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アローなプリンにしてくれ

仮面ライダーガヴ』感想・第18話

◆第18話「激強! プリンな用心棒」◆ (監督:柴崎貴行 脚本:金子香織里/香村純子)
 強敵プリンの戦士を前に切り札ケーキングを発動したガヴだが、ホイップ兵士はプリンプリズンからのプルプルパンチでさくっと消し飛び、動揺している内に鳥類グラニュートにも逃げられてしまったその時――
 「上出来だよラーゲ9。いや……人間風に言うと、仮面ライダーヴラム、てとこか」
 自慢しにきた(笑)
 まさかのいきなりニエルブ登場で、再会と直接の初顔合わせがマッハでまとめられ、早々に仮面ライダー名を公表してくれたニエルブには、銀のデンテシールを1枚進呈します。
 10枚集めてストマック本社まで送って、ランゴ兄さん1/8フィギュアを手に入れよう!
 「これは、僕が君を参考にして作った戦闘システムだ。どう? なかなかだったろ。赤ガヴ」
 「ニエルブ……」
 ショウマに呼びかける時だけ、視線と声のトーンが一つ下がって侮蔑を露わにするニエルブは、研究成果のお披露目に満足すると、プリンの戦士改めヴラムと共に撤収し、愕然と取り残されるガヴとヴァレン。
 「……グラニュートは、ただでさえ強いってのに……俺らみたいな力まで手に入れるなんて」
 (ニエルブ兄さんも、本気で俺を倒しにきた、てことか。……そうだよな、俺……シータ姉さんを倒したし)
 絆斗とショウマは今後の動きを検討する事になり、突然の再会から兄姉殺しの傷跡を再確認するショウマに対し、多分ニエルブはそんな事を考えていないのが、悪辣なズレ。
 「おまえ……ニエルブって名前、知ってたな」
 仇の一人なのか、と確認した絆斗はショウマを追及し、言葉を選びながらストマック社とそれを経営するストマック一族について出せる情報を出していくショウマから、経営陣の5兄姉について聞いた絆斗は衝撃の出会いを思い出す。
 「……もしかして……あの、鎌振り回してる、馬鹿強い女も、その一人ってことか」
 「多分グロッタだ!」
 自分の素性はぼかしながら兄姉の名前に触れるショウマ、先程から、物の弾みで「兄さん」「姉さん」付けないか、聞いている方が超ドキドキします!
 「成る程な……確かに、あんなのがゴロゴロ居るようなとこに乗り込むのは、分が悪すぎる。おまえが引き留めたの、今更ながら納得だわ」
 この狂犬との出会いが思わぬカードとなり、いきなりハイラル城に飛び込むの、確かに良くない、と絆斗はグラニュート界の認識を武闘派ヤクザの総本山に書き改め……なんか、いい方に転がった!
 「……それが、引っかかってたんだ」
 「そりゃ、母親の仇だろ? でも、おまえはもう、そこまで情報を掴んでた。だから、これ以上、犠牲者を出さない事を優先してた。そういう事だよな」
 しかし、あまりにもいい感じの解釈をされて、それはそれで気まずい!
 この善意にこのまま乗っかってしまって良いものなのか、やや躊躇うような間を空けながらも、ショウマはとにかく鳥類グラニュートをどうにかしよう、と絆斗と意思統一するが、仇の顔がわかる点を指摘されると母プレスの瞬間を思い出しつつ適当に誤魔化し、一つ手札を使ったら、すかさず次を補充してくるのが、毎度ながら鮮やか。
 ……ついでに、ショウマの記憶になにやら不具合があるらしき描写を考えると、絆斗の「ショックな出来事は、脳が自分を守る為に記憶無くすって話もあるしな」は、ただの一般論で片付けていいのか、若干不穏。
 「ヴラムシステム、我ながら傑作だ」
 「ほほほほほ、これがぁ……へぇ~! しかもこいつまでお手製とは。さっすがニエルブくん」
 その頃、ニエルブは同志・酸賀にもドライバーの自慢に向かっており、印象的な高音で笑う酸賀はドライバー、そしてラーゲ9に興味津々。
 「安全が保証された状態で生きてるグラニュートに合うのは初めてだ」
 「僕も生きてるグラニュートだけど」
 「そうだった。どっちかていうとー、ニエルブくんは、研究者仲間っていう意識の方が強くてね」
 指をパチンと鳴らした酸賀は笑顔を浮かべ、お互いどこまで本心なのかわかりませんが、とりあえず表面上、酸賀とニエルブはマッドサイエンティストの固い絆で結ばれており、ここにデンテのオジキを放り込んで化学反応を見たい誘惑にかられてなりません。
 今作の愛され王は誰だ!
 上機嫌の酸賀は、ラーゲのシャツをめくって変身メモリを抜き差しすると頬をぷにぷにつつき、不機嫌を隠さないラーゲと、ひたすら楽しげな酸賀の対比が実に酷い(笑)
 「じゃあ、引き続きよろしく」
 「赤ガヴとヴァレンてのは……倒してもいいんだよな?」
 「いいよ。できるものなら」
 「……りょーかい」
 ニエルブが狐目を細める一方、改めて人プレスを集めようとしていた赤いスカーフの女は、標的に見定めた男性に物凄い勢いで怯えて逃げられて困惑し、絆斗の策により、なんと、SNSで拡散された似顔絵が“人をさらう怪物”として都市伝説化していたのだった!
 金子脚本では、恐らくヤドカリ回も“深夜に動く建物の噂”みたいなものを追って……とやりたかったのかなと改めて思うのですが、拡散スピードがやたら速いとか、少なからぬ風評被害が起き(てい)そうな点が引っかかる、などはあるものの、“怪物”の存在がジワジワと広まりつつある世界において、SNSを物語の仕掛けとしてどう利用するのか、への目の付け所は面白いので、この方向性がどこかでピタッとはまってくれるのは期待したい部分。
 幸果からの聞き取りにより、鳥類グラニュートは「風を操る」能力を持っているのではないかと類推され、これに関しては前回時点でもう少し、スカーフの動きの不自然さを強調していた方がスムーズであったかもしれません。
 「闇菓子闇菓子……そんなに闇菓子が欲しいもんか?」
 「あんな美味いもんこの世にまたとないぞ。口に入れた途端、全身が痺れるような甘い衝撃が走るんだ。いや、甘いだけじゃねぇ。ありとあらゆる複雑な刺激が絡み合って俺の舌に、腹に、心に絡みついてくる。ああもう闇菓子を知らなかった頃には戻れぬ。ああ闇菓子、闇菓子が喰いてぇ!」
 シノギの手段を拡散され、身動き取れずに焦れるスカーフの女は、ラーゲ9の問いかけに対して陶酔したような言葉をもらし、「甘いだけじゃねぇ。ありとあらゆる複雑な刺激が絡み合って俺の舌に、腹に、心に絡みついてくる」のが、“スパイスにされた人間の人生そのものの旨味”なのが、闇菓子に取り憑かれたグラニュートの“人を喰らう鬼”としての邪悪さ、そして闇菓子を生産するストマック社の外道ぶりを改めて強調します。
 そんなスカーフの女の姿にラーゲ9は何かを思い出し……OPクレジットに「弟」と表記されているので、どうやら身内に闇菓子にはまってしまった者がいた様子。
 ラーゲの動機もなんらかの組織とは関係のない私的な復讐の範囲に収まりそうな気配になってきましたが、思えばグラニュート視点からの“(グラニュート界を蝕む)闇菓子の悪”について触れるキャラは居なかったので、今後のスタンスの描き方が楽しみです。
 バイトの報酬として闇菓子を得ようと焦る鳥類は、とにかく素材となる人間をかき集めようと飛び立つと、取った手段は強風による問答無用の人さらい。
 この異常現象がネットに流れると、ショウマと絆斗がすわ怪物事件、と勇んで出動していくのを幸果がスルーするのは、タケシくん探しの一貫扱いとするにも、だいぶ違和感があり(特に、絆斗はともかくショウマについては止めそうなのに)、勢い優先で説得シーンを省いてしまった感じになったのは、残念。
 ショウマと絆斗は強風に飛ばされそうになると、その風を逆に利用して鳥類グラニュートの元へと辿り着き、地面に華麗にちゃく……というか、落下。
 ショウマはともかく、べちっと落ちた後に平然と立ち上がっている絆斗、改造の成果がいい感じに出てるじゃなぁい! と、研究室で酸賀が喜んでいるに違いありません。
 刺激、人生に必要なのは、刺激。
 「調子に乗るなよ。今の俺には、用心棒が居るんだ」
 「調子に乗ってんのはおまえだろ。……だる」
 鳥類グラニュートの背後からラーゲが顔を出すと、一同変身して戦いに突入し、近くにあったパレットを利用してガヴの上を取ったヴラムにヴァレンが体当たりを仕掛けると、足止めを買って出ている間にガヴは納品に急ぐ鳥類グラニュートを追走。
 「おまえの相手は、俺がしてやるよ!」
 「あーあ…………だぁっる」
 ヴラムはプリン液から弓を作り出し、半年ほどズレているとはいえ、同期『ブンブンジャー』追加戦士の武装とやや被り気味ですが、バンダイ的に、弓が来る! といった感じだったのでしょうか。
 ついでに役者さん繋がりでは、『キラメイジャー』の強化武装が弓だったのも思い出すところで、キラフルゴー!
 ヴァレンが弓を構えたヴラムに食らいついていた頃、ガヴはマシュマロになると擬音で空に浮かんで空中戦を展開し、地上に落とされると今度はポテトを発動。剣の再生能力を活用して鳥にダメージを与え、ケーキングは消耗の激しい切り札とした上で、各フォームの特殊能力を駆使するバトルは嬉しい見所。
 足にダメージを与えるも再び飛び上がられてしまうと、ケーキの若い衆が鉄砲玉に名乗りを上げ、ケーキングとなったガヴは背後からのホイップ砲でグラニュートを撃墜。地面に落ちた鳥類グラニュートが、毒でも浴びたかのように地面でのたうち回っているのですが……毒……なの……?(笑)
 「どうする? 二度と闇菓子に関わらないか――それとも俺に倒されるか!」
 墜落して身動きとれない鳥に向けて、ガヴはホイップチャージを終えると武器を低く構え……ショウマそれ、相手の眉間に拳銃を押し当てながら質問するやつ……!
 「ふふははははは……闇菓子は最高だぁ! もっと人間を集めないとォ」
 鳥類は鳥類で、至近距離で銃口を突きつけられてもなお闇菓子に執着する狂気を見せると立ち上がり、ガヴに向けて突貫。
 「……だったら――仕方ない」
 「やみがしぃぃぃぃぃ!!」
 ストマック家の血を確かに感じるヤクザムーヴからのホイップキャノンを真正面から浴びた鳥類は物凄い断末魔で弾け飛び、恐らく次回以降への前振りも含めて、闇菓子中毒者の末路を見せつけてくる、良い最期でありました。
 ヴァレンの方は、ヴラムを相手に喧嘩殺法で奮戦するが、ヴラムはヴァレンを圧倒できないまでも、攻撃を的確に無効化する立ち回りで格上の力を見せつけ、じわじわと追い詰めていく。
 「あーあ……だるいんだよなぁ。諦めの悪い奴ってのは」
 「おまえ……今までの下っ端グラニュートとは違ぇな! ……おまえも、ストマックの一族なのか?!」
 「はぁ?」
 見当違いの一言に、思わず足の止まったヴラムの顔面にヴァレンの左ストレートが綺麗に入るが、その言葉はヴラムの様子に異変を起こす。
 「……俺が……あの一族……? じょおぉだんじゃねぇ!!」
 怠惰で投げ遣りな姿勢から一転、激情を爆発させたヴラムは武装にゴチゾウを装填し、どうして弓矢なのかと思ったら、弓を引き絞る動作に合わせてプリンが充填されていくのは、成る程。
 鳥類を倒すもタケシらの救出は叶わず、戻ってきたガヴ(ここはもう少し、映像的に急いでいる感は欲しかったところ)の前で、キラフルカラメルプリンアローを全身に浴びてヴァレンは倒れ……7話ぶり、3回目の爆散。
 戦力としてはガヴに一歩劣る扱いであるもののルーツの違いから納得は行きますし、ストーリー上の絆斗の扱いが良いのに加え、要所要所でのガヴとの連携プレイの格好良さから不遇感はそれほど無いヴァレンではありますが、“都合のいい踏み台”にされている感は否めず、そろそろ、新しい刺激がプールサイドで準備運動をしている頃合いでしょうか。
 アバンタイトルの約3分間、前回のプリン大暴れを振り返る他、前回同様に回想がちょくちょく入る作りには制作上の都合も感じられましたが、年明けの新展開でここまでの物語やキャラクターを再確認する役割も果たし、タケシ少年らの安否は確認できないまま、つづく。
 次回――なんか、「グラニュートハンター」が、ストマック社上層部で流行っている(笑)
 早くもガヴとヴラムが互いの抱えているものを知る事になりそうなのに加えて、新たな危ない接近遭遇も起きそうで、苦くて痺れる出会いの行方や如何に。