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混ぜるな危険

仮面ライダーV3』感想・第24話

◆第24話「怪奇! ゴキブリ屋敷!!」◆ (監督:山田稔 脚本:滝沢真里)
 「伝染力の強い菌を作るテストは危険なので、更に大里の研究所で続けます」
 科学班がポンコツな事には定評のあるデストロン! 組織のアジトでアウトブレイクを引き起こす危険性が非常に高いので、よその施設を奪って実験します!
 研究所を密かに乗っ取る理由が、うちでやると危ないからな悪の組織は、初めて見た気がします!
 作ったところでまともに扱えるのかはさておき「細菌戦こそ我がデストロンに最もふさわしい誇りある戦術だ」と、新型の細菌兵器を作り出して人類の殲滅を目論むデストロンは、細菌学の権威である大里博士の研究所を占拠。
 生き餌大好きなデストロンは、住み込みのお手伝いを募集すると、応募してきた女性たちを捕らえて実験台に用い……怪しい洋館・不気味な老婆・消える女たち、と前回に続きサブタイトルも含めた夏の直球ホラー路線。
 近所に住む少年が研究所の様子がおかしいと気にするのもセオリーですが、当の少年が母親から「スリラー漫画の読み過ぎよ」とたしなめられる、時代を感じると共にちょっとメタな一幕を挟み、研究所の敷地に入り込んだ少年は、主人である筈の大里博士が囚われ、怪人が博士になりかわっているのを目撃。
 “怪人物のすり替わり”から“秘密を見た少年”は、ライダー隊本部へ詳細を連絡する前に捕まってしまい、主人公が都合良く事件(関係者)に遭遇したり情報を入手する代わりに、少年ライダー隊の目と耳がどこにでもあるのが今作の特徴的な作劇ですが、少年ライダー隊は死ぬ。死ぬために我々は存在する。だが仮面ライダーは永遠である。つまり―――貴様らも永遠である!
 捕らえられた少年が落としたペンダントの発信器を頼りに、大里研究所へ辿り着いた純子は住み込みの家政婦として研究所に潜り込む事に成功し、今だったら身内と一悶着あったり、コミカルな要素を挟んでキャラにスポットを当てそうなものですが、成り行きでだいぶ強引に進められていくのは時代を感じるところ。
 藤兵衛もまた、クリーニング屋の御用聞きに扮して純子に接触するのでユーモアを意識した場面ではあるようですが、純子さんより藤兵衛の方が面白くなってしまうのが、さすが伝説級ヒロイン。
 そして改めてこの時代に、ダークの女として中盤以降にどんどん存在感を増していった光明寺ミツ子さん(『人造人間キカイダー』)は、なかなか凄いキャラであったなと。
 細菌研究所へ向かった志郎は、兵器の開発を担当するデストロン怪人・ゴキブリスパイクの襲撃を受け、体表を硬質のアーマーに見立てたフォルムと右手のスパイクの取り合わせが、Gモチーフ怪人としては意外な格好良さ。
 そして、スパイクを叩きつけたオブジェが物凄い勢いで弾け飛び、テストの時から凄かったりしたのか、ちょっと怪人が及び腰(笑)
 激しい打撃の応酬の末、V3がデストロンの思惑に気付くもGスパイクには逃げられていた頃、家政婦をしていた純子さんは、掃除機をかけている内に隠し扉のスイッチを押すミラクルを起こしていた(笑)
 家政婦自体が方便ではあったのですが、デストロンのセキュリティ意識に対してますます不安が募ります。
 秘密がバレたら、殺すか奴隷にすればいいや、という雑な社風に、そろそろイノベーションが必要なのでは。
 「とうとう正体を現したな。風見志郎の一味のもんだと思ってたよ」
 地下室で囚われた少年や女性たちを発見した純子はデストロンに捕まってしまい、むしろ、純子さんの手配情報が共有されていなかった事にビックリですが、求む、勘定奉行
 純子らに危機が迫っていた頃、洞穴につり出された志郎は待ち伏せを受け、変身V3!
 「ゴキブリスパイク! 人類の為に許さん!」
 「何を小癪な! ゴキブリの歴史は人類より古いのだ!」
 デストロン怪人とのやり取りにも少々コミカルな味付けが施され、モチーフ生物にアイデンティティが引っ張られていく改造人間、辛い。
 V3は執拗にGスパイクの頭部を殴り続けると、とうとう弱り果てたGスパイクに、一撃目は囮の反転キックを叩き込み、景気よく斜面を転がったGスパイクは大爆死。……全体の整合性を取る為にも、V3は反転キック(以上の回転技)を使ってくれると嬉しい(笑)
 今回は自爆装置をセットする予算が足りず、床に撒いた灯油に火を付けて研究所ごと人質を焼き尽くそうとしたデストロン(妙にリアル路線なのが、これはこれでホラー)だが、ライダー忍法・ダブルタイフーン消火の術によって阻止され、本物の大里博士を始め、囚われた人々を無事に助けた風見志郎はバイクで走り去っていくのであった――。
 前回に続き、夏のホラー(スリラー)特集な一話完結形式のエピソード。
 今作におけるダブル怪人前後編形式は、怪人同時投入によるちょっとした豪華さと、デストロンの強大さを示す仕掛けとしては掴みの特色になった一方、〔前編が半端な印象になる・あやうしV3が常態化してしまう・作戦規模に合わせた特別感が薄れ全体の起伏が薄れる〕といった難点も生じていたので、話のバラエティも増え、スッキリした一話完結を続けて入れてきたのは良かったと思います。
 作品全体の『V3』強化の方向性とも絡むのでしょうが、やはり今作ぐらいの物語密度だと、基本は一話完結、節目に前後編、ぐらいが見やすい感。