東映特撮に踊らされる駄目人間の日々のよしなし。 はてなダイアリーのサービス終了にともない、引っ越してきました。
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「注文通り言葉を尽くして表情も乗せてしゃべってやる」

ワールドトリガー』(葦原大介)27巻、感想

 まだまだ続く遠征試験編、面白かった!
 遠征を目指す玉狛第二の前に立ちふさがる大きな壁にして、絵馬視点においては横暴で言葉の足りないリーダーとして目の敵にされる役回りから、これまであまり心情の掘り下げの無かった二宮さんですが、今回とうとう鳩原が失踪する前の二宮隊が描かれて、
 個人的に長らく気になっていた
 ・「二宮は、人を撃てない鳩原を使い続けていた」
 ・「鳩原が姿を消した後、代わりのスナイパーを加えていない」
 二点について物語の中に収められたのが、大変満足度が高かったです。
 そこから、過去に言及された「出水に頭を下げて教えを乞う二宮」「影浦の暴力沙汰」が一続きの出来事であったと明らかにされるのは、相変わらず実に鮮やかな手並み。
 戦闘シミュレーション自体は、今作にしても“ゲームぽさ”が過ぎるのと、水上作戦と諏訪隊作戦(三日目)に驚きが無かった事もあって、あまり面白くは感じていないのですが、特殊状況下での人間関係の動きだけでも充分に楽しめますし、運営側の意図を先に明確にした上で“ゲームぽさ”に振り切った、トリオン兵をつくってみよう! は、思わぬキャラの活躍の場を作れそうで、そこは楽しみ。
 他、細かいところでは犬飼の「善意100%なんだけど……伝わんない? このやさしさ」に対して影浦が黙ったのは、サイドエフェクトで少なくとも悪意は感じなかったのだろうな、とか……未だ良いところのあまり無い若村メガネを推薦したのはどうやら忍田本部長、といった辺りが気になったポイントでありました。
 影浦も隊長として、絵馬が遠征に行けた場合の事を考えているようでありますし、“先”を見据えた各人の思惑も面白いところ。
 “先”といえば、閉鎖環境試験はある意味、この後の長時間戦闘への長い長い前振りでもあるわけですが、A級も交えての戦闘試験のスタート、大変楽しみにしています。