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宝石の日々、君が居た夏

仮面ライダー響鬼』感想・第27話

◆二十七之巻「伝える絆」◆ (監督:石田秀範 脚本:大石真司
 「安達くん、どこ行ってたんですか?」
 最近のあきらは、明日夢への対応が妙に柔らかすぎたので、笑顔で怖い路線は、良いと思います(笑)
 もはや極楽浄土レベルの客層に到達しているたちばなを、バイトの高校生2人が切り盛りしている頃(あきらには時給がちゃんと払われているのか大変不安)、響鬼紅は二匹の化け猫を粉砕するも一匹に逃げられ、魔化魍の根城を探っていたザンキ童子と姫に襲われて、生身バトルのサービスシーン。
 元鬼の杵柄で童子と姫の攻撃をしのぐザンキは、突如現れた白いメーター太郎のフォースを受けて川落ちし、前回からずっと走っていたイブキは、大正文学者風和服の男女に追いつくも、近づけないまま体の動きを封じられてしまう。
 あきらの黒太郎との遭遇に続き、童子と姫に容姿の酷似した謎の存在は、鬼を持ってしても簡単に抵抗できない得体の知れない力を持つと描かれ、文学太郎が遠隔で白太郎を操っているような描写の後、和服の男女は姿を消し、邪気を完全に見失ったイブキは、香須実と合流。
 「童子たち?」
 「いえ、違いますね」
 「じゃあ、黒とか白とか?」
 「傀儡でも無かったです」
 メーター太郎は「傀儡」と明らかになり、濁したのが面白くなったとは思いませんが、位置づけについては成る程。
 たちばなでは、努がみどりと気さくに話しているところに明日夢が顔を出し、努は鬼になろうと修行をしていたが両親に反対されてリタイア、現在はライフセーバーを目指していると明らかにされ、仮面ライダー=鬼を、周囲の反対で断念する可能性もあるものとして描くと共に現実の職業との隣接を盛り込んで、「仕事」としての捉え方を補強。
 実際問題として劇中のような鬼にはなれないが、鬼の在り方が示すものに近づく事が出来る、のは現実への良いフィードバックとなり、ちょっと絡め方の強引になった努ですが、「人助けの志は失っていないが、諸事情で鬼にはなれなかった者」として、明日夢くんの未来の可能性の一つ、みたいな存在に。
 その頃、たちばな階上では、あのへっぽこ笛吹き野郎が下に降りたまま戻ってこない……と怒りのあきらディスクアニマル発動3分前にひとみが来店。
 明日夢のあずかり知らぬところで、扱いは悪くないのにどこか不憫同盟結成の気運が高まろうとする一方、ヒビキはみどりのレクチャーを受け、ディスクアニマルを修理中。
 第3話におけるマッピングしながらのヒビキと香須実のやり取りは、今作序盤の白眉といえる場面でしたが、それを踏まえたとは思われるディスクの修理をしながらのヒビキとザンキの会話は、無理なく画面に動きをつけながら、ヒビキとザンキが“面と向かってするにはちょっと恥ずかしい話”を行うのに丁度良い間合いにもなって、今作らしい妙味の出たシーンとなりました。
 「実はですね…………もう俺的にはあの……弟子を取ってるつもりなんですよ」
 「……明日夢くんか」
 「まあ少年は少年で、俺の事を頼ってくれてるみたいだし。まあ俺は俺で、まぁ、彼の事を育てたいっていうか……なんか可愛い奴だなぁって」
 ヒビキさんは、その気持ちの100分の1ぐらい、トドロキの事も可愛いと思ってあげて下さい!
 「少年にも言ったんですけどね、まあ、別に、鬼になるっていう事じゃなくてもと思って」
 必ずしも鬼の師弟関係ではなくても、人生の先輩として、若者を手助けしていい方向に導ければ嬉しいし、そういう大人でありたいとヒビキが想いを口にし、猛士関係者からは(ちょっと中途半端な事してるな……)ぐらいの視線はあったと思われるヒビキが、恐らくはヒビキなりの迷いを超えて今のスタンスを明確にする事により、緩やかな人と人の繋がりを尊ぼうとする事を示すのは、今作らしい柔らかさと暖かさのある距離感になって良かったです。
 サブタイトルでは、それを「絆」と置いていますが、後世の『ドンブラザーズ』がその「絆」を「縁」と言い換えた距離感に、くしくも近いものを感じ、割と真面目に、今作前半でやりたかったけど表現/言語化しきれなかったものって、「えんができたな」だったのかもしれないな、とも。
 ただそれを受けて、
 「そうか……そうだな。彼、いい目をしてるよな」
 とかザンキさんが言い出すと、どうも強引さは感じるのですが(笑)
 繰り返しになりますが、今もって、対人リアクションの8-9割が、照れ笑いか半笑いの明日夢くんにはどうしても魅力を感じられない――第一には、単純にフィクションとして「面白みがない」――のに加えて、明日夢の半笑いや照れ笑いって、一見イエスのようで実は明確な意思表示をしておらず、表向きは礼儀正しくて従順に見えるが、我を通さない事に慣れた少年が周囲と波風を立てない為の処世術として身につけた節があるものを、周囲の大人たちがみんな揃って、少年はいい奴、みたいに受け止めるのはどうにもこうにも、今作の割と根っこのところで引っかかる部分。
 20歳前後組は致し方ないとは思いますが、実年齢以上に“道しるべ”とされているヒビキさんや、二人の娘を持つ勢地郎まで、言ってしまえば“聞き分けのいい良い子”である明日夢くんに可愛げを見ているように取れるのは、どうも個人的な据わりの悪さがあります。
 まあ全て、個人的な明日夢少年観に基づくものではありますが、たちばな関係者を“良き大人たち”として描くのならば、家族とは違う視点から、明日夢くんが抱えているものに、気付く/見守る/受け止める、といったアプローチがあっても良かったかな……と。
 今のところ、そういう気配は特に見えないヒビキさんがこの先、そうだった事にされる可能性もあれば、逆に、受験ノイローゼを乗り越えた明日夢くんには特に押し殺した屈折など無かった、とされる事もあるでしょうが、その観点では、明日夢くんが序盤に見せた電車の旅など暴発的なアグレッシブさは、ヒビキとの出会いを発火点にして、明日夢くんが自ら作った殻の外へ飛び出そうとした面を感じられるのですが、その時点では明日夢のキャラクター性そのものが不明瞭だった為に、“話の都合”以上のものに育たなかったのは、惜しまれます。
 遡れば第2話で
 「自分を信じる事。それが、自分が自分らしくある為の、第一歩なんじゃないかな」
 というヒビキの言葉があり、今作の根幹には「自分らしく歩く道を見つける事」が間違いなく主題としてあるのですが、前半もう一つそれを、明日夢くんのキャラクター性に踏み込んで繋げられなかったのかなと。
 「彼なりに好きな事を見つけるか、人助けがやりたい事になるかはわからんが」
 「とにかく、少年には、男として、何かを伝えられたらいいなって。そう思ってるんですよ」
 子供が居ないので親しい若者に志を伝えます、みたいな事を言い出すヒビキさん31歳、殉職リスクの相応の高さを考えると、結婚して家庭を持つ発想が消えているのかもしれませんが……そもそもこの職場、出会いが限られすぎているので、やはり猛士に必要なのは、結婚相談所だと思います吉野のおやっさん
 猛士組織の将来はともかく、総合的には、ヒビキさんの心の師匠発言に至るまで本来はよりじっくり描きたかったのが、経過を圧縮する為に加速装置としての津村努を投入したような雰囲気。
 その努と話し込んでいた明日夢が店舗に戻ると、戦力を補うため臨時バイトに投入されたひとみが働いており、驚く明日夢に向けて、のれんを持ち上げて悪戯っぽく微笑むカットなどは相変わらず、出番の割に演出サイドの配慮を強く感じます(笑)
 ヒビキが修理を成功させて得た使い魔の映像情報(使い魔視点カメラ映像は、面白い工夫でした)を元に、ヒビキとトドロキは化け猫の巣と化した廃寺へと乗り込んでいき、大量の化け猫軍団を相手に、俺とおまえでダブルバチ。
 敵の攻撃が響鬼に集中するのを妨げている時点で充分な役割を果たしてはいるのですが、ただ鈍器を振り回す係になっていた轟鬼、バックル張り付けに成功し、とりあえず一体は倒すシーンがあってホッとしました(笑)
 響鬼の殺陣としては、襲いくる化け猫軍団を、刀の代わりにバチを振るって、ばっさばっさと切り捨てていく時代劇風味の見せ方で、残るはボス猫のみ。
 紅が組み付かれている間に背後に回った轟鬼が太鼓を打ち込むが、スキル不足でダメージを与えられず……あれ今、ヒビキさん、鼻で笑いました??
 そんなに根に持ってるんですかヒビキさーん。
 ……いやまあ、轟鬼の太鼓に耐えた魔化魍に向けた、不敵な笑み、みたいなニュアンスだとは思うのですが(笑)
 「鬼の血はさぞかし美味いぞ」
 「もっともっと、吸いつくせ」
 物陰から童子と姫が声援を送る中、ディスク使い魔軍団の援護により体勢を立て直した響鬼は、化け猫の後頭部を殴り飛ばすと前方ターボダッシュから灼熱真紅の型を叩き込み、逃げようとした童子と姫ごとまとめて大爆発、のちょっとした変則パターンで決着。
 一仕事を終え、帰還したヒビキ達を待ち受けていたのは、諸々あってたちばなに並ぶ三つの大玉スイカと、花火大会。
 役者さんのスケジュールが合わなかったのか、困った時の吉野出張で勢地郎は不在となりましたが(代理にザンキさん)、浴衣姿の一同が花火を見上げる、育まれてきた繋がりを象徴する画で、つづく。
 ところで、日記タイトルをこねくり回す段になってやっと気付いたのですが、前回サブタイトル「刻まれる日々」と、今回サブタイトル「伝える絆」を合わせて、HIBIKIという趣向だったのでありましょうか。
 前回、いまいちサブタイトルと内容が合ってないような……と思っていたのですが、そういう仕掛けを意図していたなら納得(そんなわけで、日記タイトルはそれに倣わせていただきました)。
 次回――人は繋がり、悪意は蠢く。