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彼が残念なのは宿命だというのか

仮面ライダードライブ』感想・第7-8話

◆第7話「決定的瞬間はいかに撮影されたのか」◆ (監督:山口恭平 脚本:長谷川圭一
 見所は、今回は鉄骨で串刺しになりかける追田刑事と、「他人の運転は嫌いなんだ」でやたら格好つけて手首を鳴らす進ノ介。
 ……進ノ介よ、今、君の残念ゲージが、物凄い勢いでジャスティスハンターしているぞ!
 原因不明のビル崩落事故が続く中、親友・早瀬の見舞いに行った進ノ介は「例の約束」に何故か目を泳がせ、そんな進ノ介をつけ回し、仮面ライダーをスクープしようとする新聞記者・高杉。その同僚の久坂は崩落事故をスクープし続けていたが、そのあまりに出来すぎた写真に進ノ介は疑いの目を向ける。
 「つまりこのスクープは……偶然なんかじゃない」
 進ノ介の推測通り、久坂の背後にはロイミュードの存在があり、人間をコピーしてなりすますのではなく、人間の欲望を煽って吸収する事で進化する新たな進化方法を手に入れたナンバー033、一つ目のカメラミュードが登場。
 ……まあ、ロイミュードに関しては劇中で明かされていない情報が多いので、基本的にブレンが、こいつは凄いぞ! とか、こいつは身勝手だぞ! とか、あれが盗まれたぞ! とか、都度エキサイトする姿を受け身で聞いているしかないのですが、そういう意味では、凄く重要な、情報の調節弁ですブレン(笑)
 個人的にはもう少し、予想や妄想を弄べるぐらいの情報は場に並べてくれる作りが好みでありますが(現状のやり方だと、そもそもロイミュードの進化方法が明示されていないのに「新しい進化方法」が出てきており、その派生で幾らでも「実はこうでした」と“無”から新しいルールを生やしてしまえるので)。
 1年前、開島シティ建設に関するスクープ記事を握り潰されたのがきっかけで、スクープを手にする事に取り憑かれた久坂はカメラミュードにとって都合の良い道具になっており、撮影した対象に写真を通して物理的に干渉する、割とトンデモな能力(生物には効果が無いのかもしれませんが、場合によっては望遠撮影から仮面ライダーを瞬殺可能)を持ったカメラミュードを追い詰めるドライブだが、そこにチェイサーが登場。
 チェイサーはシールドハサミをシールド鞭に変形させるとドライブを圧倒し、変身解除どころかベルトまで外れてしまう進ノ介。ベルトさんが地面でじたばたする中、倒れ伏す進ノ介にシールドアローが向けられるが、それをかばうように手を広げたのは、霧子。
 「邪魔だ。どけ」
 「……霧子逃げろ! 奴は本気だ!」
 「逃げません! だって私は――」
 「霧子ー!」
 迫り来るチェイサーアロー、でつづく。
 2020-2021『魔進戦隊キラメイジャー』で大変いい仕事を見せた山口監督が登板し、ギャグといい効果音といい表情の見せ方といい全体的にくどめ。元々『キラメイジャー』が妙にはまっただけで、あまり得意なタイプの演出傾向ではないのですが、さて、今作ではどうなりますか。
 OP映像は、本編映像を用いつつ、かなりちょこちょこ変えてくるスタイルで、こういうのは嬉しい遊び心(『ビルド』の際の、本編からだいぶピントのズレた映像チェンジには未だに不満が)。

◆第8話「その胸に宿る秘密とはなにか」◆ (監督:山口恭平 脚本:長谷川圭一
 進ノ介をかばいチェイスアローに貫かれて殉職した霧子は、りんなの手による緊急手術を受け、失った心臓にベルトさんを組み込む事で機動刑事キリバンとして蘇り、用済みとなった進ノ介は「ビックリするほど何もないな」と日本一周傷心旅行に出てしまう。旅先で出会う人々との触れ合い、笑い、そして涙で送る感動巨編……じゃなくて、チェイスアローは大きく狙いを外し、無言できびすを返すと、翼を広げて飛び去っていくチェイサー。
 「…………なぜ……撃てなかった。何故だ!!」
 まあ、「人間の本質は悪だ」とかやってしまうお年頃なので、ミニスカ女子に耐性が無くても、仕方が無いですね……。
 「まったく偏屈で気まぐれで使いづらい奴だ!」
 「そう焦るなブレン。仮面ライダーを倒す事。それが奴の宿命だ」
 登場当初はいまいちピンと来なかったハートですが、段々、いかつい系王様キャラとして、しっくり来るようになってきました。
 一方、秘密基地で目を覚ました進ノ介は、いつにも増して当たりのきつい霧子の態度に戸惑うが、おまえが原因じゃねーのとベルトさんにツッコまれると、そういえば霧子が早瀬の見舞いについてこようとしたのを断ったな、と思い出し…………え、
 「帰れ。これは俺たちだけの特別な時間だ」
 って、そんな軽いノリで言ってたの?!
 「……繋がっ、たかも……?」
 ……進ノ介よ、今、君の残念ゲージが、物凄い勢いでマックスフレアしているぞ!
 久坂を追跡していたニンジャカーがナンバー033の攻撃を受けて行動不能に陥り、進ノ介は特状課の取材に姿を見せた高杉の真意を指摘する。
 「あんたの本当の目的は、久坂をロイミュードから救う事だった。怪物に魅入られてしまった、相棒を」
 久坂の次の標的が判明し、高杉を乗せて現場に向かう進ノ介&霧子だが、その前にまたも立ちはだかる死神チェイス。進ノ介は霧子にハンドルと高杉の安全を任せ、進ノ介から霧子への信頼感の表明としては非常に格好良く決まったのですが…………これをやるなら、なぜ前回、格好つけたのに霧子に運転席を奪われる進ノ介、をギャグとして描いてしまったのか。
 お陰で積み上げの効果が半減してしまって大変勿体なかったのですが、とにもかくにも霧子は高杉を乗せて先行。
 「――俺は人間は殺さない。殺す価値も無いからだ」
 それを見過ごすチェイスさんは、理論武装してきていた。
 「早く仮面ライダーに変身しろ」
 霧子が走り去ったのとは逆方向、チェイスと向かい合う進ノ介の背後からトライドロンが走ってきて急停車するのも格好良く、霧子・ベルトさん・シフトカー……といった共に戦う「仲間」描写の重視は、今作の気持ち良いところです。
 ただこの後、前回、前振りのあった「ドア銃」を巡るやり取りは非常にテンポが悪く、ドア銃そのものも、見た目・威力ともに、全くパッとせず。デザイン的には、追加パーツが接続(或いはハンドル剣などと合体)するなどして本領はこれからといった雰囲気もありますが、今回に関しては、ねじ込んではみたものの何がチェイサーに効いているのかもよく分からない、という事になってしまいました。
 後、「ハンドル剣」は語呂が良いのと、「ハンドル」と「剣」が“握る”で掛かっていたりしたのですが、「ドア銃」は特にそんな様子もなく語呂も悪いので、ベルトさんが最初からエレガントな名前を付けておいた方が良かったと思います!
 銃撃戦の末に、火炎の中に霧子の幻覚を見たチェイサー(重症)は撤収し、霧子の元に駆け付けたドライブは、カメラミュードをワイルドトライドロンで痛め付けた後、ドア銃でフィニッシュ。
 「だってあたし……あなたのバディですから」
 進ノ介はようやく霧子を早瀬の元へと連れて行き、霧子さん、初の私服&髪下ろし。「例の約束」とは、早瀬に新たな相棒・霧子を紹介する事だったと明らかになり、進ノ介の更に残念な言行を教えようか、と言い出す早瀬に進ノ介が慌てる愉快な一幕で、つづく。
 『仮面ライダーW』では実質ダブルメインの一翼を担って三条陸と相性の良さを見せた長谷川圭一が参戦し、社会風刺的な要素をエピソードの軸にしつつ、進ノ介-早瀬・高杉-久坂・進ノ介-霧子、の三つの相棒を絡める構成は悪くなかったのですが、ドア銃の存在感の半端さが惜しまれます。
 次回――手は赤く、足は黒く、顔は緑?