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仮面ライダーX』感想・第25話

◆第25話「謎の怪盗 カブト虫ルパン!!」◆ (監督:内田一作 脚本:鈴木生朗)
 「南原くん……せっかく君が儂を信頼して、この設計図を送ってくれたのに、儂はガンを患って、もう幾らも命が残っておらぬ。しかし、儂は妻も子もない、孤独の身だ。そこでやむをえず、非常手段を執ることにしたよ」
 亡き南原博士よりRS装置の設計図の1枚を送りつけられた理論物理学の権威・堂本博士は、余命いくばくもない身の上の死後も設計図を守る為に、近所の子供2人に薬を盛って眠らせると、その背中に分割した図面を焼き付ける悪魔の所業を実行。
 ……最近見た作品だと『オーレンジャー』のバラナイトメア回のように、ヒーローフィクションとして楽しむには、子供を狙った現実的な犯罪行為に接近しすぎていてもう少しどうにかならなかったのかと思う導入ですが、よく知らない人から貰ったお菓子を食べてはいけない、という警句が意図的に含まれているのやら。
 「この子供達には可哀想だが、人類の平和には換えられん」
 博士は必要な処置を終え、
 ・表面的な「可哀想だ」という感情はある
 ・だが個人の尊厳はより大きな正義の為には踏みにじられても仕方ないと考える
 ・死期が迫っているので罪の意識を背負う時間は短い
 と、この一言に人間性のダメさ加減が濃縮されているのが物凄いですが、その背景であるRS装置編の通しテーマが、「科学技術そのものは悪ではなく、使う者の心次第」なのが、また凶悪です。
 ……後、やっている事がだいたい神啓太郎。
 堂本博士による「超技術の設計図を2人の子供の背中に隠す」行為は、東映ヒーロー作品だと近い時期の『キカイダー01』そのままなのですが、「秘密の地図(など)を人体の一部に隠す」アイデアそのものは古典的なものかとは思われ、バリエーションとしては近年のヒット作だとマンガ『ゴールデンカムイ』が記憶に新しいところ。
 一方、敬介は生前の南原博士が20年前に参加した科学者会議の写真を入手すると、南原が大先輩として尊敬していた堂本博士に辿り着き、この先輩にしてあの後輩ありか……と没後に人間性への不安要素が浮かび上がってくる南原博士(笑)
 本物の設計図は焼き捨てた堂本博士は子供たちを解放するが、部屋に戻ると喫茶店を盗聴して情報を得たカブト虫ルパンの襲撃を受け、何故いきなり、「虫」は漢字なのか。
 名称に関する疑問はさておき、黒マントを羽織ってモノクルを身につけ、ボディに紫色の入った怪人デザインはなかなか格好良く、シルクハットを投げ付けて設計図の隠し場所を見つけ出すと、工作員に拾ってもらった帽子を被り直すのも面白い(笑)
 封筒の中身が空だと気付き、博士を尋問しようとしたところで敬介が乱入し、フェンシング使いのカブト虫ルパン、敬介にかわされて戦闘員を刺してしまうと若干の動揺が見られるなど、人間くささ強めの仕草に妙に愛嬌があります(笑)
 敬介がセットアップするとホイップを構えての剣術対決となり、大きくジャンプした際に帽子のツバを押さえるのもお洒落なKルパンは、一時撤収。
 「アデュー、Xライダー」
 急ぎ堂本博士の元に戻るXだが、瀕死の博士は設計図の隠し場所にまつわる鬼畜の所業を明かす前に事切れ、そこで再びKルパンが姿を見せる。
 「これでお互いに、堂本の口から、設計図の在処を聞く事はできなくなった。後はどっちが先に探し出すか、頭の勝負だな」
 どうやら盗み聞きする気満々だったらしいKルパンは、Xを煽って姿を消し、手がかりを求めて室内を探るXは、部屋に残されていた子供のグローブを発見。
 野球少年と接触すると、堂本博士の元を訪れたもう1人の少年の事を知ってプールへと向かうが、後に残された少年はKルパンにさらわられるといきなりの逆さ吊りにされ……勿論ゴッドが一番悪いのですが、事の元凶の堂本博士に続き、自分が落とし穴に落ちない代わりに情報を道ばたに落として歩く敬介の無警戒加減も相当に酷い(笑)
 プールで遊んでいた少年から話を聞いた敬介だが、堂本博士が何かを渡した様子もなく手詰まりになったその時、プールサイドで遭遇したマコとチコが、少年の背中に浮かび上がった図面に気付き…………
 ど、どうもとぉぉぉぉぉぉぉ?!
 プールで直射日光を浴びていた程度で秘密の設計図が浮かび上がってしまい、敬介の指示でプールに飛び込んだ少年だが水中でKルパンに身柄をさらわれ、そのまま黙って帰れば良かったのに、怪盗の魂に導かれるまま、ついつい犯行を宣言してしまうルパンパープル。
 「あんたのお宝、貰ったぜ」
 じゃなかった、
 「神敬介、子供は貰った!」
 追う敬介はカブト虫煙幕を食らって逃げられ、今回は通してミニカブト虫が大変優秀な(すぎる)のですが、思えばジンギスカンコンドルもミニコウモリを用い、サソリジェロニモもミニサソリになれたので、ゴッド悪人軍団は使い魔フィーチャー路線なのかもしれません(ガマは……ガマだったから……)。
 Xライダーを振り切ったKルパンは、捕らえた少年2人を拘束すると背中を直射日光であぶって設計図を浮かび上がらせ、半裸の小学生の拷問シーンを呼び込むに至った堂本博士の所業があまりにあまりですが、それもあってか描写の方も、“洋館の怪しい老人”で半ばエネミー扱いではあったり。
 撮影された設計図の写真はXが強奪すると子供たちは藤兵衛が救出し、堂本博士の後に出てくると、とても善良な人物に見えます!
 XとKルパン、再びの剣術対決はアクションとして面白く、ゴッド忍法・空蝉の術によりマントを身代わりにキャストオフしたKルパンは必殺のギロチンハットを放るが不発に終わり、逆にXキックを受けて地面に転がったところに、ハットを投げ返されて首がぽろっと落ち、大爆死。
 「カブト虫ルパン、設計図は俺が貰ったぞ」
 「……口ほどにもない奴めが。カブト虫ルパンの恥をそそぐ者は、誰だ」
 キングダークの声に応えて闇の中から新たな怪人が姿を現し、RS装置8番勝負――次なるゴッド悪人軍団は、ヒトデヒットラー
 少年たちの背中の設計図は、別の光線で無事に消えた後日談がさすがに描かれ、(倫理なき科学者たちに)負けるな、敬介、仮面ライダーX!