東映特撮に踊らされる駄目人間の日々のよしなし。 はてなダイアリーのサービス終了にともない、引っ越してきました。
旧ダイアリー保管用→ 〔ものかきの倉庫〕
特撮作品の感想は、順次こちらにHTML形式でまとめています→ 〔特撮感想まとめ部屋〕 (※移転しました)
HP→〔ものかきの荒野〕   Twitter→〔Twitter/gms02〕

『ファイアーエムブレム 風花雪月』感想

好きなNPCは、第1部の門番

 プレイ時間は約95時間。赤組でクリア。
 ひとまず1周クリアしたので、現時点での感想をまとめておきたいと思いますが、想定される会話パターンのボリュームがとんでもない事になっていて、コンプリート好きのユーザーは大変そう……というのが真っ先に脳裏に浮かんだ事(笑)
 システムやストーリー面は十分に楽しめましたが、ルート分岐型ゲームの宿命として1周しただけでは情報の不足が目立つので、周回プレイ推奨の一方、1周に相応の時間がかかるというのは、作品の長短として、好みと評価の分かれる所になりそう。
 100時間近くかけて(まあ私は割と余計な時間をかける方なので、平均的な数値より長いかなと思いますが)1周クリアしたにも拘わらず、どこまで奥行きがあるのか、或いは、意外と奥行きがないのか、全容が掴めない、そんなゲームでした。
 とはいえ、洋物の大作オープンワールドRPGなどではままあるボリューム感なので、シリーズファンが多くついており、(一応)据え置きハードで展開するならば、ここまでやってもいいのではないか、ここまでやってもユーザーがついてきてくれるのではないか、といった考えはあったのかなと思え、実のところ今作は、洋物オープンワールドRPGを視野の片隅に据えたシミュレーションRPGなのではないか、とそんな事も思っています。
 というのは、今作がシリーズ従来作に比べてロールプレイ要素が非常に強化されている点からの発想なのですが、今作の大きな特徴が、主人公が“担任クラス以外の多くの人々とどう関わっていくか”をプレイヤーが決めていける事。
 後半の物語内容にも効いてくるのですが、今作に盛り込まれたアドベンチャーパートに、「シミュレーションパートにおけるユニット」ではないキャラクター達へ関与可能な時間、という機能を与えたのは非常に上手い設計であったと思います。
 これにより今作は、物語として「避けられない悲劇」がある一方で、プレイヤーが「運命に介入できる」というゲームとしての醍醐味を生み出しているのですが、「介入できる」という事は逆に、「介入しない」とする選択もあるという事で、その結実として「介入する」にしろ「介入しない」にしろ「介入できなかった」にしろ、起こった出来事はプレイヤー自身が背負う「体験」になる、というゲームデザインは絶妙。
 キャラクター個々の「運命に介入できる」ゲームとしての醍醐味が、プレイヤー個々がその選択の結果を受け止める「体験」へと昇華される構造には、ゲームの有する機能性への強い意識が感じられ、「運命をただ見せつけられる」のではなく「運命に介入の余地を与えられる」事により、シリーズ前々作にあたる『if』の失敗を繰り替えさなかったのは、高く評価。
 また、ゲーム的な救済システムの形を取りつつ劇中で主人公に「運命を変える」力が与えられているのが、今作においてプレイヤーの前に並べられた「運命に介入する」機会と同調しており、内的にも外的にも「運命に触れる」とはどういう事か? というのがゲーム全体を貫いているのは、お見事。
 そしてそう考えた時、このゲームにおける最大のif――運命の分岐点――は、序章に存在しているわけで……あれ、もしかして、あの選択肢こそが真の正解だったのか……? という、え、何この、邪悪なシナリオ!(何か酷い事に気付いてしまった顔)
 …………ま、誰にとっての正解なのか、という難しい問題はさておいて、システム的に一つ不満をあげておくと、出撃人数の少なさ。
 プレイヤーがどこまでスカウトを利用するか、という見積もりが難しかった部分はあったのでしょうが、せめてデフォルトで12人は出したかったなぁ……と。シミュレーションRPGとしての《FE》シリーズの良さは、出撃ユニット数の多さだと思っているので、ここは残念でした。
 あと、物語内や世界観としては重要な扱いを受ける《紋章》が、ゲーム的には計算もできないし発動しても驚くほどの効果もないので、物語的な意味づけとゲーム的な意味づけのギャップが大きくなってしまい、この点に関してはシステムと物語の融合が上手く行かなかった印象。
 《FE》シリーズとしては、ランダムな要素に戦術的に大きな意味を持たせ過ぎなかった、というのは良い判断だったと思うのですが、ストーリー面でもう少しそのギャップを補えればより良かった、と思います。
 支援会話の充実をはじめ、キャラの掘り下げ要素は非常に行き届いており、それとシミュレーションRPG部分の噛み合わせも良く、シリーズファンの望む要素を盛り込みつつ、新たなスタイルの模索に成功して完成度高くまとめた一本。
 ……そして、キャラクターへの愛着が増せば増すほど、2周目以降が真の地獄なのでは……と気付いて戦慄するプレイヤーでありました。
 以下、今回クリアした赤組のストーリーとキャラクターの話。最後までのネタバレを含みますので、ご留意下さい。
 ・
 ・
 ・
 ・
 ・
 というわけで、ここから大きなネタバレあり。
 上述したようにゲームデザインは良く出来ていて、システムもシナリオも十分楽しめたのですが、辿り着いたエンドが、あれ、本当にそこで終わってしまうの? という、いわゆるノーマルエンドな気分で、解決していない重要な要素が幾つか残っていて、ちょっともやもや。
 そしてこのゲーム、「なにか“この先”へ進む条件があるのか」「他のルートをやると納得できるのか」「特にこれ以上ない」のかが、体感的にわかりづらく、何かあるといいなぁと思いつつ、もやもやが続くという(笑)
 少なくとも、如何にもラスボスとして印象づけられた人と決着つかずじまい、というのはスッキリしないのですが、ルートによってラスボスが違う作りだったりしそうではあり。あと、支援会話のリストを見ると、あのルートはありそうなんですけど、その場合、色々、どうなるのやら。
 シナリオは十分に楽しめた、と書きましたが、ちょこちょこと不満部分はあって、赤組ルートで不足していると思うのは、エーデルガルトが“白きもの”へ向ける強い憎悪の背景。性格的に受け入れがたいのはわかりますし、叔父とのあれこれも推察もできますが、プレイヤーにとってシナリオを進める原動力に繋がる部分なので、この点はもう少し、強調した方が良かったかなと。
 合わせて、他ルートで情報が補完されそうではありますが、教団上層部及び主人公の秘密について、一定の推測は立つものの物語としてはわかりづらく、単独のシナリオとしてはスッキリしない要素になってしまいました。
 それから、エーデルガルト様が炎帝時代の行状についての申し開きをスルーしたまま、従者が「すべてアランデル公が悪い」と責任を押しつけたのは、気になったところ。その上で決着をつける展開が無いのがどうも消化不良なのですが、実はきちんとしたエンディングに到達していないというのがありそうで、怖い……。
 あと、死神騎士が第2部に一切出てこなかったのが凄く気になるのですが……もしかして第1部のラストでレアに特攻したら必殺発動して返り討ちに遭った際に、特に台詞が無いまま死亡扱い……? 必殺7だったのに綺麗にカウンターが入る衝撃の展開だったのですが、NPCなので、どうにも出来なくてですね、ハイ。
 その辺り、まだ奥があればいいなという願望も込めつつ青組で2周目に入る予定。
 以下、スカウト組含めて、キャラクター雑感と職業遍歴。
-----
◇ベレト
 〔平民→剣士→盗賊→アサシン→ニルヴァーナ
 特殊職がどうにも格好悪い主人公。序盤、集中して育てすぎたので、途中から弓矢を持って牽制役、反撃をしない囮役が仕事となった、剣弓運用。システム的な都合もあって満遍なく育つ万能型で、最初から最後まで安定して強かったです。ニルヴァーナ記念に最低限の魔法も修得させていたのですが、終わってみれば、弓矢しか撃っていなかった。初回は素直に、エーデルガルトEND。
 ……ところで、しれっとリンハルトEDが用意されているのですが、これはいったい。いや、紋章絡みの話な事が想像されますが……ハイネマン先生EDだったら、見ても良かったかもしれない。

◇エーデルガルト
 〔貴族→戦士→ブリガンド→ロード→メイジ→エピタフ (アーマーロード→カイゼリン)〕
 「シュバルツァアドラーヴェーア」の名付け親。先生正直、(ちょっと長いし、みんな、言いにくいんじゃないかな……)と思ったけど、あまにも得意顔なので必死に無表情を保っています。
 帝国的にはアーマー皇帝推奨のようですが、個人的な趣味でエピタフ運用。どちらにせよ我が軍では比較的守備が高いので、前線で壁になり、ファイアーを撃ち返す砲撃仕様でした。
 髪のセットに毎朝1時間ぐらいかかりそうですが、やはり、忠実な下僕がやっているのか。

◇ヒューベルト
 〔貴族→修道士→ダークメイジ→メイジ→Sナイト→ダークナイト
 エーデルガルト様の忠実な従者というかその実態は、ひところ流行った万能執事キャラ。ただし、主同様にネーミングセンスは若干微妙。先生正直、“闇に蠢く者”はどうかと思うけれど、あまりに真剣なのでツッコまずに無表情を保っています。
 第1部の陰険な長髪から第2部ではすっかり吸血鬼伯爵となり、どちらもイラストより3Dモデルの方が格好良かったり。また、黒ベースの衣装がどの職業でも大概格好良く、全体的に3D映えする汚れ役。中途半端に良識や葛藤を持たせる事なく、徹底して汚れ仕事を自らの役目と心得ている、というキャラ付けは良かったです。その辺り、シャミアとの支援会話は割とお気に入りだったのですが、EDはドロテアと。

◇フェルディナント
 〔貴族→兵士→ソシアルナイトパラディン→ボウナイト〕
 第2部では色々と複雑な立場ながら、支援会話Aにおけるナチュラルな女子の口説き方が、まさに貴族の中の貴族。
 得意種目からするとグレートナイトが理想だったのかもですが、最上位職の条件が解禁された時点で(今から斧と重装と両方上げるのは無理そう……)となり、急遽、弓の道を歩む事に。結果的にこの方策が成功し、最初から最後まで大活躍。単独で戦局を変えてしまえる強力ユニットでした。マリアンヌED。

◇リンハルト
 〔貴族→修道士→プリースト→メイジ→Sナイト→ビショップ→ダークナイト
 第2部で、一人だけ中華ファンタジーの文官みたいな見た目になったのが気になってしかたない、無気力系魔術師。前半はほどほど活躍していたのですが、プレイヤーのマリアンヌ贔屓により、魔術師組の中で最終的に二軍落ち。ペトラED。

カスパル
 〔貴族→戦士→拳闘士→グラップラー→ウォーマスター〕
 キャラ的にはそれほど好きでない事もあり、当初は新装備の格闘担当なのでぼちぼち、といった程度に育てていたのですが、比較的硬い・回避率が高い・やたら必殺を出す、と三拍子揃って気がつけばエースの一角。総合的な耐久力の高さから囮として重宝した上、大体、反撃で必殺出して敵を沈めるという首おいてけマシーンと化していましたが、度々名前の出る父親は、更なる強化型なのか。
 割とビックリしたシャミアED。

◇ベルナデッタ
 〔貴族→戦士→アーチャー→Sナイト→スナイパー→ボウナイト〕
 第2部における行動開始時の「引きこもれない世を、変えなきゃ!」は名台詞。支援会話における全方位ミサイルな面白さで抜けた存在感を発揮していましたが、能力値がもう一つ伸び悩んだ上に、同系のフェルディナントとシャミアがエース級の強さだった為、残念ながら二軍落ち。
 良くも悪くも舞い上がりやすい性格なので、支援会話Aにおける恋愛度合いも高めだったのですが、意外や単独EDに落着。

◇ドロテア
 〔平民→修道士→メイジ→ウォーロック→グレモリィ〕
 なんだかんだと貴族組が戦争に対して一定の割り切った対応をする中、端々でウェットな反応を見せる事で、第1部に続いて赤組における会話のアクセント担当。恋愛脳を除くと、基本的に凄く真面目でシリアスなキャラ、というのは良いバランスだったと思います。
 個人スキルの優秀さから魔法系のメインアタッカー扱いではあったものの、中盤少々ステータス的に伸び悩んでいたのですが、メイジ→ウォーロックのクラスチェンジで《魔神の一撃》+《黒魔法の達人》により火力が上がると、多くの強敵を遠距離からメティオで味気なく葬り去る魔法兵器へと進化。二周目もスカウトせずにはいられない予感。

◇ペトラ
 〔平民→剣士→盗賊→アサシン→ソードマスター→ドラゴンナイト
 初期から優秀な戦士キャラであり、順当に育って順当に活躍。一応最後ドラゴンナイトにしてみましたが、頑張って斧を振り回さなくても十分に有能なので、なんというか手のかからない優等生。

◇フェリクス
 〔貴族→剣士→傭兵→ソードマスター→エピタフ〕
 常に眉間に皺を寄せた剣士馬鹿で、口癖は「面倒な女」。ストレートに見た目通りの性格なので、次々と女子に籠絡されていくのが大変面白かったです(笑) 男性陣では、けっこうお気に入り。誰とくっついても面白そうでしたが、メルセデスEDに。
 育成は素直に進めましたが、主人公もそうですが、折角なのだから《剣》+《格闘》を条件にした新職業が何かあれば良かったのに、とは思うところ。勇者が《剣》+《斧》なのが割とネックで、どういうわけか適性があるのは勇者になれない女性陣(エーデルガルト、ペトラ)というのはどういう事なのか。

メルセデス
 〔平民→修道士→プリースト→踊り子→メイジ→グレモリィ〕
 回復役は女子の方がいいというプレイヤーの方針により最初にスカウトされたのんびりプリースト。現在の性格と、実は……という重い背景が上手く繋がっていて、支援会話による掘り下げが良かったキャラの一人。
 馬に乗れそうにないので踊り子になり、火力をプラスする為にメイジになり、としている内に妙に育ってしまい、最終的には別に踊り子でなくてもいいのでは……という強キャラに。

◇イングリット
 〔貴族→兵士→Pナイト→パラディン→Fナイト〕
 天翔る腹ぺこ女騎士。得意種目の優秀な、貴重な飛行要員。ペガサスナイト系の常でやや筋力不足ではありましたが、とにかく敵の攻撃が当たらない事と、オーラすら弾き返す魔法防御力により、牽制役としてあらゆる局面で大活躍。スカウト勢はイベントシーンには登場しないので、2周目で王国組がどんな顔を見せてくれるかは、楽しみです。

◇イグナーツ
 〔平民→戦士→アーチャー→アサシン〕
 数合わせにスカウトしたら、これといって出撃機会が無かった商家の次男坊。基本的にはなよなよした性格の一方、第2部の諸々に対して「こんな歴史的瞬間に立ち会えるなんて嬉しいです!」と一人ピントの違う反応を見せるので、普段の言行は女子受けを狙っているのではないか、という疑惑も浮かぶラブコメ体質。

◇リシテア
 〔貴族→修道士→メイジ→ウォーロック
 正確な条件は不明ですが、第2部途中で仲間に加入(エーデルガルト様で殴ったから……?)。途中参加の上に、ただでさえ我が軍に余り気味な魔法系の為、副官にしてなんとなく支援会話を拾う要員に。

◇マリアンヌ
 〔貴族→修道士→プリースト→Sナイト→ビショップ→ホーリーナイト→ダークナイト
 これはきっと、おいしいポジションに違いないとスカウトした結果、魔法要員がまた増えましたが気にしない方向で。実際割とおいしいポジションで、外伝も世界の真実の一端に触れる内容で、良いキャラでした。
 学級に突如誕生した、黒鷲乗馬倶楽部の実質的な主宰であり、一部魔法系キャラなどがSナイトを経由しているのは、ひりひりした戦場の空気の中で乗馬技能を急成長させる為であります。最後にダークナイトになっているのは、そちらの方が魔法攻撃力が高くなるからなのですが、妙に必殺の出るキャラでもありました。

◇シャミア
 〔平民→戦士→アーチャー→スナイパー→Sナイト→パラディン→Pナイト→ボウナイト〕
 見た目が格好いいので軽い気持ちでスカウトしたら思いの外さくっと加わってくれた傭兵スナイパー。初期状態でスナイパーなので、素直に乗馬倶楽部に加入してボウナイトを目指し、安定した能力とやたら飛び出す必殺攻撃で大活躍。……というかこのゲーム、弓持ちSナイト(パラディン)がちょっと強すぎるのではないか、という感はあり、その最終形態であるボウナイトは言わずもがな。<近距離反撃>スキルは少々やり過ぎだったのではと思うところですが、その点では、弓矢が強い『外伝』→『echoes』の系譜であり。途中でPナイトを経由しているのは、いざという時の為に飛行要員を確保しておこうという目論みだったのですが、結局Pナイトとしては使用せず。
 キャラとしては生粋の傭兵という事もあり、第2部でも終始さばさばとした反応を通すのが、ドロテアとは別のアクセントになって良かったです。
-----
 以上のメンバーで結末を迎えた物語ですが、ED恒例の後日談において、単独後日談とカップル後日談が存在する、のも近年のシリーズ恒例として……今作の場合、特定のキャラと支援Sにしてカップル確定の形になるのは主人公だけなので、これ、支援会話Aまで達成した中から「カップルEDの対象は特定キャラ限定」なのか「キャラごとに優先順位が設定されている」のか「純粋に蓄積した支援値の高い順」なのか……支援会話Aが存在する異性キャラとは全てEDがあるのだろうか、と考えると色々と目眩がしてきます。
 主人公は(さすがに)任意で選択できて良かった!
 で、あのキャラが選択肢に存在するという事は、何か条件を満たすと特別なルートがあるのだろうか……と思いを巡らせつつ、1周目クリアの感想でした。