東映特撮に踊らされる駄目人間の日々のよしなし。 はてなダイアリーのサービス終了にともない、引っ越してきました。
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触れてはいけない

電子戦隊デンジマン』感想・第12話

◆第12話「危険な子供スパイ」◆ (監督:竹本弘一 脚本:上原正三
 見所は、青梅のロッカーから溢れ出す、大量のあんぱん。
 もはや、ギャグを通り越してホラー。
 前回もカレーが出来上がるのを待てないと即座に懐から取り出して食いつくなど半ば病的な執着が見られ、好物によるちょっとしたキャラ付けを通り越して、冒涜的でおぞましい宇宙的真実に繋がる隠された祭儀的な気配さえ漂います。
 物語も怪奇色強めの導入で、アスレチッククラブ常連の少女がベーダー怪物バーラーに襲われ、その種子を植え付けられて仮死状態に陥ると、冷凍マグロのようにケースに横たわっているのが、まずは怖い映像。
 少女の体からスルスルと植物が伸びて生長すると、巨大な実の中から少女の姿をそっくり写し取った植物人間が誕生し、ベーダー一族はその姿を利用して、桃井あきらの抹殺を画策する。
 少女はまずはクラブの各所を薔薇で飾ると、そこに仕込まれた隠しカメラが特撮謎カメラの役割を果たし、映像を見ながらミラーとケラーが少女に指示を出す趣向なのですが、「今だ突き飛ばせ!」「刺せ! 差せ!」「3-6! 3-6!」(仕掛けが遅いからまた失敗したぞ……!)みたいな一連のやり取りが、ちょっとコントめく事に。
 まあ、そのままストレートにやると、中身は植物クローン人間だが見た目は小学生女子が、ヒーローを転落死させようとしたり、ヒーローに果物ナイフを向けたりする映像が続く事になるので、意図的に少々コミカルに見える部分を入れた可能性はありそうですが。
 一方、デンジランドで一人格好つけてギターを弾いていた緑川は、「チーコ」「ミドちゃん」と呼び合う仲の、旧知の婦警、マツオ・チエコと再会し、青梅の妹分に続いて、メンバー前職関係のゲストキャラが登場。
 前回の次回予告からすると、民間人のにぎやかし要員としてセミレギュラー化するのかもですが、もしデンジドリルを使うのが青ではなく緑だったら、私の中で緑川の通称が「ドリル川」になりかねない危機でした。
 再会早々、チエコに逮捕……じゃなかった強引に引きずられていく羽目になった緑川は、ベーダーの襲撃を受けると銃撃を回避しながらデンジグリーンへと変身し、格好つけて地面をグルグル回りながら拳銃を撃っているけど、よく考えると標的はただの空き缶だな……なOPのイメトレが役に立ちました!!
 緑川の介入もあって桃井暗殺に失敗したベーダーは、他の子供たちも巻き込んで植物人間を増やすと、アスレチッククラブの地下からデンジランドへの秘密ルートを探りだそうと作戦変更。
 時同じくして、緑川の様子が怪しい、と不審を抱いたチエコ巡査がアカギランドの地下に忍び込むもアイシーに発見され、見た目ただの小太りな犬を「怪物」呼ばわりしてやたら怯えており、恐らく、チエコ巡査の目には、我々とは違うものが見えています。
 チエコが花瓶を倒した拍子に赤城が隠しカメラに気付く一幕を挟み、チエコの弁解から子供たちも地下に入り込んだ事を知った赤城らは、まさかのスパイダーアクションにより天井に張り付いていた子供たちの奇襲を受けるが、植物人間による自爆テロを辛くも回避。
 茶番劇により隠しカメラの性能を確認すると
 「これぐらいの発信機なら3km以内だ」
 「そこにベーダーのアジトがある。行くぞ!」
 の流れは台詞に切れがあって秀逸だったのですが(黄山のやたらな場慣れ感)、捜索中に桃井がバーラーに捕まり、チエコも捕まり、まとめて電気椅子で処刑の危機に陥ると特に説明なく赤青黄緑が突入してくるので、“隠しカメラのスペックから敵アジトの所在を絞り込む”要素が、どこかに吹っ飛んでしまって残念でした(笑)
 デンジマンは冷凍マグロ状態の子供達をデンジシャワーで救出すると、逃げるミラーとケラーの前に立ちふさがって、振り向くな振り向くな振り向くな~。
 対するベーダーは、地面に投げつけられたバラのひとかたまりから戦闘員が沸き出す一工夫で、抹殺せよ!!
 出現方法こそサプライズがあったもののの、最近はすっかり手慣れた感じのデンジマンにより戦闘員が壊滅すると、デンジスティックのダメージに悶絶したバーラーがブーメラン抜きで巨大化し、デンジタイガー発進。
 釘バットならぬ薔薇バットで殴りつけてくるベーダー怪物に対し、開始15秒足らずでデンジ剣が引き抜かれると満月斬り! ……が、かわされた?!
 バーラーが無数の花びらとなって姿を消すと、ロボを降りた5人がその行方を捜す変化球で、路上に咲く真っ赤なバラに気付かずにデンジマンが通り過ぎていくところでOPイントロが流れ出し、ピンクがハッと振り向くと、5人を襲う薔薇吹雪。
 どこか不気味さのあるOPイントロの使い方が面白くはまり、OPインストでの第3ラウンドに突入。次々に薔薇を投げつけられて顔面にぐさっと刺さるデンジマンだったが、無敵前ダッシュのデンジジャンプによる飛び道具回避から、高速回転でバーラーの三半規管と平衡感覚を破壊した末に、デンジブーメランでスパーク!
 1クール目の締めはちょっとした変則バトルでワンパターン化が避けられ、後日、プールサイドに元気に並ぶ子供たち。そこへ何やら不正と隠蔽の匂いがする……と顔を出したチエコは、またもアイシーに驚いて鮮やかにプールに落ち、今はまだ軽い警告で済んでいますが、その内、レーザーで脳を灼かれたりするのではと、心配になります。
 あばばばば、ワタS、マツオ・チエコ。ジョーナン署の少年課勤務。アスレチッククラブは怪しくない。怪しくない。怪しくNaイ。いつもニコニコ現金張らない。健全な魂は健全な肉体に宿るのです渡しはなにも見ていませ、地平線の彼方から金色の翼を広げ、夜明けと逆方向に走っていくあれば犬、犬?
 ――「あの患者、まだ身元が分からないのか?」
 ――「ああ。酷いもんだよ。脳神経がズタズタにやられてる。一生あのまんまだそうだ」
 ……それにしても、セミレギュラーの子供達が容赦なく事件に巻き込まれる作風ですが、デンジマンが「顔割れを気にしない」で「表社会との接点を残したまま戦っている」のは、裏を返せば視聴層へのフックとして
 周囲の子供達をスムーズに巻き込む為の設計
 だと考えると、人の心がない、もとい、『ジャッカー』『BFJ』とは、全く別のアプローチとして興味深いところ。