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銀河より愛を込めて

『バトルフィーバーJ』感想・第14話

◆第14話「美女と野獣の結婚」◆ (監督:山田稔 脚本:上原正三
 今作初の同一脚本家の二連投となり、サタンエゴス様が生み出したのは、いまいちモチーフ不明のギンガ怪人。
 戦隊怪人デザイン大鑑『百化繚乱』のデザイナーコメントによると、元々は巨大な脳を特徴としたストレートな異星人モチーフだったそうで、確かにそう言われてみると、頭部と胸部は脳のブニブニ感に見えなくも無く。
 そこに頭のラッパや巨大な鼻を付け加えたとの事ですが、そのため最初、コンドルとかハゲタカ系の怪人に見えて、何が「ギンガ」なのかだいぶ困惑しました(笑)
 「我が子ギンガ怪人よ。おまえの体内には、ギンガ宇宙染色体が混ぜられている。さぞかし、宇宙的頭脳を持つ孫が、生まれる事であろう」
 何がギンガ宇宙染色体なのかは更に困惑しますが、サタンエゴスの目的は、閏年の2月29日生まれの女性をギンガ怪人にめとらせることでエゴス新人類を生み出す事にあり、一見トンデモな導入でありますが、宇宙的観念を持ち込みつつ、より優れた種への霊的な進化を目論む活動は、近代穏秘学をベースにした節のあるオカルト結社としては正統派。
 かくして、ヘッダーは社長の御曹司の為に見合い写真をかき集め、ギンガ怪人に目を付けられたのは、京介の幼馴染みでもある美容師・久美子。
 エゴスは駆け出しのデザイナーである久美子の恋人を拉致すると、ギンガ怪人がその姿をコピーして久美子に接近し、結婚願望の強い久美子に対してこれ幸いと早速プロポーズ。
 タマネギの匂いが苦手で馬脚を現しかけるもその場は切り抜けるギンガ怪人だが、爪の先で煙草に火を灯している姿を久美子妹に目撃され、相談を受けた京介は、BF隊を動員して男の皮膚と唾液の成分を分析し、エゴス怪人らしき事を確認。
 「もう一回だけテストしてみよう」
 念には念を入れた最終確認として、撃って怪我したら一般人! 撃ってよけたらエゴス怪人だぁ!!と京介はデート中の青年にバイクで殺到すると銃を向け、スーパー戦隊としては歴代でも指折りの危険球を、次々と放り込んできますBF隊。
 「私は結婚前の大事な体。貴様に関わり合っている暇などない。さらば!」
 完全に謎のヒットマンの襲撃に、思わず正体を現したギンガ怪人は、フランスと一当たりすると逃走し、本部で京介からの報告を受けた鉄山は、どういうわけか久美子が閏年生まれである事に着目すると、恋人の青年の行方を危惧しつつ、久美子のガードを指示。
 「……消された可能性もあるな」
 「生きてるよ! ……いや、生きててほしい」
 謙作の言葉を思わず遮った京介が、プロとしては謙作の判断に理があると感じながらも、幼馴染みの為に希望を口にする台詞回しが上手く、ここまで、サボり以外のスポットライトが少なかった京介ですが、幼馴染みを心配するパーソナルな部分で、上手く個人の柔らかい感情を見せてきました。
 京介が久美子を励ましながら青年の捜索に当たる中、久美子の護衛についた連絡員Bのミドリにも普段よりスポットが当たると、久美子の部屋に投函される、囚われの恋人の写真。
 同封されていた脅迫状の指示に従って単身エゴスのアジトに向かった久美子は、恋人と妹の命をたてに結婚を迫られ……段々、昭和の昼ドラみたいになってきました(笑)
 既にエゴスの結婚事情を把握していた鉄山は京介に付近の教会や神社を探らせ、地下アジトでの悪魔崇拝めいた儀式ではなく、二人の門出は社会通念に従って祝福するのが、エゴスの流儀。
 かくして、仁王門のある寺で、神主に扮したヘッダーが取り仕切り、白い覆面を被ったエゴス構成員が並ぶ中、紋付き袴のギンガ怪人が花嫁と並ぶ気の狂った状況で、三三九度の杯が取り交わされようとする寸前、フランスのサーベルがそれを阻止。
 「可愛い娘を、野獣の餌食にされてたまるか! あばよ!」
 フランスは、途中でエゴス構成員に殴り倒されるも無事だったミドリに久美子を預け、バトルフィーバー大集合。
 撮影の都合の良さか、70年代ヒーローはよく寺社の敷地や墓地で戦いますが(そして見ていて、そこは踏んで良いところなのかとかドキドキしますが)、BF隊と寺の境内の、異常な似合わなさ(笑)
 追い詰められたギンガ怪人はギンギンガギーンと弟ロボットを召喚し、バトルシャーク出動。特別危険手当の条件は揃ったのでスクラムだ! とペンタフォースが炸裂してギンガ怪人は弾け飛び、ギンガロボットのラッパキャノンを浴びるBFロボは、それに耐えるとクロス・フィーバーで勝利を収めるのであった。
 久美子は無事に救出された恋人と結婚式を挙げ、新郎の方はこんな目に遭ったら尻込みしそうなものですが、国防的などこかから圧力がかかったとかかかっていないとか。
 幼馴染みの幸せな旅立ちを見送った京介に、久美子妹が「あと8年待ってね」とウィンクを飛ばしてオチがつき、つづく。
 対怪人のセオリーに則った作りと、ちょっとしたスパイ物の彩りが上手く噛み合って、2クール目に入ってきてようやく、上原大先生が作品を自分のものにしてきた感じ。これまで気取り屋でサボり魔だった京介が、幼馴染みの為に奮闘して好漢ぶりを見せる事でだいぶ印象も良くなりましたが、次回はまたも京介回で、今度はエスカルゴ作戦だ?!