『仮面ライダー(新)』感想・第5話
◆第5話「翔べ 少女の夢をのせて」◆ (監督:山田稔 脚本:伊上勝)
ネオショッカーが、ある旅客機を狙っているとの情報を得て成田空港へ向かう筑波洋だが、その飛行機には、人間改造学の権威・田代博士が搭乗してお……り……に……人間……改造……学……?
神啓太郎の弟子筋疑惑が急浮上する中、無人島の地下に建設した要塞から、謎のキャプチャービームを放って旅客機まるごと手中にしたネオショッカーは、空港に出迎えに来ていた田代博士の妻子を拉致。
成田空港への途上、母子と顔見知りになっていた洋は、ネオショッカーの運転手になりすますと拉致を途中で妨害し、早くも、風見先輩の魂が乗り移ってきています(笑)
「女子供を追いかけるとは、ネオショッカーの名が泣くな!」
素手でばったばったと戦闘員を薙ぎ倒した洋の前に現れたのは、装飾を極端に排した物凄くシンプルな改造人間・ドクバチジンで、仮面ライダーと悪の改造人間を“鏡に映った兄弟”と考えると、00年代以降のリブート的な作品でむしろ好まれそうなデザイン。
毒針を受け、足下がおぼつかなくなった洋が落とし穴に落ちて思わず大笑いしましたが、これが、仮面ライダーを名乗る者の宿命です。
そのまま敵アジトまで運ばれていき、毒無効体質から虎口に飛び込んで大暴れする風見先輩フルコースに突入……する事はなく、変身した洋はハイジャンプであっさり復帰し、これが新世代ライダーだ!
「ドクバチジン、旅客機はどこだ!」
「貴様に関係はない!」
「嫌でも教えてもらう!」
話し合いから殴り合いに持ち込んだスカイライダーだが毒バチジンに逃走を許し、関係各省庁が旅客機を必死に探すも見つからない中、志度ハングライダークラブでは、県警本部や海上保安庁などの無線を盗聴していた。
巨大な闇に対抗する為には、自らもまた闇に染まるのだ、とさらりと違法行為に手を染めるも消えた旅客機の手がかりが掴めない中、田代母子と再会した洋は、田代娘が事件の発生より前から、父親がさらわれて島に捕まる夢を見たと口にしていたと知り…………あれ……娘……もう……パパに改造されてる…………?
「大門寺博士といえば、この10年、密かに天才人間の研究を続けてきていた」
「死んだ親父から聞いています。並の人間の、十倍の頭脳と体力、そして、正義の心を持つ少年少女を作り出す研究」
正義の! 心を! 人為的に作るな!!
が嫌でも脳裏をよぎります。
洋は志度会長に状況を伝えるとスカイライダーとなって田代娘の元を訪れ、根拠がオカルト或いは違法な人体実験なのが気にはなるものの、スカイライダーの飛行能力を子供ゲストと繋げて活かす展開は、成る程。
少女を背に上空から問題の島を発見したスカイライダーは、ネオショッカー要塞島へと上陸を果たし、有名なロケ地なのかもですが、なんだか、大量の妖怪がこの辺りに封印されていたような覚え。
戦闘員の攻撃を受け、少女をさらわれてしまったスカイライダーは、ライダー悪のあるところセンサーを発動すると主題歌インストに乗せて戦闘員を蹴散らしていき、見所は、海から飛び出すスカイターボ……と期待させておいて、別に海から出てこなかったスカイターボ(笑)
効果音だけは、波を割り風を切り裂き着地したぞ! みたいな感じで出現したスカイターボにまたがったライダーは、ライダー連続轢きからライダーブレイク! で、アジトの壁をぶち破り、立ち上がり、「セイリングジャンプ」と「ライダーブレイク」という、新ライダーの二大ポイントにこだわっているのは、今作の良いところ。
少女を救出したスカイライダーだが、アジトの中に不気味な笑い声が響き渡り……扉の向こうに姿を見せる、見覚えのある顔。
「ゼネラルモンスター、生きていたのか?!」
「馬鹿め、ワシは不死身よ」
むしろ死んだ事にされたのが驚きだったゼネラルモンスターがあっさりと復活し……そして扉を閉めた。
そもそも爆発したわけでも断末魔の台詞があったわけでもないのに、ナレーションさんが唐突かつ一方的に死亡を宣言したのが謎すぎたゼネラルモンスターは、不死身アピールだけして帰っていって更なる困惑をばらまき……もしかしたら、軍服の下は全身火傷の治療中で、折角スカイライダーくんが要塞まで来てくれたのだからと、すっごく無理して挨拶に出てきたのかもしれません。
ショッカーは伝統的に、人間関係や時候の挨拶を大事にする組織です!
ゼネラルモンスターの帰宅後、毒バチジャンプパンチを受けるスカイライダーだが、3発目はさすがに見切ると、投げ飛ばしたところにスカイキックを叩き込み、怪人は消滅。
田代親子は再会を果たし、旅客機の乗客も一部を除いて救出され、ネオショッカーの作戦は失敗に終わるのであった!