新春整理企画《仮面ライダー》編
年の初めなので、これまでに見た《仮面ライダー》シリーズ(TV)について整理してみようというざっくりとした企画です。
以下、完走作品一覧(※作品名や放映年の表記は、仮面ライダーWEB【公式】に基づきます)。
作品名横の〔◎○△×〕は、簡易評価。《昭和》と《平成》以降を同一基準で評価するのは難しいので、《昭和》については割愛しました。
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●昭和ライダー
『仮面ライダーV3』(1973)
『仮面ライダーX』(1974)
『仮面ライダーアマゾン』(1974)
『仮面ライダーストロンガー』(1975)
●平成ライダー
『仮面ライダークウガ』(2000) ◎
『仮面ライダーアギト』(2001) ○
『仮面ライダー龍騎』(2002) ×
『仮面ライダー555』(2003) ○
『仮面ライダー剣』(2004) ×-◎
『仮面ライダー響鬼』(2005) △
『仮面ライダー電王』(2007) ◎
『仮面ライダーキバ』(2008) △
『仮面ライダーW』(2009) ◎
『仮面ライダーオーズ』(2010) ○
『仮面ライダーフォーゼ』(2011) △
『仮面ライダーウィザード』(2012) ○
『仮面ライダー鎧武』(2013) ×
『仮面ライダードライブ』(2014) ×
『仮面ライダーエグゼイド』(2016) ×
『仮面ライダービルド』(2017) ×
●令和ライダー
『仮面ライダーゼロワン』(2019) ×
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2025年1月現在で全話視聴した作品が、21本。
特に近年は、■〔東映特撮YouTubeOfficial〕様々で、抜けの多かった2000年代後半~2010年代の作品を、この10年ほどでだいぶ見る事が出来たのは、有り難い限り。
簡易評価に基づいて、のんべんだらりと触れていこうかと思いますが、まず、ほぼ不動になっているベスト3は、
『クウガ』『電王』『W』
となり、完成度の高さと偏愛ポイントを兼ね備えて、頭一つ抜けた評価の3作。
その下につけるグループが、
『アギト』『555』『オーズ』『ウィザード』
で、ここまでが、「シリーズで好きな作品は?」と聞かれたら名前をあげるもの、といった感じ(昭和の中では、『X』が該当)。
偏愛ポイントでは『アギト』が一番高く、◎に近い作品といえますが、3年ほど前に配信で見返して、やはり『アギト』は結構好きで、割と影響も受けているな、と。
ヒーローフィクションを通してこれだけ、現実は確かにままならないけど、人生は続くし、それでも世界は美しいじゃないか、をストレートにやってのけてみせたのは、印象深い一作です。
毎度の事ながら『剣』だけ表記がおかしいですが、『剣』、前半は本当に駄目な作品だと思うのですが、後半は本当に好きで(笑)
中盤からの大手術を経て、終盤の盛り上がりとラストシーンは最高。あのラストシーンはなんというか、《仮面ライダー》へのラブレターだと思うわけなのです(作品→シリーズ、であると同時に、視聴者→シリーズ、の代筆にもなっているのが実に美しい)。
△グループは
『響鬼』『キバ』『フォーゼ』
と、トータルで今一歩といった感触の作品で、『キバ』は名護さんは好きだし瞬間最大風速の面白さはあるのですが……(笑)
『響鬼』『フォーゼ』は正直×寄りですが比較による線引きといった具合で、その×を付けたのは、
『龍騎』『鎧武』『ドライブ』『エグゼイド』『ビルド』『ゼロワン』
と、最後まで見はしたが全く肌に合わなかったグループ。
これはもう露骨に、『龍騎』を除くと『鎧武』以降の作品に偏っており……シリーズと波長が合わなくなっておよそ10年、さすがにそろそろ、毎年の新作をチェックしなくてもよいかな……という気持ちになってきたところで『ガヴ』が登場して、現在に至るのでありました。
この10年の波長の合わなさに関しては、色々な要因がありますが、一つには『オーズ』中盤辺りから見え始めていた、演出ラインの変化。
感覚的なものが大きくて具体的に言語化はしにくいのですが、悪ノリに対する内輪の肯定傾向と、悪ふざけとの線引きの甘さ、それらが生む緩急の付け方の雑さ、といった点が目立ち、特にユーモアの味付けに関しては、漫画で例えるなら「このシーンはキャラが3頭身ぐらいで描かれています」という場面がしばらくあると、そこで今週のお笑いノルマは達成したので、後はユーモアの欠片もない場面が延々と続きます、といった具合で落差が激しすぎて緩急というより分断になってしまうと共に、ちょっとしたやり取りでクスリとさせるような事が減ってしまったのを、『ドライブ』辺りから顕著に感じます。
この、〔明・軽/暗・重〕の極端化は、一つの作品に限らずシリーズ全体の舵取りに思われるので、時代性に即した方向性なのでしょうが、個人的には、物語に入っていきにくい要因の一つとなりました。
それから、『ビルド』『ゼロワン』『リバイス』といった辺りでは、キャラクターの言い回しの無神経さに引っかかる事がしばしばあり、言葉選びのデリケートさの不足が割と気にかかるポイントに(ライダーバトルありきで話を進めるパターンでも度々発生)。
これは、そういう性格のキャラクターというわけではなく、恐らく作っている方はそこに特段の悪意は込めていないと思われるのに、台詞の内容に神経が行き届いていない為に意図以上の感じの悪さや言行のズレが生じてしまう場合を指しており、恐らく『龍騎』や『555』っぽい事をやろうとして失敗しているのですが、ボタンの掛け違いが広がる原因となりました(2010年代中盤以降の作品にはしばしば、一種の井上敏樹信仰を感じるというか、『クウガ』は出来ないけど『555』は出来るのでは? というのが割と落とし穴になっている印象)。
特に『ビルド』は、主演の犬飼さんが非常に達者だったので、瞬間的な火力で場を盛り上げてしまうのですが、本来なら、もっと練った台詞を読ませてあげたい役者であったな、とつくづく。
振り返ると分水嶺になっている『ウィザード』は、そういった細かい言い回しや表現にだいぶ気を払っている作品でしたが、現行『ガヴ』を見ても(脚本 → 完成台本 → 現場、で台詞は少しずつ変わる場合がある、とした上でもなお)香村さんはやはり、言葉尻まで神経が行き届いている、とでもいったところがあって一つ一つの言い回しに対する繊細さが段違い。
脚本・演出・役者、どこから出てきたのかはわかりませんが、私は長らく、『動物戦隊ジュウオウジャー』第24話「よみがえる記憶」(監督:竹本昇 脚本:香村純子)における、
「ずっと覚えてた。大事な思い出だ! だからまた会えたんだ、母さんと。……おまえが証明したんだよ」
を素晴らしい台詞だと思っていて、大和くんが本気で怒っている時は、「おまえが証明したんだ」ではなく「おまえが証明したんだよ」こそピタッとはまる感触……それが感じられない10年だった、のが個人的な2013年以降の《仮面ライダー》との距離感でありました。
といった辺りをいい機会なので一度整理してみましたが、その他、未完走作品の内訳は、
●現在視聴中:『仮面ライダー(新)』『ガヴ』
●頭だけ見た:『仮面ライダー』『スーパー1』『BLACK』『RX』『カブト』『ディケイド』『セイバー』『ガッチャード』
●1クールもたなかった:『ゴースト』『ジオウ』
●1クールは見た:『リバイス』『ギーツ』
となり、配信が順調なら、《昭和ライダー》はこのまま見進めていきたい予定です(そうすると、最後に『仮面ライダー』が残る事に(笑))
00年代作品もここまで来ると『カブト』は見たいですし、『ガッチャード』はいずれ、録画に手を付けていきたい。
途中脱落作品だと、作品コンセプトが向いていなかった『ジオウ』を別にして、近作では『セイバー』第2話と、『リバイス』第15-16話が悪い意味で、印象深い出来でありました。
……そういえば、この10年の問題だと、諸田監督の演出が合わなくなっているのは厳しいポイントの一つで、特に、石田-諸田がローテに入ると、山口監督なども加えて作品全体で悪ノリが悪ノリを呼ぶ空気が漂い、これは『ディケイド』を最後に長石監督が外れて以降、演出陣に偏りが生まれる部分もあった印象。
その点では、現在、上堀内監督や杉原監督の下についている世代が本編デビューを果たすようになってくると、また違ったものが見られるようになってくるのかな、とは思うところです。
『クウガ』にリアルタイムで衝撃を受けた身としては、なるべく気にはしたいし、楽しく見られるなら嬉しいが、シリーズそのものが肌に合わなくなってきているならどこかで踏ん切りをつけるしかないだろう、と決断しかけた矢先に『ガヴ』に足を止められる事になった2024年、年が明けて2025年、お菓子のライダーがどこまで爆走していけるのか、楽しみにしたいと思います。