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美学は廻る糸車

仮面ライダーガッチャード』感想・第4話

◆第4話「アントルーパー・ラビリンス」◆ (監督:山口恭平 脚本:長谷川圭一
 チェックメイトだ」
 ヴァルバラド、必殺プロペラアタックを放つ時の台詞があまりにも美学で、アバンタイトルから盛大に笑わせていただきました。
 某スターク師匠と同じで、「いつか言ってみたい台詞」のメモを携帯していそう。
 次に言ってみたいのは多分、
 「俺は無抵抗の者を斬る剣は持っていない」
 です(この前、道に捨てたやつ)。
 腰巻きに油染みが飛び散っているのも異彩を放つヴァルバラドは、潜水艦マルガムを瞬殺してケミーをカードに封印し、ひとまずガッチャードとの差別化としては、(主に)機械的な無機物担当になるのでしょうか。
 「このケミーは君にプレゼントしよう。九堂りんね
 ……と思ったら、りんねに粉かけるのに使った。
 あ、いや、個人的には、新キャラが主人公以外のキャラに積極的に関わってくれるのは好きなので、これはアリ。
 「剣道場の時と微妙にキャラ違くない?」
 「マルガムを倒した戦いは悪くなかった」
 そこはちゃんと、評価してくれるタイプでした。
 「だが……俺はおまえを仮面ライダーとして認めたわけじゃない」
 一線は引いたスパナは格好つけながら去って行き、ミナト先生はそれを「相変わらずだな」で済まし……なんだかちょっと、10年ぐらい前のミナト先生は似たようなノリだったのではないかと私の中で疑惑が浮上します。
 今ひとつ他の人間への感情が読めない宝太郎ですが、格好つけたイケメンにはイラッとする(まあ、突然木刀で殴られたり友好的に話しかけようとしたら無視されたので、それ以前の問題だとは思いますが)事が判明し、登校中にヤクザ野郎への僻みをぶつぶつ呟いていると、そこにやってくるメガネ……との間に本当に友情は存在しているのか。
 ネットでは、“格好いい”正義のヒーローとして仮面ライダーが噂になっていると知ってニヤニヤする宝太郎だが、アカデミーには、“上”から派遣された超A級錬金術師としてスパナが加わり、妙にニコニコしながらりんねにアプローチするスパナは、なにやら思惑ありげ。
 「――運命の糸車は既に廻り出している、か」
 スパナ除けに宝太郎と行動を共にするりんねがケミー反応の元に向かうと、そこで待ち受けていたのは、ネタ元に乗っ取れば糸車を操る側の三姉妹。
 「ケミーは奇跡の存在だ。僕らはその力を正しく、最もいい形で導こうとしているのさ。その為に君の持つ、ドライバーが必要なんだ。最後の扉を開く、鍵だからね」
 宝太郎が交渉を拒絶すると、コケティッシュ系のラケシスが蟻ケミーと融合して蟻マルガムが誕生し、宝太郎もガッチャードへと変身するが、りんね共々、蟻の巣のような迷宮の中に閉じ込められてしまう(描写からすると、音波を用いた幻術の類の模様)。
 蟻酸と兵隊蟻を繰り出す蟻マルガムから逃げ回る内に、クレジットにはずっと名前が出ていましたが、劇中では初めてドライバーおじさんの名が「九堂・風雅」であり、りんねの父親であると宝太郎の前で明らかにされ、父が死んだと聞かされたりんねは茫然自失。
 「父は……私が錬金術師になりたいって言った時、大切なのは、ルールを守る事だって、教えてくれた」
 表面上は「裏切り者」と誹りながらも、掟を破って姿を消した父の教えにこだわっていたりんねは、父を憎んでいたのではなく、父を敬愛しているからこその屈託を抱えていたと置かれ、失意のりんねは宝太郎に励まされた事で少女時代の夢を思い出すと、父の生存を信じて前に進む事を決意。
 同級生とレンタルトレードしたエナジーニンジャ手裏剣が特殊攻撃扱いとなった後、ガッチャードはサブマリンキノコに変身して魚雷を放ち、登場正味30秒、雑兵一体を片付ける為だけに着替えるのは贅沢といえば贅沢ですが、ヒーローフィクションとしての格好良さや劇的さは個人的にあまり感じず、これなら基本のスチームホッパーの活躍バリエーションを見せてほしいというのが正直。
 『ゴースト』以降に顕著に感じる、フォームノルマ消化の為の作劇が大の苦手なのですが、この調子だと今作もネックにしてハードルになりそう。
 蟻マルガムの本体が出てきてりんねが人質に取られると、素直にドライバーを渡す宝太郎だったが、仕込んでいたエナジーパンチが発動してドライバーを取り返すと、スケボー侍に変身。竜巻ライダーキックで蟻マルガムを瞬殺し、ラケシス蟻が普通に弱すぎたのですが、3姉妹は1クール持つのか早くも心配になってきました。
 蟻ケミーを解放即収監すると周囲も元の空間に戻るが、建物が崩落したところをスパナに助けられ、宝太郎の存在を基本的に無視しつつも、りんねに対しては助けた恩を押しつけない爽やかなイケメンをアピールするスパナだが、果たしてその真意や如何に。
 りんねは食堂いちのせを訪れ、約束通りに宝太郎の創作料理をご馳走になるが、「……微妙」でオチ。
 うち食堂だから今度遊びに来いよ、と言われてお邪魔すると、友人の創作料理を食べさせられるのは、率直なところ、罰ゲームだと思います。まずは普通に、本日のおすすめ定食を、出せ。
 立ち上がり一ヶ月……今のところ“主人公にあまりノれない”でいるのですが、女子にニコニコ接してくる男を見て「あいつ、おまえのこと好きなのかな?」と本人の前で口に出す高校3年生は、感受性の面でもデリカシーの面でも凄く不安になり、「ケミーへの共感力の高さ」「視聴者の対象年齢」といった辺りを考慮して意図的にやっているだろうにしても、感覚が小学生男子すぎるのでは。