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男達は山へ薪割りに

仮面ライダー響鬼』感想・第28話

◆二十八之巻「絶えぬ悪意」◆ (監督:金田治 脚本:大石真司
 第25話で乗せてはみたものの、第26-27話では、存在を完全に黙殺されていた響鬼バイクが冒頭から登場すると、夏魔化魍(河童との類似性を見るに……ヤマワラ?)に苦戦する威吹鬼の危機に駆けつけた響鬼、さっそくバーニング。
 ポリネシア仕込みの燃えるバチが魔化魍を捉えるも、正面から筋力勝負を挑んできた魔化魍にバチを握り潰される大ピンチに、威吹鬼の援護攻撃から前後を挟んでのダブル音撃で仕留めたのは、有無を言わせずピンチシーンから始まった威吹鬼の株にフォローを入れて良かったところ。
 謎の屋敷では和服の男女と傀儡が蠢き、なんとなく、ホラーに出てくる古びた病院風。
 「おはよ」
 「……うん、おはよー」
 童子と姫の延長線上といえば延長線上ですが、ミステリアスな和服の二人は割と普通に朝の挨拶をかわし、眼鏡太郎はビーカーやフラスコが並ぶ部屋で、なにやら黙々と作業中。
 「相当寝てないねぇ、ここのところ」
 「んー、寝てもしょうがないでしょ」
 マッドサイエンティスト魔化魍といった雰囲気の眼鏡太郎が、強化イガグリを呑み込ませて送り出された姫モチーフの傀儡が蜘蛛を素材に童子と姫を生み出し、地中を走るモヤモヤが重なり合う人の形となって童子と姫が誕生するのは、面白い見せ方でした。
 一方、春休みの万引き事件の少年と再び出会ってしまい、理不尽な暴力に曝された明日夢は、沈んだ表情を見せながらもヒビキと山へ向かい、今回のサブタイトルはどうやら九之巻「蠢く邪心」と掛けたようで、魔の背後で蠢く邪悪な意志と、再び明日夢くんを襲う人の悪意が重ねられるのですが、第9話の際も書いたように、逆恨みで悪意をぶつけられる明日夢の図とかは見ていて単純に楽しくないので、エピソードのベースとしては見ていてあまり楽しくない事に。
 当然これは、理不尽な暴力の究極としての、「魔化魍が生み出す死」と対応しているのでしょうから、そんな理不尽に立ち向かい続けているヒーローが、明日夢くんに暴力以外の立ち向かい方をどう伝えるのかは、興味深くはありますが。
 回想シーンでは暴力に対して明日夢くんが抵抗を見せた姿が描かれ、翌日にはたちばなに出勤してくるなど、明日夢くんいい感じ! 明日夢くん成長してる! 明日夢くんは男の子! と、たちばな女性陣が外側から明日夢くんの成長を猛プッシュ。
 あきらはひとみとメールをやり取りする間柄になっており、なんか不憫同盟の結束が強まっていく中、あきらに友達が出来た事を喜ぶイブキ。
 目標が明確で意志が強いがゆえに自分本位で行動しがちな点に関して、あきらが自分自身を変えたいし、変えようとしている事を口にし、劇中では「変身」の単語を避けながらも、シリーズとして「変わる」をテーマにしようとしているのは、今作の割と好きなところ。
 「やっぱりツチグモか……探したぜ」
 その頃、新たな鬼・鋭鬼(えいき)が山野で童子と姫に接触し、声が渋くて格好いい。
 蜘蛛童子と姫は武者モードを発動すると槍と剣を取り出し、立ち向かった鋭鬼は派手に川落ち。日菜佳から連絡を受けたイブキ組が音信不通となった鋭鬼のバックアップに回る不穏な流れから、トドロキ組もそれに合流するが奇襲攻撃を受け、変身時の衝撃波から反撃に転じるも大苦戦。
 ヒビキと明日夢は山中にテントを張っており、すっかり、「息子が居たら一緒にやりたかった事」を始める31歳独身ヒビキさんですが、若干、男性スタッフの憧れが入り込んでいるようないないような(笑)
 テントを張り終えた二人は、ヒビキの目的の一つである新たなバチの素材捜しに山に踏み入るが、斜面で足を滑らせた明日夢くんが滑落していき……アウトドア慣れしていない都会っ子に対するフォローが全く足りていない、ヒビキさんの悪いところが全部出たみたいなピンチで、つづく。
 武者童子威吹鬼たちといった新要素も加えつつ、蜘蛛の魔化魍・バチの素材捜し・山で遭難しかける明日夢……といった辺りは、初期の出来事を意図的に配置している感じであり、次回――少年は、心が響いた鼓動を信じて走れるか。