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シークレットニンジャマン

海賊戦隊ゴーカイジャー』感想・第46話

◆第46話「ヒーロー合格」◆ (監督:坂本太郎 脚本:香村純子)

 ――「卑劣に徹してこそ忍びよ」

 「あーもうおまえ、一体いつまで居座るつもりだ?」
 ゴーカイガレオンに居座り、海賊一味の監視を続けるニンジャマンは、生活態度がなってない、と訓練を宣言。
 「おい! 後の3人はどうした?!」
 「押忍! 逃げました!」
 喜び勇んで付き従う鎧、優等生のアイム、ニンジャマンへの好感度は高くなさそうながらもハカセは訓練に参加するが、残り3人は例によって例の如くエスケープ。
 「うんうんうん、この3人は、いい奴らかもしれないなぁ」
 ニンジャマンの指導の下で戦闘訓練が行われて大体いつも通りの評価となり、妙な気配に気付いたニンジャマンが、インサーンが送り込んできた悪魔祈祷師ジュジュの率いる一団を発見して戦闘に。
 訓練からの流れで、ニンジャマンはトレーナー気取りで戦闘に参加しないのはスムーズな流れになり、赤青黄も合流してゴーミン部隊を蹴散らしていくが、祈祷師は緑と銀に何かを撃ち込んで退散。
 それは呪いの宇宙水晶の欠片であり、ジュジュが儀式を始めると、欠片を撃ち込まれた人々が悪意を増幅されて滅亡迅雷ネットに接続。ガレオンで食事中だったハカセと鎧もこの効果には抗えず、突然ガラが悪くなると、ハカセはマベの鶏肉を奪い、鎧は鎧で、何故かいきなり、関西弁で因縁を付け始める。
 「んだぁおら!」
 「なんじゃこら!」
 今勃発する、この戦隊の猿顔枠をめぐる、仁義なき戦い
 「ちょっとやめなさいよ。ご飯まずくなるでしょ」
 「「うるせぇ、ばーか!」」
 「あぁぁぁぁん?!」
 案の定、ルカが一番、素で迫力があった(笑)
 売り言葉に買い言葉で取っ組み合いを始めたハカセと鎧は船外へと出て行き、黙々とチキンを食べ続けるマベとジョーは心配するアイムを送り出し、我関せず。その態度に改めて「信用できない」と飛び出したニンジャマンはアイムと合流して大混乱に陥った街の様子を目にし、殴り合いがヒートアップの末、とうとうゴーカイチェンジした緑と銀を発見。
 一方、ガレオンに残ったマベは祈祷師の攻撃を弾いた剣を鳥に調べさせ、刃に付着した宇宙水晶の成分を検出。そこに送り込まれる邪悪な波動の発信元も探知され、ハカセの存在意義が割と大ピンチ。
 まあ、ハカセ合流前は最低限の操作は鳥がしていたが、修理やメンテまでは出来なかった……という事なのでしょうが、赤青黄は祈祷師の事務所にカチコミを仕掛け、銀と緑はそれぞれの得物を手にドンパチの真っ最中。
 「二人とも、やめなさい!」
 「なんやその上から目線? おぉ? 元王女かなんか知らへんけどな、カマトトぶってんちゃうぞこら!」
 だからなんで君は関西弁なんや……。
 「目障りなんだよ、消えろ!」
 二人は間に入った桃にも敵意を向けるが、手出し無用、とニンジャマンを止めた桃は、敢えて変身を解除して生身での説得を試みる。
 「きっとなにか、理由がある筈。わたくしは信じています! お二人が、自分の心を取り戻す事を」
 容赦のないダブルヤクザキックにアイムは地面に転がり、武器を振り上げる緑銀だが……その刃は、アイムを貫く直前で食い止められ、呪術に抵抗した二人は精神力で体内の水晶の破壊に成功すると、精根尽き果ててなりゆきでダブル膝枕。
 「わたくし、お二人を、信じていました」
 アイムはそんな二人に柔らかい視線を向け、その光景にニンジャマンは深く反省。
 「すまん! 俺は、悪い奴に騙されまいとして、もっと、大事な事を……人を信じる事を、疎かにしていた」
 海賊たちの在り方に疑念を抱くレジェンドが、海賊戦隊なりの「信頼」や「義侠心」を認めて力を託すに至るのは今作の基本フォーマットでありますが、最終盤のエピソードとしてはさすがに新味がなさ過ぎて、物足りない内容。
 レジェンド自身が見失っていた信じる心を取り戻すアクセントを加えてはいますし、冒頭の訓練シーンが「ゲキレン」回を彷彿とさせる事から、最後の“大いなる力”入手エピソードとして、敢えて集大成的な意識で基本フォーマットをそのまま組み込んだのかもしれませんが、パッとしない出来になってしまいました。
 何より、最終盤の性格豹変アイデアの発露が、身内に対する殴る蹴るの暴力、なのが映像的に楽しくも面白くもない上に、赤青黄と緑桃銀の組み分けも通り一遍で物語の積み重ねによる「変化」が活用されず、上述したように意識的にやった事かもしれませんが、もう一ひねりが欲しかったところです。
 正直、今更アイムにハカセと鎧と絡まれても需要と供給のバランスからどうかとも思いますし、個人的には同じアイデアなら赤青桃(呪い組)&黄緑銀(カチコミ組)、とかの組み分けで見たかったなーと。
 或いは、黄桃に挟まれる赤(ないし青)とか(笑)
 赤青が喧嘩始めた方がニンジャマンの「信用できない」から「すまん!」が劇的になったように思えますし、ありそうで多分やっていない姐御と下っ端ーズも見てみたかったなと(ハカセが違和感に気付いて調査する方が自然ですし)。
 豹変アイデアとしては、ハカセと鎧の方がギャップの面白さがわかりやすいのは確かですが、「罵り合う」シーンのギャップが強い一方、「武器を止める」シーンのギャップが弱いので、後者がより劇的になる組み合わせの方が、物語としてより跳ねたのではという気がします。
 鳥からの連絡を受けたアイム達は、意外と強い祈祷師に苦戦中のマーベラスらと合流。
 「人の心ってのは、悪意だけで出来てるわけじゃないんだよ!」
 「良い心と悪い心、最後にどっちが勝つかは自分次第だ!」
 「あなたを倒して、人々を苦しみから解放します!」
 ギミックとしては「暴力衝動を植え付ける」ではなく「悪意の増幅」とされていますが、その掘り下げも放棄されている(ハカセと鎧の行動原理が描かれない)ので劇中要素の連動が弱く、香村さんとしては珍しいレベルで、とってつけたような啖呵になってしまったのも残念。
 香村脚本回へのハードルの高さもありますが、味付けと素材の組み合わせが面白さの飛躍に繋がらず、まとまりが今ひとつになった印象です。
 「海賊戦隊!」
 「「「「「「ゴーカイジャー!」」」」」」
 「アーンド、ニンジャマン! 忍者だけど、派手に行くぜぇ!!」
 強い絆で繋がった6人+1は揃い踏み、大爆発まで背負うニンジャマン、えらい扱いの良さ(笑)
 銀がスゴーミンの相手をしている間に残り5人がカクレンジャーにチェンジし、主題歌インストに乗せてポップな忍者だ成敗バイ。最後はガレオンバスターでライジングストライクし、祈祷師と共に宇宙水晶が砕け散った事で騒ぎは収まり、巨大戦へ。祈祷師の眩惑攻撃に二大ロボが苦しめられる中、カクレンジャーのキーが光を放ち、託される“大いなる力”は…………不発?
 と思われたその時、観戦していたニンジャマンが巨大化(笑)
 そう、ニンジャマン自身が、カクレンジャーの“大いなる力”だったのだ!
 巨大ニンジャマンは変わり身の術から上段切りを浴びせ、弱った祈祷師に敢然ロケットパンチでなんじゃにんじゃ。
 「カクレンジャーの“大いなる力”、やっと手に入れてくれたみたいねぇ。そんじゃ、ごっそり、貰いに行きますか」
 戦いを見つめていたバスコが動き出し、ニンジャマンは、雲に乗って師匠の元へ。……不慮の出来事でレジェンド大戦からあぶれてしまったニンジャマンですが、番外戦士枠ではなく、“大いなる力”枠(つまりガオライオンや風雷丸と同じ扱い)だった事で、ヒーロー失格していたわけではなかった、と明らかになるのは説得力をもって綺麗に収まり、迫るバスコとの決着に向けて昂ぶる海賊達、でつづく。
 エピソードとしては、総集編からの流れもあって敢えて基本フォーマットに乗せたというよりも、いっぱいいっぱいの焼き直しに見えてしまう内容でしたが、ニンジャマンを物語の中にどう収めるか、にリソースを消費してしまった部分もあるでしょうか。海賊関係については40数話の積み重ねが特に面白さに繋がらなかった一方、ニンジャマンの方は一定の納得の行く形で落着し、次回、いよいよ……この戦隊の猿顔枠はだから僕俺ウッキーーー! 真打ち登場ファイナルラウンド!!