東映特撮に踊らされる駄目人間の日々のよしなし。 はてなダイアリーのサービス終了にともない、引っ越してきました。
旧ダイアリー保管用→ 〔ものかきの倉庫〕
特撮作品の感想は、順次こちらにHTML形式でまとめています→ 〔特撮感想まとめ部屋〕 (※移転しました)
HP→〔ものかきの荒野〕   X/Twitter→〔X/Twitter/gms02〕

かっとべバーガータイム

仮面ライダーエグゼイド』感想・第17話

◆第17話「規格外のBURGSTER?」◆ (監督:山口恭平 脚本:高橋悠也
 休暇を貰いオープンカフェで携帯ゲームに興じる永夢は、虹色のマフラーを巻き、盛んに独り言をつぶやいては、「よっしゃ! ノーミスクリア! ふぅ~!」とかポーズを決めてしまう、ちょっとアレな感じの人であり、6年前にネクストゲノム研究所にさらわれていなければ、こんな大学6年生になっていたのではないか、というIFな姿ではありましょうか。
 俺はビッグになる男、とか平気で言いそうな休日の永夢は巨大なハンバーガー頭のバグスターと遭遇して追いかけるが、患者らしき男は何故か、バグスターと友好的な会話をかわす。
 状況に困惑しつつもポピ子が合流、男をゲーム病と診断していると、大我&ニコが登場。
 「あ、大我さん、ニコちゃん」
 「馴れ馴れしくあたしの名前呼ぶな。ね~、永夢をぶっ飛ばしてよ大我ー」
 ……なんか、ホステスみたいになっていた(笑)
 「馴れ馴れしく俺の名前を呼ぶな。おまえの主治医だぞ」
 大我先生が、精神判定でファンブル出さず抵抗成功してくれて、本当に良かった……。
 「へー! 主治医ってことを認めてくれるんだ~」
 だが、乙女ゲーからは逃げられない!
 「違う!」
 「二人とも、治療の邪魔しないで」
 そして相変わらず、大我には対応が氷点下なポピ子。
 「そっちこそ、ゲームの邪魔すんな。ボケナース」
 どこからともなく茄子を取り出したニコが大我に代わって反撃すると二人は背景で低次元な言い争いを始め……ポッピーが民間人と絡む&正面からぶつかってくれる相手が出てくるのは好材料で、ニコの存在がだいぶ効いています(後の『ゼロワン』の時はどうしてこのピースを用意できなかったのか)。
 メンコのノリでガシャットを賭けた勝負を持ちかけてくる大我だが、そこにパラドが乱入してくるとハンバーガーの意見は聞かずにタッグを組んでパラドクスに変身。
 ところが患者はどういうわけか、バーガーが攻撃を受けるとストレスを感じており……更に休暇中の永夢は、ガシャット(危険物)を机の上に置いてきていた。
 バーガーバグスターを守って欲しい、と男が懐から取り出した未知のガシャットを起動したエグゼイドは、ケチャップハンドとマスタードハンドを身につけローラスケートを履いたジュージューエグゼイドに大変身し、山口監督のノリが良い方向にはまって、ここまで突き抜けてくれると、面白くはあり。
 「ノーコンディニューで、ハンバーガーを作るぜ!」
 スナイプを蹴り飛ばしたJエグゼイドはそのままバグスターと逃走し、背中を見送り「やるなエグゼイド……」と呟いて内なるハードボイル度を高めようとする大我だが、押しかけ嫁のツッコミの方が……強かった。
 バグスターとともにCRに運び込まれた患者・小星は、実はゲンムコーポレーション開発部の人間であり、黎斗の失踪後、会社を立て直す為に新たなゲームの開発を進めていた事を説明。
 5年にわたり大々的な情報隠蔽を行ってきた衛生省が、ゲンムコーポレーションに全く手をつけていないのは不自然極まりないのですが(黎斗が自社ビル爆破でもしていた方が自然だったぐらいで)、回想シーンを見るかぎりゲーム制作は一人で進めていたようなので、小星は小星で、衛生省に差し押さえられる前に会社に残った機材一式を持ち出し、地下に潜伏してゲームを作っていた困った人だった可能性は、充分にありそう。
 黎斗が残していたデータを元に完成した『ジュージューバーガー』はバグスターウィルスを宿しており、小星はゲーム病に感染。ハンバーガーバグスターが実体化するが、それがゲームのキャラクター・バガモンそのものだった事から小星が深い愛情を示した事がきっかけで、両者の間には父子のような関係が育まれており、延々と見せつけられる、中年男性とハンバーガーの被り物のいちゃいちゃシーン。
 「私とおまえは、一心同体だ」
 「……まいったなぁ……」
 さすがの患者治すマシーンもこの状況に困惑(とはいえ、バガモンを切除しようとする→ストレスで小星が消滅する、の最大のネックさえなければ、なんか理屈つけて切除しそうな気がしてならないわけですが……)している内にポピ子とバーガーはすっかり意気投合するが、事情を知らない飛彩がCRを訪れて、一悶着。
 「やはり……バガモンは、敵キャラ。いつかは、倒されなきゃいけない、運命なんだガ……」
 置きピクルスを残してバーガーはCRから姿を消し、前半の内は、コミカルな味付けで普段と違うキャラの表情を引き出すのが悪くなかったのですが、ここまで来るとそろそろ、他に描く事があるのでは……と、悪ノリが過ぎて取捨選択がズレてきている感。
 「おまえを、ハンバーガーの具にしてやるガーーー!」
 街に繰り出し市民を襲う演技をする事で、自ら悪い敵キャラとして退治されようとするバーガーだが、今回も永夢がスナイプを制止。
 狙いとしては、いつもと違う性質のバグスターに向き合おうとする永夢の奮闘を強調したかったのでしょうが、バーガーを攻撃すると小星が消滅する問題が大きすぎて、それに気付かないスナイプの方が迂闊すぎる話になってしまっています。
 先のCRでの飛彩の描写も含め、コメディ調で誤魔化してはいるのですが、永夢の正当性を描く為に、大我と飛彩を道化として描いてフォローもしない、キャラクターの扱い方が、大変残念。
 「黙れ! おまえたちも、ハンバーガーの具にしてやるガーーー!!」
 敵キャラ以外のアイデンティティを与えようとする永夢たちに対し、小星の健康の為、あくまでバーガーは敵キャラとして散ろうとし……善良なバグスターも存在するのではないか? という話をしている同じ場面に、未だ理由は全く説明されないが存在を許されているどころか衛生省に食い込んでいる自称バグスターの女が立っているが、当然、誰一人としてその存在に触れないまったき虚無空間が広がっており、そろそろ、このノリが辛くなってきました。
 今回の主題歌は正攻法でアクションシーンに組み込まれ、Jエグゼイドの手により、クリティカルにジュージューバーガーが完成。
 それを食べてバガモンが満足するとゲームがクリアされた事になり、クリア条件はバガモンの撃破では無かった……と適当な感じでゲーム病の治療とバガモンの存在維持が両立(一応、ポピ子の秘密に繋がるのか……?)。
 再び小星とバーガーが頭をぐりぐりしあう姿が繰り返され……ふと思い立って確認してみたら、髭の中年男性を主人公が抱きしめる『仮面ライダーゴースト』第4話の演出が山口監督で、もしかすると監督の中ではこういうのが、一種のセオリー外しとして面白い認識なのでしょうか。
 基本、人間と動物の間の愛情表現なのですが、バーガーに愛嬌を与えるなら他の手段も織り交ぜた方が効果的ですし、自然な愛情表現の描写のつもりなら執拗に繰り返しすぎですし、特に面白くもなければ(一回だけならありだったとは思いますが)工夫の足りない尺稼ぎにしかなっていなくて、辛い。
 「不正なゲームは回収する」
 そのまま大団円、とは行かずに元社長とパラドが現れると、続けて挿入歌をバックのバトルに突入し、ぷよぷよおめでとうコンボばよえーんにエグゼイドとスナイプは完敗。
 ガシャットを回収したパラドクスに対し、Zゲンムは毒々ゾンビ盆踊りでバーガーバグスターを爆殺し、物凄く深刻なBGMで悲劇を煽られるのですが、うーん、正直……バーガーバグスター、「生みの親といえる小星に懐いているペット」でしかなかったので、視聴者への感情移入を狙うなら、もう一つ二つの仕掛けは欲しかったところ。
 小星以外で仲良くなっているポピ子は、本人供述だとバグスター(同族)であるわけですし。
 また、永夢がバーガーを攻撃できない当初の理由は「小星が消えてしまうから」であったので、バーガーへの感情移入を進め、永夢の叫びを劇的にする為には、劇中において明確にその理由の更新が必要であったのでないか、と思います。
 「何をするんだ…………うぁぁぁぁ! ……バガモンは! いい奴だったのに!!」
 絶叫した永夢の両瞳が紅く染まるが、ダメージの大きさから立ち上がる事は出来ず、
 「バグスターに肩入れするとは……君の体がそうさせたか」
 永夢はともかく大我からスナイプのガシャットを奪わずに帰路につく元社長、短期の行動目的(不正なゲームは許さない)が挿入されると、長期の行動目的(ガシャット回収)が消滅する完全なぽんこつと化しているのですが、そろそろ、Zゲンム化の副作用が出てきたのでしょうか。
 アジトへ戻ったパラドは、黎斗がバーガーバグスターを葬った事に不快感を示し、両者の価値観の差は着々と積み上げられて行く中、黎斗は『ジュージューバーガー』のデータを究極のゲームに取りこんでいく……
 「全てのガシャットが重要な意味を持ち、『仮面ライダークロニクル』の世界を作り上げるのさぁ!!」
 うんだから、スナイプのガシャットは……?