『太陽戦隊サンバルカン』感想・第13-14話
◆第13話「生命を持つ黒い玉(ブラックボール)」◆ (監督:平山公夫 脚本:上原正三)
脱輪事故で立ち往生しているトラックを助けたら秘密輸送任務中のブラックマグマのものであり、荷台の中身を見てしまったがために殺戮される親切な人々は不幸でしたが、脱輪させるなとか鍵のかかるトラックで運べとか、ダークQに対しては言いたい事が色々と出てきて、お願いだからブラックマグマは、スパイ人間の試験項目において戦闘能力以外を、もっと重視して下さい。
鮫島と豹はバイクでパトロール中に、この現場を離れる蛇行運転のトラックとすれ違い憤る、が……明らかに鮫島のバイクも反対車線にはみ出しているので…………た、太陽戦隊は非常時には超法規的権限が与えられています!
折り重なる死体の山を発見した鮫島と豹は取って返してトラックを追うと、ダークQと戦闘員を撃破してトラックの荷台を確認。バレーボールほどの大きさながら重量4トン、という異常な比重の黒い球体を発見すると基地に回収して分析作業にあたり……今日はみんな、よく喋るぞ!
謎の球体の正体は、ブラックマグマが生みだした本能で動く原始生命体――超重量金であり、レーザーエネルギーを吸収して重量8トンまで成長したブラックボールは、まるで美佐を探し求めるかのように基地内を動き回って大暴れ。
サンバルカンも、ただただ重くて固い球体(しかも伸縮自在)に手も足も出ず、ひょんな事から太陽戦隊最大の危機に陥るが、そうとは知らないブラックマグマではヘドリアン女王の妖魔術により超重量金をアジトに取り戻してしまい……今回の正解は、そのまま放置でした!
アクシデントの連鎖から太陽基地に大打撃を与えていたとは知らないブラックマグマは、超重量金を素材とした機械生命体・アイアンモンガーを作り出し、ベーダー怪物を思わせる左右非対称デザインですが、『百花繚乱』によると、前作の未使用デザインであるチズラーが原型との事。
超重量金の量産計画を進めるブラックマグマに対し、太陽戦隊は秘密工場を捜索して回り……今日はホント、みんな凄く喋るぞ!!
太陽戦隊の捜索活動が空振りに終わる中、美佐は子供達と奥多摩にマス釣りに出かけており、毎度アリバイ的に消化される子供達の出番ですが……美佐の接近をきゅぴーんと感じ取るアイアンモンガー(笑)
…………これは、紛う事なき東映変態怪人。
美佐と子供たちの危機にサンバルカンが駆けつけると、それぞれの動物ポーズをターンテーブルでじっくり見せてから、輝け! 太陽戦隊!!
まさか敵の怪人が、工場警備の仕事をほっぽり出して美佐の太腿に眩惑されていたとはつゆ知らず、完全に、何しに出てきたんだこいつ……状態のままサンバルカンは戦闘に突入し、今一番頭を抱えているのは、ちょっとタバコ休憩に行ってきまーす、と出ていったアイアンモンガーが、気がつくとサンバルカンと遭遇している光景をモニターで見たゼロガールズかとは思われます。
まあそんな事になる気はしたのですが、機械生命体にされる前の方が強かったアイアンモンガーは、バルカンボールで吹き飛ぶと巨大モンガー。
鉄球体当たり攻撃に苦しむサンバルカンロボだが、強引なプラズマ返しでブラックボールに太陽剣をぶつけると鮮やかなセンター返しの形となり、必殺剣のエネルギーを受けて赤熱した巨大ブラックボールが勢いよく秘密工場を巻き込みながら大爆発。
ブラックマグマはアイアンモンガーの外出理由がわからず、サンバルカンは秘密工場の位置を正確に把握せず、互いに状況を完全に掴めないまま超重量金量産計画は灰燼に帰し、これが、野球の力だ!!
「どうして私を付け狙ったのかしら、あの怪物」
「答は簡単さ。美佐が初めて、エネルギーを与えた人物だからさ」
アイアンモンガーの執着は、ブラックボールを分析する際の美佐の行動に起因する一種のインプリンティングであったと説明づけられ、象の上での父娘の語らいから、機械帝国は日本の火山帯を狙っているのだ! を改めて強調して、つづく。
敵も味方も終始ブラックボール(アイアンモンガー)に振り回されているばかりで、これといって頭脳戦や意外な仕掛けなどもありませんでしたが、男衆が生身で凄く沢山喋ったのが、貴重にして異例なエピソードとなりました(……あれ?)。
次回――さらわれる国連事務総長。そしてなんかまた、嵐山長官が全て持っていきそうな気配。
◆第14話「地球が降伏する日」◆ (監督:平山公夫 脚本:高久進)
『バトルフィーバーJ』第24話以降は散発的な参加になっている高久先生が、『デンジマン』第42話以来の登板。
国連事務総長が打倒ブラックマグマの為の会議を開く為に来日する事になり、1クールほど前に自分から宣戦布告しておきながら、「断じて許さん」と凄く怒る総統(笑)
太陽戦隊の護衛を出し抜き、事務総長の誘拐に成功したブラックマグマは、事務総長一人の命と引き換えに、国連本部に白旗を掲げて世界全面降伏をしろと無茶苦茶な事を言い出し、要求は絶対に受け入れられないが、見殺しにしたらしたで地球守備隊の評判は落ちる……と考えれば、意外と巧妙な作戦かもしれません。
「こんな戯言を飲むわけにはいかん」
一瞬の躊躇もなく、現場判断で「断る」と宣言した嵐山長官は、トラックのコンテナ内部に囚われた事務総長との通信手段を確保するようにサンバルカンへと命令。
1時間の猶予が与えられたという事は、この1時間は好きにやっていいって事だぜーーーと、予定時刻まではブラックマグマが人質に手出しできないのを良いことに、サンバルカンはトラック周辺をマシンで走り回ってゼロガールズを攪乱し、護衛要員だったアルマジロモンガーが地中より出現してパンサーとバトル。
どさくさまぎれに黄は小型の無線通信機をコンテナに張り付けてホットラインを確保し、事務総長と状況を確認し合った長官は、己の命よりも正義の為に「断固戦ってほしい」と断言した事務総長の意気に感じ入り、このところ少し控え目だったスーパー岸田森タイム再び。
「私も現地に行き、太陽戦隊サンバルカンと合流し、アルバート総長の救出にあたる」
……それはそれとして、救出作戦に失敗した場合は、先程の会話の録音テープを公開する事で、地球人類の士気を高揚させる手筈になっています。
コンテナ爆破までタイムリミットはあと5分……正面からの突貫に失敗したパンサーが、パンサーモグラによって地下から接近を試みると、崖上に雄々しく立ったのは、アルバート総長?!
「ブラックマグマ、よく聞け。おまえ達が拉致したアルバート総長は、偽物だ!」
イーグルは長官が変装した偽アルバートと共に交渉に乗り出してゼロガールズの注意を逸らし、その間にパンサーが爆弾の解除に成功。
「ブラックマグマ、また俺に一杯食ったな。ははははははははは!!」
正体を現すと当たり前のようにゼロガールズの腕をねじりあげる長官が事務総長を救出し、イーグル回になりそうでならないというかしない『サンバルカン』スタイルで、この後の顛末を知っているからというのもありますが、大鷲の扱いについてはなんかもう、スタッフとキャストの間で揉め事でもあったの? ぐらいの勢い。
パンサーとアルマジロが互いに地中に潜ってのコミカルな争いがしばらく続き、怪人の穴掘り要素が非常に強調されるのですが、実際に野生のアルマジロは地下に穴を掘って巣を作るとの事。
サンバルカンモグラ叩きを浴びて斜面を転がり落ちたアルマジロモンガーにバルカンボールが叩き込まれ、地下を動き回りながら陰湿な足下狙いを繰り返す巨大アルマジロモンガーだったが、鉄拳モグラ叩きで地上に飛び出してきたところを、オーロラプラズマ返しで両断されるのであった。
仰々しいサブタイトルは“ヘルサターン総統の願望”で終わってしまい、そろそろ立ち上がりの勢いを失って惰性フェーズに入りつつあるところで刺激物が欲しくなってきますが、次回――奇天烈竜宮城?