東映特撮に踊らされる駄目人間の日々のよしなし。 はてなダイアリーのサービス終了にともない、引っ越してきました。
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初春のざっくり読書メモ

キラッと参上、カラッと解決

●『天の川の船乗り』(北山猛邦
 引きこもり気味の気弱な名探偵・音野順の事件簿シリーズ第3作。
 雑誌掲載の3編に約10年ぶりとなる書き下ろしの1編が加わった計4編、そのため初出と刊行に10年ほどの開きが生じている事もあり、劇中人物の説明があまりに不足しているのは、シリーズ物といえども短編集としては読みづらい内容。
 音野順の兄・要が探偵役を務めるスピンオフ一編はほどほど面白かったですが。全体の半分ほどを締め、表題作でもある中編の出来が冴えず、総合の印象はいまいち。

●『アルファベット荘事件』(〃)
 敷地の各所に巨大なアルファベットのオブジェが並ぶ、アルファベット荘。資産家のパーティーに招かれた6人の男女だが、主催者が姿を見せないまま、招待客の一人が曰く付きのアンティーク「創生の箱」の中で死体で発見される。
 雪山の山荘・癖のある客たち・姿を見せない主催者・足跡のない中庭……と、これみよがしに如何にもなギミックが満載だと思ったら、作者のデビュー間もない頃の作品の復刻版との事(そんなわけで、登場人物の中に携帯電話の所持者がほとんど居なかったり)。
 序章に一つの「謎」を置き、過去の出来事と、現在の殺人事件、二つの謎を絡めながら進行し、“装置としての名探偵”を如何にしてキャラクター化するのか、といった試みはなかなか面白かったですが、核になるトリックは、うーん……といった出来。
 後、それは必要だったのか……? みたいな要素もあり(ここから作品世界を広げたかったのかもですが)、物語の方向性は嫌いではないですが、凡作。

●『お城のもとの七凪町』(櫛木理宇
 骨董店で職人見習いとして働く荒木堅吾は、入院中の店主に代わり、町内で起きた様々な事件の相談事を持ちかけられる事に……田舎の村というほどではないが、住民同士の距離感が近い地方の城下町で、頼まれると嫌といえないタイプの主人公が東奔西走し、町内で起きた奇妙な事件の真相に辿り着いていく連作短編集。
 謎の散りばめ方や解決までの組み立てはミステリ的ですが、事件の解決に必要な情報が全て読者に示されるわけではないので謎解き小説というわけではなく、ライトなミステリというよりは、主人公と幼なじみの関係を軸にしたキャラクター小説の要素が強め。
 また、ほのぼの路線の日常パートに比べて、事件の真相が重苦しく、人間の業をグロテスクにあぶり出す路線が特徴で、意図的にそれをキャラクター/青春小説の要素で相殺している感じ。
 キャラクターの配置や背景の描き方からは、シリーズ化を企図したような狙いが見えるものの続刊は出ていない模様。

●『カラット探偵事務所の事件簿1』(乾くるみ
 《あなたの頭を悩ます謎を、カラッと解決いたします》を売り文句にした、謎解き専門の探偵会社、カラット探偵事務所。資産家の三男坊でどこか浮世離れしているが、豊富な知識と優れた推理力を持つ所長・古谷と、元新聞記者でワーカーホリックの助手・井上が、消えた卵と浮気の繋がり、兎の暗号、写真に写った別荘探し……など6つの事件に挑む連作短編集。
 こちらは力強く「謎解き専門の探偵会社」を銘打っているだけあり、趣向を凝らした、如何にもな“謎解き”に真っ向勝負、といった主旨でしたが、いまいち合わず。
 各種アンソロジーの常連的作家であり、ちょくちょく短篇を読んでいる筈がいまいち印象が薄かったので1冊読んでみたのですが、どうもこの著者の言葉遊び――ひいては言葉選びのセンスが、いまいち琴線に触れない模様。
 代表作『イニシエーション・ラブ』ぐらいは読んでみるべきか……。