東映特撮に踊らされる駄目人間の日々のよしなし。 はてなダイアリーのサービス終了にともない、引っ越してきました。
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その頭脳、最強につき

『バトルフィーバーJ』感想・第49-50話

◆第49話「2年5組の反乱軍」◆ (監督:平山公夫 脚本:上原正三
 「エゴスの布教活動も、困難になるばかりです」
 「原点に帰る時が来たのだ」
 「原点?」
 「――エゴスの教育を骨の髄まで叩き込むには、子供から始めなければならん。今こそ、エゴスは原点に戻って活動を再開するのだ」
 自分たちが宗教結社である事を思い出したサタンエゴス様により生み出されたハエジゴク怪人は、食虫植物に擬態して小学校へと潜入し……担任の先生が、やたらめったら食虫植物に詳しい(笑)
 ハエジゴクに虫を与えて喜ぶ子供たちだが、正体を現した怪人の催眠によりエゴス教育を受けると、やりたい事やってやれ、と自転車で大通りを爆走し、授業中には大声で歌い出し、バス停に悪戯するなど好き放題で、上原大先生お得意の、悪の天才塾パターン。
 「子供を教育するには学校が一番だ。安全で快適な隠れ家だ。ふふふふふふ……」
 マサルの変化に対して、悩めるケイコの姿に焦点を当てるのは目配りが利いており、ケイコらの目のある場所では“いい子”を演じるマサルたちだが、幼稚園児からバナナを奪って食い散らかすなど裏では悪行三昧の末、とうとうハエ地獄怪人の手ほどきにより時限爆弾を制作開始。
 子供たちを利用した無差別爆弾テロを実行しようとするハエ地獄怪人だが、間一髪でBF隊がそれを阻止。マサルお手製の爆弾で木っ葉微塵の危機だったケイコ・トモコ・担任の先生はアメリカによって救出され、5人揃ったバトルフィーバーはさっくりペンタフォース!
 断末魔の叫びで召喚されたハエ地獄ロボットも、唐竹割りで真っ二つになると子供たちの洗脳は溶け、2年5組の反乱軍は解散となるのであった。
 子供たちに洗脳中の記憶が全く無い為、姉弟のドラマからマサルの成長に繋がったりしないのは残念でしたが、BF隊が珍しく気遣いを見せ、この後、各家庭にエゴスの関与について説明して回るのかと思うと国防省の特務部隊もた……というより、たまには子供たちの為に真面目に働けバトルフィーバー! と思います。
 ナレーション「君も、エゴスの甘い言葉にはくれぐれも注意してくれたまえ」
 劇中の悪事と、お咎め無しの結末に折り合いをつける為か、悪い大人に騙されて好き勝手やると、一時は楽しくても最後は鉄砲玉にされて使い捨てられるよ、と教訓が補強されるのですが、甘い言葉に騙されたわけではないので、噛み合わなかったのはこれも残念。
 ナレーション「ではまた来週、この時間に会おう」
 急にメタな事を言い出して、つづく。

◆第50話「将軍を狙う覆面鬼」◆ (監督:平山公夫 脚本:上原正三
 「……勝つ為には、手段を選ばぬ。それが、邪神流の極意…………見事で、あった」
 開幕早々の忍者バトルで侵入者を撃退していく老剣士だが、覆面をかぶったヘッダーの鉤爪の前に倒れ、邪神流においては集団による闇討ちはむしろアリ、と師匠殺しを果たしたヘッダーは、倉間鉄山を倒してみせる、とサタンエゴス様に宣言。
 「倉間鉄山はバトルフィーバーの頭脳だ。頭脳を斬れば後はガラクタ同然」
 頭脳……というか、引率の先生?
 山伏の扮装をしたヘッダーとその配下は、デモンストレーションとして鉄山の武術の師を狙い、邪神流を名乗って道場破り。
 ヘッダーの師である鬼一角は、鉄山の師であるフジナミ・ハクウンに破門された過去を持ち、ヘッダーの修めた邪神流と、鉄山の修めた一光流の浅からぬ因縁が構築されると、ヘッダーの六角棒を弾き飛ばすハクウンであったが、謎の眼力からジェット鉤爪の一撃を受け、死刑!
 ……セルフオマージュというか、同じく石橋さんが演じた『ジャッカー電撃隊』のアイアンクローの決め技流用なのですが、前世の記憶を取り戻したヘッダーは、道場にズバットカードならぬヘッダーカードを置いて立ち去り、暗殺された師を前に、怒りの炎をくすぶらせる鉄山。
 ナレーション「鉄山将軍は、その時既に、フジナミ・ハクウンの死の向こうに、なにか、どす黒い、陰謀が渦巻いていることを感じ取っていた」
 ここまでBF隊の存在は完全に置き去りで、もはや、鉄山が主役(笑)
 「倉間鉄山は火のような行動力と、水のような思考力を兼ね併せ持つ男。斬り合いに持ち込むには、まだまだ」
 ここまでエゴスが追い詰められたのは全て倉間鉄山の才覚あってこそ、と敵を持ち上げ自分も上げるテクニックを駆使するサタンエゴス様が、ヘッダーの手勢として鬼ヒゲ怪人を送り出す一方、鉄山はエゴスの気配を伝と誠に告げるが、パトロール中だった曙&京介が山伏軍団と遭遇。
 ヘッダーは眼力で二人のフィーバーを封じて叩きのめすと、敢えて命を取らずに鉄山への果たし状を届けさせ……散々、BFの戦力を削る為の個人攻撃を繰り返してきたエゴスですが、打倒鉄山の4文字の前には、BF隊、哀しき雑兵扱い。
 部下に止められた鉄山が果たし状に応じなかった事から、ヘッダーは更なる挑発として鉄山の弟弟子(国防省の参謀)を襲撃し、久々に上層部から犠牲者が出る国防省
 カット切り替わると、既に着物姿でカチコミ5秒前の鉄山を伝と誠らが必死に止めているのは、怒りの感情がわかりやすく伝わる、良い流れでありました。
 「ならば儂が応じてやろう」
 「いけません!」「将軍!」
 「むぅ……」
 「逃げるが勝ち、逃げるが勝ち」
 もはや将軍の良心回路と化している九官鳥元帥が、凄くいい味を出しています(笑)
 「あなたはバトルフィーバー隊の頭脳だ。頭脳が剣を振り回してはいけないと思います」
 ……まあその頭脳、この場の誰よりも鋭い剣なのですが。
 将軍は高まる殺意を鎮める為に道場で剣を振り回し、焦れるヘッダーは今度は、ケイコとマサルを誘拐。
 「……明日は、儂一人で行くぞ」
 「将軍! 駄目です」
 「これ以上、我慢ができるか」
 「将軍は、我々の命です」
 「……命か。……命は大事にせにゃいかんなぁ」
 こ・わ・い・よ!
 案の定、置き手紙を残して将軍は海底基地から姿を消し、決闘の場に真っ正面から乗り込んでいく将軍ーーー!!
 部下を背後に並べながらもヘッダーも前に進み出ると、エゴスはケイコとマサルを解放し、作品によっては、将軍死ぬの……?! となりそうですが、微塵もそんな気配が見えないまま、ヘッダーの目配せに応じてまずは山伏部隊が車がかりに将軍を囲むと、流れ出すEDテーマインストが番組史上最高のはまり具合で、5人の勇者、どこ消えた……!
 将軍が山伏部隊を軽々と切り伏せると、ヘッダーとの一騎打ちとなり、ぶつかり合う日本刀とアイアンクロー。
 むしろ、ヘッダー死ぬの?! な空気がじわじわと広がっていく中、100万ボルトの超眼力を放つヘッダーだが、鉄山は咄嗟に刀身で眼力を跳ね返し、目の眩んだヘッダーは無様に斜面を転落。
 即座に鉄山に襲いかかる虎ヒゲ怪人だが、ふつーに鉄山に押し負けてひねり飛ばされ、その間に体勢を立て直すと、あくなきエゴスガッツで鉄山に挑むヘッダーは、不意打ちの目つぶし爆弾。
 「卑怯も兵法なり! これが邪神流だ! ぬわはははははははー……!」
 呵々大笑したヘッダーは、一時的に目の見えない鉄山ににじりよると無音で飛びかかるが、心眼でそれを捉えた鉄山の剣が一閃すると、空中で体勢を崩したヘッダーの鉤爪そして胴を電光のごとき剣が続けざまに薙ぎ払い、邪神流、敗れたり……!
 倒れたヘッダーに駆け寄ったサロメが戦闘員をけしかけると、バトルヌンチャクとともにBF隊が参上し、およそ2分強に渡る将軍フィーバーでありました。
 なお平山監督は、前回の鉄山フィーバーであったvs風車剣も演出しており、鉄山担当みたいな事に。
 虎ヒゲ怪人(デザインはそんなに悪くないのに不遇な扱い)は弟ロボット召喚すると飛び交う杖でBFを翻弄するが、ジャパンの反撃を受け、5人の連続キックからペンタフォース!
 暗闇にスモークを焚いた背景が格好良かった虎ヒゲロボットは、バトルスピアでぐさっと刺されると唐竹割りで真っ二つにされ、最後は、将軍の刀の刃も鋭いが、ケニアの歯も鋭い、で和やか大団円。
 一方エゴスでは、決闘に敗れたヘッダーがアジトに横たえられ……本当に死んでしまったヘッダーは、再び立ち上がる事ができるのか?! 次回――復讐のヘッダーvs九官鳥元帥!!
 ……色々、それでいいのか感はありましたが。鉄山ファンとしては、最高のエピソードでした(笑)