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仮面ライダーエグゼイド』感想・第18話

◆第18話「暴かれしtruth!」◆ (監督:山口恭平 脚本:高橋悠也
 前回に続いて、今回もこれまでのあらすじ無しから提供シーンまで本編映像が入って限界ギリギリまで尺を使い、真剣な表情で「飛彩さん! 僕に何か隠してますよね」と問い詰める永夢……頭を……使った……!
 ……いや、安定して使ってくれればいいのですが、全キャラ、脳細胞にギアが入る入らないが極端すぎて……前回はとうとう、元社長まで頭を使わずに帰ってしまいましたし。
 「貴利矢さんも……飛彩さんも大我さんも! 僕に何かを隠してた。適合手術ってなんですか?!」
 ……え。
 まだ、そこからなの……?
 頭を使ったかと思うと、微妙にポイントがズレているのが永夢恒例なのですが、飛彩と大我にとっては今となっては別の意味を持っているとはいえ、適合手術そのものは秘密でもなんでもない筈なので、永夢主観として見ても、第10話で疑問を抱いて以来、今まで誰にも確認していなかったのが大変とんちんかんな事になっていて、脳細胞がエンジンブローしすぎです。
 「なんで僕はエグゼイドに変身できたんですか?!」
 「……それは、天才ゲーマーだから……」
 ポピ子はポピ子でわけのわからない弁明を始め……仮にポピ子が永夢の裏事情を知らない全くもって善意の人物だとしても、それならそれで、「永夢が適合手術を受けていないのに変身できる」事について疑問を抱き、むしろ一緒に考えたり上層部に問い合わせをしていい立場だと思うのですが、得た情報の咀嚼をせずにひたすら無視を続け、もし本気で「天才ゲーマーだから変身可能」と思っているなら、だいぶ頭のネジが外れている、としか解釈のしようがなく、そういう事でいいのでしょうか。
 XXガシャットを突きつけられるとポピ子は言葉に詰まり、少なくともナースフォーム時の各対応を見る限り、ひたすら脳天気なお馬鹿キャラ、では無いと思うのですが、いい加減そろそろ、「衛生省の方針でだんまりを決め込んでいる人」なのか「難しい事わかんなーいのに何故か衛生省からCRに派遣されている人」なのかをハッキリさせないと、ポピ子の存在が一人でサスペンス要素をズタズタに破壊してしまっていて、前回といい今回といい、ポジショニングがあまりにも悪すぎます。
 「飛彩さん。僕を攻撃した本当の理由を教えて下さい」
 本日は徹底抗戦の構えを取る永夢に対して、現在ただの医者の飛彩は、そんな事よりガシャットをよこせと言い出すが、救急通報が入って永夢とポピ子が飛び出すと、そこには地面に倒れる小星と、足を組んで悠然とそれを見つめる檀黎斗の姿が。
 「君たちをおびき出す為に、その男をバグスターウィルスに感染させ、私が通報した」
 黎斗がデンジャラスゾンビすると挿入歌キャンペーンに乗せて永夢と大我が変身するが、小星の体から強化バイクバグスターが誕生すると、XXエグゼイドはそれを追跡。残ったDスナイプはZゲンムにクリティカルファイヤーを浴びせるが本日もゾンビ再生されると、ギリギリクリティカルの直撃を受けて敗れ、途中離脱したレーザーの装備をZゲンムが活用し続けているのは、良いところであり(……まあ、レーザーの武器として購入した層から見て、Zゲンムがライダー殴るのに使っているのはどうなのか、はさておき)。
 「これでガシャットを持っているのは、宝生永夢だけ」
 「おまえにあいつがやれんのか」
 「私はゲームマスターだ。エグゼイド攻略のガシャットを生み出すことなど――たやすい」
 前回の不始末を自ら精算したZゲンムは満足して去って行き、CRに運び込まれた小星は、ゲンムコーポレーションの新社長による、新作ゲームコンペに重圧を感じており……ゲンムコーポレーション、普通に、経営されていた。
 ……いやまあ、あくまで民間の私企業ではあるのですが、1クール目の描写は完全に檀黎斗のワンマン組織でしたし(社員とか居そうにないレベル)、失踪した社長が大規模バイオテロを実行した組織と繋がりがあった会社、書類という書類、機材という機材を司直の手で運び出されていると思うのですが、既に、新しいゲームを開発だ! レベルまで業務可能になっているのは、目が白黒。
 黎斗に関しては、衛生省からしても大不祥事なので情報工作が行われている可能性は多分にありますが、それにしても、社員一同あまりにぼんやりしていて、パラダイムシフト発生への意識は強いのに、それに基づいた世界観の構築-再構築が雑なので、リアリティラインにつかみ所が無くなる、大森P作品によくある困ったパターンに直撃しています。
 新社長はわざわざシルエットで描かれたので今後の展開に関わってくるのかなとは思われますが、口癖が「1000%」でない事を祈りたい(笑)
 問題の黎斗は、対エグゼイド用に、『タドルクエスト』と『バンバンシューティング』をバージョンアップした新たなデュエルガシャットを制作。
 「私の才能にかかれば、エグゼイドなど敵ではない! 邪魔な連中は排除する! 全てのバグスターのデータを揃えれば、『仮面ライダークロニクル』は完成する。一般市民がライダーに変身し、生き残りをかけた死闘を繰り広げる、究極のサバイバルゲームがなぁ!」
 エグゼイドへの度重なる敗北、小星によるガシャット製造、パラドの反抗的姿勢、そしてたぶんゲーマドライバーの不備……諸々のストレスから持ち前の傲慢さを支配欲と攻撃性の形で爆発させる黎斗は、『仮面ライダークロニクル』の概要を、ぽろっと公開し、国民参加型『龍騎』、みたいな感じでしょうか。
 「ガシャットは私が考えた! 私にしか作れないものだ! 君たちバグスターだってそうだ。私の計画を実現させる為の、駒にすぎないんだよ」
 「……駒」
 「ゼロからゲームキャラクターをデザインし、思考ルーチンを組み立て、意のままに操る、ゲームマスターの私こそが――神だ」
 ゲームを徹底的に管理する――それによって神の視座に立つ――事にこだわる黎斗が指揮棒を振るうようにしながらうそぶき、狂気に似た衝動が剥き出しになるのですが……山口監督×檀黎斗=顔芸強調、があまり好きではなく、特に、〔黎斗が剣呑な表情を浮かべる → 一瞬画面にフィルターを乗せる〕は、個人的には逆にテンションの下がる演出。
 一方、CRに連絡を取った大我(ガシャット無い仲間)は、永夢にガシャットを使わせるな、と改めて忠告し、それを聞いたポプ子は、永夢がバグスターウィルスに感染している事に、思い当たる。
 衛生省と繋がっている筈のポピ子は、永夢の事情について知っているのか知らないのか…… どちらに転んでも、ポッピーの内臓が真っ黒になる地獄か、ポッピーの脳細胞が真っ白になる地獄かの二つに一つだったのですが後者が選ばれ(勿論まだ、本当は知っていたけど知らないふりをしている可能性もありますが!)、1クール目の諸々が生んだツケを全身で受け止める事になったポピ子さんが、「みんな! ここは私に任せて、早く第3部へ行って!」みたいな感じに。
 せめて1クール目に、ポピ子が永夢の手術の件について衛生省に問い合わせるも回答を拒否される(ので疑問に思いつつも自分なりの理屈で納得するしかなくなる)、みたいなシーンの一つでも挿入されていれば印象はだいぶ違ったのですが……。
 数年前に野菜のセンパイは言いました。
 「もう少し頭を使った方がいいぜ。結局、この世は頭がいいヤツが勝つ事になってるんだ」
 バケツバグスターは、ゲンムコーポレーションに乗り込んで開発チームを襲う事で小星にストレスを与えようとし、飛彩は永夢からガシャットを奪い取ろうとするが、永夢はこれを拒否。
 実際の身体能力はわかりませんが、生身だと物理に訴えられないところには、飛彩の限界というか理性を見ますというか、もう花家先生をCRに呼んで罠を仕掛けてもらっても良かったのでは……。
 「僕はつくるさんの笑顔を取り戻したいんです。患者の事情に感心のない飛彩さんには! 任せたくありません」
 「事情など知るか!」
 「……飛彩」
 「俺はただ、目の前の患者を治したいだけだ」
 飛彩と永夢とのやり取りで、初期飛彩の発言にフォローが入れられるのですが、これ、飛彩の発言に問題があったというよりも、永夢の解釈の方に問題があった案件なので、どうもスッキリしません。
 飛彩の言葉に思うところがあったのか、しばし立ち止まる永夢だが結局は飛び出していき、開発チームを狙うバグスターに、自転車アタック!
 「エグゼイドぉ。おまえもレースに参加する気か?!」
 「ああ。やってやるよ!」
 バイクと自転車でレース始めたらそれはそれで面白かったですが、そこにやってくる檀黎斗@コート姿が格好いい。
 「宝生永夢。君のガシャットを回収する」
 飛彩&ポピ子と、大我&ニコも駆けつけて一同揃ったところで檀が『タドルクエスト』をバージョンアップした『タドルファンタジー』を起動し、レベルアップのインフレから取り残され気味のブレイブとスナイプをどうするのかと思っていたら、敵サイドがエグゼイドを倒す為にガシャットを強化するのは、合理的な理由があり、ライダーガシャットの基本的な扱いもねじ曲げず、面白い流れ。
 「エグゼイドを排除しろ」
 黎斗の指示により、LV50の魔王アーマーが、寸胴XXを、一撃爆砕!
 倒れた永夢に近づく黎斗は、バイクバグスターが突っかかってくるとZゲンムとなってこれを撃破し、そのデータを回収。
 「君たちライダーも、バグスターも、私の計画の駒にすぎない。用済みになったものは、処分するだけ」
 神を気取るゲンムの言葉に、九条の、そしてバガモンの死を思い起こして抵抗しようとする永夢だが、死神の鎌が首筋にかけられたその時――Zゲンムの度重なる同族殺しに耐えかねた赤パラの放ったスクリューアッパーが、Zゲンムに直撃!
 「なんの真似だ……パラド!」
 音楽性の違いから遂にバンド解散への一歩を踏み出したパラドクスは、リボル殺しに関しては、ゲームの中で真剣に遊んだ結果だと供述。
 「ゲームのルールに従って、競い合って勝敗を決める。それが、バグスターの生き様だからな!」
 バグスターはあくまで“ゲームに縛られた存在”である事を強調するのですが、グラファイトは……? となりますし、グラファイトは完全体だから、というなら、バグスターは“完全体になってゲームの鎖から脱しようとしているのでは”となりますし……肝心のパラドの位置づけも不明な上、シューティングゲームのキャラクターを格闘ゲームの必殺技で殴り倒すのを「ゲームのルールに従った生き様」と主張されても、耳から何かが抜けていきそうです。
 今回、この後に待つクライマックスを踏まえ、次回以降の展開への下準備として幾つかの要素を整理しているのですが、ここまでに必要な情報の積み上げが出来ていないので、あれもこれも下ごしらえが足りない、という事に。
 「いちゲームキャラが……ゲームマスターに噛みつく気か!」
 「おまえは完全に、俺の心をたぎらせた!」
 赤パラは炎のパンチラッシュを叩き込み、ど派手な大爆発でZゲンムはばよえーん。
 「自分が何をしているか、わかってるのか!」
 「ああ。よーーくわかってるぜ」
 更に青パラとなるとマッスルおめでとうコンボを叩き込み、筋肉への憧れを隠せないところには、好感を持っても良い気がしてきました!
 Zゲンムを変身解除まで追い込んだパラドは余裕の笑顔でフィールドを解除するが……傷だらけの檀黎斗は、その顔にどう猛な笑みを浮かべる。
 「……宝生永夢は俺が倒す。君はそう言った。私に歯向かった罰だ。その望みを……断つ。
 ……宝生永夢! なぜ君が適合手術を受けずに――エグゼイドに変身できたのか。なぜガシャットを生み出せたのか、なぜ変身後に頭が痛むのかぁ!
 その答はただ一つ。へはぁー……宝生永夢! 君が、世界で初めて、バグスターウィルスに、感染した男だからだぁ!! わはははは、わーははははははは!!」
 これまで大我と飛彩が隠し続けていた秘密を永夢の前で暴露し、ここに関しては、一時期やたらにネット上で流行っていたので、意味がわからないなりに目にする機会が幾度かありまして、正直、「あーこれが○○かー」と、有名な観光地を訪れた気分(笑)
 実際に映像で見るのは初めてなのに、まるで初めての気がしないシーンとなり、物語の文脈の中で捉えるのが大変難しくなってしまったのは、後追いの難ではありました(こればかりは仕方ありませんが)。
 「……僕が……ゲーム病?」
 愕然と立ち尽くす永夢の両瞳が紅く輝くと、その全身にノイズが走り……宝生永夢、消滅?! で、つづく。
 次回――大魔王ブレイブ、誕生の予感。