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喇叭王子は決められない

仮面ライダー響鬼』感想・第17-18話

◆十七之巻「狙われる街」◆ (監督:諸田敏 脚本:大石真司
 OP映像に、威吹鬼轟鬼が参戦し、響鬼を加えた3人で並ぶカットも追加。
 前回の一区切りを受け、物語の次なるステップとして、明日夢の学校には「あきら、登校す」が投入されると、ヒビキさんからの頼まれ事しか見えていない明日夢が、いつにない積極性でにこやかにあきらへと話しかけて早速やらかすが、ひとみの表情から素早く事態を察したあきらが、ヒビキ案件だと説明して無用な修羅場を回避し、既に大人に混じって行動している事もあってか、天美あきら、気遣いの出来る子。
 ……今後、この学校生活で貧乏くじを引くのは、もしかして、あきら……?(笑)
 一方、イブキと香須実はショッピングモールを連れ立って歩き、イブキ王子は優柔不断。
 戸田山改めトドロキは鬼として一本立ちする事務手続きを行っていたが、それが終わると「で? うちの娘とはどうなってんだ、あぁん?」と勢地郎から詰め寄られており、お父さんは職権濫用。
 前半それぞれ、色恋沙汰の要素を掘り下げる形でほのぼの展開する中、組み合わせとしては、それらと対応する形のヒビキ×みどり組は、山に籠もって新型バチの運用試験。
 ……甘酸っぱい雰囲気は鍛えている内に落としてきました。
 響鬼がバチにフォースを込めると青白い炎が噴き上がり、気合いと共に一閃された音セイバーは鉄柱を易々と溶かし切るが……直後に爆発。これは駄目だ、と様々なバージョンの試し切りが続く中、イブキと香須実は買い物返りにお茶とかしていたが、香須実さんの反応は
 (こいつのアプローチは、なんか、ちょっと、違う……)
 みたいな感じだった。
 ところがイブキが童子と姫を目撃し、明日夢くんが順調に青春している一方、東京都内に怪異の気配が色濃く迫るこれまでにない展開。
 「鬼だね」
 「――僕が相手をするよ」
 買い物中は、びしっと決められない男だったイブキが、表情の一変で格好いいところを見せると、威吹鬼に変身。
 河童みたいな雰囲気の童子&姫の水流攻撃を受けつつも鬼クローで殴り飛ばすと、投げつけられる鉄パイプやドラム缶を風を纏った手刀で弾き返し、空中回し蹴りで一体を撃破。
 残る瀕死の一体は、最後の足掻きで魔化魍を呼び出すと溶けて消え、地中から現れたのは、蓑虫とイソギンチャクを合わせたような不気味な魔化魍で。ディスクアニマルをパックリ消化ーーーーーー!!
 今作初、人間サイズの着ぐるみ魔化魍が出現したところで、つづく。

◆十八之巻「挫けぬ疾風」◆ (監督:諸田敏 脚本:大石真司
 謎の魔化魍に回し蹴りを浴びせようとするも、溶解液を喰らって足を負傷した威吹鬼だが、魔化魍の体から地下へ向けて管が伸びている事に気付くと、その切断を狙って攻撃。痛手は与えるも、飛び散る体液にダメージを受けて魔化魍の逃走を許し、その正体はオオナマズ……の飛び出して人を襲う胃袋、は面白いアイデア
 オオナマズの対応にはそのまま威吹鬼が当たる事となり、バックアップに回るべく連絡を受けた特別遊撃班のヒビキ隊員は、イブキと香須実の仲も気になるお年頃。
 二人は子供時代によく遊んでいた幼馴染みの間柄という事で(雰囲気的には、香須実の方がちょっと年上?)、その頃及び日常における、ややとっぽいイメージが現場でガラッと変わる可能性があるのでは、と無責任に盛り上がる三十路の二人。
 自分も現場だと格好良いのかを気にするヒビキさん31歳に対して、みどり曰く
 「それ以外だちょっとねぇ……」
 だそうです。
 イブキが香須実と共に、ナマズ本体の潜む地下水脈を捜し回る中、トランペットを届ける為に走り回っていたあきらは、メーター杖の男と接触すると接近されただけで気を失ってしまい、トランペットの無いまま、ナマズとの戦いに向かっていくイブキ。
 「鬼のイブキくんは、一人前の鬼って事だね」
 全体としては、最近若干、響鬼の前座の気配が出始めた威吹鬼にスポットを当て、鬼としてのキビキビとした働きぶりを見せて香須実さんにちょっと見直されるエピソードとなっており、響鬼の救援も受けた威吹鬼は、トランペットも手にしてオオナマズの胃袋大爆破。
 一方、あきらに授業のノートを届けにたちばなに向かっていた明日夢は、大混雑のたちばなで茶坊主としてかけずり回る事になり、最後はひとみも含めて皆でたちばな大結集エンドとなり、今作としては割と珍しい、たちばなを全員の「ホーム」と設定しての着地。
 次回いよいよ、裏の事情も知っておりヒビキさんに頼まれれば何でもやってくれそうな使い勝手のいいバイトとして明日夢がたちばなに組み込まれそうな雰囲気なので、たちばなという場の意味づけも多少変わってくる前振りの狙いもありそうですが。
 第16話を一つの区切りとして、明日夢くんが大きく動き出す事になった前後編、明日夢が高校生活の方で“自分の足場を得た”からこそ、「たちばなに組み込んでも大丈夫になった」とはいえそうですが、この接近がどう転がるが、面白くなってくれる事を期待。
 ……ただ、前後編揃ってテンポがいまいちだった上、新味のある展開として都市に魔化魍が出現するも、色々な布石を散りばめながらにしても特にそれ以上の広がりがなく、いつも通りに「終わった終わった」で片付けてしまったのは、ちょっと物足りない内容でした。