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戦慄のヘッダー、仰天のジャパン

『バトルフィーバーJ』感想・第15話

◆第15話「エゴスの地獄料理」◆ (監督:竹本弘一 脚本:高久進
 空港から降り立った女が迎えの車の運転手と符帳を合わせると、だだっ広い空き地で待ち受けていたのは、真っ茶色のタイツを身につけたカタツムリ怪人……の、如何にもなスパイ物の見せ方から変身ヒーロー物へのスイッチ切り替えが掴みで結構なインパクト(笑)
 「フランス支部の、カトリーヌをお連れいたしました」
 「うむ。顔ほどの腕かどうか、見せてもらおう」
 カトリーヌは、用意されていたバトルフィーバー等身大パネルの脳天を次々と打ち抜き、パネルがぱたぱたぱたっと倒れたところにサブタイトルが入るのが、格好いい。
 エゴスのアジトでは、突如として飽食日本に怒りを燃やすサタンエゴス様に、今日もちょっとヘッダー困惑。
 「……え? また料理作戦でございますか?」
 ツッコんだ!(笑)
 そうか、それ(作中での作戦の被り)、ツッコんでいいのか……まだ《スーパー戦隊》シリーズの確立以前だからこその面もあるのでしょうが、シリーズ最初期に、高久先生がこんなに荒ぶっていたとは驚きます。
 「この前の、金の卵と目玉焼き作戦は……」
 「ヘッダーよ、失敗を恐れてはならぬ」
 儂は今いいことを言った! このサタン(びしっ)エゴスが!
 そこに入ってきたカタツムリ怪人がエゴスの地獄料理作戦を提唱し、サタンエゴス様の思いつきにより、フランス支部から招聘直後に、宣伝カーでエスカルゴの試食を提供してまわる事になる女暗殺者カトリーヌ(笑)
 だが勿論、そのエスカルゴにはエゴス地獄の罠が仕掛けられており、エスカルゴを食べた少年の額にエゴスの烙印が浮かぶと、爪が奇妙な色に変色。少年から事情を聞いて調査に向かった京介がカトリーヌを見て「トレビアン……」と呟くのは、キャラが出ていて良かったです(笑)
 色香に惑わされず、問題のエスカルゴをこっそりと回収した京介には暗殺者の銃口が迫るがひらりとかわし、工作員を相手にバトルフランス。
 窮地を脱し、本部に持ち帰ったエスカルゴからは毒物が発見されなかった一方、国防省によると悪魔のエスカルゴの被害は確実に広がっており、宣伝カーの行方を追ったBF隊は囮による爆殺を回避するも、手がかりは失われてしまう。
 「どうするジャパン?」
 「子供を使って奴らを誘き出そう」
 失敗を恐れてはならぬと平然と言ってのける、バ・ト・ル・ジャパーーーーン!(おーーー!)
 任務の前には大人も子供も無いのだ、と心を鬼にした京介が最初に事情を聞いた少年に辛く当たると、エゴスを受け入れようとする少年の前にカタツムリシェフとカトリーヌが現れて悪魔の勧誘を行い、エゴスの毒はカタツムリではなく、子供が食べる時だけ試食用のフォークに塗られていたトリックが判明。
 悪辣な芝居によりまんまと真相を掴んだ京介が邪魔に入ると、人間体から怪人に変身する時のシェフの表情が素晴らしく、カタツムリフォーク攻撃を受けて危機に陥るフランスだが、その時カトリーヌの銃弾が背後からカタツムリを撃つ!
 「カトリーヌ、貴様裏切るのか?!」
 「そのとぉり!」
 背後から出てきたBF隊が揃い踏みすると、カトリーヌはエゴスに潜り込んでいたインターポールの捜査官だったと明らかになり、だから埋めよう忠誠回路!
 過去映像のパッチワークのようなバトルを挟んで弟ロボが召喚されると、バズーカの形に組み立てない新バージョンのペンタフォース大車輪が直撃してカタツムリ怪人は消し飛び、バトルシャークが発進。
 地上に着陸すると、新ギミック・前部ハッチが開いてアーム展開によりカタツムリロボットを転ばせてからBFロボが発進し、BF隊がジェットオン。
 バトルスピア、バトルマサカリ、そしてクロスフィーバーの連続攻撃でフィニッシュ……かと思いきや、BFロボのデザインとピッタリ合った象徴的な武装の割には、ここまでかなり雑な扱い(手に持って出てくるが、いつの間にか落としているとか)だったバトルカタナを鞘から引き抜くと、その刀身には「電光剣」の銘が刻まれており、今放たれる――電光剣唐竹割り。
 雷光の如き一撃カタツムリ仮面を真っ二つに切り裂くと、刀を構えたBFロボが残心を決めるのが格好良く、特に悪魔ロボットの強化などが無かったので、クロスフィーバーの後にトドメの一刀を加えるのが唐突ではあったものの、第15話にして納得の必殺剣が初披露。
 ……エゴスとのスパイ合戦の影響により、納期前倒しの急ピッチでBFロボを完成させた為に、これまでは無銘のバトルカタナ(ほぼ鈍器)を用いていたのが、ようやく必殺剣に耐えられる刀が完成した、といったような事情でありましょうか(笑)
 バトルフィーバーによってカタツムリ怪人は倒されたが、エゴスの毒はそれだけでは消滅せず、京介は太っちょ少年が心から反省したかを確認。
 少年がこれからは食べ物を粗末にしないと誓うと丸一日の絶食で解毒できると伝え、「ヒーローが悪の怪人を倒す」のと「少年の改心による治療」が別々に設定されて現代的な戒めの寓話性が強調されますが、大人たちのやり方がひたすら汚くて、新たな怨恨の火種を生んでいないかは心配になります(笑)
 任務を果たしたカトリーヌはパリへと帰還する事になり、カトリーヌをミス・フランスに勧誘する京介だが、断られるも頬に口づけを受けて、つづく。
 後半におけるカトリーヌ裏切りの布石が皆無だった為、物語としては驚愕の「子供を使って奴らを誘き出そう」がピークとなりましたが、第13-14話に続いて、〔エゴスの作戦・怪人の扱い・スパイ要素〕の3点セットに今作としてのバランスが取れてきた感じはあり、このまま波に乗ってほしいところです。
 次回――網タイツと闇格闘技場???