『地球戦隊ファイブマン』感想・第47話
◆第47話「超獣大脱皮」◆ (監督:東條昭平 脚本:曽田博久)
メドー長官は、スポンサー確保の為に作られた虚像に過ぎなかった!
驚愕の真実に動揺するギンテイジャーの前に姿を見せたのは長年にわたり、生配信・Instagram・フェイスブック・Twitterの全てにおいて、メドー長官を完璧に演じ続けていたバルガイヤー総司令!
今まで注ぎ込んできたグッズ代で高級別荘地に土地ごと豪邸が買える事を知ったドルドラとザザは揃って田舎に帰り、やけ酒を呷り続けたビリオンは病院に運ばれ、戦力の激減したギンテイジャーは、果たして夢の武道館に辿り着く事ができるのか?!
見所は、自分でカウントダウンを始めるバルガイヤー総司令(CV:加藤精三)。
こんな土壇場で、面白悪役ポイントを稼がないで下さい!!
一方、グンサーの遺した言葉を頼りに銀河系P16惑星に通信を送る星川兄妹の必死の呼びかけを、遠く宇宙の彼方で生き延びていた両親がキャッチ。
「通じたんですね! 20年ぶりに、あの子たちと……!」
「……うん!」
だがそれも束の間、蠢動するバルガイヤーの生み出したオーロラによる通信障害でか細い糸は途切れてしまい、バルガイヤーは遂に脱皮の第一段階をスタート。
「あと二時間――四段階を経て、銀河超獣バルガイヤーとなる」
その最終段階において、脱皮を完成させるエネルギーとなる最高極上の死のエキスを求めるバルガイヤーは、ファイブマンの死を厳命してシュバリェとガロアを出撃させ、いよいよ始まるギンテイジャーとの最終決戦!
「二時間以内に決着をつけねばならん。それが出来るのは、銀河のヒーロー、シュバリェ!」
「銀河戦隊!」
「「「「「ギンガマン!!」」」」」
まさか、クライマックスまで使われるとは……(笑)
「ふん、カッコばかりつけやがって!」
こちらはもはや、バツラー兵しか従うものの居ないガロアも剣を掲げ、挟み込まれる形になった学たちは変身。
「レッド! 勝負!」
せめておいしいところを持っていこうとするガロアだが……
「待てぇ! レッドの相手はこの俺だ! ガロア、貴様には雑魚を任せたぜ!」
と・ら・れ・た。
古式に則り宿敵強奪がまたも発動してガロアは青桃黒黄の相手をする事となり、ドンゴロスが艦内でしたたり落ちる体液を必死に集める中、脱皮の第二段階に入ったバルガイヤーは巨大な繭に包まれる。
一方、この20年の間、泥水をすすり血の涙を流し、復讐の為に生きてきたのは星川兄妹ばかりではなかった! バルガイヤーについて情報を集めていたらしい星川夫妻は懸命に地球への呼びかけを続き、星川家の両親が“ただ生きていた”だけではなく、“キャラクターとして20年間を生き続けてきた”ならば、打倒ゾーンの為に出来る事をしていた、のは納得のいく流れで綺麗なピースのはまり方。
「シュバリェ! あと1時間だぞー!」
「おまえこそ! 雑魚を相手に何を手間取っているのだ!」
大乱戦の中で脱皮は第三段階へと進み、いがみ合っている二人のやり取りが、全くそんな意図は無いのに何かの拍子にコンビめいてしまうの、好き(笑)
ガロア艦長は、銀河メンコ流ワシゴリラ譲りの大風車剣で青桃黒黄を吹き飛ばし、赤はギンガマンの連携攻撃に苦しみ、クライマックス一つ手前、怪人不在で集団戦を見せる形で、ギンガマンがまさかまさかの大活躍(笑)
ここまで来ると、むしろ後年よく、タイトルに『ギンガマン』が採用されたなと思うレベルです。
「あと30分! なんとしても脱皮を食い止めねば!」
一気に畳みに入った今作ですが、劇中でもバルガイヤー脱皮へのタイムリミットサスペンスを持ち込む事により、メタ的なスピード感と物語内部のスピード感のバランスを取る事で、盛り上がりをブーストするのが、なかなかに巧妙。
弟妹の苦戦に気を取られた赤にギンガコンビネーションが炸裂するが、その勢いを逆に利用した赤は不意を突いてガロアに斬り掛かり、兜の角を落とされたガロアは、戦線離脱。体制を整え直したファイブマンはギンガマンを5vs5で撃破し、
「「「「「シュバリぇ様……さよなら、さよならーーー!!」」」」」
末期の台詞まであったぞギンガマン(笑)
「おのれぇぇぇ!」
残ったシュバリェは黒ゴルリンを召喚し、ファイブロボ発進。赤はシュバリェにチェーンデスマッチを挑まれて一騎打ちとなり、赤vsシュバリェ、青桃黒黄&アーサーvs黒ゴルリン、の戦いが並行して描かれて、この局面でもスキップを踏む黒ゴルリン。
「死のエキスを……この世で最高極上の死のエキスを……」
相手が後半戦を引っ張ったシュバリェとはいえ、2話続けての一騎打ちの構図で盛り上げるのは難しいという判断だったのか、タイムリミットサスペンスと巨大戦同時進行が掛け合わされ、結果的に、ラストで正攻法の一騎打ちが丹念に描かれたビリオン、大変ミラクルな扱いとなりました!
「倒す! 必ず貴様を倒す! 勝負は1秒あれば、決まるのだ!!」
ラスボス自らのカウントダウンをBGM代わりに切り結ぶ赤と敵最高幹部という極めて稀な状況設定となり、SFロボはダブルベクトルパンチで黒ゴルリンを撃破。
そしてカウントダウンの終わった時――Vソード縦一閃を受けて散ったのは、追加戦士ギンテイシルバー。
ファイブマンを散々に苦しめてきた初代艦長シュバリェは壮絶な最期を遂げ、バルガイヤーの完全脱皮は防がれたのか?! そう思われた時、バルガイヤーはシュバリェの命を吸い取る事で、最後のエネルギーを手に入れてしまう!
「愚か者! この世で最高極上の死のエキスといえば、それはシュバリェの命だったのだ! 銀河で数多くの殺戮を繰り返してきた、シュバリェの全身は、数多の生命体の血に染まっている。その血の染み込んだ体が、持てる力の全てを使い切って倒れた時、その時の死のエキスこそ、私の求めていたものなのだ」
ファイブマンが敗北してバルガイヤー超進化、は無いとするとシュバリェが……とはなりますが、何故シュバリェなのかといえば、それはゾーンの侵略活動の副次的要素として、シュバリェそのものが超一級の呪物と化していたのだ、は納得の流れ。
「ふふ……ふふふふふふ……くくくくくく……シュバリェは死んだ! 栄光のバルガイヤー艦長は、このガロアをおいて他にはなーーーい! あーっははははは! あーはーはっはははは!!」
この顛末に膝を付いたガロアはショックを受けているのかと思いきや高笑いを始め、己が生け贄としても出来損ないだった事も理解できない様子で以前と同様の価値観にしがみつき、事態の推移から完全に置いていかれている感じなのですが大丈夫なのかガロア?! 一応、学兄さんと一番因縁のあるのは貴方なんですよ艦長?!
ナレーション「果たしてファイブマンは、地球と銀河の平和を守り抜く事が出来るのであろうか」
脱皮を果たした銀河超獣バルガイヤー(名前格好いい)のシルエットが浮かび上がる中、銀河系P16惑星からは星川夫妻が地球へ向けて必死の呼びかけを続けていた……
「通じてくれ…………どうしても、これだけは伝なくてはならないんだ!」
「学! 健! 数美! 応えて! 文矢! レミ!」
両親が伝えたいものとはなにか、ガロア艦長に割かれる尺は残っているのか、そして、マックスマグマの出番はあるのか?! 次回――最終回、「「「「「五人の愛が、銀河を守る!」」」」」。