」
 突然の飛び道具が放たれましたが、そこはかとなく『BFカブト』ネタ(メインメンバーの一人が、天才プログラマーにしてカリスマゲーマー)なのは、メタルヒーローシリーズとも関わりのある古怒田さんだけに、穿った目で見てしまいます(笑) まあ、「ゲーム」と「プログラム」はフィクションとして親和性が高いので、定番ではありますが。
 敦子の活躍によりコントロールを取り戻すエリアルベースだが、今度は地上の樋口から、ジオベースのラボが全機能を奪われた! という通信が飛び込み、今回は激闘を乗り越えたXIGの日常を描く閑話休題エピソード?と思わせるスローペースの導入から一転、危機また危機が畳みかける急展開の中で、前回に続いて、XIGメンバーが次々と登場。
 ゴーストの本命は、ジオベースで保管されていた金属生命体の破片サンプルであり、外部で活動する為の器としてそれに乗り移るプログラム……そして、ラボを飲み込んだ光の中に立ち上がったのは、なんと、ウルトラマンガイア!
 現場上空に到着したチーム・ライトニングとクロウは、怪獣の姿が見えずにガイアが立っている事に戸惑いを隠せず、エリアルベースに居る本人は、その場の勢いで理屈をつけて、偽物であると断定。「(やけに明解に断言しているけど)偽物なのか?」と重ねて問う参謀、(まあ、そこに我夢が居るから偽物の筈だよな……)と我夢を見つめるコマンダー、と状況は緊迫しているのですが、ブリッジに漂う微妙な空気が面白い事に(笑)
 視聴者は偽物だとわかっている+だからこそブリッジの空気が面白く感じられる、という二重の仕掛けになっているのに加え、これまでに登場した金属生命体がどこか、ウルトラマンの姿を真似ようとしていた、という事から、偽ウルトラマンガイアの登場が唐突になっていないのが巧妙。
 命令を受けたファイターチームは偽ガイアに攻撃を仕掛けるが、躊躇いを隠せないその反応に、状況を改善すべくコマンダーはそれとなく理由をつけて我夢を前線に送り込み、前回を受けた関係性の変化も手堅く活用して、全体に目配りの利いた展開に古怒田さんの上手さが光ります。
 「待っているのか……本物が現れるのを」
 ファイターチームは次々と機銃を撃ち込むが偽ガイアはガードに徹し、遂にはライトニングのぽっちゃり担当こと大河原が命令を拒否。
 「俺には撃てません! 俺には撃てません……俺は……ウルトラマンガイアに、何度も命を救われました。彼は……ガイアは……ずっと一緒に戦ってきた、仲間なんです!」
 「大河原さん……みんな……」
 序盤、次々と送り込まれる筋肉の奔流にたじろいで、このエピソードはどこへ行くのだろう……と遠い目になりかけていたのですが、これまでさしたる台詞も無かった大河原の“被撃墜王”という特徴を拾って、視聴者にはこれまでの積み重ねでわかっていた、ガイアとXIGの繋がりを、言語化して劇中で我夢に伝える、という流れが実にお見事(ここで中盤の、軽い挨拶も効果を発揮)。
 「わかったよ藤宮。僕は、一人なんかじゃない」
 藤宮は消えた――だが、高山我夢としてもウルトラマンガイアとしても、共に戦う仲間が居るという事を改めて我夢は感じ取り、序盤に描かれてきた我夢の人間関係の問題も、我夢がその内側に抱えていた壁を自ら乗り越える事で完全に解決を見る、という華麗な接続が会心の出来。
 ガイアとアグルの対決がひとまずの決着を見、前半戦の集大成として大きな山を作った前回の直後に、新章のスタートとしてこの出来を持ってこられては、ぐうの音も出ません。
 見つめたエスプレンダーの中では赤と青の光が輝き、大河原機が操縦ミスで偽ガイアに正面衝突したその時、意識下に抱えていた内面の孤独と喪失を乗り越え、我夢は変身。
 「ガイアーーーーー!」
 久々のどすーん着地にコーラス入りテーマ曲が重なるのが実に神々しくも格好良く、ガイアは大河原機を救出。対峙する2人の巨人をかなり広いミニチュアセットの中で見せ、今日も豪華だ佐川特撮回。
 「データが完全なら、両者の力は互角だ。本物は勝てるのかね?」
 「――命あるものは、常に前に進みます。昨日までのデータなど」
 珍しく、力強い調子で返すコマンダーも格好良く、全方位にぐいぐいと来ます。
 「成長しているというのか、ウルトラマンガイアが」
 上層部の見つめる中、二つのうにょんバスターがぶつかり合うが、本物は早速、鍛え上げた追い大胸筋で偽物を吹き飛ばし、見てくれ藤宮! 僕の、筋肉!
 ダメージを受けて地面に転がる偽ガイアは体表面が金属化し、「正体を現せ!」と大河原機が戦闘に立って射撃を浴びせる、というのもただ撃墜されるばかりでないフォローが入って良かったです。
 ファイター部隊の連続攻撃を受けて爆炎に包まれた偽ガイアは悪魔じみた三代目金属生命体へと変貌し、ガイアとスピード感のある格闘戦に突入。ドロップキックや巴投げが乱れ飛ぶが、肉弾戦では形勢不利と見たゴーストはブーメラン攻撃からクロー攻撃を放ってガイアを地面に縫い止め、初代・二代目に続いて、金属生命体の攻撃ギミックは面白い。
 立て続けのクロー攻撃を受け、大の字になって磔状態にされたガイアは絶体絶命の危機を迎える。
 だが――
 「全機ウルトラマンガイアを援護しろ。心おきなくやれ!」
 ライトニングとクロウがフォーメーションを組み直してガイアを支援し、流れ出す初めての挿入歌。
 そして……今のガイアには、翼の助けばかりでなく、大地を支える筋肉もある!
 アグトルニーーーック!!
 ファイター部隊の攻撃を受けたゴーストが怯んでいる間に、滾る上腕二頭筋で磔を脱したガイアは、すくっと立ち上がるとパンプアップ!
 「ガイアが変わる!」
 わざわざオペレーター席を離れてカメラにフレームインしてまで叫ぶ敦子、その台詞は誰にも譲りたくないのか(笑)
 アグトルニックしたガイアはシックスバックを閃かせながら猛然とゴーストに躍りかかり、これでもかと投げ技を連発。徹底的に痛めつけた後、赤と青、二つの光を混ぜ合わせた新必殺技・地球の隙間光線でゴーストを消滅させ、大河原機とサムズアップを交わして飛び去るのであった……。
 「これでグリシスに宿った破滅招来体は完全に消えたな」
 「はい。しかしまた、新たな戦いが始まります」
 「負けませんよー! 我々は!」
 機嫌が良すぎる参謀はなんだか行きすぎて、普遍的なイメージ上の平泉成みたいな事になってしまいました(笑)
 新ED曲に合わせて、帰投するファイター各機が描かれ、新生ガイアのバトルシーンがたっぷりダイジェストで流れて、つづく。
 前回の今回でどう見せてくるかと思われましたが、巨大な災厄をくぐり抜けて一息、というやや弛緩した雰囲気を全体に漂わせて各キャラの引き出しを広げつつ、藤宮の喪失を我夢の抱える問題と繋げて物語の中に配置し直し、グリシスの後始末から思わぬ危機へと展開。エピソードの主眼はガイア強化フォームの本格お披露目であったのでしょうが、ガイアがXIGと築いてきた絆を一つの形にまとめ、新型ガイアの大暴れを“内面の一つの壁を乗り越えた我夢の脱皮”と繋げたのが、新章スタートとして素晴らしい出来でした。
 人間型の怪獣との派手なバトルでアクション面も充実しつつ、多数のキャラを出しながらそれぞれの魅力もプラスし、全体に行き届いた目配りという点でも、傑作回。
 次回――プレシャス再び? そして、拠点を失った樋口さんの明日はどっちだ?!