東映特撮に踊らされる駄目人間の日々のよしなし。 はてなダイアリーのサービス終了にともない、引っ越してきました。
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二の腕を燃やすアイツ

 本日1本目。

仮面ライダーウィザード』感想・第16話

◆第16話「クリスマスの奇跡」◆ (監督:中澤祥次郎 脚本:きだつよし)
 祝・ミサ、上掛けを手に入れる。
 ワイズマンから、冬のボーナスが支給されました。
 さすがに見ていて寒そうだったのでホッと安心しましたが、ユウゴの方はボーナスが出なかったのか、君は、二の腕剥き出しで、頑張れ、と言われてしまった模様です(まあ、季節感無視した服装の方が異質感は出るのですが)。
 上着は無いが魔力はみなぎってきたユウゴは、街の一つや二つ吹き飛ばしたいと相変わらずの雑な言行を繰り返し、呆れたミサにより街で見かけたゲートの絶望ミッションを任される一方、コヨミが魔宝石をぬす……拾ったワイズマンの療養先を訪れようとする晴人とコヨミだが、ワイズマンセキュリティに阻まれて迷いの山林を突破する事が出来ない。
 魔宝石の入手方法は晴人も知らない事に言及され、仕方なく街へ戻った二人が目にしたのは、普段のサボりがたたり、冬の防犯キャンペーンで一人だけサンタ服を着せられていた凛子の姿だった。
 「え……何やってんの、凛子ちゃん」
 晴人は吹きだし、コヨミは冷たい視線を向け、ただでさえ記憶の無いコヨミからの、地元警察に対する信頼ゲージが物凄い勢いで下がっていきます。
 なお凛子さんのサンタコスプレは笑ってしまうような感じのものではなく、むしろイベント会社経由で雇ったモデル的な似合い方の為、どちらかというと晴人のリアクションの方が不自然に感じるのですが(普段ズボンなので、ギャップに笑っているという意図だったのかもですが)……着せてみたら思った以上に着こなしすぎて、繰り返しギャグ扱いにしておかないと、地元警察が凄くダメな感じになりそうだという判断が働いたのでしょうか(笑)
 ダメ、といえば、イブのコスプレ勤務を嘆く凛子に対して「どうせ彼氏も居ないんだろ」と発言した署長が女性警官からセクハラ認定を受けて連行されると、更に男性警官に挟まれてどこかへ連れて行かれる(署長さえも逮捕される『ウィザード』砂漠)のは、無神経に定番のネタで済まさずに時代に合わせた処理を施されていて地味に良かったです。
 ちょっとしたドタバタ騒ぎを挟み、クラーケンの連絡を受けてグール軍団に襲われる金髪青年・達郎を助ける晴人は、ひぃひぃひぃ。
 ややガラの悪い達郎は、今作ゲストとしては珍しく、ファントムについての説明を聞かずに乱暴な口調で面影堂を出て行き、後を追った晴人たちは、バイト三昧の達郎が養護施設出身である事を知る。
 3年前に施設を飛び出していった達郎だが、施設の子供たちの為にこっそりクリスマスプレゼントを買い集めており、
 「でも今日は、クリスマスだけは、こんな俺でも誰かの希望になれる。子供たちにプレゼントをあげるこの日だけが、俺の希望の日なんだよ」
 と、やさぐれて施設に迷惑をかけた過去は取り戻せないが、“誰かの希望になれる自分”に救いを得ていた、という形で、今作の軸になりつつある「希望の連鎖」が描かれ、達郎の境遇に共感する晴人は手伝いを申し出るが、そこに、風見志郎ばりにタイミングを伺っていたフェニックスが登場。
 「この時を、ずっと待ってたぜ。ただ倒すんじゃつまんねぇ。目の前でゲートを絶望させて、てめぇも一緒に絶望の淵に、叩き落としてやるぜ!」
 達郎の抱えていたプレゼントを切り裂き絶望ゲージを上昇させるフェニックスに対し、FDWとなるといきなり殲滅ファイヤーを撃ち込むウィザードだが、フェニックスはその高温に平然と耐えてみせる。
 「俺は死と再生を繰り返す度に強くなる……不死身の、フェニックス様だぁ!」
 ちゃんと。サイヤ人体質で良かった。
 「遊びの時間は、これからだぜ」
 ウィザードを踏みつけにしながら、フェニックスは火炎放射でプレゼントを焼き払い、今回も徹底して外道。
 「キラキラ目障りなその頭、今度こそ、叩き割ってやるぜ!」
 何か布石なの……? と思うぐらい宝石頭にこだわるフェニックスですが、ウィザードはマジカルハンドで窮地を脱すると、じゃばじゃばWDへとフォームチェンジ。殲滅コールドブレスを放つがフェニックスはその凍気さえものともせずに直進し、
 「こんなもんに、負けるかよぉ!」
 はちょっと、主人公サイドっぽい台詞(笑)
 すなわち、


ゆーうきはー ふしぎなー ふぇーにっくすー
きずつくたーび つよくなるー
ふぁいやー ふぁいやー


 マジあかい魔法の力で突進してくるフェニックスに対して、追撃を放つ事で辛うじて凍結させたウィザードは尻尾を叩き込んで粉砕し、「死と再生を繰り返す度に強くなる」発言は先にしておきましたが、7話ぶりの雪辱戦で、ビックリするほどあっさりフェニックス戦死。
 「諦めるな! ……俺が――最後の希望だ」
 達郎にエンゲージしてアンダーワールドの中へ飛び込んでいったウィザードは、複数の手に武器を持って暴れ回るファントムと激突すると、ドラゴンバイクキックを叩き込んで一気の撃破。すると突然、サンタクロースが現れてウィザードにプレゼントを渡し、困惑しながら帰還すると、その目の前でフェニックスが復活。
 「次の手品を、楽しみにしてるぜ、魔法使い」
 それはそれとして魔力は目減りしているので、捨て台詞を残して撤収します!
 ファントム化は防がれたものの、消し炭と化したプレゼントを前に呆然と座り込む達郎だったが、晴人がアンダーワールドで受け取った箱が光り輝くと、どういうわけか中に指輪が入っており、メリークリスマスの魔法でプレゼントが復活。
 指輪は一回限りで消滅し、プレゼントを置いてこっそり去ろうとした達郎は園長に迎え入れられて大団円。
 終わってみると全ては、サブタイトル通りなので頷く他ないのですが、100%季節イベント&カレンダーの日取り前提の為、本放送時の季節感から離れると、え? あれ? 今回、1話で片付くの……? と、ここまでの『ウィザード』スタイルとの違いに困惑が先に立ってしまうエピソードではありました。
 真っ赤なサンタならぬフェニックスを1話で粉々にしてみせる贅沢な起用は、ある意味では1話だから出来た荒技、ともいえるかもですが(次に前後編でメイン張ったら、さすがにトドメ刺さないとしつこそうなので)。
 聖夜の奇跡を挟んで次回――マヨネーズの男……よりも、外に立っているワイズマンが気になって仕方ありませんが、晴人のアイデンティティを揺るがしかねない存在の登場で、どうなるショータイム?!