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「おまえの寿司は普通だ! ふ・つ・う」

『機界戦隊ゼンカイジャー』感想・第5話

◆第5カイ!「握り握られスシ大会!」◆ (監督:諸田敏 脚本:香村純子)
 監督3番手は誰になるのかと思ったら、なんと『天装戦隊ゴセイジャー』以来11年ぶりの《スーパー戦隊》という諸田監督!
 思えば監督デビュー作の『超光戦士シャンゼリオン』(1996)が白倉&武部Pでしたが、スタッフの今後の差配がどうなっていくかも楽しみになって参りました。……統一感が薄くなるリスクもありますが、こうなってくると、監督オールスターも見たくなってはみたり(笑)
 ブルーンが口にした功と美都子……戒斗にとっては両親、ヤツデにとっては子供達の消息の手がかりに、ふっとヤツデが表情を沈ませて空気を変えるのがさすがベテランで、ここまでノリ全開だった作風から、締めるところはしっかり引き締めてくれた描写が好印象。
 キカイノイド男性陣は戒斗の部屋で雑魚寝しており、いっそトジテンドに乗り込めばいいのでは? と思いついた介人はブルーンがアース-45に来た方法を聞き出し、トジテンド王宮とアース-45は、並行世界間ゲートで行き来できる事が判明。
 曖昧な噂話ならその真実を確かめればいい、と思考するのは如何にも香村脚本な上で、それを即座に行動に移すのが介人らしさとなり、曖昧になりがちな敵サイドの移動手段を物語の軸に繋げてきたのは面白いアプローチ。
 だが、ブルーンが落ちてきたというゲートは既に閉じており、某マッハ全開ばりのジャンプで突入をはかろうとするも介人が失敗していると、タンク隊長・バラシタラが送り込んできた寿司ワルドが姿を見せる。
 「スシトピアの力で、この世の全てを握ってやるスシ」
 人々を強制的に握り寿司に(壁面などに接着)していく寿司ワルドを前に介人とジュランが変身し、怪人の背中に貼り付いてトジテンドへ乗り込もうとする白だが、カバーに入った赤と一緒にベンチに握られた上に、わさびをたっぷりかけられてしまう。
 「ゼンカイジャーとベンチの握り、お待ちぃ!」
 はまった時のギャグ怪人の恐ろしさ、第5話にしてゼンカイジャー全滅の危機になりかねませんでしたが、満足した寿司ワルドは撤収。物理で剥がせないとみるや、何かを思いついたガオーンは桃青を連れて走り去り、介人とジュランは、公園に取り残される。
 ……背中合わせでベンチにぐるぐる巻きに接着されながら(向きが逆ではなくて本当に良かった)。
 「やっちゃった……父ちゃん母ちゃんの事より、スシワルド倒してみんな助けなきゃいけなかったんだ。……ああ、後悔全開……」
 「馬鹿野郎!」
 「え?」
 「父ちゃん母ちゃんよりなんて事あるか! 自分のこと大事なのは、当然だろ!」
 私情を優先して暴走を悔やむ介人をジュランは逆に一喝し、成る程、赤いおじさんはそう来るか……。
 一方、駄菓子屋に戻ったガオーンは、怪人を誘き寄せるために大量の酢飯を準備しようとしていた。
 「みんな! 米を炊けーーー!!」
 OPで本編内容に触れる演出は普段あまり好きではないのですが、今作ここまでのところ台詞のチョイスが良くて、チョイス担当の方がいい味出しているなぁと。
 かくして米が米が米が炊かれている内に時間は進み、夜通し、バイクや遊具に貼り付けられている一般市民、が地味に酷い光景ですが、昼間の撮影と夜間の撮影で介人とジュランを二回巻く手間の掛け方が凄い(笑)
 「介人……ギアトリンガーとセンタイギアを作ったのが親父さん達ってのは聞いてたけどよ、行方不明だったんだな」
 「隠してたわけじゃないんだ。……でもなんか……あんま言葉にしたくなかったっていうか」
 「んー、わかるぜ。俺も言ってねぇもん。家族いなくなっちまったって。こっちの世界来るより全然前だ。ま、キカイトピアの庶民には珍しくねぇのよ」
 ジュランの過去の一端が明らかとなり、キカイトピア、激しく不穏……!
 「だからさ、余計おまえには、親父さんお袋さんにまた会わせてやりてぇなって思ってるわけ。……一人でやらずにちゃんと巻き込めよ! 俺をスカウトした時みてぇに」
 「……ジュラン。……なーんか大人」
 「なんだよ、今頃気付いた? 人生のパイセンよ俺?」
 冒頭、夜中に目を覚ました介人とヤツデのやり取りを聞いてしまうも、たまたまトイレに降りてきただけで盗み聞きとかしてないです! と弁解していたり、比較的、良識と常識の見えるジュランですが、介人の疑似父親というよりも、割とぶっ飛んでいた介人両親に代わって、“普通の視点”を介人に伝えるポジションなのか、と納得。
 ヒーローである事を託され、ヒーローである事を選んだ介人に対して、“人としての当たり前を忘れなくていいんだぜ”と伝えるのがジュランで、人生経験のある年長者、とした事でそれがスムーズになっており、ジュランに限らずですが、若手俳優キャストではない事をキャラ造形の利点として、今作ならではの配置を組み立てているのは、立ち上がりで光ります。
 ……ワサビと米粒まみれになって背中合わせでベンチに貼り付いておりますが、それ以上はふざけなかった塩梅も効いて、良いシーンでした。
 翌日、黄桃青は、大量の酢飯とネタ、そして寿司屋台を設置すると酢飯を仰いで、匂いに釣られた寿司ワルドの身柄を確保し、小道具それだけ用意しておいて、酢飯で誘い出すにしか使わない贅沢(笑)
 「3人合わせて!」
 「「「機界戦隊・ゼンカイジャー!!!」」」
 「へい、ご注文は!」
 「介人たちの解放だー!」
 そのまま黄桃青の3人で変身して揃い踏みまで決め、さっそくの変則名乗りから寿司ワルドを囲む3人だが、ミサイルが大地に突き刺さり、バラシタラが出現。
 「スシワルド、席は空いてるか?」
 「へい! 勿論でスシー!」
 ベンチで握られたままの介人にはセッちゃんから3人のピンチを伝える緊急連絡が入り、介人は拘束状態からの変身を試みる。
 「握られたみんなも助ける……ガオーンたちも助ける……父ちゃん母ちゃんも探す……無茶でも、なんでも……大事なこと全部、この手で握ってやる!」
 今回、寿司ワルド合わせで、敵味方の台詞に寿司関係のものが飛び交ってテンポのいいくすぐりになっていたのですが、そこから「握る」をキーワードに介人の新たな決意に繋げるのは、さすがの香村さん。
 ジュランとのやり取りからここへの流れが、今回、非常に良かったです。
 なんとかギアをセットした介人は、ガトリングを回転させてギアを発動し、チェンジ全開……?
 「よっしゃラッキー!」
 「いや、これのどこがラッキーだよ?!」
 「え? チェンジじゃない?」
 介人は45バーンと間違えて41バーンをセットしており、その後のやり取りでも裏付けられるように、「よっしゃラッキー!」が本人の意志と無関係なのが、引き続きホラー。
 宇宙戦隊キュウレンジャーの力が発動すると、近くにあった消火栓にヒビが入って吹き出した水にベンチごと吹き飛ばされて道路を転がると通りすがりのトラックの荷台に着地したかと思うやカーブで転がり落ちた際に突っ込んだワゴンにあった大量の風船が体にくっついて空中を漂っていたところに何故か飛んできたキツツキが激突! して交戦中の寿司ワルドの上に二人は落下(SEはカラスでしたが)。
 「ジュラン、二人旅、楽しかったね」
 墜落死寸前の状況で介人は笑顔を浮かべ、一人のアース-45人と4人のキカイノイドという介人を中心に線が繋がっていく構造の元、天然ジゴロの道を突き進みます。
 「巻き込めってそういう意味じゃなかったんだけど」
 「ははははは、握られたままで、何が出来るのでアル」
 「ここまで来れたんだ。戦うくらい、出来る!」
 ベンチに巻かれながら立ち上がった二人は器用に「「チェンジ全開!!」」し、
 「二人合わせて!」
 「「ゼンカイジャーの握り! へいお待ち!!」」
 そのまま曲芸バトルに突入し、お愛想ハリケーンからのダブルフィニッシュバスターでスシを撃破。これによって握りの状態異常は解除され、巨大兵士が召喚されて寿司怪獣となると、溢れるスシトピアの力により、巨大な回転寿司のテーブルが複数出現。即座に巨大化変身した赤黄桃青だが変身中にまとめて握られてしまうまさかの大ピンチ。
 残るゼンカイザーは次々と爆弾を投げつけられると、43バーンにより騎士竜戦隊リュウソウジャーの力で竜装剣を身につけ、「こんな店は営業停止だ!」と物理でカウンターを破壊し、悪質な客だな……(笑)
 解放された赤黄と桃青がゼンカイ合体し、「大将、もう看板かい?」と失意の店主を両サイドから煽るのが、凄く感じ悪いです(笑)
 スシ怪獣は二本の幟を手に持った勝ち鬨フォームで二大ロボに立ち向かい……序盤から巨大戦が2対1だと、なんか悪の側が「立ち向かう」イメージが強くなりますが(それもあってか前回は二体投入していましたが)この辺りはどうなっていきますやら。
 さすがに背景に大量のCGを投入したバトルは続けられないようで、ワサビームをものともせずに突進した二大ロボは、W必殺技でビクトリー。
 「楽しかったのでアル、ゼンカイジャー。また会おう」
 段々とバトルマニアになってきたバラシタラが余裕の観戦を終えてトジテンドに帰還しようとすると、ゼンカイザーはその背中に貼り付くがバラシタラの開いたゲートをくぐり抜ける事が出来ず、移動手段を示した上で、「敵に同行する方法」は封じつつ、なんらかの条件を可能性として示すのが、手堅い作り。
 駄菓子屋に戻った一同がガオーンの作る手巻き寿司に舌鼓を打つ中、閉じるギアの再調整を進めるイジルデはなにやらほくそ笑み、次回――ゴミ掃除と謎の少年。
 早くも人間の新キャラが投入される事となり、どんな絡みになっていくか楽しみです。