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未知と遭遇するアイツ

ウルトラマンブレーザー』感想・第13話

◆第13話「スカードノクターン」◆ (監督:宮崎龍太 脚本:足木淳一郎)
 脚本の足木さんというと、『オーブ』の総集編回(第13話)を割と面白くまとめていた人、という印象を長らく引っ張っているのですが、今回も、割と上手くまとまった総集編。
 ちなみに『オーブ』第13話は武居監督で、ゲバルガ前後編と同じコンビ。武居監督はメインを務めた『ルーブ』があんまりな出来でしたが、ゲバルガ前後編は改めて、大変良い出来でありました(『オーブ』といえば、私の大好きな第18話「ハードボイルド・リバー」(脚本:瀬戸大希)も武居監督)。
 アンリが付けていた日誌を資料にまとめる……という名目で、オフショットすれすれ感のあるゆるーい喋りでこれまでの戦いを振り返っていき、改めて浮き彫りにされる、ヤスノブ万能妖精さん伝説。
 アースガロンの回想の筈が、ほぼ、ヤスノブの持ち上げになっています(笑)
 ……まあ、スカード主要メンバー、全員が一通りの操縦技術・電子機器の扱い・高レベルの銃撃(狙撃)スキル持ちで、そこに情報処理能力と作戦運用補助スキルも加わるテルアキとかもはや、出来る事が多すぎて最適な部署がわからない(スカードしかない)レベルではあり、すっかり魔改造されてしまいました。
 ゲバルガ戦から第1話の宇宙怪獣の事に思い至るのはスムーズな流れで、そこにエミが顔を見せると、ヤスノブは頼まれていた調べ物について触れる。
 「バザンガとゲバルガは全く同じ軌道を通って地球に侵入してます」
 参謀長の謎通話から怪しげだった両者の共通点が明らかにされ、ここで拍子木みたいな効果音を連発するのは、総集編だからこそ、新規の重要なポイントを強調する意図だったのかもしれませんが、好きではない見せ方。
 あと、総集編でセットの限られた撮影の制約はわかりますが、画面手前に人を置いて魚眼アップの多用も好きではなく、そこは今回の残念だったところ(一昔前の押井守っぽさというか……)。
 エミの前歴が、M.I.T.を飛び級で卒業後、防衛軍にクラックをかけていた一種の天才少女だと明らかになり、アンリとエミが女子会トークに入る一方、基地内部でばったり会ったゲントとテルアキはブレーザーについて言葉を交わす。
 「全幅の信頼を寄せるわけではありません。ですが」
 「それでいいんじゃないか」
 (あいつ、吼えたり跳ねたり唐突だしな……)
 「……は?」
 「俺たちはまだ、ブレーザーの事を何も知らない。知らないから知ろうとする。知ろうとするから、相手の事を考える。……今はそれだけでさ」
 ここまでの戦いをブレーザーと共にくぐり抜けてきた隊長の述懐を、視聴者の感覚と近いところに置いて納得させてくるのは、現在地点の上手いまとめ。
 また、人間の尺度に合わせて他の存在を簡単に理解したつもりになってはいけない、というのは、〔人間と自然〕〔人間と怪獣〕の関係にそのままあてはまり、『ブレーザー』の作品スタンスにして、今作世界の人々が向き合っていかなければならないものとして、対象を広げて捉えていい言葉かな、と。
 単純な時系列通りに映像を並べる作りにしない事で回想シーンの単調さを減じつつ、スカード、そしてゲントが、これまで見てきたものと向き合い直す事を示すのが、総集編として良い組み立てでした。
 ……こう考えてくると、今作は現状、“「どうやって倒すか」でしか怪獣とコミュニケーションを取れない世界”といえるのですが、劇中にメタ要素を持ち込む事を極力避ける一方で、作品全体としては“怪獣退治もの”というジャンルに対するメタ的な意識は窺える今作が、「生存闘争を通してコミュニケーションする――「知らないから知ろうとする。知ろうとするから、相手の事を考える」――対象としてのウルトラマンと怪獣」について、今作なりの位置づけを示す更なる踏み込みを見せてくれるかどうか、は期待したい要素。
 おまけで、テルアキが妙に照れくさそうに尋ねるので「奥さんとの馴れ初めは……」とか言い出したらどうしようかと思いましたが、生真面目なのでそんな事はなく、隊長の命名した「ブレーザー」は、ブラックホールから高エネルギーで放出されるジェットの一種と由来が明かされ、100%隊長のフィーリングだけではなかった……!
 「少しは……気持ちが通じてきた、って、事でいいのか……?」
 前半戦のラストで印象的に名前の由来を明かしてきたのはなにやら思わせぶりで、そもそもブレーザーさんはなぜ地球に姿を現したのか、と関係するのかどうか、楽しみです。
 ……今のところ、狩りに夢中になっている内に辺境銀河で道に迷った感がありますが。
 果たして今、地球人類は何とコンタクトしようとしているのか……次回――アースガロン空中戦、そして、宇宙怪獣の謎に迫っていくエミ。
 序盤に印象づけた後、しばらく活躍控えめだったエミですが、今回、前歴が明かされた事で独自の調査活動がスムーズに飲み込みやすくなり、存在の示唆された父親も関係してきそうで、後半のキーパーソンになりそうな気配。