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執事ピエールのターン!

救急戦隊ゴーゴーファイブ』感想・第15-16話

◆第15話「童鬼ドロップ出撃」◆ (監督:諸田敏 脚本:山口亮太
 「ご紹介が遅れました。こちらは、災魔4兄妹の三男、ドロップ様。そして、わたくしは、執事のピエーーール。うぉっほん! 以降、お見知りおきを」
 「ドロップ~」
 「わぁ、かわいい!」
 ゴーピンク的にドロップはあり、から直後にドロップビームに一同吹っ飛ばされるのは、人間相手に媚びを売る気は無い、というドロップの姿勢が明確でとても良かったです(笑)
 ゴレムカード探索の為に、ドロップの眷属・超音波サイマ獣ブローゲンが誕生。ドロップとそれを抱えたピエールが人間界へ降り立つ一方、カードの反応のある竜神岳の山道には、温泉旅館を探す場違いな松竹梅3人娘が迷い込んでおり、救助に失敗したショウが振り回されて一騒動、というコメディ色強めのエピソード。
 グリーンホバーがサイマ獣の超音波攻撃を受けて撃墜されると、現場に急行したマトイら4人が山中で墜落機体を発見し、
 「エンジンの一部に攻撃された痕がある」
 とサイマ獣の存在に気付く辺りなどは良かったですが、全体的にガチャガチャしすぎて、コメディ主体にしても入りにくい内容でした。
 「俺一人の力じゃ、レスキューは成立しない。助かろうって意志がなきゃ、助かるものも助からないんだ」
 我が儘放題だった3人娘は、サイマ獣を相手に単独で囮になるも敗れた緑の説教と叱咤を受けると自力で下山の決意を固め、足を引っ張りまくるゲストがヒーローの言葉に「変化」を見せる組み立てなのですが、実際のところ、山の素人で特に装備もない3人を、
 「やる気になればできる」
 で放り出すのは相当に無責任な気がしてならず、ショウの言い分はショウの言い分でわかるにしても、今作として肝心のレスキュー部分で大きめの疑問符の浮かぶ内容だったのも厳しかったです(災魔が山中をうろちょろしている可能性が高いので、とにかく下山するべき、という状況も上手く設計できず)。
 その点で何より、初手で
 「俺は災魔を追う。君たちはなんとか沢を下って逃げてくれ」
 と「なんとか」で片付けようとしたのが大変良くなかった気がしてならず、3人娘も確かに問題児ではあるのですが、最初に信頼関係を構築できなかったショウについて一切問題視されないまま片付けられてしまうのは、据わりの悪い内容でした。
 ショウが松竹梅に振り回されたりサイマ獣にやられたりしている間、ドロップ&ピエールとエンカウントした赤青黄桃は、ドロップの念動力に翻弄され続け赤ん坊とはいえ災魔4兄妹の力を見せつけられていたが、ドロップがおもらしで戦闘中断。
 ゴレムカードを入手したブローゲンがやってきて選手交代となると、緑も飛んできてターザンキックを決め、人の命は地球の未来!
 さっくりブレイカーされたサイマ獣はゴレムカードによって強化再生され、拾ったばかりの大事なカード、対象を吟味せずにその場の勢いで使ってしまって良かったのでしょうか(笑)
 巨大ブローゲンが強化された超音波――つまり昆虫魂が宿る震える大胸筋!――によりシールドを張り実弾を防いでいる内に、コックピットでのたうち回るゴーゴーファイブの体力は限界に近づき、敵より先に味方ロボに殺されそうになるが、ホーミングミサイルを故意に標的の手前で爆発させ、真空状態を生み出して超震動バリアに穴を作ると、速攻グランドストームで大粉砕するのであった。
 3人娘は無事に登山口に辿り着いており、なんか、ショウがモテてる? とジェラシーファイヤーを燃やすマトイ・ナガレ・ダイモンだが、実際のところは下山成功祝いに褒め称えてプレゼントを寄越せ、と詰め寄る3人からショウが逃げ出して、つづく。
 ……救急戦隊にクレジットカードは持てないので、救命活動だけで精一杯なのだ!
 前作『星獣戦隊ギンガマン』で《スーパー戦隊》デビューを果たした諸田監督(監督デビューは『超光戦士シャンゼリオン』)が初参戦となりましたが、コメディ主体で攻めるも、どうも、噛み合わない出来となりました。
 次回――コスプレで吠えろ。

◆第16話「泥棒とサイマの卵」◆ (監督:諸田敏 脚本:小林靖子
 最強といわれるサイマ獣デモスの卵を手にした災魔兄妹は、生まれた場所を破壊しながら成長するデモスを人間界で孵化させようとピエールに命じるが、泥棒を追いかけていたダイモンがピエールを見つけて一当たりしている間に、卵をその泥棒が掠め取ってしまう。
 青髪の泥棒は、警官時代のダイモンと因縁ある窃盗常習犯のレージで、第2話で極道親父が綺麗に爆破した職業要素を、“前職の思い残し”の形で拾ってくるアプローチ。
 一方、こっそり本拠に戻ったピエールは自身の失態を雪ぐべく、「昔ジルフィーザ様からご褒美にいただいた家宝のカード」(この表現が今回の白眉)から、ご褒美サイマ獣・ガラガを生み出して卵を捜索させるが、レージはなんと、卵の身代金として災魔に現金1億円を要求。
 巽兄妹は逃亡するレージを取り囲み、両手をポケットに突っ込んだまま悠々と退路を阻み、笑顔のままレージの胸ぐら掴んで引き起こすマトイ兄さんが、普通に怖い(笑)
 命を粗末にするなレージ!
 今のその男に、法という名のブレーキは無いぞ!!
 結局、再びレージの逃走を許してしまうと5人は変装して取引現場を押さえる作戦に切り替え、ナガレ、女装の供物に。
 ところがレージはラジコン飛行機を用いて取引を進める思わぬ知能犯ぶりを見せると、モーターボートまで繰り出して一億円入りトランクの奪取に成功する、大・大・怪盗。
 怒りのカラスを赤青緑桃が食い止めている間に、インプに追われるレージを救ったゴーイエローが、とにかく命が無事で良かった、じゃあ急ぎの用事があるので……と、逮捕よりも身代金の回収よりも、兄妹を助けに戻ろうとする姿で“ダイモンらしさ”が表現され、去り際に足を止めて振り返った黄は、凝りないレージに向けて
 「でも、絶対捕まえるからな! 覚悟しとけよ!」
 と明るく宣言し、逮捕にこだわる理由を語る。
 「犯人を逃がしたら、その犯人はまた罪を重ねる。警察官は、逮捕する事で、犯罪者を救うんだ」
 ダイモンがレ-ジ逮捕にこだわるのは、ダイモンにとっては“終わっていない救急活動”であったと位置づけられて、身内からも畑違い扱いを受けがち(酷い)だった「警官としてのダイモン」と「ゴーゴーファイブとしてのダイモン」が接続されると同時に、「一つの命(一人の犯罪者)を救うのは、無限の未来を救う事」というゴーゴーファイブの在り方をそこにオーバーラップしてみせるのが、テクニカル。
 「バカか! 俺一人どうなったってな、地球は変わんねぇんだよぉ!!」
 レージは去っていったゴーイエローの背に向けて叫び、目の前で人間離れした小悪魔の集団を消滅させた元警官から、「今は他にやるべき事があるので後回しにするが、いつか必ず捕まえる。何故ならそれが、君の魂の救済だからだよ(にっこり)」と宣告を受け、ヒーローの孕む狂気に飲み込まれ加減の苛立ち紛れにトランクを放り投げる一方、意外と強いカラスサイマに苦戦していた4人の元へ合流するイエロー。
 5人揃えば戦力は掛け算だ! とライフ武装で連続攻撃を仕掛けると、ブラザー大砲により宙を舞った黄が背後からドリルでぐさっと刺すが、さすがはジルフィーザの眷属、「私は負けない!」と意外な根性見せて歯を食いしばったカラスの、羽手裏剣により手痛い反撃を受けてしまう。
 逆にゴーゴーファイブが追い詰められたその時、レ-ジが姿を見せると隠し持っていた本物の卵を投げつけ、気を取られたサイマ獣は卵もろともカラミティブレイカー。
 伸ばされた手を掴んだゲストの「変化」をヒーローの逆転勝利に繋げる手堅い作りの直後、レ-ジはピエールの放った凶弾に倒れ、ピエールは拾ったゴレムカード(カードの絵柄がそれぞれ違う……?)でカラスを強化巨大化。
 ギャグを捨ててアーマーを手に入れたカラスはグランドライナーのガトリングをものともせず、物凄い勢いで下落していくグランドライナーの株価であったが、調子に乗って近接攻撃を連続で仕掛けてきたアーマーカラスに至近距離から一斉に全火力を叩き込むと、ゴレムアーマーに亀裂が入ったところにグランドストームで勝利を収め、さすがにくるっと回れなかったのか、横顔で勝利のポーズを決めるのであった。
 蘇生処置も受けずに救急戦隊に放置されていたレ-ジだが、チンピラ奥義・タウ○ページアーマーにより一命を取り留めており……ヒーローを救ったゲスト入院で幕を引くのは少々珍しい印象ですが、コミカルかつ愛嬌強めに描写されてはいたものの、回想シーンを見る限りではレ-ジによる窃盗被害はかなりの額にのぼると見られるので、ひとまず身体的な因果の報い、といった部分はありそうでしょうか。
 そもそも取引現場で中身を確認していないトランクの中身――1億円――は当然偽物でオチがつく一方、卵もゴレムカードも失って帰ってきたピエールにディーナスの剣が迫り、2話連続やたらピエール推しのエピソードでありましたが、その命は風前の灯火となって、つづく。