※トラブルで東映youtube無料配信を視聴できなかった『電子戦隊デンジマン』第37-38話の感想です。配信情報を教えて下さった皆様、ありがとうございました!
『電子戦隊デンジマン』感想・第37-38話
◆第37話「蛮力バンリキ魔王」◆ (監督:小林義明 脚本:曽田博久)
「なにかこう! 得体の知れない、恐ろしい……眼が……」
子供達と天体観測していた黄山が、星のごとき巨大な眼に睨まれて視力にダメージを負ったのを皮切りに、緑川は巨大な口の吐き出す突風に襲われて大胆なワイシャツ破れを披露し、青梅は池に引きずり込まれて溺死の危機に陥り、次々と謎の攻撃を受けるデンジマン。
「地獄の星が光って、バンリキ魔王の到着を報せたのじゃ」
「バンリキ魔王?! ……地球へ来たのか……あのバンリキ魔王が!」
「何しにきたのであろう?」
凶星の到来を感じた女王が、宇宙を彷徨い、行くところ必ず災いをもたらす地獄の使者、ベーダーにも災いをもたらしかねない悪魔の存在を警戒する一方、3人がリタイアした電子戦隊では、赤城が自ら囮になって謎の敵を引きつけると宣言。
だが、離れたところから警戒に当たっていたピンクが謎の霊柩車に轢かれて大爆発に倒れ、霊柩車が弾け飛ぶと現れたのは、古代の剣闘士風味な鎧を着込んだ、半裸の大男!
「何者だ貴様?!」
「宇宙の用心棒、地獄の使者、バンリキ魔王」
地球に襲来した見た目世紀末救世主伝説は、レッドの飛び蹴りを跳ね返すと、デンジパンチを浴びながらも歯ぁ食いしばれぇと正面から反撃してくる恐るべき力を見せ、レッドの危機に光る、アイシーの眼(笑)
いきなりの難敵を相手にいきなりの魔犬ビームが放たれると、レッドはピンクを回収して撤退するが、桃井も負傷に倒れてしまう。
アイシーいわく、バンリキ魔王とは「宇宙に生きとし生けるもの全てを呪い、食らい尽くさないではおかない地獄の使者」にして、特に「デンジ星人の血を引く者への呪いは凄まじい」との事ですが、いったい何してくれたのデンジ星人?!
現在私の中で、「デンジ星人」は大体「バード星人」と同じくくりなのですが、抱えた問題は積極的に宇宙の辺境に放り捨てていくスタイルであり、今のところ本命は、「デンジ姫にこっぴどくフられた」です!
とはいえ既にデンジ星はこの宇宙になく、荒ぶるバンリキ魔王の呪いは何処へと向かうのか……ここまでの物語における対立構造とは別のルールをひっさげた存在が“悪役サイドのテコ入れ”として投入されると共に、過去の失恋によりデンジマンと因縁づけ。
宣伝文句の通りなら、宇宙を蝕む破壊の権化……宇宙レベルの祟り神のような存在らしきバンリキ魔王は、電子戦隊を攻撃するだけすると、続けてベーダー城を襲撃し、ヘドリアン女王とご対面。
「これはヘドリアン女王、相変わらず、お美しい事で」
ヘドリアン女王に対しては膝を折ると、手の甲に恭しく接吻する姿勢を見せるバンリキ魔王だが、直後にベーダー怪物の卵を割って中身をすする化け物ぶりで、怒りと共に珍しく剣の冴えを見せるヘドラー将軍。
激突の気配を女王が収めると、バンリキ魔王は「二度と卵には手を出さん」と約束し、50年の眠りから血の臭いに惹かれて目覚めたとの事ですが……「3000年前」とか「7600歳」とか出てくる今作においては非常に微妙なタイムスケールで、そこは思い切って「500年」ぐらい眠っていても良かったのでは(笑)
「腹が減っては戦はできん。今度こそ皆殺しにしてやる!」
「その言葉、間違いないな」
「バンリキ魔王に二言は無い! 見ておれ! デンジマンを……必ずワシが倒す」
「……余計なお世話だ。デンジマンを倒すのはこの俺だ!」
ここまで武人としての迫力がいまいち無かったヘドラー将軍のライバルとしての役割も与えられたバンリキ魔王は、空腹を満たすと再び地球へ向かい、火球と化しての大破壊を繰り広げてデンジマンを挑発。
一人でも戦いに赴く赤を青黄緑が追いかけて合流し、野郎衆の暑苦しいドラマが展開する中、ベッドに転がってうなされているだけの桃井は、だいぶ可哀想なのか、真夏の野球部のロッカールームには近寄らないのが、マドンナポジションとしての正しさなのか。
アイシーの制止を振り切り、5人揃わぬままのデンジマンがバンリキ魔王に挑む中、基地で目を覚ました桃井の懇願にアイシーは地獄谷の場所を告げ、戦う意思を告げて後から合流する形にしたのは、今作における桃井のヒロイン性を崩さずに戦士としての在り方もしっかり押し出して、上手い話運び。
「私たちはいつも5人よ! 死ぬも生きるも一緒!」
「デンジマンの真の力を見せてやる!」
「小癪な」
バンリキ魔王の火炎放射に追い詰められる4人の元にピンクが駆けつけ……まあ正直デンジマン、そこまでチーム一丸の姿勢に積み上げがあるわけではないのですが、後半に入って従来作品(公務員戦隊)の手癖が目立ち始めたタイミングで、新たなる強敵をジャンプ台に用いて、民間人戦隊だからこその覚悟の表明が改めて必要なのではないかとしてきたのは目配りを感じます。
「見よ!電子戦隊!」
「「「「「デンジマン!!」」」」」
揃い踏みへの焦点も鮮やかに合って5人揃ったデンジマンは、OPをバックに連続で必殺技を叩き込むと、久々のデンジタワー! からひるんだバンリキ魔王にデンジブーメランでスパーク! するが、ビッグバン体質によりバンリキ魔王は巨大化。
第37話にして、ダイデンジンが見た目半裸の人間と戦う事になってデンジ剣とバンリキスピアによる立ち回りとなり、モーションから飛び道具を察知して問答無用のデンジ剣リターンで反射すると、ひるんだところに満月斬りを放つが……
「デンジ剣を素手で受けたぞ!」
バンリキ魔王が必殺剣を白刃取りする恐るべき筋肉の輝きを見せると、押すも引くも出来ない膠着状態(実力拮抗を表す鍔迫り合いの文脈ではあるのですが、若干以上に漂う尺稼ぎの気配)に陥った末、どうやら腹が減ったらしいバンリキ魔王が先に撤収。
超異次元との行き来も自由自在なバンリキ魔王はベーダー城に居候の身となり、
ナレーション「果たして、バンリキ魔王が地球へやってきた真の目的は何か。底知れぬ謎を秘めた、世にも恐るべき敵が、また一人、デンジマンの前にたちふさがった。ベーダーの攻勢は、ますます激しさを増すであろう。負けるな! デンジマン。戦え、電子戦隊デンジマン」
バンリキ魔王はただの筋肉過剰な世紀末の暴れん坊ではないに違いない、とナレーションさんがスタッフを煽って、つづく。
3クール目も終わるところで、最近すっかりせせこましくなっていたベーダー一族にテコ入れ要員が追加され、波乱の火種が投げ込まれるのはシリーズのその後にも繋がっていく作劇となり、ここから終盤戦に入ります、というアクセントの投入で、ベーダー一族は宿敵剥奪の憂き目に遭ってしまうのか?!
ここから上手く盛り上がってほしいですが、次回――箱乗り、そして怪人製造カプセル??
◆第38話「無限魔空の大冒険」◆ (監督:小林義明 脚本:上原正三)
「ここ数日中に、ウルトラスーパー装置を完成させてご覧に入れます」
せ、正式名称なのそれ?!
チエコと喫茶スペースが久々に登場し、謎の蒸発事件の調査に向かうデンジマンだが、ベーダー怪物カマキラーにより超異次元空間に飲み込まれると、スモークが焚かれ、奇抜な照明が差し込む謎空間(目に悪い)に翻弄され、居候のバンリキ魔王に目にもの見せてくれようとライバル心を燃やすヘドラー将軍は、久々に大々的に予算を投入しての、地球全人類の異次元転換計画を進めていた!
相次ぐ蒸発事件はこの実験によるものであり、たまたま開いていた異次元の入り口から超異次元に迷い込んだ少年が、扉から扉をくぐって街中や海岸に転移を繰り返しながら、現実と少しズレた異次元を彷徨い歩く姿が描かれ――ここでは、子供の幻想恐怖体験としての面が強調されていますが――メインキャラが、少年に父親蒸発の相談を持ちかけられた青梅なのも含めて、小林義明×上原正三による、プレ『宇宙刑事ギャバン』とでもいった要素を感じるエピソード。
更に前例があるかもですが、「魔空空間」の「魔空」は、ズバリここからのスライドでありましょうか。
少年に続いて超異次元に飛び込むもベーダーに捕まり、二次元送りの刑にされそうになるブルーだが、敵の油断を誘って反撃に転じると、怪人製造カプセル、もといウルトラスーパー装置を破壊して、大暴れ。
装置の爆発により超次元に異常が発生するとブルーともども囚われの人々も通常空間に復帰し、仲間達も合流して、見よ! 電子戦隊・デンジマン!!
超次元カマキリダンスに苦戦するデンジマンだが、デンジスティックでの反撃からデンジブーメランでスパークすると巨大戦はさっくり加減で終了し、ベーダーの異次元転換計画は装置の爆発と共に水泡に帰すのであった。
……今回一番のビックリは、冒頭にチエコから情報を受け取るだけで、別に緑川回では無かったでしょうか(笑)
次回――の内容を知った上で予告を見ると、編集のマジックでそこそこ大規模な作戦のように描かれているのが面白かったです。