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盗人にアデュー

『バトルフィーバーJ』感想・第48話

◆第48話「大盗賊と泥棒少年」◆ (監督:平山公夫 脚本:高久進
 ケイコとトモコの買い物に付き合っていた京介は、二人のバッグを盗んで逃げた置き引き少年を捕まえるが、慣れた手口で証拠を隠滅し、全く悪びれない少年にやりこめられて、すごすご退散。
 貧しい暮らしの中、盗みで糊口をしのぐ少年と妹の背後には、更に悪辣な大人の存在があり、〔貧困・犯罪・搾取〕の構図がストレートで叩きつけられて、かなりきつい(当時的に、これでもまだマイルドに描写しているのかもですが)。
 一方、道に投げ捨てられていたケイコ&トモコのバッグは回収した京介だが、自分たちの無用心さを棚にあげた二人から、財布と中身はどうした?! 無責任だ! と理不尽に責められ、こちらはこちらで、きつい(ここまで来て、連絡員二人の好感度を無駄に下げてどうするのか……)。
 「弱ったな……僕の責任、てわけじゃないし」
 「ジョーカーはどこ行ったのかなー?」
 君子危うきに近寄らず、と横では知らぬ顔の仲間たちがトランプに興じており、これが光戦隊なら皆が黙ってカンパしてくれるところですが、ここは国防省所属特務部隊バトルフィーバー、人の心はどこにもない。
 「ねえ! お金貸してよ!」
 「俺の利息は高いよ?」
 泣きつく京介に対してすげない態度の伝、洒落抜きで利子を取りそう。
 誠は黙って帽子で顔を隠し(給料の大半は、銃器と釣り道具の購入で消費しています!)、曙は前借りして トランプでみんなスった 子供達のクリスマスプレゼントを買ったと主張して好感度を稼ごうと画策し、
 「あたし、仲間内でお金の貸し借りはしない主義なの。気まずくなるもとでしょ?」
 頼みの綱のマリアから放たれた時速200キロのド正論で、京介、ノックダウン。
 「というわけでして……残念でした」
 「ばっかだねぇ。だらしなくて見ちゃいられないよ。相手は子供一人じゃないか」
 身内への金策に失敗した京介は九官鳥元帥にも嘲けられ、質屋に売り払って5千円に変えてやる、と鳥籠に掴みかかると、その少年を捕まえて金を取り返してくればいいじゃないか、と笑顔で軽く煽る伝。
 「ホント馬鹿なんだから」
 「俺の事を、馬鹿にしやがって~」
 楽しい仲間たちに囲まれて京介は憤怒に目を剥き、高久節というか(刑事部屋の一コマ、みたいなニュアンスかとは思うのですが)、初期『バトルフィーバー』テイストというか、序盤は、コミカルな描写=勤務態度などの不真面目さ、のパターンに不満もあったのですが、今となっては、癖になる独特の味わい、みたいになってきました(笑)
 怒り心頭の京介は、街で獲物を探し回る少年の盗みをひたすら妨害し、これが国防省エージェントの本気だ!
 敵に回してはいけない相手に手を出してしまった事を思い知らされた少年は、アパートへ戻ると黒幕の制裁を受け、後をつけていた京介により、黒幕の正体はエゴスの大盗賊怪人と明らかに。
 戦いを目撃した少年の家で、母親の位牌に手を合わせた京介は、兄妹の父親が借金を残して蒸発し、困り果てた二人を言葉巧みに蟻地獄に誘い込んだのが大盗賊怪人である事を知る。
 「フランス、エゴスの大盗賊怪人を倒し、奴らに利用されている者達を救え。貧しさのあまり、無理矢理盗みを働かされた、少年に罪は無い」
 「ハッ!」
 将軍の下にも、多発する強盗や窃盗事件の情報が集められており、BF隊が本格的な調査を開始する中、フランスに正体を知られた大盗賊怪人は、弱みを握って手駒としている盗人たちを集めて最後の大泥棒作戦を宣言。
 「エゴス万歳、エゴス万歳、ひらけーごま」
 怪人のデザインがターバン巻いて曲刀を振るう中東風であったのですが、盗んだ財宝を集めた洞窟が『アリババと四十人の盗賊』モチーフの呪文で開き、大変真面目な顔で「エゴス万歳」を繰り返すサロメがなんともいえない面白さでありました。
 京介に足抜けを約束した少年もエゴスに捕まると、なんと同じように大盗賊怪人の手駒にされていた父親と再会。だがそれも束の間、集められた盗人たちは爆弾ブレスレットをはめられると、手当たり次第に金を集めろ! 裏切れば死だ! と強制され、弱みを握られて犯罪の片棒を担がされた上、最終的には使い捨てられる、犯罪組織と末端の描写が、今回は割と現実寄りで、刑事ドラマテイスト強め。
 これで本格的に刑事ドラマだったら、デカフランスと出会って一度は改悛を見せた不良少年が、再び悪事に引きずり込まれてケチな犯罪の末に死亡し、怒りの京介カチコミ! とかなりそうなところですが、そこは《スーパー戦隊》(?)なので、少年が木っ葉微塵になる事はなく(置き引き少年他への後始末がソフトなのは、刑事ドラマ文脈による因果応報がペンタフォースで消し飛ばされている為かと思われます)、その案内で京介がアジトへ突入すると、爆弾のリモコン破壊から一同登場で主題歌バトル。
 今回の戦闘員バトルは、多分フランスだけ新規映像で、強力なサーベルを振り回す怪人(飛び交う曲刀の映像は今回の格好良かったところ)に苦戦するBFだが、槍投げによる反撃から、ペンタフォース!
 「いくぞ、大盗賊ロボ!」
 5人揃ってBFロボに乗り込むと、身軽なジャンプでバトルマサカリをかわし、念動力で曲刀を操る大盗賊ロボだったが、あっさりと唐竹割りのサビとなり、大爆死。
 エゴスの大盗賊団は壊滅し、師走の街に一つの家族のぬくもりが取り戻されて、つづく。
 だいぶ刑事ドラマ色の強いエピソードでしたが、BF隊の登場とスポットをほぼ京介に絞ったのが今回は巧く転がって、今作の個人回としては割と上手くまとまった印象。
 これが後世だと、そっちが大盗賊ならこっちは怪盗だ!(フランスだけに) とかなりそうだなとか思ってはみたり(笑)
 次回――エゴスによる使い捨ての鉄砲玉、とうとう小学生に。