『ウルトラマンブレーザー』感想・第3話
◆第3話「その名はアースガロン」◆ (監督:田口清隆 脚本:小柳啓伍)
全長50メートル・重量2万五千トン、機密のベールを脱いだスカードの対怪獣戦力・アースガロンは、口から荷電粒子砲(!)を吐き、腕ガトリングを搭載し、そしてミサイルはやっぱり、尻尾から垂直発射ですよね!
と、設計および認可した人の顔が気になるレベルで、ロマン武装の塊であった。
夜中に新兵器を準備しておいてくれる妖精さんもとい五人目のメンバーを迎えたスカードの、アースガロン操縦訓練、特殊部隊としての白兵戦訓練、巨大兵器による戦闘シミュレーション……などなどの風景が描かれてキャラクターの掘り下げとディテールの“それらしさ”が補強され、立ち上がり3話、
第1話 「怪獣映画をウルトラマンでぶん殴る」
第2話 「スカード始動」
第3話 「アースガロン大暴れ」
と、メインの要素は非常にシンプルに絞りつつ、大量の“それらしさ”で贅沢にデコレーションする、といった作り。
怪獣退治にまつわるレギュラーキャラやゲストキャラのドラマも、目の前の怪獣退治とは別の物語全体に関わる要素や伏線も可能な限り取っ払い、「今回のメイン」を強調しつつ、そこに向けた“それらしさ”のデコレーションがひたすら“楽しい”の為に配置されている、結構思い切って見えるアプローチ。
勿論、後になってみると、ここで触れていたのか……みたいな仕込みもあるのでしょうが、前作未見の為にシリーズの流れはわからないものの、立ち上がり3話、“物語”としての情報量がここまで削られているのは、近年ではかなり珍しい印象。
その中で明確な伏線としては、ゲント隊長のロッカーに飾られた妻子のものらしき写真と、第1話で言及されていた過去の事件における神秘体験が描かれ、ブレーザーさんに関しては、今回も謎だらけ。
「俺たちは俺たちの判断で出撃する事を許可されている。それが、特殊怪獣対応分遣隊スカードだ」
新たなエネルギー資源として研究開発の進められているティーテリウムを吸収し、体内でエネルギーに変換するタガメ怪獣が出現し、初陣のアースガロン、力強く、飛んだ。
体内に溜め込んだティーテリウムが大爆発を引き起こすかもしれない、と防衛隊隊の攻撃を止めようとするスカードだが連携が巧く取れない中、アースガロンが強引に割って入った事で力尽くで攻撃を中止させ、ゲント隊長は、無茶を通す時に、目が平になるというか、表情が死ぬのが凄くいいと思います(笑)
謎スモークを焚いて着陸したアースガロンは優勢に戦うも反撃を受けてひっくり返り、ティーテリウムを吸収するタガメ怪獣の体内温度が一万度を超えたところで投入される、ウルトラ投げ銭。
「力を……貸してくれるんだな」
ひとまず好意的に解釈する事にしたゲントはメダルをセットしてディスクを起動し、今回も特に、「ブレーザー・ファイト! レディぃぃぃ・ゴー!」みたいな掛け声は入りませんでした。
アースガロンに負けじとスモーク登場したブレーザーだが、タガメ怪獣には熱くて触れず……えー……確か、こういう感じでこう? 振る? と、光線、出た。
……出た、のはいいのですが、防衛隊の攻撃は懸命に止めていたのに、ウルトラ光線は……当てていいのか?(笑)
光線技は苦手なブレーザー、へいらっしゃいらっしゃい! 今日はサバのいいの入ってるよー! と得意の格闘戦でペースに持ち込もうとするも熱々ボディに苦しむと、地面に倒れていたアースガロンが尻尾ミサイルを遠隔誘導で命中させ、指揮所のサポートも含めてスカード全体での勝利へと話の流れを組み立てていくのですが……さすがに尻尾ミサイルは、当てては駄目なのでは(笑)
合言葉は臨機応変! と当初の作戦も、行列割り込みも忘却の川に押し流すが、お肌がデリケートなブレーザーは引き続き、タガメ怪獣の誇る真夏の海の砂浜ボディに苦戦。カラータイマーが激しく明滅する中、どうにかこうにかタガメガキャノンを不発に終わらせると、至近距離からウルトラのドスで脇腹を突き刺し、辛うじて勝利を収めるのであった。
謎の怪獣ハンターは地球での3勝目を挙げ、これがア○トだったら、「怪獣退治は俺一人でいい」と帰りがけにアースガロンにトドメを刺していくところですが、思ったよりいっぱいいっぱいになったブレーザーさんは、そそくさと飛翔して帰宅。
かくして初陣にして殉職の危機を脱したアースガロンの戦果により、初期作戦能力の獲得を認められたスカードは、
「正式に、特殊怪獣対応の任務に就く」
事になり……というかむしろ、まだ正式じゃなかったの?!
お陰で現場指揮権の混乱から大事故が起こるところでしたが、それは防衛隊の戦闘機部隊も引くに引けないわけで、滅茶苦茶やっている参謀長にはしっかりとした理由が後々あってほしいところです。
次回、サブタイトルに名前の入ったエミ(短パンバズーカ隊員)は、整合性はさておき情報収集を名目に関係組織に入り込むのが定番になるようですが、そういった基本緩めの空気をどう舵取りしていくのか、予告を見る限りは今回までが要点を絞りに絞った『ブレーザー』の土台作りで、次回から少しエピソード内容が複雑化してきそうな気配ですが、基本要素が出そろったところでどういった話作りをしてくるのか、期待したいと思います。
現時点では、(情報量をだいぶ絞っていることもあって)さっぱり見やすいけど特にツボに突き刺さるという事もない、ぐらいの感触で、このまま爽快感重視を突き進むならそれはそれで、とは思いますが、個人的には、“それらしさ”の詰め合わせを越えた先でグッと来るポイントが何か欲しくはある感じ。
田口監督、割と映像にパターンが出るところはあるので、もう少し、話の組み立てで、おお、と思える部分が出てくるといいかなと……立ち上がり3話はそこを意図的に削ってシンプルに作ったのだろうとは思いますし、主人公がやや変化球な為なのか、今作は割と「入り口」を意図して、わかりやすい映像、も意識しているのかなとは思いますが。