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仮面ライダー響鬼』感想・第9-10話

◆九之巻「蠢く邪心」◆ (監督:諸田敏 脚本:きだつよし/大石真司
 冒頭、中学校の卒業(なんだかんだ持田さんとツーショット写真撮って飾ってあるのどうなんだ明日夢)と待ち受ける高校生活への期待感を映像だけで表現していくのは見せ方として面白かったですが……これもつまり、ミュージカルシーンの名残なのでしょうか(笑)
 明日夢少年が暖かい布団にくるまって怠惰な眠りを貪っている頃、ヒビキさんはまだ寒さの残る山中で童子&姫とバトル中……に、あ、やらかした。
 これも仮面ライダーの名が招く因果なのか、掠め取られた音叉をポイっとされて変身不能になるヒビキだが、生身で殴りかかると敵を踏み台代わりにしてのジャンプから音叉を拾い、改めて鬼化。
 華麗にバチで立ち回ると、裂帛の気合いを込める事でバチの先に炎が宿り、そこから火球を飛ばすバチファイヤーで姫と童子を木っ葉微塵に吹き飛ばし……まあ特にそういう意図は無かったと思うのですが、炎のバチを両手に構えるその姿は、東映特撮タイアップ名物:ハワイアン(ポリネシアン)ショーの系譜に見えて仕方ありません。
 鍛えに入った成果を出し、絶好調の響鬼が山を駆け回る一方、ダブルデート(?)に壮大な遅刻をやらかした明日夢少年はアウトな人になっており、持田さんから明日夢少年への厚意以上恋情未満の視線が明確に描写されるようになってきましたが、このぐらいは主人公として必要だと判断されたのかもしれません……この後、城南であきらとのエンカウントも控えていそうでありますし。
 アウトな明日夢と気合いの乗ったヒビキさんが交互に描かれ、街を彷徨う明日夢は万引き騒動に巻き込まれ、響鬼はオオアリの巣を探索。
 たちばな妹こと魔化魍アナリストの日菜佳も頭を悩ませる、猛士データベースでも魔化魍を特定できない状況が続く中、秩父へ向かうイブキとあきら。
 「なんていうか……人の裏を掻こうっていう、悪意が、あるねぇ。ここんところは」
 仮面ライダーにあたる“鬼”が、物語の開始当初から職業・組織化され、なんなら伝統もありそうな今作、そのまま妖怪退治物として展開するだけでは起伏が足りないと判断されたのか、なんか最近おかしいね……という話がじわじわと積み重ねられており、今のところ、明日夢くんが封印の御子でもなければ、猛士組織に復讐を誓う裏切り者の鬼が暗躍していたりといった事もなく、ひとまず異常気象みたいな扱いなのは、面白い話運び。
 オオアリに挑む響鬼は、バチファイヤーを弾かれながらも懐に飛び込むと次々と足を砕いていき、動きが止まったところを力尽くでひっくり返すと胴体に太鼓を張り付け……基本結構なパワーファイターなのですが、鍛錬も下準備もしっかり行っている姿を描いているので、経験と実績に裏打ちされたプロの戦いぶりに見えるのは、上手いところ。
 「行くぞ! 一気火勢の型!」
 響鬼は鍛えに入った成果を魔化魍にも叩きつけ、まあ基本、連続バチラッシュの映像にあまり変化はないのですが、踊る書き文字と気合いで誤魔化して、渾身の一打によりオオアリクイ粉砕。
 「鍛えた甲斐あり、ってとこだな」
 ちょっと決め台詞っぽく呟く一方、イブキとあきらは峠道で土砂崩れのような跡と潰れた自動車、被害にあったと思われる市民の衣服を発見し、峠も洞穴も異界との境界であり、この辺りの作りは徹底しています。
 「我らの餌になるのは」
 「百年に一度の名誉だぞ」
 動く大岩のような魔化魍が育てられていく中、彷徨中の明日夢は万引き少年にバッタリ出会ってしまい、うーん……正直、逆恨みで悪意をぶつけられる明日夢の図とかは見ていて単純に楽しくないのですが、やらかし明日夢くんがひたすら彷徨い続ける、『クウガ』第25-26話度強めのエピソード。
 ……そして予告の、大ピンチで続いたのに明日夢くんどうでもいい感は結構酷いのでは(笑)

◆十之巻「並び立つ鬼」◆ (監督:諸田敏 脚本:きだつよし/大石真司
 明日夢はさっくりと事務局長に助けられ、峠を走っていたイブキコンビは、まるで意思在るかのように動く大岩と遭遇。正体不明の魔化魍を相手に後方支援組の姿が掘り下げられ、ヒビキが応援に向かう中、明日夢くんはひたすら自転車で走り続け、従来作とは違うドラマ性をどう見せるのか、に試行錯誤のやり甲斐があったのでしょうが、自転車で激走する明日夢少年を恐らく車で併走しながら撮るシーンなどは面白く、この頃の諸田監督は嫌いではありません(翌年の『ボウケンジャー』劇場版は傑作!)。
 謎の魔化魍の正体は、以前の出現が100年前に遡る、巨大な岩の亀――オトロシと判明し、童子&姫の奇襲からショルダータックルを受けたイブキが吹き飛ばされると、迫り来る童子と姫の背後に乗用車が突っ込んできたので、
 香須実さん轢くのーーーーー?!
 と思ったら轢かず、飛び出してきたヒビキさんが、鍛えてますキック。
 ヒビキとイブキは使い魔をけしかけると、後退した童子と姫を追って建物の中へと突入し、始めての並んで鬼化。
 全体の方針なのはわかるのですが、デザインも変身エフェクトも格好いいので、何もそこまで光らせなくても……とは毎度ながら(笑)
 響鬼威吹鬼童子と姫を一蹴するが、そこに現れる規格外の巨大魔化魍。犀と亀の融合したようなオトロシは、四つ足を甲羅の中に引っ込めると、飛・ん・だ。
 ダブル鬼はその後をバイクで追い、響鬼さん、バイクは乗れた……が、ブレーキはうまくかけられなかった。
 イブキの愛車が尊い犠牲となると、二人の鬼はダム湖に撃墜した魔化魍と対峙し、威吹鬼のラッパで装甲を砕いたところに響鬼が太鼓を張り付けて豪火連舞の型を叩き込み、まあ今回も本人の自己申告以外は基本的に太鼓を叩いているだけの絵が、なかなか難しいところはありますが(ファーストインパクトからの拡張性の問題といいますか)、この巨大魔化魍戦の弱点狙いは確かに『モンハン』ぽさあり。
 レッ○マン先輩は教えてくれた!
 どんなに巨大な魔化魍も、鈍器で腹を殴り続ければ、死ぬ!
 100年に一度クラスの大物だったオトロシが消し飛ぶと、イブキはヒビキとのハイタッチを拒否してバイクへと駆け寄り、そこに香須実やあきらがやってきて、ミッションコンプリート。
 一方、河川敷で座り込んでいた明日夢の元には持田さんが訪れて、それとなく映画の約束を取り交わし、明日夢くん、君は今すぐ、その場に穴を掘って全力で土下座した方がいいと思う(さすがにちゃんと謝ってホッとしましたよ!)。
 前後編、明日夢とヒビキが一切絡まずに各々の生活レベルの話が全く別々に進行する割と挑戦的なエピソードでしたが、春から高校生としては万引きに巻き込まれて逆恨みから殴られそうになるのが大変ショックな事件なのは理解できるものの、人間が養分にされて鬼が巨大魔化魍と死闘を繰り広げている鬼パートとの間にスケール差がありすぎて、並行して進んでいく二つのパートをそれぞれにあったスケール感で呑み込んでいくのは難度が高く、本来なら相当にショックな明日夢パートの心の傷がかえって軽く見えてしまう逆効果であったように感じました。
 あと基本、明日夢くんのもやもやってヒビキさんに会わないと解決しないので、事務総長がちょっと、説得損(笑)