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鬼を知る

仮面ライダー響鬼』感想・第11-12話

◆十一之巻「呑み込む壁」◆ (監督:坂本太郎 脚本:きだつよし)
 都立城南高校の入学式――晴れて明日夢少年は高校生となり、もはや遅刻が恒例になりつつあった。
 あと、撮影日程の関係で仕方ありませんが、明日夢を取り巻く桜並木の合成がだいぶ嘘っぽくて、無理にやらなくても(少なくともそんなに尺を割かなくても)良かったのではないか感。
 この後、新型ディスク使い魔の性能テストでイブキ&あきらがアリバイ的に登場するのですが、今作の悩ましい部分として、〔ヒビキのターン〕と〔イブキのターン〕ではなく、〔イブキのターン〕と〔明日夢のターン〕の間でも交換が成立しうるので、そうなると、桜に囲まれて茫洋としている明日夢の尺より、もうちょっとイブキ組の尺が欲しいとは思ってしまうところ。
 これが〔ヒビキのターン〕と〔明日夢のターン〕だけの時は、それを交互に描いていく物語として成立させていたのですが(厳密には〔魔化魍のターン〕が加わりますが)、イブキ組の参加により恒常的な主観視点の持ち主が増えた事で必要になってくる新しいバランス調整が間に合っていない印象。
 それを〔猛士のターン〕と〔学生のターン〕と見るには、ヒビキとイブキの間の分断が大きいスタイル(組織設定)ですし、後者に相応の工夫を仕掛けないと釣り合いが悪いので、高校生活のスタートに合わせてなんらかの手を入れてきてほしいところですが、その明日夢少年は持田さんと連れだって下校中。
 「だってこの間の、大大大大遅刻から会ってなかったから」
 ……あれ持田さん、実はまだ怒ってらっしゃる?
 …………まあたぶん春休みの間、詫び菓子の一つでも持って映画に誘いに来るのを待っていたら梨の礫で空振りに終わったのかと思うと、出会い頭に真空跳び膝蹴りの一つや二つ叩き込んでも、我々、明日夢少年はもう少ししゃきっとした方がいいのではの会としては、無罪を主張したいと思います。
 明日夢少年にも好みもあれば、いわゆる“奥手”な雰囲気ではあり、そうでなくても現在ヒビキさんに夢中すぎて対人関係のリソース配分が偏ってはいるのでしょうが、シンプルにフィクションとしては、“持田さんの方が一方的に空回りしている”状況が、明日夢少年の印象におけるプラスになっていないので、いやそれは、明日夢くんの好感とか魅力にも繋がるように使わなければいけない要素なのでは、と気になる部分。
 ロングスパンの要素とはいえ演出サイドの方も扱いの手探り感が強く、前回の諸田監督は、明日夢くんの方も満更でも無いわけでもない、みたいな雰囲気でしたが、今回の坂本監督はそうでもない感じであり、ただし双方とも持田さんの好感度が下がらないような配慮は見えるので、結果的に明日夢少年のふわっと感だけが強まっている印象。
 まあそのふわっと感こそ、“誰でもない自分のHIBIKI”を見つけ出す前の少年の姿という狙いはあるのでしょうが、では明日夢少年の好感度とか魅力はどこで稼ぐの? というのは、もう少し目配りが欲しいなと。
 現状、少年アドベンチャードラマの主人公としても弱すぎますし、もちろん個人差はありますが、年代的には“何者にもなれない自分”に気付くよりも少し前、“何者にでもなれると無根拠に信じていた頃”でも通用しそうなのに、前者のニュアンスが強めな事により(中学時代の描写を見るに、吹奏楽関連で何かあったのかもですが)、ヒビキさん不在でも明日夢くんのドラマを展開したそうな意識とは裏腹に、明日夢くんのキャラクター性がヒビキさんに依存しているのを感じます。
 そのヒビキは、魔化魍予報から外れた区域からもたらされた不審な行方不明者の報告を受けて、香須実と緊急出動中。山里の近くで人を襲う童子と姫に、謎のメーター杖を持った人物が何かを与え、魔化魍サイドにも、童子と姫より上位と思われる存在が登場。
 調査に向かうヒビキに近づく「「鬼さんこちら手の鳴るほうへ」」は良い感じに不気味で、謎の丸薬により強化された童子と姫は、鬼火を無効化する鎧を纏うと体内より精製した武器で響鬼を苦しめ、これまで魔化魍の前座扱いだった童子と姫が、急激にパワーアップ。
 バチファイヤーも通用せずに響鬼が崖を転がり落ちていた頃、道でぶつかった女性の荷物を抱えて歩く明日夢は、万引き騒動の一件以来、気まずくて顔を出せなかった、たちばなに辿り着いてしまい、女性の正体はヒビキの中学時代の同級生にして、猛士で様々な装備品の開発を行っている、滝澤みどり。
 そこにひとみが訪れて修羅場寸前となるが、みどりの素早い動きで惨劇は回避され、同級生からの誘いを断ったら何故か年上の女性とお茶していた案件の誤解が(表面上は)解けた明日夢は、店内の壁の不自然な動きが気になって近づいたところ、隠し扉から秘密の通路へと滑り落ちてしまう!
 かくして今回も接触の無かったヒビキと明日夢、両者の落下シーンが重ね合わされるのですが、他人の店の階段を勝手に登って壁に耳を当てる明日夢少年の行動は明らかに無理があり(あまりにも突然の、こんな時だけ冒険少年ムーヴ)、全体的に雰囲気で誤魔化していますが、明日夢少年が急にアクティブになる部分が概ね話の都合なのは、さすがに段々引っかかりの増す部分。

◆十二之巻「開く秘密」◆ (監督:坂本太郎 脚本:大石真司
 ところでOPのクレジット、イブキ:渋江譲二のところで、月を見上げる響鬼の後ろ姿のカットなのは、そろそろ威吹鬼に差し替えてもいいのでは? と気になって仕方が無いというか、OPにおけるイブキ組の妙な扱いの悪さは何故。
 響鬼は斜面を転がり落ちながらも猿ディスクを投擲し、謎の地下通路に滑り落ちた明日夢は更なるミラクルで装備展示室みたいなところに入室。
 そこで再会したみどりから、猛士と鬼と魔化魍についての基本的な話を聞く事になり、たちばなの面々が色々な気遣いも含めて語っていなかったであろう内容を一人で喋り倒すみどり、関東所属鬼の履歴書まで無造作に広げ、仰天する情報管理意識の薄さ。
 話の流れとしてはどうかと思うものの、メタ的には面白情報満載なのですが、第5話で公開された猛士シフト表による最低18連勤が注目を集めた裁鬼さんは、本名:佐伯栄、1968年生まれでヒビキさんよりも年上のベテランでした。
 ヒビキさんの本名:日高仁志(1974年生まれ)もちらっと画面に映り、イブキさんは本名:和泉伊織でやたら格好良く、さすが王子。
 なお、やたら落ち着き払っているので20代半ばぐらいかなとばかり思っていたら、1986年生まれのギリギリ10代に驚きましたが、品と育ちのいい大学生、みたいなイメージでなのでしょうか……住所もなんだか、広尾の高級マンション感が漂います。
 ディスクアニマルの前身は呪符であっていわゆる式神を源流としており、今回のヒビキの発言からすると、機能を増やしつつコンパクトさを追求した結果、現在の形状となった模様。魔化魍は鬼によって浄めの音を打ち込まないと倒せないと必殺の音撃システムにも言及され、急になんでもかんでも説明のターンですが、1クール目の締めに劇中ここまでの情報を整理する段取り通りというよりも、内部事情の変更でもあったのだろうかと勘ぐりたくなるような、ペースアップ。
 みどりから解説を受ける明日夢と、強化された怪異への対策を練るヒビキの姿が交互に描かれ、巨木に擬態していた魔化魍・ヌリカベ(ナメクジ×蛾、みたいな面白いデザイン)が里へ向けて動き出すと、雪辱戦を挑む響鬼
 「勉強したよ」
 ディスクゴリラの映像データと、たちばなの古い資料から敵の弱点を見抜いた響鬼は、大量の使い魔軍団をけしかける事で強化アーマー解除までの時間を稼ぐと傷を負いながらも形勢逆転に成功し、多少の刺し傷は気合いで塞がる、それが鍛え上げた筋肉のパワァー。
 「やっぱり時間切れって事か。ろくに鍛えてないで、急に強くなろうとしても、しょせん無理があるって事だな」
 制限付き強化を今作らしい表現に繋げた台詞は面白く、バチファイヤー二連で童子と姫を砕いた響鬼は、里に下りるギリギリでヌリカベを止めると、猛火怒濤の型で浄めてますから。
 一方、みどりから中学時代のヒビキの話を聞いた明日夢は、ヒビキさんにも“できない”頃があったと知ると、万引き騒動の一件から引きずっていた煩悶に対して前向きさをちょっと取り戻し、「できなかった事を悔いるならば、できるようになれば(今作的には“鍛えれば”)いい」というテーマそのものは真っ当なのですが、それが当人ではなく他者から間接的なヒビキさん情報を聞いただけで明日夢くんにもたらされるのは、劇的さには欠ける作り。
 そこに至った明日夢くんの行動(「試練」と「克服」の関係に該当)といえば、「人の店の階段を勝手に登って壁を調べる」で、“巻き込まれ体質”と“アクティブな部分”のバランスがどうも噛み合って見えないまま、「面と向かってヒビキさんに聞く一歩が踏み出せない」事を「お喋りなヒビキ友達がみんな話してくれた」のを明日夢少年の前進に繋げて描くのは、大きな疑問符の浮かぶエピソードでありました。
 その前段階として荷物を運んで親切にしたのは「人助け」ではありますが、描写としてはみどりとぶつかった原因は明日夢にもあるので、それだったら最初から純然たる人助けから繋げた方が納得度は高かったと思うのですが、そこで積極的に「人助け」に踏み出せる明日夢くんでは未だ無い、という点にこだわる余り、かえって得られる報酬との間にいびつなバランスを生んでしまっており、今作ここまでの進め方からすれば重視されるべき明日夢少年の歩みよりも、「鬼活動の背景に対して風通しを良くする」事の方が強引に優先されたような印象。
 みどりの案内で明日夢が店内に戻ると、からくり仕掛けの不具合で地下に閉じ込められていたおやっさんと日菜佳も脱出に成功。イブキとあきらは、その間に店を任されており、城南繋がりでひとみとあきらが親しくなっていると明日夢がようやく戻ってきて、誰と誰がどう知り合いで、一体何がどうなっているのかと一同微妙に困惑する中、
 「安達くん、どこ行ってたの?」
 との問いかけに明日夢は、はにかんだような笑みを浮かべ、前回今回で、一つの壁を越えたとか、ちょっと霧が開けたとか、サブタイトルと掛けてそういったニュアンスが散りばめられてもいるのでしょうが、明日夢くんのリアクションがとにかく、意思表示のハッキリしない半笑いに終始するのは、そろそろもうちょっとなんとかならないか、とは思うところ。
 次回――明日夢、たぶん盲腸。