『バトルフィーバーJ』感想・第29-30話
◆第29話「見たか!? 口裂け女」◆ (監督:竹本弘一 脚本:江連卓)
当時、流行があったのか、都市の怪談「口裂け女」をストレートな題材にした一編で、見所は、鉄山将軍の物真似を披露するトモコと、般若のようなマスク×ボディアーマーで不気味に跳梁跋扈する口裂け怪人。
ヒビキさん、出番です。
口裂け女の噂が街を騒がせる中、鍛えているのか不安になってくるBF隊は夏の暑さにうだうだしており、海底基地の空調が壊れているのは、だいぶまずい状況なのでは(笑)
伊達男の京介さえランニング姿で涼を求める中、再登場した妹に助けを求められたトモコから、口裂け女出現の報が入ると嘲笑い、
「あかん、トモコの奴、この暑さで頭やられてますね」
「トモコ、おまえの知性をホントに疑っちゃうよ」
見ているこちらは、君らの良識と品性をホントに疑っちゃうよ!!
ダイアン帰国後も、男衆が毎度ながらのBF節を見せる中、マリアが一人、事件に興味を持って出動し……BF色に染まらない姿勢を見せてくれるのですが、こちらはこちらで、「怪談好き」設定が加わった上、口裂け女を捜しに出たトモコ姉妹の後をこっそりとつけるので、国防に人の心は不要!
派手な花柄ワンピース姿のトモコが口裂け女と接触すると物陰から飛び出すミス・アメリカだが、怪異は都市伝説そのままに物凄いダッシュ力で逃走し、
「すると、考えられる事は……」
「「「エゴス怪人」」」
に、さくっと辿り着くのは良かったところ。
BF隊は、口裂け女の話題で人気沸騰中のラジオDJに接触すると、数日前から様子がおかしいという情報を入手し、監禁されていたDJを救出。
口裂け女の話題を広め、口裂け怪人により街を騒がせるエゴスの目的が、本当に「怪談」を餌にミス・アメリカをおびき寄せる為だったのかどうかは不明瞭な部分が多いのですが、今回に関しては口裂け怪人の怪異アクションがメインなので、動機は不問と言った作り。
……まあ、顔写真を元に、エゴス工作員がBF隊メンバーの趣味嗜好を聞き取り調査していた可能性もゼロではないですが(笑)
ケニアとフランスの突入によってアメリカが窮地を脱すると、早々に巨大口裂けロボットが登場し、振り回す巨大出刃包丁が超怖い。
背景で口裂けロボットが出刃包丁を振り回す中、BF隊は決戦へと挑み、戦闘員を蹴散らすアクションからの名乗りを決めて、橋の欄干の上に並んでバトル・フィーバー!
今回も、背後で悪魔ロボットが暴れ回る中での集団戦となりましたが、前回のように特に土砂が飛んできたりはしないので、連動性は低め……と思ったら途中から岩が飛んでくるようになり、バトルシャーク出動。
戦闘員は壊滅させるも、口裂け怪人の不気味な動きに翻弄されるBFだが、樹上の戦いなら俺の出番、とケニアが立ち向かい……負けた(笑)
ケニアの危機に、BF隊が次々と得物を投げつけるも強靱な歯によって噛み砕かれ……じゃあ、スクラムだ。
「「「「「ペンタ・フォース!!」」」」」
最終問題に正解すると2万点! みたいな無慈悲な必殺技で怪人が消し飛ぶと巨大ロボ戦に突入し、出刃包丁の扱いが下手で、バトルスピアも噛み砕けず、怪人に較べるとこれといった強さを見せられないまま、口裂けロボットは唐竹割りのサビとなり、とにかく顔面のアップが不気味な怪人/ロボットでありました。
かくして少女達に笑顔が戻り、ラストは口裂けトモコ騒動でオチとなり、交代直後はほとんど台詞も無かったトモコが、やたらフィーチャーされて、つづく。
◆第30話「悪食雑食の料理長」◆ (監督:山田稔 脚本:曽田博久)
久方ぶりの怪人製造カプセルから誕生したのは、ヒトデとブタを混ぜ合わせたような偏食怪人。
「愛しい息子・偏食怪人よ。おまえはバトルフィーバーを食うのだ!」
愛しい息子の名前がそれでいいのか毎度疑問なサタンエゴス様が猟奇的な事を言い出すと、エゴスは「いいなぁ~、夏は。俺の季節だ」と半ば野生に戻った曙が森でターザンアクションをしている間に、その衣服を入手。
曙四郎普段着コレクションは、生まれてから最初に食べた物の味を覚えて執拗に追い求めるという偏食怪人に捧げられ、サイドのヘッダーとサロメが、とても嫌そうな顔(笑)
「よくこんな不味そうなものが食べられるわね」
「御子は悪食で雑食、その上、人間が食べるものは嫌いという、偏食でもあるのだ。見ろあの顔を。バトルケニアの汗が染みこんでいて、美味かったらしいぞ」
「もっと、もっとちょうだい、もっと」
怖いよ!
ケニアの味を覚えた偏食怪人は、調味料をふんだんにかけてケニアの靴をたいらげ、怖いよ……!
「これでよい。御子はもう、バトルケニアの味の虜となった! バトルケニアを食わずにはいられなくなったのです!」
「食え、バトルケニアを食え!」
とにかく怖いよ!
前回は都市伝説モチーフの直球のホラーで、不気味な怪人の不気味な動きで恐怖を煽りに来ていましたが、今回は一見コミカルながら気の狂った映像に台詞が全て人肉食サイコホラーとなっており、《スーパー戦隊》史上屈指の猟奇エピソードが誕生してしまっています(笑)
その頃、スナックケニヤ……あった。
恐らく、「おかしいなぁ、俺の服がねぇや」みたいなシーンがカットされたのかと思われますが、当たり前のように半裸で店内に居る曙が警察案件ですが、ケイコも平然と受け止めているので、半裸が夏のユニフォーム。
いざとなったら、バトルフィーバー権限で所轄の警察官などイチコロです。
曙はケイコから、日がな一日インベーダーゲームに夢中のマサルを外に連れ出してほしいと頼まれ、夏の日差しによる野生返りで、曙自身はインベーダーゲームの存在は完全に忘れている模様(笑)
かくして、曙・京介・マリア・ケイコ・トモコ・マサルの6人で、やってきました後楽園ジャンボプール(後楽園競輪場の閉鎖後に1986年まで存在し、その後、跡地に東京ドームが建設されたとの事)……京介は、水着になるとどこからともなく現れる男と化していますが、この辺り、軽率に脱がしていい人と駄目な人と、事務所との契約とかあったりするのでしょうか。まあナンパキャラなので違和感は無いのですが、逆に伝や謙作はほとんど脱ぎませんし。
ジャングル流の泳ぎを披露し、遊び疲れてプールサイドで眠りこける曙に偏食怪人の魔手が迫り、舐めるように映されるヒョウ柄パンツの曙の肉体に足の先からかじりついてみる偏食怪人だが……不味かった。
そこでおへそに七味唐辛子をかけていただこうとするが上手くいかず、ならばと焼肉のタレをかけてライターの炎で炙り、『注文の多い料理店』的でもありますが、あまりにも猟奇的で変態的(笑)
「おい、おまえ焼肉のタレなんかつけて日焼けしてるのか?」
そこに京介がやってきて曙が丸焼きを免れると、サロメも水着姿でプールサイドに登場。
偏食怪人はヒトデの姿になるとプールに入り込み、焼肉四郎は命の危険に放り込めば死中に活ありメディテーションの心意気で泳げるようになる、と衆人環視の中でマサルをプールに叩き込み……
「ほら、ちゃんと泳げるようになったじゃない」
「やっぱり男の子は、男の人に任せた方がいいみたいね!」
場に和やかに生じる、凄く駄目な感じの相互理解(除くマサル)。
またも曙の捕食に失敗した偏食怪人は車に潰されてぺっちゃんこ……になるが、再生能力により復活。
これを見て一計を閃いたサロメは、将来的な国防任務への従事に備え、ケイコにより曙教官の野草サバイバルキャンプに放り込まれるも脱走したマサルに接触。……当初は女子プロレスラーの経歴を活かした世紀末覇者先輩路線だったサロメですが、最近では最前線に立つ事もめっきり無くなり、女幹部コスプレ路線のはしりになっているのは面白いところ。
「なんでも煮ちゃえば食えるのさ」
と豪語する曙は、マサルがサロメから受け取った偏食ヒトデを鍋で軽く茹でるとペロリと食べてしまうが、激しい腹痛を訴えてBF基地の医務室へと運び込まれ、胃袋の中で再生していく偏食ヒトデにより、内部から木っ葉微塵の危機!
「こうなったら仕方ない。毒だ」
後世ならトンデモテクノロジーで『ミクロの決死圏』ネタになりそうですが、そこはBF隊なので、毒を飲ませて強制的に吐き出させると直後に解毒剤を飲ませて蘇生を図る荒療治が行われ、首尾良く吐き出されたヒトデから偏食怪人が復活し…………あれ? BF隊の基地に潜入成功したぞ(笑)
……まあ、マサルからの急報を受けて近場のアジトの一つに運び込んだとする解釈の余地はありますが……
「覚えてろー!」
あ、出ていった(笑)
怪人が外に飛び出したところでケニアを除くBF隊が四方を囲み、今日も衣装チェンジの多いサロメさんがピンクのコーデで現れるとBF隊は偏食怪人のヒトデ攻撃に苦しむが、その危機を救ったのは復活したバトルケニア。
「たっぷりお返しするぜ! 焼肉のタレや、七味唐辛子をよくもふりかけてくれたな!」
5人揃って主題歌バトルとなり、ケニアの飛び蹴りが怪人を捉えると、弟ロボット出現。
「よし! 兄貴をやっつけよう!」
いつもの、でヒトデ怪人が消し飛ぶと巨大戦となり、チェーン殺法からの前蹴りを叩き込むもヒトデ手裏剣で反撃されるが、バトルマサカリスローで弱らせたところに電光権唐竹割りで一刀両断。
マサルは改めて曙キャンプに志願すると半裸族に仲間入りし、目指せ、鍛えに鍛えて、毒耐性獲得。
ナレーション「現代人の生活は、何かを忘れてはいないだろうか。自然に帰れ。邪悪なエゴスに負けない体を作るのだ。夏こそ、君たちの季節だ」
ナレーションさんが、いいこと言った風に無責任に煽り立て、気をつけよう、野生のキノコ、駄目、絶対。