東映特撮に踊らされる駄目人間の日々のよしなし。 はてなダイアリーのサービス終了にともない、引っ越してきました。
旧ダイアリー保管用→ 〔ものかきの倉庫〕
特撮作品の感想は、順次こちらにHTML形式でまとめています→ 〔特撮感想まとめ部屋〕 (※移転しました)
HP→〔ものかきの荒野〕   X/Twitter→〔X/Twitter/gms02〕

タネも仕掛けも少林拳

仮面ライダースーパー1』感想・第41話

◆第41話「動物園の一也・水中檻から脱出不能?」◆ (監督:奥中惇夫 脚本:江連卓)
 ナレーション「今日は、ジュニア・ライダー隊の遠足だ」
 先日の行川アイランド強化合宿が生んだ亀裂が深刻なのか、ムチだけでは部隊の士気を保てない、と保養に繰り出すライダー隊。
 一同が乗ったバスの後をバイクで追う一也は、飛び出してきたカップルに助けを求められて別行動を取り、
 「それで、怪物はどこに現れたんですか?」
 「こっから、2キロ先の森の中です」
 随分と、数字だけ具体的だな!
 バイクを乗り換え森に向かう一也だが不意を突いて飛んできた手錠をかけられてしまい、姿を見せるジンドグマ怪人・キイマンジョーの、南京錠をモチーフにしたデザインが、なかなかの格好良さ。
 互いに鎖を引っ張り合う綱引きから、必殺・急に脱力した勢いを乗せての飛び蹴り! を放った一也は、怪人が地面に転がった隙に変身するとエレキ光線で鍵と鎖をあっさり破壊し、死ぬまで外れない筈の自慢の鍵に対して、あまりにも無慈悲な科学の力であった。
 「うぉぉ?! くそぉ、仮面ライダー!」
 捨て台詞を残してジョーが消す一方、動物園に到着したライダー隊は無邪気に遠足を楽しんでおり、このタイアップの余波か、本日のジンドグマ学級会は先生が来た途端に速攻で打ち切られ、
 「魔女参謀、無駄口をきかずに、すぐ仕事にかかれ!」
 という、作戦を聞こうとしない悪魔元帥、なる大変珍しいものが見られる事に。
 その頃、ライダー隊と合流しようとしていた一也は園内に到着していたが、あ! こんなところに、檻から逃げたキングコブラが!!
 (※これはドラマ上の演出です。東武動物公園では、法令に則って適切に動物は飼育されています)
 ジンドグマ特製キングコブラに不覚を取った一也、今回は冒頭から不覚を取りまくりですが、実は東武動物公園が楽しみすぎて、昨晩はよく眠っていないのかもしれません。
 相変わらず毒耐性スキルを取っていない一也が体と発話の自由を奪われて縛り上げられ処刑宣告を受ける一方、ライダー隊はマジックショーを楽しんでおり、2分以上にわたり普通に展開するマジックショー。
 Aパートの終わりに、体の自由を奪われた一也がどこかへ運ばれていくシーンが挟まるので、そのまま大脱出マジックを要求されるのかと思いきや、ショーは終了してライダー隊はアフリカアドベンチャー(アトラクション)に移動してしまい、手品師=怪人とはいえショーが純粋にショーのまま終わる、タイアップ回ならではの苦しさを感じさせる組み立て。
 本日もヒロイン力を発揮したミチルがアトラクション内部で怪人にさらわれると、ライダー隊一同は2人を探しに中に入り込む傍若無人ぶりで……今見ると、アフリカアドベンチャーはどうしてこんな、実質幽霊屋敷なのかが気になります(笑)
 中に入った面々もまとめて捕まると、着ぐるみを着せられて手品師一座によってトラックに押し込められるシュールな画となり、荷台に転がっていたのは、沖一也。
 「これより、沖一也と、ジュニア・ライダー隊の処刑を開始する。用意しろ」
 消えたメンバーを探し回る谷・チョロ・マサコは、上半身裸で檻に入れられて水中大脱出マジックを強要されようとする一也の姿を目にし、実際にクレーンで檻を吊り上げてみせたのは、おお、と思いましたが、マヒ毒で喋れない一也が檻の中で身をよじっているだけの芝居がひたすら続くのは面白みに欠けて、もう少しなんとかならなかったものか。
 いよいよ一也が園内の池に沈められると、続けて着ぐるみライダー隊も池に落とされそうになるが、ハルミが反撃して逆に黒服を池に突き落とすと被り物もあっさり外し、それに気付いた谷らが突入してくるのも止められない変装ファイターたちが脅威感皆無になってしまい、もう、グダグダ。
 BGMも何故かゆったりとしたサスペンス調で、主人公が池に沈められている真っ最中なのを忘れそうにさえなってきます。
 (慌てるな一也。おまえはどんな時にも変身できる訓練を積んだ筈だ。気を静めて、心を統一しろ)
 水中でもがく一也は、玄海和尚の手で崖から落とされた過去を思い出すと死中に活ありメディテーションの領域へと再び至り、モーション無しでの変身システムへの不正アクセスに成功。
 戒めを破って地上へ飛び出すと、ファイターを蹴散らしてライダー隊を救出、したかと思ったら今度は谷の操るモーターボートに飛び乗り、同じくボートに乗って逃げていく怪人を追いかけ、突然始まる無益なボートチェイスで、本当に、もう、グダグダ。
 「おのれスーパー1! どうしたどうした! かかってこい!」
 懸命に煽る怪人ですが、園内の池でそれほどスピード(感)を出せるわけもなく、スーパー1もボートの上で仁王立ちして運ばれていくだけなので、完全に画が死んでいて目眩がしてきます。
 そこから爆弾が投入されると結構な水柱があがってようやく画面にちょっと活力が戻ってきたところで、スーパー1は怪人のボートへ乗り込んでいき、戦いは地上へと移行。
 ラクダをバックに戦闘員を蹴散らすと、今度はジョーがダチョウの檻の中でトラックを乗り回し、自棄になって動物園への嫌がらせに目的を変更するジンドグマだったが、挿入歌の終了と共にBGMさえ無い取っ組み合いが始まり、タイアップ回にしても虚無の領域が見えてきます……。
 トラックの荷台を下りるとようやくBGMが戻ってきて再びチェーンデスマッチとなり、キーロックパワーに動きを封じられ……ずに純粋な筋肉で打ち破ったスーパー1は、エレキ光線からの閃光キックを叩き込んでキイマンジョーを葬り去り、デザインは良かったのに、とんだ三流怪人で大変残念でした。
 ……つまり、今回最大の敵は、檻から逃げたキングコブラ
 改めて遠足が再会されると、足こぎボートをチョロに漕がせて、隣でタバコ片手にボートの前に足を投げ出している谷が、今日目線では普通に最低で困るのですが、折角合流したのに何故か一人寂しくボートに乗る一也が笑顔で手を振って、つづく。
 前作・今作ともに、70年代《仮面ライダー》に付きものだった「俺にそんなものが効くか!」作劇を意識的に避けている節は見えるのですが、それにしてもヒーローの毒の受け方が間が抜けている上に、まんまと捕まってからカメラの向いていない期間の長さ、窮地を脱してヒーローのターンになってからの壊滅的なテンポの悪さ、とタイアップ回であった事を差し引いても、今作ワーストクラスの出来でありました。