東映特撮に踊らされる駄目人間の日々のよしなし。 はてなダイアリーのサービス終了にともない、引っ越してきました。
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今こそ時は極まれり

◆第32話「下されたJudgment!」◆ (監督:上堀内佳寿也 脚本:高橋悠也
 新檀黎斗を加え、『仮面ライダークロニクル』を終わらせるべく上級バグスター撃破を目指すCRと、仮面ライダーを葬り去って人類絶滅を加速させようとするパラドらが冒頭から激突し、復活グラファイト、ようやく変身して進化後の姿を披露(カラーリングの関係で、白い面に赤い鼻の道化師っぽく見えたり)。
 挙動不審のライドプレイヤーを巻き込みつつ、ドクターズvsパラド組の3vs3の戦いが始まるが、グラファイトは超絶進化によりLV99になっており、ブレイブはギャルゲー時空を操るラヴリカに心の傷をえぐられ、両者ともに変身解除。
 ドクター達の危機に、どういうわけか雄々しくパラドクスの前に立ちはだかったライドプレイヤーの正体は、最近とんと出番のなかった院長であり、見事CR送りとなる事に。
 「なぜ『ライダークロニクル』をプレイした?」
 「小姫ちゃんを失って悲しんでるのはおまえだけじゃない」
 息子の恋人が復活する可能性にいてもたってもいられずに『クロニクル』プレイヤーとなっていた院長について、やる時はやる人と永夢とポピ子さんからの評価が急上昇し、院長の背中を見ながら医者を目指したのだ、と普段は邪険に扱っている父親に対する飛彩の本音も語られて急な院長上げが始まるのですが、大変根本的なところで、肉親の情からCRに黙って『クロニクル』プレイヤーになっていた事は、「やる時はやる」に該当するのか。
 院長のような立ち位置のキャラクターが、根っからどうしようもないわけではない事が示されるのは定番中の定番であるだけに、もう少しどうにか出来なかったのかと思うところです。
 一方、「ゼロ・デイ」の首謀者が檀黎斗だと明らかになった事により出所した檀正宗が幻夢コーポレーションに帰還し、天ヶ崎とご対面。
 「これ以上この会社を、思い通りにはさせないよ、バグスター」
 「勇気と無謀は、違うよ」
 両者が火花を散らす中、パラドたちを撃破する為には協力プレイが必要、と改めて作戦会議が行われ、これまで謎だったラスボスは「あらゆるゲームの力を凌駕する、全知全能の神」究極のバグスター・ゲムデウスである事が明らかになる。
 あまりにも強大なその存在を倒す為には、全てのバグスターウィルスへの完全な抗体を身につけた者にしかなれない伝説の戦士・仮面ライダークロノスの力を得るしかなく、盛りに盛った設定が、どんどんゲームバランスを破壊していきます(笑)
 とにかくまずは、各個撃破を狙ってラヴリカから始末しよう! と、第32話にして「みんなで力を合わせて」に反論が出ず、主題歌をバックにそれぞれの姿が描かれて決戦の気運を盛り上げまくってくるのですが……うーん……後半戦の開幕を告げる折角の大仕掛けだったのに(OP復活による<GAME START>は本当に痺れたのですが……)、いざ決戦の段階で、ゲームの構造そっちのけになっているのは、大変残念。
 一応、「中級までのバグスターを倒して勝利のガシャットを集める」というプロセスは経ていますが、「ガシャットを集めたと思ったら上級バグスターが3体並んで出てくる」ので、決戦の開幕におけるゲーム的な盛り上がりは皆無であり、なんとかゲーム的な演出を組み込んで繋げてほしかったところです。
 むしろ、前夜の表情 → 並んで出陣する4ライダー、と定番中の定番をど真ん中に投げ込んできた事で「ゲーム」要素が切り離されてしまっているのですが、今作に関してはそこで「ゲーム」要素と意識して繋げないと、らしい面白さが出ないと思うわけで。
 鏡「バグスター、おまえ達の存在は、ノーサンキューだ」
 ラ「何度やってもおんなじですよ」
 花「今度こそてめえをぶっ潰す」
 グ「ならば死ぬ覚悟で来い」
 檀「パラド、おまえを削除する」
 パ「エム、これが正真正銘、最後の戦いだ」
 M「おまえを倒して、『仮面ライダークロニクル』を終わらせる」
 4ライダーと3バグスター、物陰の女性コンビが一堂に会し、パラドから完全に無視される黎斗は面白かったですが、それ以外の対峙はこれといって盛り上がらず……。
 飛彩と新社長にはなんの因縁も無いですし(後、この場に協力関係にあるバグスターが2体居るのですが鏡先生)、大我と飛彩の因縁を一手に引き受ける筈のグラファイトさんは、キャラが薄いので何も面白い事が言えず、再登場から6話ほどあったのに、これといってキャラが深まっていない事に、愕然。
 新社長もファーストインパクトだけですし、何より両者とも、永夢×パラドの因縁に焦点を当てていた関係でここ3話ほど出番が無いに等しかったのが、タイミングが悪すぎます。
 「恋愛ゲームはもう終わりだ!」
 集団戦が始まると、およそ20話ぶりのチーム医療に挑むドクター達は、足止めという名の嫌がらせを分担。メイド戦闘員をリプログラミングで消滅させるとラヴリカへの打撃が有効になり、エグゼイドの戦いが、ゲームを攻略するのではなくゲームのルールを変えるに変化しているのは、どこまで意図されたものなのか。
 肉体言語こそが正義なアクションゲームの土俵に引きずり込まれたラヴリカが弱ったところで、おいしくトドメをいただくべくポピ子とニコが変身しようとするが、その瞬間、奇怪な時空の歪みが発生すると、闇に包まれ、時を告げる鐘の鳴り響く不気味なフィールドが展開し、そこに現れた背広の男――それこそ、檀正宗。
 「なんで……あなたが……?」
 「――諸君、このゲームは無効だ」
 カジノめいた配色の巨大な時計(この大道具はインパクトもあって秀逸)を背後に、戦う者たちを見下ろす位置に立った正宗は、『仮面ライダークロニクル』は、超巨大IPとしてもっと大々的かつ長期的に展開するべきだと主張。
 それにはまず、有名イラストレーターと有名声優を多数起用した美少女バグスターを随時投入し、当然、季節ごとには水着イベントを実装。パラドとグラファイトの二人にはユニットを組ませて積極的に露出を増やし、ログインボーナスとして付けた握手券で、“ゲームで戦えるアイドル”を売り文句にリアルイベントを同時展開していき、新主題歌としてはaccessを復活させ(以下略)
 「ご苦労だったな黎斗。いや、デンジャラスゾンビ」
 「?!」
 「それにパーフェクトノックアウト。私の服役中に見事に君たちは完成させた。私の『仮面ライダークロニクル』をね」
 「……しらける冗談いうなよ」
 相手にしようとしないパラドクスだが、正宗は朗々と語り続ける。
 「黎斗の才能も、バグスターの力も、幻夢コーポレションの商品の一部にすぎない。幻夢コーポレーションを作ったのは私だ。黎斗でも、ましてや君でもない。私こそが社長」
 高みから低い声を響かせ、目を見開いて強調する場所、そこなの?!(笑)
 檀正宗は創業社長として会社への強いこだわりを見せ、ゲンムコーポレーションの持ち株比率が現在どうなっているのかは、大変、気になります。
 「今こそ審判の時――変・身」
 バグスターにしか使えない筈のバグバイザーツヴァイを用いて『仮面ライダークロニクル』を起動した正宗は、金色の輝きを放つ伝説の戦士・仮面ライダークロノスへと変身。
 「世界で初めてのバグスターウィルスに感染したのは、マキシマムマイティX、君だけじゃない。16年前、私は自らバグスターウィルスに感染し、完全な抗体を身につけた」
 神格化された「時」の名を持つ新たなるライダーは、一斉に斬りかかるエグゼイドらと、珍しく止めに入るゲンムゼロを不可思議な現象により一瞬で変身解除へと追いやり、その能力は――時間の完全停止。
 「――聞き分けのない子は、嫌いだ」
 止まった時の中を、ただひとり悠然と歩くクロノスは、パラドクスとグラファイトを次々と攻撃すると、ラヴリカには声帯以外の需要無し、と時計の針の回転を模したライダー回し蹴り――終焉の一撃を浴びせ、『トキメキクライシス』、絶版!
 「止まった時の中で死をむかえた者に、コンティニューの道はない。死という瞬間のまま、永遠に止まり続ける」
 「なんだと?!」
 「今後は私が『仮面ライダークロニクル』を運営し、君たち全員の運命を、ジャッジする。私が世界のルールだ」
 スタンドでいえば、ザ・ワールド+キング・クリムゾン、とでもいった桁外れの力を見せつけたクロノスは、ラヴリカの死を宣告すると姿を消し、無限にコンティニューし続ける事が可能だった筈の仲間の死に狼狽するパラドで、つづく。
 1クール目と2クール目に一回ずつ登場し、第32話にして表舞台に出てきた檀正宗/仮面ライダークロノスのインパクトは強烈でしたが、その登場が真のメーンイベントであるという意識の為に、CRvsパラド組の戦いが、雑な前座になってしまう良くないパターン。
 如何に作り手が今回のクライマックスはクロノス大暴れだと考えてはいても、ストーリーの流れとしては「決戦」はあくまでパラド達とのものなわけで、クロノスに持って行かれる前提としても、見ていて思わず騙される程度の前座、として作り込んで欲しかったところです。
 およそ半年、2回の顔出しを経ての本格投入、という贅沢な参戦になった檀正宗、演じる貴水博之さんというと歌手のイメージがあったのですが、00年代以降は舞台を中心に俳優活動をされているとの事で、この起用に成る程納得。
 ライダー達を「ゲーム名」で呼ぶ距離感はキャラ付けとして面白く、次回――まずはSR鏡飛彩(私服)を実装しようと思う。