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迫るベーダー 悪魔の軍団

電子戦隊デンジマン』感想・第11話

◆第11話「いのち泥棒を追え」◆ (監督:広田茂穂 脚本:上原正三
 本日も、赤城球場では空手の稽古。
 そしてそれを、スタンドからミラーとケラーが写真撮影していた(笑)
 ……いっくらなんでも無理のある画ですが、超異次元的カモフラージュが施されているに違いありません。
 今回、稽古が終わると赤城が子供たちを外まで見送るシーンが描かれ、その際に看板がはっきりと映ってアカギランドは「後楽園ゆうえんち」という名称であると判明。恐らく都心の一等地にあると思われ、凄いぜアカギランド。
 赤城の身辺を盗撮していたミラーとケラーの情報により、空手教室に通う少年の一人とその姉が赤城を釣り出す為の標的とされ、ベーダー怪物・タイヤジコラーがテンション高く誕生。
 「とぁっ! おめでタイ・めでタイヤ!」
 ……2024年に聞くと、大変、爆上げです。
 ブンブン事故らせタイヤーは、歩道橋を逆走すると標的の少年を轢き、意識不明となって病床に横たわる少年の容態に対し、「さー、今のところは……」と身内に首をかしげて済ませる医者の先生、どうしてこの時代の東映特撮のモブドクターは、体感7割ぐらいでやたらにドライなのか。
 タイヤ事故ラーには、轢いた相手の魂を奪い取る恐るべき能力があり、それを耳にした少年の姉はタイヤ事故ラーに直談判に向かうが、デンジマンがそれを救出。
 だが深追いしたデンジレッドが囚われの身になってしまい、空手教室の参加者を利用して赤城を狙ったベーダー一族の真の目的……それは、デンジメカの中枢回路であるデンジストーンを奪う事にあったのだ!
 意識を回復した赤は、時間を稼いでベーダー一族の本拠に自身が身柄が運び込まれるように持ち込み、ヘドリアン女王のタマとっちゃる、と画策すると、敢えて変身解除して強化服を収納するが、その指輪を奪われてしまう大失態。
 レッドが囚われの身になったところから、ナレーションとモノローグで、「こういう意図でこういう事をしているよ!」とフォローしながら進んでいくのですが、説明と行動がいまいち噛み合わず、トドメは、
 ナレーション「4人のデンジマンは、タイヤジコラーの誘いに乗って、ベーダー基地から遠ざかってしまった」
 しまった!!
 デンジリングはヘドラー将軍の全力ハンマーでも傷一つ付けられず、どうしてもデンジテクノロジーを研究したいベーダー一族は、指輪を封印して赤城を処刑する代わりに、赤城に指輪を返しての再変身を要求し、奪われた変身アイテムが、使ってみてほしいからと返却される宙返り(笑)
 腐っても赤城一平、ベーダーの言いなりになぞなるものか。おうおうおう、俺の変身を見たいなら、貴様らの親玉のところに連れていきやがれ、と一か八かの単身カチコミを狙って強気の姿勢を崩さない赤城だが、女王の入れ知恵によってヘドラー将軍は少年の魂を人質に利用し、良くも悪くもあまりキャラを固めずに進めているのでしょうが、今回の将軍は思い切りよく下卑た悪役路線。
 やむなく赤城はデンジスパークし、今度こそデンジメカを解体しようとするベーダー一族だったが、荒野に放置されてたデンジマシーン(多分これも、ネジ一本として分解できなかった)がオートコントロールでアジトに突入してくるとバルカン砲をぶっ放してデンジレッドを救出し、今回の教訓は、最後に頼れるのは血の通った仲間よりも、高性能のカーナビ。
 砲撃や戦闘機の攻撃をかいくぐって爆走するデンジマシンにスポットが当てられ、そこにようやくデンジジープが合流すると、フレーム部分に取り付けられた機関銃で戦闘員を薙ぎ払っていくのが、何やら、別の映画みたいな(笑)
 レッドがタイヤ事故ラーから魂コレクションを回収すると、反撃の、見よ! 電子戦隊デンジマン!!
 「「抹殺せよ!!」」
 合流したデンジマンとベーダー一族が激突し、戦闘員を蹴散らすデンジマンだが、物凄い勢いでブンブン走り回るタイヤ攻撃に大苦戦。
 デンジジャンプからの空手キックも通じないタイヤだったが、デンジタワーからのジャンピングスティック5連発によって防御を破られるとデンジブーメランでスパッとされ……クライマックスバトルのタイヤ事故ラー、怪人の着ぐるみ姿よりも、古タイヤがひたすら斜面を転がっていた時間の方が長かったのでは。
 左右非対称が特徴のベーダー怪物ですが、半魚人顔で、左半分には歯が並び、右半分には長い牙が延びている、のが割とインパクトがあり、手持ち武器が道路標識(ポール)ままというファイナルファイトな開き直りぶりが割と面白かったタイヤ事故ラーは、毒ガス弾(排気ガスのイメージ……?)でダイデンジンに抵抗を見せるも、満月斬りでばっさり両断。
 魂が体に戻って子供達は無事に回復し、前半はゲストヒロイン推し風味で進んでいたと思ったら、後半には存在がほぼ消えて無くなるのですが、〔敵アジトに運び込まれるヒーロー〕から〔敵味方がそれぞれの策を巡らせるがその場凌ぎで収集がつかなくなっていく〕のが、“駄目な時の《仮面ライダー》”みたいなエピソードでした(笑)
 これが風見先輩だったら、「はっはっは、彼の魂を取り返す為に、俺がわざと捕まった事に気付かなかったようだなデストロン!」で一発解決(なおその後、得意の絶頂で落とし穴に落ちるまでがセット)するところでしたが!
 そんな既視感も含めて、赤の危機からチームヒーローの要素を活かすどころか仲間たちが遠くに消えてしまい――赤城メイン回にしてもそもそも、チームヒーロー物として組み立てられていない――、スーパーマシンが壁を突き破って救出に来る画とか、戦闘員が急に白衣着てたりする辺り(どちらかというと今作ここまで、戦闘員から人間味を排除する路線だったので)も、そこはかとなく《仮面ライダー》(伊上作劇)風味強めの一本でありました。