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駆け足『ウィザード』

仮面ライダーウィザード』感想・第13話

◆第13話「夢を継ぐ者」◆ (監督:田崎竜太 脚本:香村純子)
 「そうか……夢を継いだのは俺の方だったな。……俺も受け止めてやんないと」
 晴人さん、全方位口説きの責任を自覚する。
 バルキリーに捕まり、景気良く吊られた瞬平は投げ落とされたところを竜巻キャッチされ、その間にバルキリーは逃亡。
 絶望ミッションを完遂できずに逃げ帰ったバルキリーは、ファニックス・ユウゴに罵声を浴びせられて揉み手で頭を下げている割に何故か高い所におり、妙に面白ファントムになっています(笑)
 「心の支えが他にあるのよ……最後の砦を守るなにかが」
 メデューサ・ミサは、ゲートを絶望させる鍵は店が潰れるか否かではない、と判断し……サブタイトル通り、今の親方にとって本当に大事なのは店ではなく、未来への無限の可能性を持ち、自分の味を継いでくれるであろう、夢を継ぐ者――弟子である、というゲートの想いと、自分は役立たずさんばりに役立たずだ! と落ち込む瞬平と晴人の関係を「夢」で結びつけるのが巧みな話運び。
 「ああ見えて晴人くん……実はいっぱいいっぱいなんじゃないかって……最近思うの」
 心に剣、輝く勇気、橘さんより役に立つ助手になりたい瞬平が凛子に励まされ、晴人を支えようとする者たちが描かれる一方、親方が弟子の再就職の世話をするのに付き合った晴人が、その心意気に感銘を受けつつもこぼす、実に晴人らしい「それに俺……誰かに継いで貰おうなんて思ってないし」が、後半に反転して“晴人と世界の繋がり”になるのも、巧妙でした。
 ところが、親方が絶望しないのは弟子のお陰である、と真面目にゲートの身辺調査をしていたミサに立ち聞きされてしまい、晴人とミサは初めてのエンカウント。
 「ちょっと待ってよお姉さん。……行かせるわけにはいかないんだよね。力尽くでも」
 「わざわざ私に挑むとは……愚かしい」
 繰り出されたメデューサの髪が黄ザードのディフェンドを次々と突き破って幹部能力試験を軽々とクリアすると、杖のような武器を手にして格闘戦から、物体を岩石に変える能力でウィザードを叩き潰し、シンプルな強さを披露。
 晴人が弟子を守ろうと急ぐ一方、かつて“魔法使いになりたかった者”として希望を繋ごうと体当たりで奮闘する瞬平の姿勢に感化された弟子は、自ら材料を手に親方が満足するだけの和菓子を完成させ、親方の味を守っていくと宣言。
 「一人前になるの、楽しみにしてるからな」
 「……ハイ。俺が親方の、希望になります」
 その光景に晴人は、瞬平の希望になると告げた時の事を思い出し……“失わせない為の希望”の意味を、改めて噛み締め
 「お忙しいところ、失礼します」
 ているところに、敢えてサラリーマンスタイルで正面から入ってくるバルキリー、文句なく今回のMVP(笑)
 「おやおや、まだそんな饅頭を。私が、処分してあげましょう。お弟子さんと、一緒にね」
 弟子たちを逃がし、バルキリーを食い止めるウィザードだったが、自由自在に飛び回り、割と強力な飛び道具を放つファントムに出し抜かれ、ふっふっふで慌てて追跡。
 「貴方が消えればゲートは絶望します。今度こそ、ノルマ達成です」
 追いつかれた弟子がファントムに貫かれそうになったその時、逆手持ちソードの緑ザードが割って入り、今作における“間に合う”ヒーローへのこだわりは、初期《平成ライダー》に対しては、ちょっとしたアンチテーゼになっているのは、面白いところ(メタ的に、被害描写がやりにくくなっている事情もあるのでしょうが)。
 全体としては、“半年前に間に合わなかった現実”を背負って生まれたヒーローが、二度と失わない為に、間に合おうとし続ける物語、なのが爽快感の影に悲壮さのスパイスを加えており、それが少しずつ、晴人の言行や周囲の反応によりにじみ出してくるのが、作品としての味わいになっています。
 瞬平が饅頭カバーリングダッシュを決め(とはいえ、饅頭がこのタイミングではなくてはならない必然性は薄く見えるので、作り直して箱詰めした方が良さそうですが……仕入れた材料を全部使った設定……?)最後の希望を守ると、ウィザードはスペシャルを発動。
 魔方陣をバックに宙に浮かび上がる姿が格好良く、背中にコウモリのようなツバサを広げたHDウィザードは、まさしくデビルウイングによりバルキリーと空中戦に突入。なんとなく、デザイン的には龍騎の次はナイトオマージュぽくもありますが……『龍騎』10周年……?
 高速回転で巨大な風の渦を作り出すと、閉じ込めたファントムを巨大な雷撃で消滅させる規模大きめの必殺技でフィナーレを飾り、この前後編、しっかりフレイムドラゴンと区別を付けられたHDウィザードが格好良かったのは、ポイント高かったです。
 親方は店を畳む事になるが、弟子は再就職を果たし、なんとなく存在価値を認められた瞬平は、実は何も事情を把握しないまま勢いで饅頭に向けてダッシュしていただけだった……と持ち上げすぎない(が、天然でそういった気質を持った存在として)オチが付き、
 「これからも頼りにしてるぜ……魔法使いの助手としてな」
 と、晴人さんが責任を取って、つづく。
 前編の感想でも触れましたが、瞬平が自分の立場に意味を認めるかどうか……は突き詰めると晴人の反応次第なので、順当な着地となりました。スキルとしては、《うるさい》に続いて、《懲りない》《めげない》《しつこい》を取得した形となり、助手としてのレベルは上がったが使いどころに気をつけないと、次に警察に連れて行かれるのは君だ!