『仮面ライダーV3』感想・第25話
◆第25話「怪奇!! デストロンレインジャー部隊」◆ (監督:塚田正煕 脚本:伊上勝)
「人間猿が出る」という噂の立つ山にあったのは、デストロンのトレーニング場!
身軽に飛び回るデストロン戦闘員レインジャー部隊の訓練風景が描かれ、デストロン戦闘員の高品質は、日々の訓練によって保たれているのです。
だがそんな訓練場に、人間猿の噂をUMA目撃情報と考えた男達が踏み込み、怪奇「人間猿」扱いを受ける戦闘員(サブタイトルには入っていますが特に怪奇調の演出は無く、ここ数話、「恐怖」「恐怖」「怪奇」と続いた流れといった感)。
二つの頭部が融合しているのが不気味な怪人カマキリメランが姿を現し、逃げる男を必殺のブーメランでバッサリするが、下山中、やたらステルス性能の高い兄弟に姿を目撃された事から本日もライダー隊本部に連絡が入り、少年ライダー隊はどこにでもいる。その目と耳が尽きる事はない。如何に目と耳を潰そうと、仮面ライダーは永遠である。つまり―――貴様らも永遠である!
……そしてこの世界では、デストロン戦闘員が強いのではなく、デストロン戦闘員の素体となっている一般市民の平均能力値が高いのかもしれません(笑)
その頃、少年ライダー隊の戦力強化を考えるV3は、シゲルくんに護身用の装備・スクランブルホッパーを渡し……あー、蛇腹のホースをグルグル振り回して音出すの、なにやら幼少期の記憶が刺激されます。
少年ライダー隊に連絡を取った目撃者の兄は、大事を取って弟に身を隠させると藤兵衛会長と接触するが、訓練場の場所を示す前にブーメランで首を刎ねられる衝撃映像で……なんだかこの1年あまり、『キカイダー』『イナズマンF』そして今作と、配信作品でやたらと生首ゴロリを見ているような。
新装備アピールしている内に一足遅れた風見志郎は、カマキリMのブーメラン攻撃をかわすと、変身V3!
「罪も無い人を平然と殺す殺人鬼め! 許さん!」
V3パンチで殴り飛ばされ、V3筋肉にブーメランをあっさり跳ね返されたカマキリMは、一方的な攻撃を受けると手も足も出でないまま遠吠え撤収し、弱い、弱いぞカマキリメラン。
逃げるカマキリMを追い、ホッパーからハリケーンを走らせるいつもの流れとなるが、デストロンは既に目撃者弟の身柄を手中に収めており、逆に窮地に追い込まれるV3。
「動くな! 少しでも動いてみろ。小僧の首が飛ぶ!」
「卑怯な……私をどうするつもりだ!」
「しれたこと。ブーメランで命をもらう!」
飛んでくるブーメランを……かがんでよけた。
「もう一発くらえ!」
飛んでくるブーメランを……片手でキャッチした。
……「動くな」とは何か。
「少しでも」とは何か。
「卑怯な」とは何か。
幾つもの疑問が星になって空を駆け巡りますが、序盤は人質への対応が割と真摯だったV3、東映ヒーローにおいて、ヒーローとしての強さと人質の扱いの雑さは比例するのではないかという問題に対する、専門家の見解が待たれます。
そしてカマキリメランは、V3を罠に誘い込む為、初戦は故意に手加減したブーメランを投げつけていたのかと思ったら、全くそんな事はありませんでした! 始めから、真の実力だった!!
V3はキャッチしたブーメランを放って戦闘員を一人抹殺すると、スクランブルホッパーを打ち上げて少年の手でもう一人の戦闘員を始末させるが、少年は鉄塔を降りている内に放置していたカマキリMのブーメラン攻撃を受けて転落し、これは完全に、V3の迂闊。
気を失っていた少年が目を覚ました際の「風見さん……? V3は?」の台詞から、シゲル辺りはだいぶ怪しいですが、一応、少年ライダー隊の一般隊員には、風見志郎=仮面ライダーV3と認識されていない事が改めて明確にされ、V3は にげだしました 怪人を追っていきました。
かくして志郎は、負傷した少年を抱えながらデストロンレインジャー部隊の追跡を受ける事となり、潜り込んだロッジで敵の気配を察知すると、床貫通パンチ! 壁貫通キック!
V3の扱いの変化を反映してか、いつもと違う形で風見志郎/V3をピンチに追い込むのは面白い工夫となりましたが、だいたい、慢心から来るV3の不覚であり、やはり、強さは人を狂わせてしまうのか。
カマキリMはレインジャー部隊による包囲をせばめ、再び近づく床下からの気配に拳を突き出す志郎だが、ロッジの床下から出てきたのは、立花藤兵衛。
「お、オヤジさんどうしてここに?!」
「しぃっ。この周りは、デストロンだらけだぞ」
志郎のパンチを完全な見切りでかわしてみせた藤兵衛はこともなげに告げ、夏合宿は、遊びじゃない!
傷の痛みにうなされる少年を藤兵衛に預けた志郎は、カマキリMとレインジャー部隊の総攻撃に対して自ら打って出ると激しく滝の水に揉まれるが、逆襲の変身V3。
今回も新曲に乗せてV3は八面六臂の暴れぶりを見せ、全く役に立たないブーメラン(笑)
「遅い、遅いのだライダーV3!」
劣勢に死期を悟ったのか最後の嫌がらせとして、既にレインジャー第二部隊が東京の各地に潜入している事を告げたカマキリMは回転フルキックで大爆死し、ここまでのデストロン怪人でも最弱候補と言えるあまりの弱さ(対抗はガマボイラーでしょうか)に、存在そのものが囮だった事に。
カマキリMを屠り去り、急ぎ東京へとバイクを走らせる志郎だが、レインジャー第二部隊は次々と浄水場へ毒物を混入しており、本部で適当にくつろいでいた純子さんに危機が迫って、つづく。
それにしても、V3の不注意から足に大怪我を負った末、痛みにうなされながら呼ぶほどに慕っていた兄は既に首ちょんぱ、のゲスト少年があまりにむごいですが……少年ライダー隊は死ぬ。死ぬために我々は存在する。だが仮面ライダーは永遠である。つまり―――少年の兄も永遠なのだ!