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怒りだしたら止まらないぜ

超力戦隊オーレンジャー』感想・第13-14話

◆第13話「幻想・神様の犬」◆ (監督:東條昭平 脚本:高久進
 頭の上にミニバラマグマが乗っているのがお洒落なバラマグマ、火山帯で地面に穴を開けると地下に流れる溶岩の中へと爆弾を投げ込み、「ファイヤーー」と叫ぶところでミニマグマが大写しになる演出が素敵。
 「実は……富士の樹海付近で、なにか異変が起こっている」
 曖昧だな参謀長!
 やはり二つ結びは無理があるのでは……? という話になったのか、樹里はポニーテールに変更され、手分けして付近の調査に向かうオーレンジャーだが、いきなりバラノイアの襲撃を受けるオーピンク。
 ……もう今回は、バラミニマグマが面白いのでだいたい満足です。
 負傷した桃は超力ブレスも失い孤立する大ピンチとなるが、謎の犬に導かれるようにして山狩りから逃げ回った末、山暮らしの陶芸家に助けられ、遭難者の存在を知らせに来る“神様の犬”についての話を聞く。
 ところが山小屋にもバラノイアの兵士が迫り、巻き込まれた陶芸家さんには後ほど、国際空軍から特別補償金が支払われます。
 行方不明の桃を探す一同が、バラマグマによる掘削跡に気付く一方、桃は陶芸家孫の案内で山を移動している最中に、超力ブレスを咥えた犬と再会。現在の位置も状況も知らせない、あまり役に立たない通信を味方へと送る一方、バラノイアの富士山噴火大作戦は、決行寸前。
 「僕は早く見たいのだー! 真っ赤に燃えるこの溶岩が、東京に雨あられとなって降るのを見たいんだー」
 案内の少年を完全に忘却した桃が犬をもふもふしている間に、これを目撃した陶芸家孫が溶岩処刑の危機に陥ると、敏感にそれを察した犬が洞窟の中へと駆け込んでいき、バラマグマにアタック! ついでにブルドントにもアタック!
 怒りのヒステリアの命令により作戦そっちのけで犬が爆撃を受け、ナパームの中を駆け抜ける犬、凄いぞ犬!
 「よくもジョニーを! おまえ達を許さない!」
 爆炎の中に犬の姿が消え、怒りの桃は超力変身すると、主題歌をバックにソロでの立ち回りを見せ……考えてみると割とここまでなかった、単独行動主体で正攻法のキャラメイン回(いつもは大体この辺りで隊長が飛んでくるので)。
 怒濤の個人必殺技を連発するピンクだが、隊長では無いのでそのまま押し切れず、ショベルの一撃を受けそうになったところでメンバー結集すると、揃い踏み → 一斉キック → ジャイアントローラー投下 → シュート! が30秒の間に詰め込まれてバラマグマを秒で轢き殺し、隊長は必殺剣の扱い。
 巨大化したバラマグマのビーム攻撃に苦しむオーロボだったが、スーパークラウンソードがミニマグマの頭を刎ねたぁぁぁッ!!
 オーレン的には多分、ビームの発射口を潰したぐらいの感覚だったのでしょうが、思わぬショッキング映像となり、司令塔を失ったバラマグマは一刀両断されるのであった。
 「桃……あの犬はみんなが言うように、やはり神様が僕たち人間に授けてくれた、守り神かもしれないな」
 犬はバラノイアの空爆で消し飛んでいなかった無事な姿を見せ、サブタイトル通りにもしかしたら、人智を越えた超自然的な存在なのかもしれない、とファンタジーをまぶして隊長が格好良く締めて、訓練された犬凄いな!回でした。
 中盤の桃の迂闊な行動などはあったものの、テンポ良くまとまって割と面白かったです。
 『オーレン』はどうも、コミカルな要素をどう入れるのか、の模索が作風まるごと不安定にしているきらいがありますが、コミカル要素をバラミニマグマに任せる事で過剰なリアクションを抑え、テンポの阻害を避けるのは、上手いアイデアとなりました。

◆第14話「大好きピノキオ」◆ (監督:東條昭平 脚本:上原正三
 油ギトギトのをラーメン三日に一度は食べないと元気が湧かない、と美味そうにすする昌平に対し、(おまえの味覚はおかしいのでは……?)と凄く嫌そうな顔を向ける裕司だが、なんとそのラーメンを調理していたのは、「ピノキオ」と呼ばれるロボット。


――「隠れスパイとは、その土地の住人になりきり、戦略を画策する、スパイの事なり」――
(アイアンクロー語る)

 試作のリース品だというピノキオの、明らかに不自然なテクノロジーをいぶかしんだ裕司が手に入れてきた、開発元によるデモテープが超力基地で披露され、
 ヒューマギアは夢のマシンなんだ……!
 ……じゃなかった、ベビーシッターから家庭教師、野球選手にペットにと、生活に浸透するロボットの映像が時期的には、凄く『エクシードラフト』~『ジャンパーソン』的な世界観(笑)
 樹里に対抗したのか、桃の髪型がちょっとボリューム感を増す形に変わり、デモ映像内で紹介されたペットピノキオにはしゃぎ声をあげる樹里と桃に向け、いやおまえら、これ明らかにおかしいだろ……と、大変冷たい視線を向ける参謀長と隊長(笑)
 「頭脳回路があまりにも優秀すぎる」
 5人は開発元の調査に向かうが、バラノイアの関与を示す決定的な証拠は発見できず、ペットピノキオに懐かれた樹里はご満悦。
 前回は桃が犬とじゃれ合って可愛げをアピールしてきたので、今回は樹里がペットピノキオ(大きめのぬいぐるみサイズの人形)を抱えて、“怖いお姉さんじゃない”事をアピールしてきます。
 だが勿論これはバラノイアの陰謀であり、
 ピノキオ軍団が市民権を得て、選挙でピノキオの代議士が選ばれ……やがてピノキオの総理大臣が誕生するやもしれぬ」
 ……随分と気の長い展望ですが、まあ、「マシンは永久に死なない」ですからね!(笑)
 ちなみに、「ロボットと選挙」のモチーフには、テーマも利用法も全く違いますが、<ロボット三原則>で知られるアイザック・アシモフ陽電子ロボット物を思い出すところもあったり。
 「ピノキオがバラノイアの作戦だとしたら、大変な事になるぞ」
 「まだ疑ってるんですか? ピノキオはなんでもハイハイって聞くし、可愛いし」
 樹里はペットピノキオを家に連れ帰って溺愛しており、なんだか、仕事に疲れた寂しいOLみたいになっていた。
 ピノキオへの疑いを捨てきれない隊長と、すっかり籠絡されている樹里はパトロール中に襲撃を受け、右手に鉄球、左手に機関銃を装備した黒マントに仮面の暗殺者が姿を見せる。
 オーレンジャーが揃うと、暗殺者はマントとマスクを残して姿を消し、ラーメンの出前で現場を通りがかった風なピノキオに疑いの目を向ける隊長だが、店主一家の不興を買って出禁を喰らってしまう。


――「隠れスパイ心得その3。隠れスパイは、まず、身辺の者の信用をうるべし」――
(アイアンクロー語る)

 これが人間だったら、別件逮捕で超力基地地下特別審問室に引っ張れるものを……と心で思っても顔には出さない隊長はラーメンピノキオに徹底的に張り付き、作戦の遅滞を恐れたアチャとコチャは、樹里の可愛がるペットピノキオの内部に爆弾を仕込み、超力基地の爆破工作を計画。
 近年では珍しくない為に言及を忘れていたのですが、悪の組織の主要メンバーが全員着ぐるみなのは、《スーパー戦隊》史上初であり(『メタルダー』辺りの判定が微妙ですが、《メタルヒーロー》まで含めてもほぼ初)、懐古的な作風の今作における、思い切ったポイント。
 そして、主にデザイン的な都合により地上で活発に動き回れるのがアチャぐらいの為、コメディリリーフが実質的な行動隊長ポジションに居るのが結果的には、今作独特の作劇――現場指揮官がオーレンジャー接触しても特に殺伐とせず、割と適当に作戦を変更しても話が成立する――を生み出す事になっています。
 ……まあ、そこアチャ一人に任せていて良いのだろうか感はありますが(たまにブルドントが出張りますが)、戦闘意欲高めの戦士系幹部キャラが一人居たら、だいぶ違う作風にはなっていたのだろうなと。
 ……ただそういうのは多分、バッカスフンドと反りが合わなくてすぐに粛清されそうだと思うと、納得しやすい陣容ではあり。
 そんなアチャの思惑通り、樹里に連れられ検問をくぐり抜けて超力基地内部へと入り込むペットピノキオだが、監視カメラで映像をチェックした途端に走り出した隊長が投げ捨てると空中で大爆発し、作戦は失敗。
 樹里があまりに迂闊としても、この不始末に樹里を怒鳴りつけるのが裕司なのはやや違和感がありましたが(設定年齢は知りませんが、メンバー内では年下ポジションみたいな位置づけに思うので)今回は特に誰がメインというわけでもなく、比較的メンバーそれぞれ(前回メインだった桃除く)に出番を割り振っている関係ではありましょうか。
 エージェント・アチャの失策により、いよいよ超力戦隊(というか隊長)の追求を逃れられなくなったピノキオは先手を打って回路を戦闘用に交換すると、それを目撃したラーメン屋の少年を拉致。


――「隠れスパイ心得その5! 隠れスパイは、目的の為に手段を選ぶべからず。鬼となるべし……!」――
(アイアンクロー語る)

 「ええーい、将来総理大臣になって人間を支配しようと思ったのに」
 ラーメン屋の少年と、利用していた会社をまとめて消し飛ばそうとしていたところをオーレンジャーに踏み込まれたピノキオは、邪悪な眉毛のバラピノキラーへと変貌する。
 「やはりおまえか!」
 「バレたかー!」
 昌平が人質救出の為に割と格好いいアクションを貰うが一緒に閉じ込められてしまい、まとめて爆死の危機に超力変身。隊長らも超力変身すると、オーレッドがパンチ一発で障壁を突き破り……まあ、隊長なので。
 工場は無残に吹き飛ぶも、工員たちと少年は救出されて挿入歌バトルとなり、なかなか強力なピノキラー(基本的にマシン獣、強い)は一斉攻撃で怯んだところをローラー投下で轢き殺され、なんかホント意味不明な必殺兵器ですが、隊長と「虹色クリスタルスカイ」が格好良すぎるので、まあ良し(笑)
 上述したように特に誰がメインというエピソードでもなかったですが、巨大戦でも土偶バルカンが使用され、ここまで単独メイン回の無かった樹里への目配りが見えたのは良かったところ。
 オーロボはまさかのジャンピング斬りでピノキラーの鼻を落とすとクラウンファイナルクラッシュで一刀両断し、事件は解決。ペットピノキオ爆死に落ち込む樹里、そしてすっかり怠けていた店主のラーメンは不味かった、で割と酷いオチがつき、果たしてピノキオが作っていたのは本当にただのラーメンだったのか、癖になるギトギト油の正体はなんだったのか……第二次マシン人間計画は既に幕を開けていたりするのかもしれない。
 上原脚本という事もあり、隊長だけがピノキオを疑い続ける姿に『ジャッカー電撃隊』屈指の名作回・第21話「バラ色の野球時代!! クライムの強打者」(監督:竹本弘一)を思い出していたのですが、同・第31話「赤い衝撃! スパイは小学4年生」(監督:竹本弘一)も入っている気がしてきて、なんとなく『ジャッカー』テイストを感じる一本でありました。
 次回――果たして樹里の髪型はどうなるのか!? 超力変身・オーレ!