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特命関取・右京山

『魔進戦隊キラメイジャー』感想・第18話

◆エピソード18「闇落ち」◆ (監督:渡辺勝也 脚本:三条陸
 「俺はどうなってもいい。妹さえ助かれば……」
 かつてオラディン王がヨドンヘイムの澱みの海の魔女を征伐した時、魔女が死の間際に刻んだ呪いによりオラディンは愛する妻(マブシーナ母)を失っていた。もし、その呪いがマブシーナにも及ぶ事があれば、魔女の紋章が浮かんだ7日後にはマブシーナは砂となって崩れ去ってしまう……宝路が恐れる大いなる闇の呪いについて聞かされた充瑠たちは、一同揃ってマブシーナへの態度がぎこちなくなる事に。
 「このお宝とやらを持って帰ってきてから、態度が変。まるで、お兄様みたい。みなさん、嫌いです」
 「宝路さんみたいに嫌い? 勘弁してよ。はっはっはっはっはっははは。はっはっはっはっははは」
 充瑠は乾いた笑いを繰り返し、このままでは早晩バレる、と危惧する時雨。
 「……充瑠の演技スキルが、極端に低いです」
 「うん。基地から追い出そう」
 眉ひとつ動かさずに言ってのける博多南さん……この人はそう、敵を欺くにはまず味方から、を笑顔で実践できる人だから!!
 今回からOPに姫様(&叶えまストーン)の新規カットが追加され、エピソード1(厳密には0)から一貫して姫様のヒロイン立ち位置を重視してくれているのは、好感の持てる部分。
 「おまえ、『ブルルスリス』って知ってるか?」
 一方、ヨドン軍ではガルザがクリスタリアで最も人気だった芝居について語り、叔父上はホント、芝居好きですね……後、ここの言い回しに最初違和感があって、今回が終わる頃に気がついたのですが、普段のクランチュラさんの真似か!!
 ……ガルザ的には意趣返しの厭味みたいなものかと思われますが、生まれて初めて気の置けない友人が出来たようにしか見えません(涙)
 宝路が目的を明かした事によりオラディン文書の詳細な分析が進められ、前回獲得した茶色の勾玉は、破壊を司る秘宝と判明。充瑠は何故かその石に強く惹かれるものを感じ……不穏……大変不穏……。
 魔進たちとも情報が共有される中、オラディン妃の死に触れられると何やら沈み込む様子のファイヤーだが……前回ガルザに邪メンタルを撃ち込まれた事で活性化したモンストーンに乗っ取られた宝路が、ヨドンチェンジにより邪面シルバーへと変身してしまう!
 「相手が宝路さんだから、本気出せないのもあるけど!」
 「基本強すぎるんだよなこの人!」
 ゴーグル部分に赤く鋭い眼光が輝き、ガルザの言いなりとなってしまったシルバーを止めようとする5人はその怪力に吹き飛ばされるが、なんとなく、色仕掛けで一発で倒せそうな気がします。
 とか思っていたら赤が渾身のヒロインムーヴ(腰の辺りに抱きつく)を決めると本当に一時的に正気を取り戻し、ヒロイン争いがますます混沌を深めていく中、自分を倒して宝探しを頼む、と口にした銀は再び闇へ。
 銀とガルザのダブル攻撃を最大出力のシールドで食い止めた赤は気を失い、精神世界で再びオラディンと出会って不穏……大変不穏……。
 「迷わず煌めけ! さすればわかる!」
 充瑠に信じた道を行けと闘魂を注入するオラディン王のアドバイスがあまりに都合が良く、このまま善導として肯定されるよりも、残酷な真実の伏線だった方が納得が行く類なのですが、果たしてどうなりますか。
 そして、膝・枕。
 ……これといってイベントに発展せず、むしろ振り落とされるギャグになりましたが。
 ヒロインムーヴで充瑠に対抗心を燃やす姫様は、自分が宝路を止めると宣言。
 「今の宝路さんは、悪の手先なんだぞ。危険すぎる」
 「でも……でも、わたくしのお兄様です! 本当の兄妹じゃなくても、昔のお兄様とは変わってしまっていても、お兄様はわたくしに笑顔をくれた、輝く道しるべです。この想いを、直接伝えてみます!」
 宝路の危機にマブシーナが真情を吐露するのは、だるまさんが転んだ回の対となって綺麗にはまり、マブシーナにとって宝路とは「輝く道しるべ」である、というのは好きな表現。
 時系列はまだハッキリしませんが、幼少期のマブシーナには母の死が影を落としていたと繋がりそうな感じ。
 「あぶねぇって! 死んじまうぞ」
 「わたくしはどうなってもいい。お兄様が助かるなら」
 マブシーナの決意に宝路の言葉を思い出した充瑠は、一緒に行くと宣言。5人は破壊活動中のガルザと銀の元へと向かうと、黄緑青桃がガルザを食い止め、赤・銀以外と正面切って戦うのは初めてのような気がするのですが、ちゃんと強くて良かったガルザ。
 その間に銀に組み付いた赤は、破壊の石の力を引き出す事で、宝路体内のモンストーンを追い出して破壊。
 「結局どちらかが悲しむ結末なら、俺はどっちも選べない! ……二人は本当の兄妹だよ。そっくりだもん」
 石単体の力の発動と、4つの石が集まったときに叶えられる願いとは別のものだから大丈夫、と王様の応援を根拠に請け負い、後にオラディン文書の解析により裏付けられるのですが……どうにもこうにも充瑠の精神感応と王様の助言の都合が良すぎる為に、充瑠が「選んだ」というよりもオラディンに「動かされた」ように見えてしまうのが盛り上がりきらず、どちらかというと、待ち受ける崩壊へのカウントダウンとして捉えたくなってしまいます。
 宝路が探していたお宝の力を目の当たりにしたガルザは、いつもより派手な6人一斉攻撃を受けて思い切り吹き飛ぶと、邪メンタルと闇エナジーを注ぎ込む事で、砕けたモンストーンを再生巨大化。
 「来い! 鋼の相棒!」
 銀はドリジャン改め魔進ドリジャンと合体し、義理の息子が自ら石に変身して巨大ロボットと一体化するくだりでノリノリの音声を吹き込んでいる王様は、どうにもこうにも信用なりません(笑)
 ……いや、メタ的に「声優が一緒」なだけで、劇中では「別人の声」なのかもしれませんが、今回の流れが流れだけに……(笑) まあ、博多南博多南で、兄を動力源として動く巨大ロボの再調整を嬉々として語るので、オラディンと博多南が友達だった事に関しては、紛う事なき真実として物凄い説得力の高さ。
 巨大モンストーンに苦戦する2大ロボだが、赤がエクスプレスを召喚すると、しゃしゃり出てきたジョーキーを今回も残酷に乗っ取り、ガルザが戦力外になっている内にギガントドリラーが為朝軍団を武装する事により、削り殺してワンダービクトリー。
 (マブシーナにも呪いが降りかかるのかどうかはまだわからない。でも、宝路さん、俺たちも守るよ、マブシーナの笑顔を!)
 お互いを想う気持ちと、変わらない部分を確認し合った兄妹は完全に和解し、宝路の目的について〔主要キャラ&視聴者は知っている/マブシーナは知らない〕状況を保持したまま心情的に宙ぶらりんな状態を解消し、更にそれを「キラメイジャー」としてお宝探しにも一致団結する、6人の新たなチームアップに繋げた構成そのものは良かったです。
 一方で、都合の良すぎるオラディンと、どうにもならないキングエクスプレス、という今作現時点の二大ウィークポイントがエピソード単位の完成度は下げてしまい、今回に関しては三条さんが合う合わないというよりも、全体構造の長短が明確に出る形に。
 特に、キングエクスプレスを出す度にガルザの株が下がっていくのは本当に辛いのですが、ガルザが叶えまストーンについて知ったのは自然な流れかつ面白い要素なので、巧く転がってほしいです。
 未だ実態がハッキリしていないヨドンヘイムにもオラディンとの間に過去の因縁が浮上し、モンストーンの存在含めて、パズルがどう組み合わさっていくのかは、楽しみ。
 次回――「ひと突っ張りよろしいでしょうか」。シーズン19を数える『相撲』。どんなドラマなんだ『相撲』…………若手イケメンアクション俳優が出演しているすも……はっ! モンストーン……スモントーン……スモーストーン……そういう事だったのか?!(何が)
 真面目な話としては、もしかしたら第1話以来となる充瑠の制服姿?が気になるところですが、果たして、充瑠の高校生活は実在しているのか。