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赤いデンジの謎の人

電子戦隊デンジマン』感想・第6話

◆第6話「悪魔分身の少女」◆ (監督:広田茂穂 脚本:上原正三
 「パパの馬鹿、どうしてあんなお母さんを連れてきたの。許せない。私の人生は灰色。何もかもがうとわしい。天よ怒れ火の雨を降らせ、地球を燃やし尽くせ。嗚呼、早くお母さんのところへゆきたい」
 見所は、ミラー&ケラーが盗んできた女子中学生(?)の日記を、たっぷりと抑揚をつけて朗読するヘドラー将軍。
 最初は淡々としていたのに、途中から興が乗ってくる感じが大変ポイント高かったです(笑)
 「ふふふはははは……火の雨よ降れか! 気に入った。悲劇度120%じゃ」
 ……「○○120%」の言い回しは1980年に既に存在していたのかとか、多分「うとましい」と「いとわしい」が合体して「うとわしい」になっているけど台詞それで通っているな……とか、ちょっと脇で面白い。
 「娘は継母になつこうとせず、継母もそんな娘が憎らしくてならぬ様子です」
 「うんうん、美しいものは嫌いじゃが、絶望、悲しみ、涙は大好きじゃ!」
 昼ドラの気配するドロドロした家庭環境にテンション上がった女王様の命により卵から生み出されたのは、ベーダー05ヒゲキタコラー。
 「おまえの使命は、人間社会に悲劇を起こし、人間どもに不幸をばらまくことじゃ」
 悲劇タコラーは日記の持ち主であり、黄山と緑川が身投げを止めた少女・カオリに憑依すると、カオリと瓜二つの姿となって超能力を発動。包丁やハサミといった刃物が継母めがけて飛んでいくと体をかすめるようにして壁に磔にし、フィニッシュは、水牛の角。
 ……サブタイトルから映画『エクソシスト』的なものへの意識があったかとは思われますが(本邦なら狐憑き)、ホラー通り越してちょっとシュールな映像になり、この後、アイシーに驚いて壁張り付きジャンプなど、導入の自殺騒ぎから一転、事情はともかく雰囲気はちょっと面白方向寄りに。
 「悲劇度が足りぬ。もっと不幸を巻き起こせ!」
 ベーダー一族は悲劇の舞台として後楽園ゆうえんちを標的に定めると、タコ少女を介してアスレチッククラブの子供達を遊園地へと連れ出すが、デンジマンは既にタコ少女の迂闊な大ジャンプに不審を抱いており、青黄緑が遊園地に引率している間に、赤桃はカオリの自宅を訪れ、ベッドで眠る本物の少女を発見。
 目を覚ましたカオリが継母となんとなく和解する中、遊園地ではタコ少女がジェットコースターパニックを引き起こしてほくそえみ……ギャーソリンは集まりそうですが、悲劇度は嫌がらせレベルが続きます。
 暴走するジェットコースター上でどさくさ紛れに首を絞められた青梅が転落死して悲劇度爆上げの危機に陥るも、赤桃が救助するとデンジスティックを少女に投げつけ、ひらりとかわした少女が走行中のジェットコースターから飛び降りるアクロバットな展開。
 暴走コースターは桃が止めると赤は逃げた少女を追い、電車と併走して250キロを超えるダッシュを示すデンジレッドの姿に運転手が目を見開いて驚く割と古典的な見せ方が入り、とにかく立ち上がりの今作は、スーパーマシンとスーパーパワーへのフォーカス重視。
 赤の追撃を振り切り、自室に戻ったタコ少女は本物と融合しようとするが、布団をめくるとそこに居たのは、何故か腕組みしながら待機していたデンジレッドーーーーーー!!
 「はははははは」
 入れ替えトラップとしては定番中の定番でありますし当人と家族の許可は取っているとは思われますが、心理的に上がっていくデンジマンの犯罪度120%。
 「分身したものの、元に戻れず残念だな」
 デンジマンに周囲を囲まれた悲劇タコは進退窮まって正体を現し、今回はOPでの名乗りとなって、
 「「「「「見よ! 電子戦隊・デンジマン!!」」」」」
 投身自殺の現場を助けてカオリを心配していた立場から、一応メイン級の扱いだったのか、戦闘員の攻撃を受けて頭を打った黄が怒りのフルパワーでラフファイトを繰り広げる姿が長めに描かれ、割と強かった怪人にはデンジシシャワー連射からデンジブーメランがスパーク!
 デンジタイガーを召喚するとベーダーから砲撃が繰り出されるが(カメラ回の流用)、特に気にせず発進したファイターがダイデンジンへと変形し、巨大戦に突入。
 分身からのビーム攻撃に苦しめられるダイデンジンだったが、スコープで本体を見破ると鉄球を投げつけ、満月斬りでスパッ!
 かくして少女の憎しみを利用して人間社会に不幸を撒き散らそうとしたベーダー一族の目論見は粉砕され、継母との関係が修復された少女は笑顔を取り戻し、なんか凄くいい事した感のあるデンジマンで、つづく。
 ……少女と継母の和解はだいぶ雑に処理されましたが、少女の憎悪を糧とした悲劇タコラーが継母に直接攻撃を行った事により、結果的に少女の憑き物が落ちたといったような解釈は可能でありましょうか。
 次回――因縁の敵、現る。