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鍛えて遊撃

仮面ライダー響鬼』感想・第22話

◆二十二之巻「化ける繭」◆ (監督:石田秀範 脚本:きだつよし)
 「今回はどうにも用意周到、ていうか……思惑がある感じだねぇ」
 どうも前回今回と敵に翻弄されがちのトドロキ&イブキ、轟鬼が投げたギターを拾われてピンチになったり、針を受けた威吹鬼が銃を落としたりと苦戦を強いられるが、あきらの助勢で反撃に転じ、なんとか4体の姫と童子を葬り去るも、あきらが負傷してしまう。
 童子と姫が鬼を相手に時間稼ぎをしている内に、メーター太郎の見つめる前で大魔化魍ファイトは続き、ヤマアラシの喉笛に噛みつく姑獲鳥だが、ヤマアラシの尻尾に締め上げられてダブルノックダウン。
 倒れた師匠の為にかかりつけの医者を担いできたヒビキが、改めて特別遊撃班として浅間山へ向かう事になる一方、イブキとトドロキはディスクアニマル軍団を一斉出撃させ、今作の特徴的な画として、毎度見せ方が凝っているのは、楽しいところ。
 山中ではダブルノックダウンとなった魔化魍が漆黒の繭玉に包まれると魔化魍クロスを果たし、ヒビキ到着に先んじてイブキとトドロキが遭遇したのは、ヤマアラシの胴体と姑獲鳥の頭部を併せ持つ、合体魔化魍・ヤマ姑獲鳥。
 手間暇かけた割にはさっくり撃破されたカニエビはこの前段階という事だったのか、巨大なヤマ姑獲鳥には威吹鬼のラッパも轟鬼のギターも通用せず、未知の魔化魍に2人が追い詰められたその時、柴又-浅間山間を(香須実さんが)ぶっ飛ばしてきたヒビキが現着し、ヒビキさんが敵を前にしっかりと変身したの、もしかして…………第14話の乱れ童子戦以来?
 それが特別遊撃班(第13話より襲名)の役回りとはいえ、振り返ってみれば
 第13話 威吹鬼メイン
 第14話 威吹鬼と共闘で乱れ童子を撃破
 第15話 ザンキ-戸田山師弟メイン。イメージでの変身も無し
 第16話 ずっとオフ
 第17話 バチセイバー運用試験
 第18話 威吹鬼メイン(ちょっとだけ戦闘支援)
 第19話 モトクロスバイク
 第20話 轟鬼メイン(陣中見舞いと戦闘救援)
 第21話 オフ
 で、この8話ほどメインを張った戦闘が無いのは主役ライダーとしてシリーズでも希有な例と思われ、第16話のように、一切変身せずバトルにも参加しないまま主人公性を打ち出す事に成功した例もありますが、00年代前半における複数ライダー群像劇としても、だいぶ思い切った作劇。
 (※演じる細川茂樹さんが同時期に大河ドラマ義経』に出演しており、撮影スケジュールを調整する都合もあった模様)
 ヒビキさんの場合は今のところ、鬼としてのオフといってもランニングしたりたちばなを手伝ったりで、まかり間違ってもパチンコ屋に入り浸ったり賭けトランプに夢中になったりはしないストイックな生活を送っているようですが……思うに今作、イブキとトドロキの両者に色恋沙汰が描かれているのは、作品として“潔癖すぎる”ヒーローへのアンチテーゼの意識がどこか見える一方で、明日夢くんの教科書としてのヒビキさんが“理想の大人”として(抜けたところもありつつ)結果的にはストイックになりすぎている――ヒーローとはすなわち、“自身の欲求を制御できる大人”であって、ポテトチップスに伸ばす手を止め、規則正しく筋トレをサボらず、あと1ターン……! の誘惑に抗えないと“鬼”であり続けられない――事に対する、“人の子としての”ヒーローを示したい意図ではあるのかもしれません。
 音叉を鳴らして鬼となるや、響鬼はド派手なジャンピング音セイバースラッシュを放ってヤマ姑獲鳥の尻尾を一刀両断し、もはやバチでもなんでもなくなってはいますが、もうバチのままソードにしてしまえばという勢いは好きですし、画も格好いい。
 ……この流れだとその内、威吹鬼青白い光の貫通レーザーとか吹けるようになるのではないか。
 「どうイブキくん? 日本の誇る怪獣王のアレをイメージしてみたわ!」
 風属性なので、原理は多分ギャオス寄り。
 「おい、大丈夫か」
 「ハイ」
 「ありがとうございました!」
 特別遊撃班として、もはや出たての追加戦士っぽい雰囲気を纏う響鬼は、「よし、三方向から同時に仕掛けよう」と提案し、響鬼威吹鬼轟鬼による、三方向同時音撃で……特に音楽性が重なったりは……あまりせず(笑)
 そういうのはまだ後半にとっておくという事なのか、「共鳴」というよりは「音圧」による力業で魔化魍を吹き飛ばし、浅間山に平和が戻った!
 柴又では、急病人への対応を通して、誰かの為に自ら動ける男としての明日夢くんの成長が一歩ずつ描かれると、持田さんがキラキラとした視線を向けてそれを補強。
 前作『ブレイド』において、演出陣が誰も彼も(あの長石監督でさえ)広瀬さん(ヒロインとは言わないが女性レギュラー)を綺麗に/可愛く撮ろうとしなかった件を反省したのか、持田さんは演出陣がかなり気を遣って魅力的に見せようとしている節があるのですが、各話演出がきっちり可愛く撮れば撮るだけ、空回りによる不憫感がなんとなく増していく子ではあります(笑)
 まあ持田さんに限らず、『響鬼』は全体的に、男女の別なくキャラクターを「可愛く」撮ろうとしている感じはあって、これは《平成ライダー》シリーズの流れの中で、雰囲気を変えたい狙いはあったのかなと(ここまでのシリーズ作品でも、「可愛げ」そのものを切り捨てているわけでは全くないですが)。
 謎のメーター太郎の実験により、脅威を増す魔化魍に対し、トリオ音劇を成功させた鬼たちは笑顔で山を後にし、次回――日本の夏、鍛えの夏。
 良くも悪くも、どんな未知の強敵でも仕事が片付いたらさっくり切り替える猛士スタイルですが、あきらの負傷を引っ張るかどうかは気になるところで、あきら、登場当初より、明日夢くんよりもよほど明確な「目標」設定のハッキリした優等生であった分、「挫折」も描きやすいキャラなので、ちょっと心配。
 あと今回、鬼を目指している事もあるにせよ、威吹鬼の後を一緒に走るあきらに対して、ザンキさんはもう、トドロキと同じペースでは山野を駆け回れないのだな……というのは、引退鬼の姿として、しみじみとさせられる劇中リアルでありました。