東映特撮に踊らされる駄目人間の日々のよしなし。 はてなダイアリーのサービス終了にともない、引っ越してきました。
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7/2付けレス

 本日は『ジュウレンジャー』感想を書きました。

簡潔な説明が下手

◆さるさん
 >「永夢が自分がゲーム病だと分かったらストレスでヤバい」というのは あくまで憶測だったんですが
 >いつの間にかその前提で話が進んでいて困惑しましたね…
今作ところどころそういう、見えている要素から推論を進めているのかと思ったらそうでもなかった、その割に気がつくとある要素が確定事項みたいな扱いを受けている、のがあって、感覚的なズレが出ますよね。
 >やっぱり毎回 患者をベッドで寝かしっぱなしだと絵が似通ってしまうからでしょうか…
演出サイドとして、患者の芝居を面白くできない、というのはあったのかもですね。その点では、着物ロボットダンスは掴みのインパクトが良かったです(笑)
 >アイデアは面白いとは思うものの"観測されていない初めてのタイプ"であり 患者を取り込んでいるので
 >敵として殴る前に医者として少し躊躇って欲しかった感はありますね… 本当 無事で良かったです…
こういうところ、「影響」とか「進化」とかでさっくり受け入れてしまう前に、ちょっと考察する要素が入らないので作品世界の貯金が出来ず、「ゲーム」感や「ドクター」感が全体として上がっていかない、のは今作の勿体ないところですよね。
 >1クール目に敵前逃亡までやらかした緋彩
永夢との対立ありきで医者らしからぬ行動を取らされたり、暴走の理由にする為に恋人を殺されたりと、1クール目に話の都合でだいぶ割を食わされていたので、色々フォローが入ってきたのは、有り難いですね。今回のアクションは本当に格好良かったですし。

◆ばつさん
 >「そんなことは無かった」と思うのは何でですか?
 >バグスターが実体化しなかったことに困惑を覚えることはその理由にはならない気がしますが
これ、私が少し先走りすぎた点もありそうですが……てっきり、大我と飛彩は、永夢バグスターは「人格変化という形で既に実体化している(一定期間にわたり永夢はバグスターと同居していた)」まで考慮している、のだと思ってまして(主に大我のXXへの発言より)。
なので、その状態で過度なストレスを受けても「バグスターが実体化しなかった」事は、むしろ推論の裏付けになる上に、そうでなくとも「一種の共生状態にあったと思われるバグスター」が「強いストレスにより実体化しないのはおかしい」と思い込んでいたとしたらそれは思考停止という他なく、あの困惑のリアクションにより、二人は本当に関連づけて考えていたの?? となってしまったという感じです。
私の中では、バグスターとエムの人格変化を関連づけて考えているのなら、大我と飛彩の知性と職業意識として「長期共生の可能性」や「僕エムへの疑念」まで発想を広げているものだとばかり思っていたので。

◆urahiro003さん
 >一部のシーンは昨年の『ゴースト』でも使用された西武園ゆうえんちで撮影されていました。
富士山目立つなぁ……と思っていたのですが、ハイブリッド遊園地でしたか。
 >80年代~90年代前半の戦隊なんかでも、西武園ゆうえんちの近くにある公園が撮影に使われていた
おお、そうだったのですか。道路の流れはわかりませんが、向こう側の方が、大泉撮影所から向かいやすかったんですかねー。
 >ガシャットを抜かれながらもすぐ隣にいる明日那を守ろうとしていたエグゼイド=エムが個人的にすごく印象的でした。
見落としていましたが、エムの奥底に、誰かを守ろうとする変わらぬ想いがある、というのを次を意識して仕込んでおいた、というのはありそうですね。第19話のエムも、本当の意味で自分勝手なだけのヤツ、という感じでも無かったですし。
 >『ノー・ウェイ・ホーム』を最大限楽しむにはライミ監督3部作と『アメイジング』2部作がほぼほぼ必須
クロスオーバー要素あり? というのは知っていましたが、やはりそこは見ておいた方が楽しめるのですね。それも含めてちょっと考えたいと思います。

◆MOPさん
 >事情を知らない筈がないポッピーがスナイプに冷たいのは許しがたく思っていました。
ポッピー、立場考えれば色々と知っていておかしくないのに、ところどころ対応がおかしいかつ誰も突っ込んで話を聞かない、のはやはりちょっと話の歪みになってますよね……。
 >あまり装甲が分厚くなるのは残念なのですが、花家先生がレベルアップしてくれたのは非常に嬉しかったです。
私スナイパーライフル好きなので、スナイプの強化=砲門の大きさと数の強化、になっているのは、わかるけど別の路線も、と思うところはあり、まだ前半戦ですし、その内原点回帰の強化スタイルも出ないかな、と期待はしようと思います(笑)
 >ドクター達も衛生省も気が知れないとずっと思っていました。
後のマスターにそそのかされて、ほいほいハザードトリガー使うのがずっと続いている感じですからね……(笑)
 >ノーウェイホームまだなのですか。お勧めしたいようなしたくないようなヽ(´A`)ノ
 >でもやっぱり観て頂いて、感想拝見したいです。
ありがとうございます。レンタルショップに行き損ねている内に時間が過ぎてしまい……前2作は凄く好きなので、近い内には見たいな、と。

ラー・デウスにも似てる

恐竜戦隊ジュウレンジャー』感想・第33話

◆第33話「教えて!勇気玉」◆ (監督:渡辺勝也 脚本:鷺山京子)
 白い仮面に白いドレスの幽霊めいたドーラレイガーが異空間に子供をさらい、少年が池の中に引きずり込まれるとスリッパだけが浮かぶ、冒頭から刺激的な映像。
 ボトルの中に子供たちの魂を集めているレイガーは、連続子供蒸発事件の調査を始めたジュウレンジャーの前に現れると、大洪水を起こして地上は終わりだ、と宣言。少女サオリが生け贄として池に沈められそうになったその時、ペンダントから放たれた光により異空間が破られ、サオリの持つペンダントに、太陽の妖精サニーが封じ込められていた事が明らかになる。
 超古代、バンドーラは太陽の妖精サニーと、雨の妖精レイニーを宝石に封じ込め、レイニーの石を額につけたドーラレイガーは水を操る力を得るが、サニーの石は行方不明になっていたのだった。
 妖精サニーの言葉はサオリにしか聞こえず、妖精の姿を見、言葉を聞く美しい心の持ち合わせは、竜人類には無かった!
 親友だったレイニーを救おうとするサニー(通訳:サオリ)の案内により、一同はレイガーが行う雨乞いの儀式の場へと乗り込み、ちょっと新演出でダイノバックラー!(太陽を背負い、斜め下のカメラに向けてバックルをかざすゲキが格好いい)
 変身前は気の良いお兄さんたち、変身後はあの有名なジュウレンジャー……! というのがゲスト子供の基本的な反応になっており、囚われの子供たち(既にちょっと魂が減少済みかも)を助けようとするジュウレンジャーだが、レイガーが作り出す異空間に飲み込まれると、宙を自在に飛び回るレイガーの水芸に苦戦。
 もうとっとと宝石をかち割っちまおうぜ! とドライな判断を見せる知恵の戦士を勇気の戦士が止め、レイニーを救う為にサニーの力を借りよう、とジュウレンジャーは恐竜メダルの力を集めて青を異空間から脱出させる事に成功。
 ここだけ見ると凄く唐突ですが、どうやら初期から見せてきた雑な異空間ブレイカーぶりは、恐竜メダルの力によるものだった、と説明がついた……のか?
 「サオリちゃん、怖さに負けちゃ駄目だ! もう一度、勇気を出してみるんだ! ほんの少しの勇気の力が、怖がる心に勝つことができる!」
 ダンは隠れていたサオリを励まし、前回のゴウシに続き、究極大獣神復活回でそれぞれが担当した使命を改めてエピソードとして紐付ける趣向のようで、キャラ回の補強にもなって、これは成る程の仕掛け。また、使命がそもそも典型的なマジックワードであったので、その中身を肉詰めしようというのは、(成功するかどうかはさておいて)嬉しい意識。
 ダンは、空中に書いた「ゆうき」の文字を丸めて飲み込む「勇気玉」の芸を見せてサブタイトルと繋げるが、ジュウレンジャーをボトルに収めたレイガーが姿を現し、後半戦に入っても相変わらず、全滅寸前頻度が高い。
 今作定例、着ぐるみ度薄めのドーラレイガー、見た目でいえばシャドウロボット・着物毒蛾(振り袖・女物のカツラ・般若の面・両手には唯一の怪人感を主張する巨大な爪・男の声、という、怪人迷走度高めの『キカイダー01』でもだいぶ困惑する一体)寄りながら、広い空間で吊りを駆使した空中殺法を見せ、アクションは全体的になかなか派手め。
 宝石と宝石を接触させる事がレイニー解放の手段、と首飾りを受け取ってレイガーに立ち向かうトリケラレンジャーは猛攻を受けて首飾りを落としてしまうが、物陰に隠れていたサオリが、クラスメイトを助けられなかった自分を、ほんの少しの勇気の力で変えたい、と勇気玉を飲み込んで飛び出していき、首飾りを手に決死のダッシュで突撃し、爆発! 爆発! 爆発! 爆発! 爆発! 爆発!(計6回)
 精霊さんの仇じゃぁぁぁぁぁと捨て身で迫り来るサオリにレイガーの注意がそれた所を狙い、青が足払いから羽交い締めにして、二つの宝石が接触
 レイガーが力を失うと儀式の祭壇が崩れて術式が崩壊し、子供達とジュウレンジャーは解放。逆襲のコンビネーションアタックから、ハウリングキャノン……じゃなかった、サンダースリンガー一斉射撃が放たれ、レイガーは岸壁の藻屑と消えるのであった。
 今回は巨大化はなく、サニーとレイニーは共に宝石の中から解放され、サオリもクラスメイトと仲直り。
 ナレーション「勇気は、強くて格好いいヒーローだけのものじゃない。心の中に眠っている、小さな勇気を奮い起こすなら、誰もが立派な勇者なんだ。ジュウレンジャーは、いつも、君たちの仲間だ! 頑張れ、恐竜戦隊ジュウレンジャァァァ!!」
 ナレーションさんが綺麗にまとめ、少女の友情と精霊の友情、失われたそれを取り戻す為に小さな勇気を奮い起こした少女が勇者に変わる、そしてヒーロー(ダン)はそのきっかけとして機能する、という鷺山さんらしい整った文法のエピソードでした。
 ……これ、よく書いているのですが、鷺山京子さんについては本当に、ヒーローフィクションとして「文法が綺麗」だと思っています。鷺山脚本回の感想は、つらつらとあらすじを追いがちになるのですが、つまるところ受け手の方で「展開の整理」や「隙間の解釈」をしなくとも、綺麗に話が繋がっているので筋をそのまま追えるという。
 次回――力の戦士のターンで、サブタイトルが切実。

Who is 仮面ライダー?

仮面ライダーエグゼイド』感想・第20話

◆第20話「逆風からの take off!」◆ (監督:中澤祥次郎 脚本:高橋悠也
 割と今作、中澤監督がコメディ担当というか、パイロット版の永夢のコケ芸に始まりコミカルな要素を強めに入れてくるのですが、しばらく、お化け屋敷で周章狼狽し、ニコに致命的な弱みを握られる花家先生をご堪能下さい。
 一方CRでは、永夢の体内に存在するであろうバグスターを引っ張り出そうと飛彩がゲームフィールドを展開するが反応は無く……強い心さえあればバグスターになど支配されない! 以上! で終わったらどうしようかと思っていたので、引き続き、永夢はこれまでにない症状のゲーム病である、と対応が検討されて心底ホッとしました。
 「やっぱり、バグスター出てこないね」
 「……何故だ」
 ……もしかすると、ここで、情報調査担当の九条が脱落している事でドクター達は遠回りせざるを得なくなる、といった組み立ての狙いがあったのかもですが、九条の得意技うんぬん以上に1クール目は皆の頭が動いてなさ過ぎた為、もう一つメリハリになっていなくて惜しい。
 「忙しいのにすみません。僕の為に」
 「……誤解するな。ゲーム病のおまえにもしもの事があれば、俺の名前に疵がつくと思っただけだ」
 「……ゲームやる時に、僕の性格が代わる癖って――」
 あ、永夢が、飛彩の弁明をスルーした(笑)
 「僕の中に居るバグスターの影響なんでしょうか?」
 永夢もしっかり、状況の変化を踏まえた上で物事を考えると、自分の中に別の何者かが存在する事に恐怖を覚え、ここで主人公ヒーローが己の内の「怪物性」を認識する事により、世界に対する視線が変わり、物語が一つ先のステージへと進行。
 そして、大量にバグスターウィルスが散布され、人々が潜在的にゲーム病患者である今作世界においては、人は誰もが「ヒーロー」になりうると同時に、誰もが「怪物」を抱えている事も、主人公を象徴として暗示され、物語の枠組みも見えて参りました。
 前者は定番のテーゼですが、後者を一般市民レベルにまで広げて主題にするのは、(社会派的な「大衆の善意と悪意」を描く場合を除けば)シリーズ過去作でもあまり無い印象であり、何故バグスターが、人の内部より誕生して、抑圧されていた自我を破壊衝動に転換する怪人だったのか? という理由も見えてくる事に。
 またこれまで、「悪の作り出したシステム(悪と共通するパワー)で戦う正義のヒーローすなわち“仮面ライダー”」という、物語の外部に存在するメタ情報への前提意識が強すぎて、「そのシステム(パワー)で戦う事そのものは自明の理である、何故ならそれが“仮面ライダー”だから」と作り手サイドで一種の自己完結をしてしまっていた部分が、永夢が内なる“怪物”の存在を認識し怯えを抱く事によって物語の内部に落とし込まれたのは好材料で、ここまで時間をかけすぎた印象はありますが、ようやく諸々の歯車が噛み合ってきた感があります。
 「……大丈夫。絶対治るから、心配しないで」
 ポピ子さんが久々にお母さんモードを起動したところで緊急通報が入る一方、社長の下には家出していたパラドが帰宅。
 「よくここに来れたものだな」
 「俺のエムに手を出した、おまえが悪いんだろう」
 ひたすら厄介なファン道を突き進むパラドは、軽く殺し合ったけど、どうせおまえ、俺と関係なくゲーム作るでしょ? と黎斗と悪い笑みを浮かべ合い、精神の抑圧とかは無縁であった。
 その頃、現在ただの無免許デイトレーダーである花家先生からの通報により、遊園地で倒れた男子学生を診察した永夢らはゲーム病を確認するが、一同の目前で滅亡バグスターネットに接続した男子学生が、戦闘機バグスターへと変貌。
 術式LV50にデュアルアップした魔王ブレイブは、本日も戦闘員を召喚する豪華仕様の一方、己自身への恐怖から永夢が変身を躊躇してる内に、粘着行為を再開したパラドが、対戦しよーぜと今日も乱入。
 「感染予防だ、パラド。おまえも切除する」
 戦闘機バグスターをあっさり一時撤収させた魔王ブレイブが青パラドクスと激突して、劇中初のLV50同士の戦いとなると優位に戦いを進めるが、徐々に心身の限界に対して動きが鈍り、古式に則り、魔王アーマーを3分以上身につけていると木っ端微塵に爆発するのだ! ズバァッ!! ……とはならなかったものの、赤パラのラッシュを受け、変身解除。
 余裕を見せるパラドは「また遊ぼうぜ」と帰って行き、戦いを見つめていた大我は、気絶した飛彩からパラドが放置していったドロップアイテムを入手する……。
 一方、CRに運び込まれた男子学生のストレスの原因は、絶叫マシン。意中の女子に遊園地に誘われ、格好悪いところを見せられないと絶叫マシンを克服するべく事前のレベル上げに挑んだものも、あえなく玉砕。
 そんな少年に、ポケットに両手を突っ込んだまま話を聞いていた永夢先生(色恋沙汰への興味が超薄い)が「苦手を無理に克服しなくていいのでは……」とフォローを入れたところ、初期から色恋沙汰に盛り上がる傾向のあったポピ子が、野生大解放。
 「彼女をモノにしたいなら、男になりな!」
 かくしてポピ子に引きずられた永夢と少年は再び遊園地に乗り込む事となり、絶叫マシンと青白く燃え尽きた永夢&少年が交互に描かれる、多分、富士急ハイランド協賛回。
 そんな地獄絵図が展開しているとはつゆ知らず、気を失った飛彩は身ぐるみはがされて路上に放置……される事はなく、大我の治療を受けて病室らしきベッドに寝かされており、後で、凄い額の請求書が届きそうです。
 「らしくねぇな。リスクは回避するのがお坊ちゃんのやり方じゃなかったのかよ」
  カード類 デュアルガシャットはしっかりいただいた大我は飛彩を煽り、飛彩が場所を問うのと、冒頭で大我がニコの罠にはめられた場所が廃病院モデルお化け屋敷だった事を考え合わせると、「実はお化け屋敷の中でしたー!」というオチを付ける予定があったのかもですが、尺の都合で最終的にカットされたのか、さすがに無理がありすぎるとなったのか、特にそれ以上の広がりは無し。
 「俺が水に流したとでも思っているのか……? ……俺の怪我を治して、恩を着せれば、認めると思ったか? 俺の大切な小姫を死なせたおまえを!」
 グラファイトを倒して以降、永夢の分裂騒動で忙しくて埋没していた小姫に関わる因縁がしっかりと再浮上し、両者の間に一触即発の気配が漂っていた頃、絶叫パワーレベリング中の少年は観覧車にも耐えられずにがっくりを膝を付き……これはもう、「絶叫マシンが苦手」なのではなく「高所恐怖症」なのでは。
 「彼女を爆撃し、完全体になるのだぁ」
 失意に打ちひしがれる姿を通りすがりの女性客に笑われた事でストレスゲージが高まった少年は再び滅亡バグスターネットに接続し、カップルはつくづく、滅びるべき生き物だな!
 アレルギーは食べて克服だレベルで言い訳の余地なくポピ子さんの責任問題というか、お笑いの陰に紛れてポピ子が第1話の永夢(患者をゲームイベントに連れ出す)と同じ失態を犯しているのが実に『エグゼイド』ですが、己を失う恐怖の為に変身できずに立ちすくむ永夢の前に、ゲームフィールドを展開した黎斗が仁王立ちで登場。
 「いいのか? そいつを使っても。もしまた発症したら、二度と元には戻れないかもな?」
 トラウマをえぐる黎斗がZゲンムとなると永夢めがけてギリギリアローを構えた時、そこに現れたのは、デュアルガシャットを手にした花家大我。
 「君にLVフィフティーが扱えるのか? また5年前のように、失敗しても知らないぞ」
 「あの時俺はプロトガシャットの副作用を味わった。しかし……だからこそ今の俺がある。扱えるさ――今の俺なら」
 病室における飛彩との、
 「たった一度の失敗が、取り返しのつかない事だってある。それがドクターだ」
 「……失敗知らずのお坊ちゃん。おまえこそそんな体でオペを続けて、俺みたいになってもいいのかよ? ……俺には失うものはなにもない。だから言ってんだ。仮面ライダーは俺一人で充分だってな」
 といったやり取りが挟み込まれ、これまでの言動や部分白髪でほのめかされてはいましたが、5年前、花家大我は、連勤に次ぐ連勤、超過勤務に次ぐ超過勤務、うずたかく積み上げられたエナジードリンク、心の支えはソシャゲの課金、僅かな光さえあっという間に吸い込んでしまうブラックホールな職場環境で身も心もボロボロになった挙げ句グラファイトに敗れ、全ての不始末の責任を押しつけられて隠蔽工作の末に医療免許を剥奪されていた可能性が強まり、つまり飛彩の真の敵は、道化を装った実の父親ではないのか。
 物語としては、かつてクロゼイドが使っていたプロトガシャットの副作用、ライダーシステムの不備(喜んでつけた)によるもののようですが、あのデスマーチを体験した俺に出来ない事は何もない! と大我は『バンバンシミュレーション』を起動して変身し…………空母を、かぶった。
 自転車以降、基本はアーマー路線の強化だった今作ですが(思えば玩具的に<装着変身>の系譜という事でしょうか)、とうとう、もはや被り物の世界に突入して美少女化したスナイプは、海軍モチーフな帽子を被りつつ片目仕様が海賊のアイパッチめいてアウトロー要素を残しているのが、面白い組み合わせ。
 史上最大の火力を手に入れた提督スナイプは、艦砲射撃でバグスターを吹き飛ばし、ついでに巻き込まれたZゲンムが屍体の盆踊り。
 「エグゼイド。びびってんならガシャットを置いてここから立ち去れ」
 スナイプは地面に倒れたままの永夢に告げ、ドクターとして、ライダーとして、リスクを前に、「変身」の資格と意思を改めて問われる事になる永夢。
 ――「患者の体を治して、患者の笑顔を取り戻す。それがおまえだろ!」
 飛彩の叱咤が信念を後押しし……
 「一生自分の身だけ守って、一人で笑ってろ」
 大我の嘲笑が理想を甦らせる。
 「……そんなの嫌です」
 なんの為に立ち、なんの為に戦い、なんの為に変わるのか――
 「……僕は…………ドクターですから!」
 XXガシャットを掴んだ永夢は立ち上がると、音楽の盛り上がりに合わせて走り出して力強く変身し、今ようやく、「ドクター」と「ヒーロー」が綺麗に重なって、個人的にしっくりと来ました。
 つまるところ私は、ヒーローに“なる”瞬間が好きであり、その為に“走り出す”瞬間に痺れるのですが、己自身、そして己の内側にある「怪物」と向き合う事を余儀なくされた永夢が、“それでも”立ち上がる理由は何か――それを自分は持っているのか? を見出し、再び掴み取る姿を恐怖からの再起の形で描き、普遍的なヒーローテーゼ(なぜ誰かの為に戦うのか)を取りこみつつ、永夢の繰り返してきた「笑顔」をキーワードに「ドクターである事」に集約したのは美しく、今作ここまでで抜けて好きなシーンとなりました!
 またここで、飛彩と大我が共に“先輩医師”として機能しているのも目配りが利いており、これを機会に永夢先生には、恭太郎先生以外の先輩たちにも、もう少し敬意を持って接するようになってほしい(笑)
 ちなみに、上記の“走り出す”はあくまでレトリックなので、動作として実際に走らなくても良いのですが、ここ数年で見た、まさにその瞬間に“走り出す”のが痺れたのは映画『スパイダーマン:ホームカミング』と『アントマン』で……『アントマン』が既に6年前で、まだ『ノー・ウェイ・ホーム』を見ていない事に気付き、ここしばらく映画視聴履歴が全く更新していない……と反省したのは、余談です。
 そして今回、ここで「掴む」「立ち上がる」「走り出す」そして「変わる」を繋げてくれたのは中澤監督の演出が鮮やかに決まって盛り上がり……直後に登場するのが悪夢的XXなのが、とても『エグゼイド』ですが(笑)
 XXブラザーズがZゲンムを相手取っている間に、提督スナイプは戦闘機バグスターをさっくりクリティカルファイア。
 とかく主人公突出になりがちなシリーズですが、ここで気がついてみると主人公と当面の宿敵(Zゲンム)のLVが一番低くなっているのは面白い作劇で、最初はどうなる事かと思ったパラドクスによるLVインフレが、予想外の効果を生み出す事に。
 またガシャットに関しては、1クール目にそれぞれのキャラクターとメインガシャット(のイメージ)を紐付けした上で、ハード(ドライバー)が共通なので、ソフトの使い回しが可能というのは、成る程上手い仕掛けと感心。
 絶好調のXXエグゼイドの放った、ブラザーパワーフィニッシュが直撃したZゲンムは、私は残業はしない主義だ! とバグスターのデータを回収して退社。
 ゲーム病の治った少年はなんとなく前向きになり……提督スナイプ誕生と永夢の再起を1エピソードにまとめるだけでもかなり上手くやってみせたので、患者の扱いが雑なのはやむを得ない部分はありますが、前回といい今回といいゲーム病については、患者当人は特に何も克服していないけどバグスターを倒したらこんなに元気になりました、と霊験あらたかな壺を買って解決レベルの扱い。
 ここをもう一歩二歩詰められればぐっと物語の完成度が上がるのですが、こればかりは1話で描ける物量の限界は感じるので、どこを重視するのかの取捨選択といったところでしょうか(1話に収めるか2話完結形式を取るかから含めて)。
 「ったく、俺のアドバイス無視しやがって」
 「僕……ドクターとして、これからも向き合い続けていきます。……患者とも、自分自身とも!」
 「……勝手にしろ」
 患者に体当たり気味にぶつかっていくだけではなく、自分自身とも向き合う事を選んだ永夢は絶叫マシンへと引きずられていき、コンティニュー連打しすぎた体を引きずるように帰宅した黎斗は、出迎えたパラドから、最初のダンジョンのボスキャラは大人しくゲームだけ作ってればいいのに扱いを受けると、不敵な笑みを浮かべる。
 「君は何も知らない。自らの死のデータを手に入れてまで……『デンジャラスゾンビ』を、私の力に選んだ意味を。このガシャットは、レベル10であると同時に、レベルXでもある」
 「レベルX?」
 「つまり――未知数という事さ」
 主要キャラの中でZゲンムのLVが一番低くなる逆転現象が明確になったところで、すかさずその問題に切り込んでくるのは鮮やかな流れで、ようやくちょっと面白くなってきた『エグゼイド』、この勢いでツボに刺さってきてくれる事を期待したいです。
 次回――久方ぶりの檀父、登場。