東映特撮に踊らされる駄目人間の日々のよしなし。 はてなダイアリーのサービス終了にともない、引っ越してきました。
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はたらく人たち

仮面ライダーウィザード』感想・第6話

◆第6話「キレイな花には」◆ (監督:舞原賢三 脚本:香村純子)
 「恋って、いいな」
 ドーナッツ屋の店員はパワーストーンを、瞬平は語学のテキストを、輪島は骨董品の数々を……晴人の周囲で同時多発的に男たちがデート商法に引っかかり、今、私の脳内では


 「おまえ……まさか、金とか貸してないよな」
 「まさか」
 「良かったぁ……」
 「あげたさ」
 「「「なんだって?!」」」
 「お母さんの手術代としてカンパしたんだ。全財産の、1万353円」

(『未来戦隊タイムレンジャー』CaseFile.22「桃色の誘惑」(監督:諸田敏 脚本:井上敏樹))

 が再生されています。
 「桃色の誘惑」では、『超光戦士シャンゼリオン』のレギュラーだった東風平千香さんがゲスト悪女を演じていましたが、今回は『仮面ライダー電王』のレギュラーだった松本若菜さんが、街を闊歩するだけであらゆる男達を虜にする魔性の美女――川崎愛美を演じており、アバンからくどめの演出が続いて誰かと思ったら、舞原監督、そういえば割とくどめ傾向があるのでした……(『電王』繋がりでの参加でしょうか)。
 一方、新たな《ゲート》を発見したメデューサとフェニックスはソムリエファントムに絶望ミッションを命令し、4-5話も繰り返しケットシーの尻を叩いていましたが、幹部格自ら《ゲート》発見をわざわざ報告しにいっては個別に仕事を与えて逐一経過を確認し、実は凄くまめなのか、この人たち。
 ……或いは意外と偉くないのか。
 ……もしくは更に上(ワイズマン?)からの営業ノルマがきついのか。
 これまでと違い、ぱっと見で生物モチーフのわかりにくいソムリエファントム(敢えて言えば、イツツバンバラに似ている)は、庭園でデートしていた男女を襲うが晴人が割って入り、最近、晴人が公然と変身する度に、「あの魔法使いーーー」と情報工作の指示を各方面に飛ばす国家安全局零課の人の幻影が見えるようになってきました。
 偉い人も悪い人も、皆さんお仕事ご苦労様です、
 ソムリエミサイルをまともに正面から受けたウィザードは、ふっふふで空中から一方的に遠隔射撃を浴びせる敵キャラのような振る舞いを見せるが、地面に穴を掘ったファントムに逃げられ、アクションがスタイリッシュ路線な分、やらかした際の反動ダメージが大きい芸風を徐々に確立しつつあります(笑)
 それもあってか、ファントム退治に関しては非常に真摯な姿勢を描かれていますし、“希望”の象徴である為に“格好いい”を鎧としている感じは、好みでありますが(晴人の元来の性格はまだちょっとわからないですが)。
 ファントムに襲われていたのは、資産家の青年・山形と、そのデート相手の愛美。二人を一緒に守る為に凛子の協力を仰ぐ晴人だが、後ろ暗いところのある愛美(職業:釣り師)は、凛子が刑事と知ると強引にその場を立ち去ろうとし、晴人がボディガードとして同行する事に。
 これ幸いと、魔法使いの鎧の隙間に急接近していく愛美が、全ての涙を宝石に変えるのはポエムの中だけとわかるや即座に姿を消す一方、一時退却したソムリエの前にはフェニックスとメデューサが姿を現し……この人たち、真面目なのか、暇なのか。
 「お金にならない上に警察と知り合いだなんて冗談じゃない。一緒に居るだけ、時間の無駄だわ」
 なにやら過去に思いを馳せる愛美は、衣装をチェンジすると“仕事”に向かうが、瞬平・輪島・ドーナッツ屋の店員、釣った魚が悪夢の入れ食いを起こしたところに晴人までやってきてしまい……女詐欺師の描写はちょっと油断すると生々しくなりすぎますし、ギャグにした方がレギュラー男性陣の好感度も下がりにくいという判断だったのかとは思われますが、事あるごとにエフェクトをかけたり、身体的接触の度に“Ahn”みたいな効果音が入るのは苦手な方向の演出でちょっと辛い。
 開き直って捨て台詞を吐き捨てた愛美がソムリエファントムにより土中に引きずり込まれると、最初からどどど変身したウィザードは、魔法のドリルを発動してウィザードドリラー! によって地下へと到達し、つい最近、『V3』で見ました(笑)
 グールを相手に挿入歌に乗せて土ザードの肉弾戦がたっぷり描かれると、ひっひっひー。
 「なんであたしなんかを助けてくれるの」
 「なんで? 助けるに決まってんじゃん。たとえ相手が詐欺師だろうとね。……それが今、俺のやるべき事だから」
 グールを殲滅し、ファントムを刻むウィザードの姿に愛美は何を思うのか……逃走するファントムを追ったウィザードは瓦礫の下敷きになってピンチ……演出でつづく事もなくあっさり脱出するが、愛美はまたも姿を消してしまい、つづく。

ミスリルショータイム

仮面ライダーウィザード』感想・第5話

◆第5話「決戦のコンクール」◆ (監督:諸田敏 脚本:きだつよし)
 「おい、玄関先で騒ぐな。迷惑だ」
 突然の夜間の訪問にドアを開けて応対し、自分と全く関係ない話題で騒ぎ出した成人男女を良識的な発言でたしなめると家に招き入れるピアニストの高木さん、現在は諸事情でやさぐれてて何かと突っ慳貪ですが、やはり、物凄くいい人なのでは。
 詐欺に遭いそうで、心配になるレベル。
 そんな高木を襲うケットシーとの戦闘中、必殺技を放つガッツが足りなくなってしまったウィザードだが、魔力が切れても剣では切れると握手ソードを掴んでケットシーに攻撃を続け、つまり、どんな時でも筋肉こそ最強です。
 このまま挽肉になるまで叩き続けてやる! と物理魔法を行使するウィザードだが、とうとうガッツ切れで変身さえ維持できなくなってしまい、ケットシーに敗北。
 最初から戦闘経験があって複数のスキルとフォームを使いこなす“強い”ヒーローとして登場したウィザードですが、明確な弱点と理由がありつつ、割と早い初敗戦となりました(だからこそ、リスクを負っても行使されるコヨミとの繋がりが強調される事に)。
 高木が、コンクールに対する苦悩から腕を失っても構わないと捨て鉢になっている事を指摘した晴人は電池切れで気を失い、凛子と瞬平は面影堂で輪島から、コヨミは恐らく、ファントムを産み出しても何故か死ぬ事が無かった代わりに、命も記憶も希望もファントムに奪われて抜け殻となった《ゲート》だろうと明かされる。
 「今のコヨミは、晴人に魔力を貰って、擬似的に生きてるんだ」
 前回冒頭では珍しく隠し事をしたかと思ったら、「気付いたか……」スイッチ一つで、とにかくみんな、口が軽い(笑)
 「別に言葉だけが心の全てじゃないさ。絶望しても構わないって言ってるやつほど、絶望したくないんだよ」
 晴人を心配するあまり、高木の為に戦う必要は無いと主張するコヨミは、必ずしも表向きの態度が高木の全てではないと諭された事で、ファントムの儀式により全てを失った日――晴人と出会って最初の記憶を思い出す。
 「私の事はほっといて! 私なんて……記憶も無ければ、肌のぬくもりもない。ただの人の形をした化け物よ!」
 自らのアイデンティティどころか、人間として生きている当たり前の証さえ失い、生きていく意義を見いだせずに崩れ落ちるコヨミに対し、晴人が同じところ――水の中に腰を沈めて語りかけるのが、良い見せ方。
 「前に進むには今を受け入れるしかないだろ。…………俺達が何者だろうと、今を生きようぜ」
 「……今を、生きる?」
 「……約束する。俺がおまえの――最後の希望だ」
 晴人いきなりメンタル強すぎ、の感はありますが、そもそもメンタルが強いからこそファントムを制御して生き残る事が出来た、という因果関係が成立しており、
 晴人が希望になる事でコヨミは――
 コヨミの希望になる事で晴人は――
 互いに絶望の淵に立ちならもこれまでの戦いを乗り越えてきた事が明らかになり、両者を結びつける太く重い環の存在が早々に示される事に。
 自らの過去の体験から、コヨミは晴人を信じるよう高木を説得し、基本、攻撃カードしか持っていない凛子と瞬平は、ウィザード希望同盟を結成してコヨミ城の陥落に成功し、コヨミさん、割と、正面攻撃に弱かった。
 そしてコンクールの日――高木は心機一転、今の自分としてピアノに向き合う事を選ぶも、ケットシーがグールと共に会場を襲おうとするが、そこに現れるドーナッツの魔法使い
 「折角あいつが弾く気になってんだ。邪魔するのはやめてもらおうか」
 ウィザードは火あぶり変身し、高木のピアノをBGMにバトルスタート。大量のグールを多重分身の術で片付けると、ふふふフォームで飛行攻撃し、マントの裾を払ってから、剣を構えて斬りかかるのは、実にザ・ウィザードな格好良さ。
 「さあ、フィナーレだ」
 挿入歌(各属性テーマソング?)に乗せて適度に痛めつけたケットシーを竜巻斬りでフィニッシュし、パイロット版で一気に基本能力を見せた後、改めてそれぞれに見せ場を作る手法は、巧い形になりました。
 コンクールを終えた高木は海外留学の決意を語り、他人の口から聞かされる過去の口説き文句を平然と受け止めて微笑を返せる晴人さん、メンタルが魔法合金すぎますが、某宇宙海賊だったら、狼狽のあまりドーナッツを撒き散らしながら鳥に八つ当たりしてその場をどうにか切り抜けようとしていたかもしれません。
 コヨミの抱える秘密と晴人との関係が明らかになり、コヨミ回としては悪くない前後編でしたが、それと「凛子と瞬平に対してガードの下がるコヨミ」の二つを同時にやろうとした為に、後者はだいぶ強引に。
 早い内に面影堂の日常パートからギスギスした要素を排除したかったのでしょうが、出来れば別々のエピソードとして扱ってほしい要素でした。
 次回――どどどのターン?

9/21付けレス

 本日は『オーレンジャー』感想を書きました。このまま気候が落ち着いてくれると回復しやすそうなのですが。

物理的な魔法

◆ピンクまさん
 >先日までTBSで放送されていたドラマVIVANT非常に面白かったです。
お薦めありがとうございます。いわゆる一般のドラマも、先端の作品は見ておきたいと思いつつ、なかなか根性が足りないのですが、タイトル覚えておきたいと思います。

◆ヘイスタックさん
 >基本設定を”謎”として引っ張らずに、ここまで次々と開示していくのは平成ライダーとしては異例な気がします。
この時期の試行錯誤の一つなのでしょうが、かなり珍しく感じる作りですよねー。
 >毎回やたらと敵をバイクで轢こうとしますし、魔法使いの割に肉体派なんですかね(笑)
ひらひらマントアクションの次ぐらいにこだわってますよね、バイク(笑) やはり魔法使いの基本も、筋肉……!
 >とりあえず後はもう、諸田演出や石田演出と悪い方向に化学反応を起こさないよう祈るばかりです。
石田監督はもう一定の諦めがついているのですが、前作『フォーゼ』辺りから、諸田監督の緩さが加速して相性が悪くなってくる時期なので、そこはだいぶ不安なところです。