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マサル、トモダチ

『バトルフィーバーJ』感想・第41話

◆第41話「爆破寸前の大逆転」◆ (監督:広田茂穂 脚本:江連卓)
 「僕は、カラクリ人形ではない。僕は、アシガラ星から来た、金太郎だ」
 銀行強盗に巻き込まれ、人質にされたマサルを助けたのは、見た目こけしの怪物な、宇宙人……宇宙人?!
 マサルは命の恩人である自称アシガラ星人・金太郎と仲良くなり、いや、何あれ……と遠巻きに様子を窺うBF隊。
 「ジャパン……あの少年が、エゴスかどうか、点検してみる必要があるんじゃないか」
 しょ、少年認識なの?!
 今作ここまでの積み重ねからすると、どこからどう見てもエゴス怪人であり、視聴者相手に隠す気が無いにしても程があるのですが、百歩譲って劇中人物には未知の機械生命体に見えない事は無いにしても、「少年」認識はさすがに無理がありすぎるのでは(笑)
 後年なら同じアイデアでも、もう少しあざとめの着ぐるみになりそうなところですが、それにしても何故、金太郎だったのか……そして、見た目が「金太郎」だから「少年」扱いのBF隊、「劇中人物には未知の機械生命体に見える」を押し通そうとする事もなく視点がメタ寄りになっていて、奇妙なねじれを生じさせています。
 「エゴス怪人反応装置に異常なしだ。全てのデータが、エゴスとは関係ない事を示している」
 BF隊による身体検査を受けた金太郎はシロだと判定され、息つく間もなく新たな概念が投げ込まれてきますが、木っ葉微塵にした後の残骸など様々なデータの蓄積によりエゴス怪人特有の体組織などが割り出されているのかもしれません。
 「やはり……宇宙人か」
 「いや……宇宙人が製造したアンドロイドかもしれない」
 伝と誠が顔を見合わせる中、地下特別拘禁室送りを免れ晴れて無罪放免となった金太郎はマサル・曙・ケイコと共に街を練り歩き、ほのぼ……はデザインからしてなりようが無いのですが、「外見に囚われずに友情を結ぶマサル」をフォーカスするには「命の恩人」ブーストが強すぎて、純粋な親愛の情とは見えにくい導入になった感。
 そして、そんな一行を車の中からじっと監視する伝と誠が、とてもBF隊(笑)
 人の心など、国防には1円の助けにもならないのです。
 マサルと金太郎は交友を深めていくが、迎えの宇宙船への目印、と称して金太郎が特殊ペンキを塗っていくマンホールが、全てBF隊の秘密通路ばかりだった事から伝と誠の不審は高まり、カラクリイヤーでそれをキャッチした金太郎がアジトへ連絡を送ると、発端となった銀行強盗2人組が口封じに始末される……のではなく、自らの意志でエゴスクロスして壮絶な爆死を遂げるのは、ぶっ飛んだ展開で面白かったです。
 ……ただし、牢屋の中で爆死した為にかえってエゴス関係者だとはバレました(笑)
 BF隊の疑惑から目をそらす為、エゴスによる女児誘拐事件が仕組まれると、人質救出の手助けをするも負傷した金太郎はまんまとBF基地への潜入に成功し……鉄山が基地に居たら、多分いきなり、斬られた。
 不在の鉄山に代わり、九官鳥元帥が金太郎の危険性を警告し、別行動を取っていた誠がエゴスのカラクリの尻尾を掴むと、急に声音の変わった金太郎は、5分後の爆発を宣言してスイッチオン。
 「馬鹿な、そんな事をしたらおまえも一緒に吹っ飛んでしまうぞ」
 「それが俺の役割だ。俺の体そのものが、おまえ達を吹き飛ばす爆弾だ。ふふふふふふふ、共に地獄に落ちよう、バトルフィーバー」
 この言い回しは格好良く、BF隊が身動きできないまま着々と時間が進む中、事前に金太郎がマーキングしていた秘密の出入り口を塞ぐ戦闘員を誠が蹴散らすと、アジトへ飛び込んできたマサルの姿に、カラクリ怪人は動揺。
 マサルからの「トモダチ」発言に激しく狼狽すると、プログラムに異常が発生して自爆装置がストップし……邪悪の化身たるエゴス怪人にも情が生まれる姿が描かれるのですが、キャラクター性はあってなきがごとしといえ、そもそもマサル、どちらかといえばませた少年として描かれていたところがあるので、“金太郎怪人と友誼を結ぶ”筋そのものがあまり面白くならず、マサルの言葉で怪人の自爆が阻止されのも、ドラマチックには感じられず。
 セミレギュラーであるマサルくんにスポットを当てた事そのものは良かったのですが、4クール目にも入って、マサルを“純真な子供の象徴”みたいな鋳型にはめて描くのが根っこのところで無理があった印象で、面白さに繋がりませんでした。
 「バトルフィーバー、爆破はやめたが、おまえ達との決着はつけねばならぬ」
 外に飛び出したカラクリ怪人がヘッドの隈取り増量すると、改めてBFと対峙する締まりの悪い展開から、金太郎ヘッドの噛みつき攻撃に苦しむジャパンを助ける為、頭部に手頃な石を叩きつけるコサック。
 健闘を見せるからくり怪人だったが、スクラムから無慈悲なペンタフォースが叩き込まれ、
 「さらばトモダチーーー!!」
 の断末魔で消滅。
 巨大戦なしのパターンは何度かありましたが、怪人の死亡後に戦闘機部隊が出撃すると、バトルシャークが出撃してバンクで適当に蹴散らし(これはもう、純然たる尺稼ぎ……?)、金太郎の爆死跡を見つめるマサルと、その背を見守るBF隊で、つづく。
 ナレーション「恐ろしい敵ではあったが、悲しい友情に涙する、バトルフィーバーでもあった」
 マサル経由でBF隊に近づくなら、どう考えても美少女ロボットの方が自然なのですが、それは第27話でゲストを相手にやってしまった為に組み込まれた金太郎との友情が定型文の平板さに終始したのに加えて、怪人自らが工作員として策を弄するパターンでは、近い時期の『ジャッカー電撃隊』第21話「バラ色の野球時代!! クライムの強打者」(監督:竹本弘一 脚本:上原正三)が圧倒的に面白かったのもちらついて、物足りなさの強いエピソードでありました。
 後、時代性もあるとはいえ、BF隊はどうせ、葛藤や躊躇のサスペンス0で無慈悲にペンタフォースするに決まっているので、“心ある怪人”アイデアとの相性が悪い(笑)
 次回――久々な気がする京介回。