『地球戦隊ファイブマン』感想・第43-44話
◆第43話「テレビの恋」◆ (監督:東條昭平 脚本:曽田博久)
バルガイヤーの奥底から響く、何かが呼吸するような音……シュバリェは掃除係のガロアを偵察に向かわせるが、ガロアは今回も華麗に宙を舞う羽目に。
(確かに今のは何かの声……どうやらバルガイヤーには、まだ俺たちの知らぬ秘密が隠されているようだ)
一方、マグマベースにはテレビばかり見ている子供の母親から悩み相談がもたらされ、都市伝説、動く。
「ねえちょっと聞いて、また起きたみたいよ、摩訶不思議事件」
「えー、巻き込まれたどうしよう。
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やばいよね」
「そんな時は、手の平に指で“M”って3回書いて、有明の月に向かって
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有明の月に向かって呪文を唱えると、五人の魔法使いが助けてくれるそうじゃ」
「ありあけの月って
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なに?」
「朝になっても出てる、月のことなんだって」
「ねえねえその呪文って、どんなんだっけ?」
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「――マジカ・マジカ・マジカ」『魔法戦隊マジレンジャー』Stage.4「魔人の王様~マージ・ジルマ・マジ・ジンガ~」(監督:中澤祥次郎 脚本:前川淳)より
が凄く好きなのですが、「兄妹先生相談室」は完全に、「魔法110番」のはしりだ!(笑)
かくして、マジカル・ブラザーズ、ならぬマジカル・ティーチャーズが問題解決に動き出すが、問題の良夫少年は文矢の呼びかけにも全く反応せずに『バトルフィーバーJ』を見続け……つまり、「洗脳してもらえば、勉強好きの子になるわ」ですね!!
たぶん気のせいですが、上原正三オマージュ回だと思うと、悪魔TVによる洗脳作戦が、これ以上なく、腑に落ちます。
ドンゴロスの作り出した合身銀河闘士テラノTVギン(胴体にTVがはめこまれており、もはや完全にデストロン怪人)の能力により、TVから胴体と手足の生えた悪魔TVが誕生するとTV好きの人々を追い駆け回し、良夫を追いかける悪魔TVの声に聞き覚えがあるのですが……コロンさん?
文矢は悪魔TVに追いかけられる少年を助けるが、怒りの悪魔TVは目からビームを出して実力行使に訴え、真っ赤なドレスに身を包んだ一つ目TVが少年を追い回す、色々な意味で悪魔的な映像がひたすら続きます。
「悪魔TVは誰も止められへんで!」
なお、対象者が軒並み逃げ出している事から、洗脳作戦は明らかに失敗。
当初はTVに追い回される良夫少年を囃し立てていた子供達だが、悪魔TVの放つビームを目の当たりにすると笑い事では無い事に気付き、少年野球チームのユニフォームに紛れさす事で、良夫を救出。
「友達っていいもんだぜ」
TVよりも外で運動だ! というテーマの押しつけがましさは若干どうかと思うものの、文矢がそれらしくまとめて、ファイブマン合流。
悪魔TVは自爆し、黒の必殺ファイブテクターでテラノTVギンを撃破すると、ゴルリン35号召喚。TV電波を用いた黒ゴルリン特別出演攻撃に苦戦するスターファイブだが、スーパー合体すると妨害電波を放って特別出演攻撃を封じ、ジェットナックルからのスーパーベクトルパンチ!
実物でないものの、最近出番の無かった黒ゴルリンを使ってくれたのは、良かったです。
良夫少年は少年野球に参加するようになり、ナレーションさんが「TVは楽しいけど、見すぎはいけないね」とバランスをアピールして綺麗にまとめて、つづく。
中盤以降、割と目立つようになっていた文矢ですが、話数的に最後と思われる単独メイン回が“誰でもいい”内容になってしまったのは残念で、頂上手前の休憩所、といった感のある一本。
次回――ニュータウン小学校再建! そして逆襲のガロア!!
◆第44話「死闘ロボ戦」◆ (監督:長石多可男 脚本:曽田博久)
ゾーンによる侵略初動で木っ葉微塵になったニュータウン小学校が再建され、学の教え子たちはそれぞれが育てていたシドンの花の鉢植えを持って学校に集まり、星川兄妹はスーツでおめかし。
一方ガロア元艦長は、掃除中にバルガイヤー内部で発見した謎のエネルギーを用いて強化したゴルリン36号を出撃させ、スーツ×ジープの強烈な組み合わせで出勤途中の星川兄妹に迫る巨大ブルドーザー!
そして、建設現場の重機を取り込んで誕生する、巨大ロボ・ビッグガロアン!!
「今銀河に新たなる伝説が誕生する。ビッグガロアンの力、見せてやる」
子供達が兄妹先生の到来を待つ中、強烈な砲撃はスターファイブを一蹴。SFロボで立ち向かうファイブマンだが、ビッグガロアンのパワーはSFロボをも上回り、スーパーベクトルパンチをあっさり受け止めると、もげる腕! 吹き飛ぶ頭! 崩れ落ちる胴体!
雄壮たるガロア復活を印象づける狙いもあってか、徹底的に破壊されたSFロボはむごたらしい生首を地面にさらし、完敗。
「ファイブマンの死体を確かめるまでは、勝ったとはいえんぞ」
シュバリェの挑発を受けたガロアはマグマベースの破壊に向かい、続けてアーサーが大ピンチ。
ところが……
「無い! マグマベースが無い」
すっかり所在の割れているマグマベースは忽然と姿を消しており、狼狽するガロアだが、なんとマグマベースは、宇宙に脱出していた!
「20年前、マグマベースはシドン星から地球まで、宇宙旅行をしてきたことを、忘れてもらっちゃ困るよ」
絶体絶命を切り抜けた大ファインプレーを明るく説明した直後に、どうして、第1話の悲劇の回想をたっぷり入れますか(笑)
最終章を前に原点回帰、といった意図もあったのでしょうが落差に目眩がしてきます。
完全勝利の間際でアーサーにしてやられたガロアだが、兄妹先生の安否を気遣うパソコン通信を傍受し、星川兄妹を引きずり出す為、ニュータウン小学校破壊を宣言。
しかしこんなこともあろうかと、再建したニュータウン小学校には宇宙脱出機能が!!
「残念だったなガロアくん! また会おうーーーーー!」
……ではなく、SFロボを欠いたまま、ガスタンクの上に仁王立ちするファイブマン。
「必ず出てくると思っていたぞ。馬鹿め! その甘さがおまえたちの最大の弱点なのだ!」
「果たしてそうかな。ここを突破してみろ!」
なにぶん立っている場所が立っている場所なので、ビッグガロアンの攻撃を誘い、相討ち覚悟のガスタンク誘爆大作戦かと思ったのですがさすがにそんな事はなく、ギリギリまでビッグガロアンを引きつけたファイブマンは至近距離からのアースカノンでコックピットをダイレクトアタック!
更に、怒りにかられたガロアを誘い込むと、頭上からマグマベースで圧殺!!
……だったら凄く面白かったのですが、それも回避され、アーサー操るマグマベースの集中攻撃によりビッグガロアンを沈め、これぞ、星川流釣り野伏せ。
ちなみに、この短時間にアーサーが単独の大気圏突入と突破を行っているのですが、もはや惑星破壊爆弾の一つや二つ仕込まれていても驚きませんアーサー。
なんとかバルガイヤーに帰還した元艦長は、敗れはしたがスーパーファイブロボ撃破の功績をメドー様に認められ、再び火花を散らす初代艦長と元艦長、でつづく。
次回――グンサー復活! 生きていた両親?! そして、バルガイヤー突入!! の急展開で、敵組織のボス周辺に、部下も知らない秘密があった……は曽田さんの好きなパターンですが、果たして、《スーパー戦隊》シリーズ一つの節目は、如何なるクライマックスを迎えるのか。