東映特撮に踊らされる駄目人間の日々のよしなし。 はてなダイアリーのサービス終了にともない、引っ越してきました。
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人形のキャンパスは白

仮面ライダーウィザード』感想・第43話

◆第43話「白い魔法使いの秘密」◆ (監督:諸田敏 脚本:きだつよし)
 「コヨミちゃん……ちゃんと人間だったんですよー!」
 いや君、今までなんだと思ってたの……?
 瞬平の、思った事をそのまま口に出す性格、見せ方によってはちょっと緩いが好感は持てると出来そうなのに、どうしていちいち、根本的な人間性に疑問を感じさせる形で出力されるのか。
 もう少し、言い方、というものがあると思うわけなのですが……本人的には、喜ばしい真実が判明した、というニュアンスで善意100%みたいなものの、「ちゃんと人間だった」ってなかなか出てこない言葉のチョイスで、目が点になります。
 コヨミが魔法人形である自身に悩んでいるからこそ、周囲の仲間たちは皆、「コヨミは人間(ゲートの抜け殻)に間違いない」と前向きに接しているのだとばかり思っていたのですが、絶妙に、「ちゃんと人間じゃない」と思っていた風に聞こえて(台詞起こしの文字だけだとそうでもないのですが、映像だとだいぶ好意的に捉えにくい言い回し)、ある意味、凄い。
 基本的に記憶喪失なのだから「過去の情報が得られた(?)」事に喜んでおけば良かったと思うのですが、瞬平の中で「記憶が無い」がいつの間にか「人形だから記憶が無い」けど「過去があったので人間だった」まで飛躍しているのも、困惑します。
 ……根本的なところでは、ソラからコヨミに関して提出された疑義について瞬平まで共有されていた覚えが無いので、この台詞が飛び出してくるには認識を更新する為の情報が足りていない気がするのですが、見えないところで共有されていたと解釈しても酷いし、共有されていなかったらもっと酷い(疑義の提出前から、そういう視点だった事になる)しで、瞬平に関する好感度の積み重ね不足も響くところ。
 果たしてコヨミこそが、西園寺が探し続けていた湖の少女なのか?
 思わぬ所からコヨミの過去らしきものがもたらされて面影堂の一同が喜びに沸く中、仁藤・凛子・真由のパーティーが辿り着いたのは、株式会社ワイズマン本社ビルに似た雰囲気の山中で、ソラの言葉通り、そこに現れる白P。
 「……まさか、本当にここに居るとはね。謎は、解けたというべきか、深まったというべきか」
 当て水量だったらしいソラは物陰で呟き、まさか、事態の背景について劇中で一番真面目に推理しているのが狂気のシリアルキラーになるとは(笑)
 ……まあ、あれだけの失踪事件を起こしてつい最近まで尻尾を掴ませなかった点からも、滝川・空が高度な知能犯であった可能性は高いので、事ここに至っては説得力はありますが。
 木崎さんがリタイアした今、事件の謎解きに関しては、ソラが最後の希望だ!
 基本的にビーストを相手にする気があまり無いらしい白Pは、「譲くんは自分の意思で契約書にハンコを押しました。ホントだよ」と穏便にお引き取り願おうとするが、怒りの仁藤はビースト変身。
 力尽くでも譲を取り戻す、と殴りかかるビーストだが、マジカルアーツ8段の白Pに叩きのめされると、今回は本気だとハイパー化。
 「やはりおまえは厄介な存在のようだ」
 盛り合わせストライクを受けた白Pは、エクスプロージョンで大口ブラスターを打ち破り、変身解除で倒れる仁藤だが、変身しての援護こそ躊躇ったものの、身を挺して真由が仁藤をかばう。
 「魔法使いはファントムを倒す最後の希望じゃないんですか?! なんで魔法使い同士でこんな……」
 「……真由に救われたな」
 白Pはテレポートで姿を消し、
 「……そろそろ、遊んでる場合じゃないかもね、僕も」
 ソラが意味深な呟きを残して立ち去った後、一同は血まみれで地面に転がっていた木崎を発見して病院に運び込むが、命に別状はないものの意識不明。
 さすがにさっくり退場はさせまでんしたが、恐らく情報の解禁日まで眠っている事になりそうで、いっそ木崎が魔法使いの素養ありだったら面白かったのに(笑)
 呼び出しを受けた晴人が病院に向かっている間に面影堂を抜け出したコヨミと西園寺は、10年前の湖へと向かい、だいぶ荒涼とした色彩の湖畔で朽ち果てたブランコと、西園寺の思い出話を聞くコヨミだが、何も思い出す事が出来ない。
 「可愛い子ね……でもきっとそれは私じゃない。人間だったら、そんな素敵な話、忘れる筈ないもの」
 「……君も、自分が何者であるか不安なら、自分が何者になりたいかを、考える事から始めればいいと思う」
 「……え?」
 ここまで、だいぶ困ったおじさんだった西園寺が、後編15分ぐらいまで来てようやく、人生の先達らしい含蓄のある発言をして、ちょっとホッとしました(笑)
 「たとえ君があの時の少女でなくても……この指輪は、君に必要だ」
 「…………でも……」
 「いいんだ。それが、今の私の希望だ」
 コヨミに思い出の指輪を託そうとする西園寺だが、機を窺っていたスフィンクスが現れると今度こそ指輪を炭に変えて踏みつぶしてしまい、絶望に崩れ落ちるとピキピキタイム。
 余裕のスフィンクスが背を向けて去ろうとすると、晴人と仁藤がそこに駆けつけ、
 「少し遅かったようですね」
 「いいや……まだ答は出ちゃいない」
 は、スフィンクスこだわりの台詞回しに対する切り返しとして格好良く決まり、思えばきださんも、劇団・舞台演劇出身の人なんだなと(『フォーゼ』の中島かずきさんとかもですが、瞬発力優位が長短の印象)。
 ビーストがスフィンクスを相手している間に、ウィザードはアンダーワールドへ突入。ブランコの思い出を破壊しながら鉄腕ファントム幼生が出現すると、久方ぶりに精神世界でドラゴン召喚し、ドラゴンバイクで空中戦。
 現実世界のビーストは、真剣白刃取りで真っ二つの窮地を切り抜けると、ピンチはチャンスの逆転ハイパーから大口ブラスターで快勝し、栄養補給、出来て良かった。
 ……まあ仁藤、好感度を下げそうな要素であるマヨラー押しつけと美人に弱い描写が気がつけばほぼ無かった事になっているのに加えて、空腹強調もシリアスな展開の時は引っ込みがちでありますが、ある意味で“倒すべき敵を必要とするヒーロー”(そういう意味でも、「アーキタイプ」なのかも)である仁藤/ビーストを、どう落着させる(生き延びさせる)のかは、最終盤の気になる点の一つ。
 ウィザードは、ファントム幼生のあやとり攻撃を回避すると、これまたお久しぶりの殲滅ファイヤーから、この辺りしか使い道の無さそうだったオールドラゴン(20話ぶり2回目)を発動し、ここまで来たらもう、フェニックスだけのスペシャルフィニッシュ扱いでも良かったような気持ちもありましたが、空中に魔方陣を出しながらのスライディングドラゴンキックは格好良かったです。
 かくして西園寺の精神世界は守られるが、10年前の記憶の中でウィザードが目にしたコヨミ(仮)の父親は……笛木?!
 「まさか、そんな……」
 晴人が激しく当惑する中、コヨミは西園寺に、“指輪に込めた気持ち”は受け取ったと告げると、
 「自分が何者であろうと、一人の人間としてみんなを助けていく。それが私がなりたい私だから」
 と前を向いて立ち上がり、西園寺の半ば妄執だったものが浄化されると共にコヨミが新たな一歩を踏み出すきっかけとなった着地点そのものは悪くなかったのですが、総じてコヨミのアイデンティティの問題が「メイン回なので急に思い出した」みたいになってしまい、もう少し、折々で触れていればより劇的になったのではないか、という点は残念でした。
 中盤以降の、コヨミの出番と掘り下げの不足が響いたな、と。
 「あと一人だ……コヨミ」
 その光景をこっそり見つめる白い魔法使いは笛木の姿になると紫の月の指輪を見つめ、つづく。
 ……そういえば、前半ちょくちょくデザイン面で『龍騎』オマージュぽさを感じていた今作ですが……果たして、笛木の求める“最後の希望”とは何か。
 十中八九それはそうだろうにしても、コヨミ=湖の少女、の根拠が西園寺の思い込みだけなのに、周囲が完全にその気になっているのは(気持ちはわかるにしても)ちょっと苦しいですが、ソラやミサも独自に蠢く中、今を生きる魔法使いたちの物語は、いよいよ佳境へ。