『仮面ライダーV3』感想・第21話
◆第21話「生きていたダブルライダー」◆ (監督:山田稔 脚本:伊上勝)
「ライダーV3! 腕をクロスだ!」
「それによって26の秘密の一つが働くぞ」
ギロチンザウルスによる公開首ちょんぱの危機に陥ったV3の脳裏に、ダブルライダー先輩からの新規録音メッセージが響く!
細胞強化装置を発動し、硬質化した皮膚でギロチンの刃をV3が防ぐと、少年ライダー隊の援護もあって、人質を失ったザウルスは逃走。
唯一、エスエス装置の秘密を握るフカザワ技師だけはデストロンに囚われ、元をただせばこの人が、追われている真っ最中に観光気分でホテルの庭をのんびり散策とか始めたのがデストロンに付けいる隙を与えた原因なのですが、重力制御装置で10倍の重力が発する部屋に閉じ込められるのはだいぶ可哀想で、自業自得感を和らげます(笑)
だが、救出された藤兵衛も純子も未だ毒針クモのコントロール下にあり、ホテルの部屋が、暗い。
お茶を飲んだ志郎に向ける、みんなの視線が、凄く怖い(笑)
志郎の身に危機が迫っていた頃、本部直属の少年ライダー隊大幹部・珠シゲルは、四国各地から集った少年ライダー隊構成員を前に、鉄の結束と血よりも濃い絆を再確認していた。
「話しかけられたとき以外は口を開くな新兵ども。口を開く前と後に『サー』と言え!」
「サー! イエス、サー!」
「本日から貴様らは少年ライダー隊隊員である。兄弟の絆に結ばれる貴様らのくたばるその日まで、どこにいようと少年ライダー隊は貴様らの兄弟だ。多くはデストロンの調査へ向かう。ある者は二度と戻らない。だが肝に銘じておけ。 少年ライダー隊は死ぬ。死ぬために我々は存在する。だが仮面ライダーは永遠である。つまり―――貴様らも永遠である!」
「「「ガンホー! ガンホー! ガンホー!」」」
「平和と正義の為に、頑張ろう!」
我らの目はどこにでもある、我らの声はどこまでも届く、我らの血は次に続く者たちの道しるべとなる――さあ怯えろデストロンども、我らは地の果てまでも貴様らを追い詰める正義の猟犬だ、と少年ライダー隊が出撃する一方、睡眠薬で眠らされたかと思われた志郎は、当然のようにクモへと反撃。
「生憎だったなドクバリグモ。俺には眠り薬は通用しないぜ!」
26の秘密を持ち出すまでもなく睡眠無効した志郎は、藤兵衛らを元に戻す為にクモから解毒剤を入手しようと追いかけるが、不意打ちでコントロール薬剤を打ち込まれてしまう不覚。
調子に乗っていたらあわや洗脳の大ピンチに陥るが、自ら橋ダイブする事でコントロールを逃れると、変身・V3! によって、状態異常を強制リセット。
「教えてやろう。風見志郎が、仮面ライダーV3に変身した時、その肉体構造は全て変わる」
もともと、〔改造手術 → 改造人間〕は“死と再生”のメタファーを含んでおりますが、「変身」の度にも“死と再生”を繰り返している事が明らかにされ、これぞ、ライダー忍法・強制デバフ破りの術!
毒針クモにコントロール液を打ち込む事に成功したV3は、慌てて取り出した解毒剤(しかしこの場合、毒針クモはどういうシステムで誰の言う事を効く事になるのか……(笑))を強奪するとシゲル少年らに託し、逃げたクモを追跡。
「まさかデストロンの作戦が、高知に変わったとは気付くまい」
V3四国上陸と松山城陥落によりデストロンは既に作戦の方針を変えており、まさかのタイアップ回県境越えにより舞台は五台山へと移り、松山市内から五台山までは現在では車で2~3時間との事なので、まあ、そこまで無理のない範囲でありましょうか。
五台山ロープモノレールに乗り込み、周囲を厳しく監視する構成員に妙に尺を割くな……と思ったら、風見志郎が、ゴンドラの上に居たという、一瞬、脳の理解が追いつかない映像で志郎はデストロンの後を追い、噂のエスエス装置を確認。
「エスエス装置すなわちスーパースリープのこの機械の音波を受ければ、全ての人間は眠る」
しかし、ようやく起動した装置は全く効果を示さないどころか、アジトに設置してあった本体がまたも爆発し、デストロン! 科学班!
白服の首に斧を向けるゲーだが、それを止めたのは首領の声。
「コンピューターのデータによって、エスエス装置の回路のミスが発見された」
「我がデストロンにはミステイクは許されない!」
「まあそう怒るな」
首領の方がやたら冷静なのですが……もしかして、エスエス装置、徹夜で修理したの、首領……?
「ふふふ、こう見えても私は小学生時代、夏休みの自由研究の工作で、金賞を取った男。はんだのでっちゃんの名は伊達ではない……このぐらいの装置、簡単に直して……ふふふ…………?……この配線は…………えー……うーむ…………うむ、これで大丈夫な、筈。…………念のために、電話、しておこうかな」
あー、素人の方がパネル開けるの困っちゃうんですよねー、本来は保証の対象外になるんですよー、とアフターサービスとして専門家が桂浜に到着する事になり、タイアップの土佐犬を挟むと、舞台は五台山から、坂本龍馬像の立つ桂浜へ。
戦線に復帰した立花藤兵衛は、如何にも胡散臭い髭の男に接触すると、鳩尾にパンチを叩き込んで一撃で気絶させ、男に成り代わる風見志郎……話の流れからすると、桂浜の情報はどう考えても手に入っている筈が無いのですが、恐らく目に見えないところで、少年ライダー隊とデストロンの暗闘が繰り広げられており、少年ライダー隊は死ぬ。死ぬために我々は存在する。だが仮面ライダーは永遠である。つまり―――貴様らも永遠である!
合言葉まで把握していた志郎は首尾良くデストロンのアジトへと乗り込むと囚われのフカザワ技師を発見するが、それもまたデストロンの罠であり、重力装置を解除しようとしたところに背後から現れるドクトル・ゲー。
「変身――V3!」
白スーツ×黒シャツで二枚目度3割増しの変身から、ゲーに指を突きつけ「行くぞ! うわぁぁぁ?!」と、次の瞬間には落とし穴にまんまと落とされるのは、スピーディな展開かつ変身シーンの格好良さとのギャップが大変良かったです(笑)
さしものV3も10倍重力の部屋では身動きもままならず、アジトに頓着しない資金豊富なデストロンにより、アジトごとフカザワと爆破生き埋めされそうになるが、その時、脳裏に響くダブルライダー先輩からの新規収録ボイス再び。
カメバズーカと共に西の空に消えたかと思われたダブルライダー先輩は、現在、海を越えたオーストラリアでバカンスをもとい現地のデストロンと戦っていると主張すると、松山のホテルに小包で送りつけた(これ多分、藤兵衛に事前に電話連絡を取っている)ファイズギ、じゃなかった謎のメダルをダブルタイフーンにセットするように指示。
V3がそれに従うと、メダルに蓄えられていたエネルギーが外付けバッテリーとしてV3を強化して脱出に成功、の直後にOPイントロを合わせながら遠景の追跡シーンに切り替わるのが格好良く、ライダー反撃のターンとなって、逃げる黒塗りの車を追うハリケーン。
……それにしてもデストロンの怪人は、割とVIP待遇(運転手付きの乗用車)で逃走します(笑)
海岸での激しい格闘戦となり、注目は、毒針クモが押さえ込んだV3の顔面に連続キックを浴びせる戦闘員。
V3が身をかわした拍子に、キックがクモに直撃して、吹き飛ばした(笑)
「生きていたのかV3め!」
「V3は不死身だ!」
ギロチンの修復されたザウルスが加勢に加わるも回転キックで海の藻屑となり、残ったクモは、V3キックは豆鉄砲……と油断させてからの反転キック! で弾け飛び、ここにデストロンの四国占領作戦は失敗に終わるのだった。
「オヤジさん……ダブルライダーは、この地球上のどっかに……必ず生きています」
「うむ。そのメダルが、何よりの証拠だな」
「ええ。……ちっきしょう……ますます力が湧いてきやがった」
《平成ライダー》の30年前に、海外から小包を送ってきていたダブルライダー先輩がハイライトでしたが、他にも「高知に変わったとは気付くまい」や、今でいうどや顔の直後に落とし穴に落ちるV3など、筋はともかく見所の多いエピソードでした(笑)
メダルが、南米の古代遺跡で発見された……みたいなデザインだったのがちょっと気になりましたが、偽装工作の一貫だったのでしょうか。重要なのは、新規収録ボイスの記録容量です。
サブタイトルは、嘘はついていないが微妙に肩すかしな詐欺まがい案件でしたが、ひとまず主役の座は守られて、つづく。