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そうさ100%缶詰

仮面ライダー鎧武』感想・第2話

◆第2話「必殺!パインキック!」◆ (監督:田崎竜太 脚本:虚淵玄
 ナレーション「ダンスチームのリーダー、裕也の、謎の失踪。その行方を追って……」
 ……え、いや、どう見ても、その場のノリで入り込んだと思うんですが!
 ……これは、富野話法(「前回のあらすじ」の箇所で、実は前回のあれはこういう事だったんですよ! と捏造気味に主観的な筋道が立てられる)だ……。
 続けて、紘汰の変身した武者オレンジはアーマードライダー・鎧武であるとナレーションで語られ、謎の森では、怪しげな防護服@ユグドラシル印の集団がロックシードを採取中。そこには、武者メロンが姿を見せる……。
 「で……これで何すりゃいいんだ俺?」
 自宅に戻った紘汰は、ベルトの音声をやかましく響かせながら変身を繰り返し、出前のバイクに武者オレンジで乗り込……こもうとして失敗したり、工事現場で騒ぎを起こしたり、ライダーの力を日常に利用しようとして失敗を繰り返し、かなりコミカルかつ酷い絵で展開(笑)
 木登りするも降りられなくなった少年を助けようと、またもベルトを起動しようとしていたところに、チームバロンのリーダーが通りすがり……
 「泣いていたってどうにもならないぞ! どうするんだ坊主。今すぐ飛び降りるか! それとも、夜までずっとそこに居るか!」
 …………以前に見た『仮面ライダー1号』のせいで、第一印象が、藤岡弘、になってしまい、どうしてくれるんだ井上敏樹
 「それでいい。おまえは強いな」
 昭和のサムライに活を入れられた少年は勇気を出してジャンプを決め、リーダーが地上でそれをキャッチしてくれてホッとしました。
 「忘れるなよ坊主。いつだって最後に頼れるのは、おまえ自身の強さだからな」
 バロンリーダーは少年を讃えると去って行き、なんか俺、凄く、道化……? と家でベッドにひっくり返る紘汰。
 「全然ダメじゃんこれ……なんか凄いこと出来ると思ったんだけどなぁ」
 手に入れた力に興奮して大騒ぎ、という描写はアメコミ『スパイダーマン』などを思わせ、「変身」による“日常/非日常”の切り分けを行わずに、“日常”の中に「変身」を放り込むのはシリーズでも珍しい切り口ですが、第1話では迷子の少年と生身で向き合って解決に導いていた紘汰が、今回は“必要以上の力”をそこに介入させようとして失敗するのは、“力の意味”を問うにあたって良く出来た流れ。
 「今のおまえらに、戦って居場所を守るだけの力はあるのか?!」
 一方、チームバロンがチーム鎧武潰しに動き出し、駆け付けた紘汰はインベスゲームの代打ちを務める事に。
 森で拾ったイチゴキーを起動すると明らかに等身が違うのが出てきてバロンリーダー必殺の三体同時召喚トリニティクロスを瞬殺するが、ゲームの方は引き続き、泣くほど面白くなさそうなのが困ります。
 勝利に沸くチーム鎧武だが、またも取り巻きの嫌がらせでキーを落としてトナカイインベスが暴走し、人々を襲うその光景に、ベルトを手にする紘汰。
 (そうだ……こいつを使いこなせなかったのは、自分だけの為に使おうとしたからだ。でも、みんなを守る為に使うなら、きっと……)
 前半のコミカルな描写を、“うまく行かなかった”理由として紘汰の中で納得のいく形に落とし込み、最初から覚悟完了で誰かの為に身を投げ打って戦えるわけではないが、“変わりたい”と思っている男の第一歩として、力の使い方を見出すのは、綺麗な流れ。
 ……まあ、現時点で見えている要素だと、ゲームの為に呼び出した野生動物が不注意で暴れ出したのでそれを処理する、のは随分とマッチポンプでヒーローとしてスッキリと受け止めにくい部分はあり、今作における“ライダーの戦い”とは何か、という点は早めにもう少し踏み込んでいってほしいところではあります。
 「変身!」
 練習していた変身ポーズを決めた紘汰は皆の前で鎧武へと変身。ところがトナカイインベスがイチゴの鍵を体内に取り込むと、筋肉3倍増しのオーガトナカイへと変貌し、その猛攻に苦しめられる。落ちた剣を拾って背後から切りつけるも敢えなく吹き飛ばされたバロンリーダーを守るため、鎧武は必殺・ミカンスピンガードを発動し、頭部に全装甲。
 トナカイがよろめいた隙に、賭けの報酬を今すぐ寄越せ、とバロンリーダーからパインキーを引ったくった鎧武がそれをセットすると、今度は頭上から巨大なパイナップルが降ってきて頭部を覆い、2020年現在に見ると、完全にパイナップル邪面です。
 第2話にして早くも第2のフォームが登場しましたが、外装全取り替えのシステムに加え、オレンジ邪面の存在感が根付く前なので、“変わった”感が薄いのが難。また、第1話ではガジェットの使用法に気付く段取りを丁寧にやっていただけに、おもむろにパインで変身してみる(パインなら何とかなるのではと考える)くだりが強引になってしまったのは、残念でした。
 ……あと、これは完全に個人的なノイズなのですが、東映特撮×パイナップルというと、『ビーファイターカブト』第19話「夏の彼女は人魚姫?!」という、非常にとんちきなエピソードを思い出して困ります(笑)
 「どうだ、パイナプラーは見つけた人魚を缶詰にして、持ち帰る為に生まれた怪人なのだ」 (原典ママ)
 ……はさておき、パインフレイルでトナカイオーガを叩いた鎧武は、必殺パインキックでこれを撃破。その勇姿は沢芽市のネットワーク映像に乗ってたちどころに広まり、劇中では司会のDJサガラによって「アーマードライダー鎧武」と改めて名付けられるのであった。
 この映像を見た謎の紳士が「計画通り……」的にほくそ笑み、高級車の後部座席でふんぞり返っている思わせぶりな男が、がっちりシートベルト締めていると絵にならない事を痛感しつつ、つづく。
 次回――バナナ!
 サブタイトルが妙に楽しげ路線の今作ですが、早くも開き直って自分達でツッコんでくるスタイル。それにしても、2020年に見ても全く鮮度の落ちないぶっ飛んだコンセプト、シリーズ屈指の気の触れた変身シーンは、凄い。