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朱に交われば赤くなる

『バトルフィーバーJ』感想・第39話

◆第39話「悪魔になった友」◆ (監督:竹本弘一 脚本:上原正三
 神誠、定期検診の数値が気になるお年頃。
 検診の結果は丈夫な人だと太鼓判を押される誠だが、病院の医者にして誠の友人でもある関根は、急に吐き気を抑えるような仕草を見せるとそそくさと部屋を出て行くし、教授は教授で部屋の中で煙草を取り出すしで、どうなってるの城北大学病院……?!
 体調不良を抱えながらも論文執筆に励む関根はサロメ接触により「不死の会」を名乗るエゴスの支部を訪れると、余命3ヶ月の宣告を受けた事から悪魔の取引を承諾して自ら怪人カプセルの中に入り、生み出されるハイド怪人。
 一方、毎度ながらのBF隊はスイッチオフでだらけきっており、銀座で買ったワンピースが煙くさくなると曙に抗議するマリアさん、配属当初はあんなに真面目だったのに、すっかりBF流に染まってしまいました。
 「情けないね。将軍が国際会議に出席すると、すぐこのていたらくだ。たるんどるぞおまえら」
 九官鳥、ツッコんだ。
 「おいキュウちゃん、俺達が暇だってことは平和の印。結構じゃないの」
 京介、理論武装で切り返した(笑)
 ラウンジの片隅で一人黙々と銃を磨き、それはそれでどうなのだろうという気がする神誠は、ケニアの煎じている薬草を関根に持っていってやろうと思い立ち、純然たる友情に基づいて、大自然から現代医学への挑戦状を叩きつけようとしていたが、関根は既に、現代医学をエゴスの原始科学で超克しており、しかしその代償として人間の血液を求める怪紳士へと変貌していた。
 『ジキルとハイド』を下敷きに一人の男の破滅を描く今回、シルクハットに黒マントのハイド怪紳士は、吸血鬼の性質+扮装に、狼男の変身メイクの合わせ技、といった感じで描かれ、関根宅を訪れようとして怪紳士を目撃した誠と曙はフィーバー!
 ハイド怪紳士は、口避け女の時と同じような演出で飛ぶように走って逃げると、そのエゴの赴くままに恋敵の同僚を襲って殺害し、人の欲望を利用してエゴスが信徒を増やしていく第2話の路線というか、同工異曲といった作り。
 明確な違いは、その邪悪を一人の男に焦点を絞った上でBF隊メンバーの友人という点でしたが、一度疑惑の目を向けると、張り込み → 銃弾 → ペンタフォース! が流れるように炸裂し、“もはや身も心も怪人”として葛藤も躊躇もなく処理される70年代作劇で片付けられるのは、勿体ないところでした。
 吸血衝動の赴くまま、恩師である教授さえも殺害した関根は結果として院内で大きな力を得るが、意中の看護婦とは上手く行かず、看護婦をさらう強硬手段に出た結果、BF隊に追い詰められると、ハイド怪人へと姿を変え、集団戦に突入。
 モチーフがモチーフなので、漠然とした怪物じみたデザインになるのは理解できるとして、どことなく海っぽいというかクトゥルフ神話の邪神めいた方向性だな、と思って毎度お馴染み『百花繚乱』を確認してみたところ、デザイン画は映画『エイリアン』のギーガー的クリーチャー寄りで海っぽさはあまりなく、心中の悪意――心の中の悪夢的継承のニュアンスが強かった模様。
 ハイドロボットが現れて火を噴くと、派手な火炎放射から逃げ回るBFは、BFロボを要請。爆発と火炎放射の合わせ技に力の入った映像からBFロボが到着すると今回は日仏が乗り込み、ハイド怪人はさっくりとジャンピングペンタフォース!
 残るハイドロボは投げ槍から唐竹割りで一刀両断されると、誠と看護婦は関根の墓に手を合わせ、人の心の弱さにつけ込むエゴスの恐ろしさが語られて、つづく。