『大戦隊ゴーグルファイブ』感想・第34話
◆第34話「出た! 黄金必殺技」◆ (監督:山田稔 脚本:曽田博久)
「不死身のモズーだ……地上最強の、化け物を、作ってしまった……」
冒頭から、ヒゲ・メガネ・白衣の3点セットを揃えた博士が薄暗い室内で娘に苦悩をこぼし、漂う《昭和ライダー》感。
娘チエミを人質に取られ、デスダークの為に望まぬ研究をさせられた上、その娘がデスマルク大元帥の花嫁にされそうになっている博士が娘を逃がそうとする一方、爽やか白シャツに衣替えした赤間はデスダーク夏休み自由研究の産物たるワニモズーの奇襲を受け、ゴーグルレッド!
ゴーグルキックをはじき返され、トラバサミならぬワニバサミに全身を噛みつかれた赤の元に仲間達も駆けつけるが、地上最強を名乗るワニモズーの前にはあらゆる攻撃が通用せず、戦いの激化を告げる強化怪人の描写が、前回と思い切り被ってしまう大事故(笑)
「俺にはそんなもの効かん!」
「はははははははは! ゴーグルファイブ敗れたり!」
ゴーグルVフラッシュも無効化されると、コンボガは慌て、デスギラーは高笑いで現れ、ワニモズーは、ネオメタル金属原子と結合して生まれた、ニュー合成怪物と解説される。
「不死身のモズー、地上最強のモンスターモズーだ」
大元帥の夏休み終了宣言と共に本当に強敵を繰り出してきたデスダークだが、チエミ脱走の報がもたらされると大慌てで撤収し、赤がデスギラーの後を追っている内に、残り4人は対策を練る為に一時帰還。
逃走するチエミは、父の知り合い(?)の元を訪れるがすげなく突き放されたところを赤間に助けられ、「デスダークに関わりたくない」と門前払いを食らわせる人物や、未来科学研究所が街中に用意しているセーフハウスの登場など、知る人ぞ知る暗黒科学組織デスダークとの暗闘感がスパイスに振りかけられて、少々懐かしめの味付け。
黒田が中心となって研究を進める、打倒ワニモズーの新兵器完成の為にはネオメタルの結晶構造が必要であり、チエミの父、カワダ博士の救出を決行するゴーグルファイブだが、待ち受けていたのは時限爆弾とワニモズーによるゴーグルファイブ壊滅の危機。
辛くも死地を脱した5人は、念の入った芝居だったのでは、とチエミに疑いの目を向けるが、あまりゴーグルVらしくはない反応な上に言うだけ言って基地に戻ってしまい……このくだりといい大元帥の嫁取りといい、ゲストの薄幸性を強調する要素以上でも以下でもない節が強いのですが、クレジットが単独表記だったり、役名と芸名の下の名前が同一だったり、演者の甲斐智枝美さんが当時知名度があったのか売り出し中だったのか、ゲスト女優さんをプッシュする天の意志が窺えます(※80年代初めに、ホリプロからかなり期待されてデビューしたアイドルで、この当時は女優業にシフトしていた模様)。
……個人的には父親の方が、風貌がどうにも神啓太郎似で気になって仕方がないのですが(笑)
一同、ゴーグルサーベルの強化改造に取り組む中、なにやらじっと考え込んで作業を一切手伝わない赤間は、「うん、なんというか、赤間が手を出すと、切れる筈のない配線が切れたり、落とした部品がありえないような隙間に入って行方不明になったりするから、そこに座って、みんなのお茶でも出したりしてくれないかな」とでも言われたのでしょうか! は、カワダ博士が本当にデスダークを捨てたのなら、チエミにワニモズー攻略のヒントを託しているのではないか、と閃くとセーフハウスに急行。
だが、同じ考えに至っていたチエミは、父に託されたペンダントを部屋に残すと、我が身を犠牲にしてでも父を助けようとデスダークの元に向かっており、置き手紙によるとお父さんは、当初は自発的に暗黒科学に与しておりました(笑)
今更ながら暗黒科学の初期設定が拾われつつ、赤間の持ち帰ったネオメタル製のペンダントの分析作業が急ピッチで進められる一方、父の助命を嘆願するチエミを前に悪代官よろしく笑うデスギラーだが(どういうわけか今回、借金のカタに娘が身売りするみたいなドラマ性)、赤間が飛び出してくるとレッド変身。
再びワニバサミを受けてのたうちまわる赤は派手に崖から転落して窮地に陥るが、完成した強化サーベルを手にシーザーに乗った4人が駆けつけ、カラー爆発を背に崖ダイブしたゴーグルVは、ぶっつけ本番の新技ゴールデンスピアを発動する!
「ゴールデン!」
「「「「スピアー!!」」」」
Vフォーメーションで空中に浮かび上がった5人が、ゴーグルビクトリーフラッシュの要領でそれぞれのサーベルを輝かせると生み出された一本の長い光の棒に、5人が続けて鉄棒競技のように大車輪してエネルギーを充填すると黄金の槍が生み出され、再び地上でフォーメーションを組んで(ここまで前振り)から黒青黄桃のスクラムで宙高く放り上げられた赤が標的めがけてスピアを投げつけ、
「1!」「2!」「ゴー!」「アタック!」
実に今作らしい長尺の新必殺技となり、初お披露目だからこの長さなのか、次回以降も普通にこのフルバージョンが毎度流されるのか、今から戦々恐々としてしまいます(笑)
アクションとしてはゴレンジャーストームやバルカンボールの系譜といえますが、最終的に投げつけるのが「槍」というのはシリーズでもかなり珍しい印象で、必殺技にまでなっているのは、後はボウケンレッドとゴーカイシルバーぐらいでしょうか……?
「「「「「やった! ゴールデンスピアー!!」」」」」
弾け飛んだモズーの爆発を囲むように5色の爆発が起こるのは格好良く、ゴーグルファイブが勝利のポーズで新技名を重ねてアピールすると、ワニコングが出動し、リフレッシュパワー。
ハンドミサイルに耐えてロケットで反撃してくるワニモズーだが、地球剣から稲妻を放つゴーグルサンダーを浴びせてから、電子銀河斬りでずんばらりん。
博士とチエコはゴーグルシーザーに回収され、悲劇のヒロインの運命が未来科学によって書き換えられた事を強調する形で幕は閉じられ……これから未来科学研究所で博士を待っているのは、地下300メートルの特別拘禁室における尋問です。
前作に続き、破られた必殺技が明確にモデルチェンジされるエピソードが投入され、前作は最終章の取っかかり(第45話)でしたが、今作では休み明け後半戦の幕開け、に置かれる事に。
当時なりの起伏をつける工夫といえますが、次回以降、デスダークがこれにふさわしい怪人を繰り出せるのかは、大変心配です。
夏休み自由研究の成果を前後編にすることさえ許されずに完全粉砕されたデスダークに、次なる打つ手は残っているのか?! 果たして、傷心のデスマルク大元帥は立ち直れるのか?! そして、3クール目の間に黄島のメイン回はあるのか?!